雫の水音

雫の水音

12章~前奏曲(プレリュード)


フローリアのお爺さんも回復し
森小屋から発っていた。
そして、ロデルトと共に港町に着いた

「おっきな、船があるでしゅ!」
ナナムーは港に掛けていった。

「翔、ちょっといいか?」
ロデルトは翔を酒場に誘った。


酒場は昼にもかかわらず
船乗りで一杯だった

ロデルトは隅の席に翔を座らせた。

「唐突だが、最初に翔に会ったときから
異世界の匂いがしたんだが…」
ロデルトは定員に酒を頼んだ後言った

「えっ!?何でわかるんですか?」
翔は突然の事でビックリした

「まぁ、俺も昔、異世界から来た奴と旅をしてたからな…」
ロデルトは懐かしむように言った

「で、他にも用事はあるんでしょ?まだ何か話したそうですよ」
翔は言った

「あぁ、この先の大陸は2人では厳しいからな、
俺の見た限りでは能力が使えないようだ…
どうだ?己の能力を自由に使えるよう
訓練させてやろうか?」

翔は、頭の中で白竜を思い出した。
好きなときに竜を出せたらどんなに楽かと…

「ロデルトさんお願いします!」

「しかし、時間が無いからな、これを渡す
俺には必要の無いものだ。
毎日、これに力をイメージするんだ。」
ロデルトは言い終えると
キレイな石を翔に渡した。

「おや?珍しいものを持ってるんだね。」
ロデルトの後ろの樽の中から
ローブを身に纏った
銀髪の男が現れた
瞳も銀色だった。

「わぁ!」
翔は思わずビックリした。

「まぁまぁ、驚かないでくれよ。僕はシェイクだ。
翔君、ロデルトさん」

「俺たちを知ってるのか?」

「全部、聴いていたからね。僕は追われている身でね。
行く当てが無いんだ。だから、面白そうな君に着いて行く事にするよ」
不敵な笑みを浮かべて言った

「な!勝手に」

「不満ならお金は払うよ。それとも、僕の演奏を聴くかい?
あいにく、旅に資金に竪琴以外は売ってしまったけどね」
と言って
竪琴を弾き始めた
五月蝿い店内は一瞬でシェイクの演奏だけが鳴り響いた

何時間経ったのだろう、と感じるほど時間の流れが遅く感じる
店の周りには、酒場から漏れた音色が、町中の人を引き寄せた。

「ふふっ。気に入ってくれたかな。僕も異界の住人なんだよ」
翔にだけ聞こえるように言った。

「シェイクといったな、すごい演奏だ。今までに聴いたことが無い程
素晴らしい。」
ロデルトが褒め称えた

そして、店内、店外からアンコールの声が響いた。

「兄々!この人の演奏すごいでしゅね!」
ナナムーが翔に駆け寄った

そして、アンコールに答えシェイクは店にあった楽器を使って色々な演奏をした。

その夜、街はシェイクの演奏により
活気あふれた。
皆、仕事を忘れてドンチャン騒ぎをしていた。

次の日…

翔は、目を覚ましたが目の前が真っ暗だった
足が地面についている感覚が無かった。

「わぁ~。どうなってるんだ」
翔は思わず叫んだ。

「兄々!どうしてこんな事になってるんでしゅか?」
と言う声がして
足を捉まれた。

ウンショウンショと
足を引っ張られた。

「何で、壷に逆さまに入ってるんでしゅ?」
とナナムーは大笑いで言った。

店の入り口からロデルトが現れた。
「なんだ、翔。そんな所にいたのか。船の乗船券買っておいたぞ。」
ロデルトは翔とナナムーにチケットを投げ渡した。

「シェイクさんはどうしたんですか?」
翔は尋ねた。

「あぁ、シェイクなら一足先に船に乗り込んだぞ。
お前たちも船に早く乗れよ。
俺は、レーヤルネイトに用事があるもんでな」
ロデルトは言った。

「お別れでしゅか?」

「いいや。また会えると思うぞ。つっても、何となくだが」
ロデルトはカッカッカと笑った。


翔とナナムーは船に乗り込んだ。

「やっと、起きたんだね。この素敵な港町ともお別れだ。
不安要素もあるが大丈夫だろう!」

「不安要素って?」
翔が言った

「いや、何でもないよ。さぁこれからは1週間の船旅だよ。」
シェイクはニヤニヤしながら言った。


~某所~

コツ コツ コツ
長く暗い廊下に靴の音が響き渡る

コツ コツ コツ
広く暗い広間には既に
何人かの人影がある

「お帰りなさい。お姉様」
暗闇の中槍を持った女性
ロイノスがブローズに会釈した。

「姉さんが帰って来た!」
蓮が言った

「これで全員かしら…」
ブローズは静かに言った

「2人は仕事を遂行中、もう1人は行方不明…」
ロイノスが言った

「クッキャッキャ!アイツなんぞ、ボスのお顔を
見る資格なんぞ、ネーンダヨォ!なぁ新入り」
そういうと、暗闇の中で男が
隣にいる骨だけになった翼を広げる女性の
肩をたたいた。

「…」
女性は無反応だった。

「やれやれ、少しは話したらどうだ。同じ組織に属しているのだから」
全身をマントで多い仮面をつけた者が言った。

「支障が無いんだから良いと思うよ」
ピエロの仮面をつけて浮いている者が言った

「私の能力を使いましたから…」
その瞬間、その場の空気が凍りついた

「ブローズ様の能力は消失…全てを無にする能力でしたね」
マント男が言った

「さすがに、コノ俺様デスラ。恐ロシーゼ!!
心を消されてシマウなんてよー!」

「ブローズは悪くない。私の命令だから仕方が無い…」
広間の置くから男が現れた。

「彼女の能力は、対象者の心すら消せる。
最強の殺人機械を作るには感情は不要だからな。
まぁ、素質が無いと使えないが。」

「哀れな、殺人機械の能力は?」
マント男が聞いた

「彼女は、7年前に捕まえた奴だよ。雰囲気でわかる」
ピエロ男が言った

「よく解ったな。」

「体の所々は、化け物になっているが
顔は変わってない。

「記憶力がいいのねぇ~」
ロイノスが言った

「では、これからの作戦だが…」



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