+詩+64






 小さい頃


 真っ白い紙を見つけては


 鉛筆

 クレヨン

 ペン

 とにかく、描く事ができるものを手にとって

 そこに絵を描いた


 上手いかどうかは聞くな

 ただ、

 その真っ白な世界に

 自分の描きたいモノをそこに描いて

 ただそこに夢とか

 俺自身とか

 風景とか

 とにかく描く

 無心になって


 紙が真っ黒になるまで



 ある日手を怪我した事をきっかけに


 絵を描かなくなった


 別の事をやるようになった


 けれど

 さっきまでペラかったその紙を


 どんどん自分色に染めていく楽しさが


 もう体に染み付いて

 離れなくなっていた


 俺は今、

 たった一本の何の変哲のない鉛筆と

 白い画用紙を手にして、

 あの時のような気持ちに

 何も考えず


 無心になって描こう

 その鉛筆の色は黒ではない

 自分色だ


 まだ、この画用紙にはその自分色が馴染むかな?


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