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2005/10/21
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読みながら,「さっぱりわからない!!」とうなっていたのが,

柄刀一の「アリア系銀河鉄道」

だが,「解説」と「あとがき」を読んで,ややわかる部分も出てきたような気がして,もう一度読み返した。
……でもやはり ?? が残る作品だった。

「三月宇佐見のお茶の会」という副題がつき,紅茶好きの宇佐見護博士を中心とする「短編3+解説3+短編1+あとがき」の構成。
以下は ネタバレ を含みます。ただし,露骨なものは例によって色を薄くしてあります。

言語と密室のコンポジション

あとがきで「アリア系銀河鉄道」と「アリスのドア」についての本人のコメントを読んで,「全体が空想の話」ではなく,少なくとも宇佐見博士に関する限り時間軸が現実的なものであることがわかり,ちょっと安心した。

それから考えると,この話で宇佐見博士が「字義原理・実存の猫」に誘われ,「ベテル」の塔の「ミステリーの現場」に行って帰ってくるのは,紅茶をカップに注いで香りがたちのぼってから,「淹れたてを思わせる湯気が立ちのぼる」までの間,すなわち,一瞬である。
↑だからどうした,という感じなのだが,とりあえずおさまりがつくものはおさめておきたかった。

その一瞬の間に博士が行くのは,「地の文」で思ったことが現実となってしまう世界の中にあるベテルの塔。その最上階での密室殺人事件を解き明かすというのが博士の役割である。

「聖杯のChalic」 ChとAliceにわかれて,そのAlice が殺人の実行犯というところはとてもおもしろかったが,こんなのって,予測不可能!!
「やられた」というより「そうですか」という感じだった。

「佳多山」解説で Chがルイス・キャロルのことだと知り, これにも「なるほど!」

ところで,「ベテルの塔」の「ベテル」って何? 知っている人がいたら教えてください!!!

案内役であるシオンとボオンが,服のマークから「子音」と「母音」であることがわかったのだが,その役割分担についてはよくわからなかった。その他の登場人物の名前にも含みがありそうだが,さっぱりわからなかったなあ。

ノアの隣


お茶用にと大佐がプレゼントした水の大きな甕を部下が倒し,その水に溺れかけた一瞬に,宇佐見博士はノアの方舟に行き,歴史のかなり長い期間をそこで過ごすことになる。

戻った博士がその体験を大佐と普通に話し合うことから考えて,博士の「ワープ」は知人の間では周知のことのように思える。

この話の最大の謎は「どうして方舟が逆方向を向いたか」であるが, 岩塩という道具立て を除いた,謎の骨組みはわかった。

この話のメインは「謎」よりも,「人類水生説」なのだろうなあ。「人類の祖先が水に住んでいたから,体毛が頭髪にしか残っていない」などなど,結構おもしろかった。

ただ,今回はタイトル「ノアの隣」の「隣」が不明。 「ノア」はやはり「ノア」ではなかった ということなのだろうか? それとも 単に博士がノアの隣りに行った ということなのだろうか?

残りの作品についてはその2( →記事はこちら )をごらんください。

柄刀一の他作品についての日記は,フリーページ  読了本(日本)  (柄刀一)からごらんください。
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Last updated  2007/01/19 09:10:34 PM
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