NO-NAMEの隠れ家

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キンモクセイ

作品レビュー

1stアルバム
『音楽は素晴らしいものだ』
(2002.7.3)

キンモクセイの1stアルバム。『僕の行方』・『二人のアカボシ』・『七色の風』・『さらば』のシングル4曲を収録。この年の末には、紅白出場も果たしました。
哀愁を漂わせるメロディーライン、日本情緒を感じさせる楽曲は、中年以上の層に「懐かしい」という印象を与え、「オフコースっぽい」なんていう評判も飛び出した彼らのサウンド。アルバムを聴いてみると、なるほど確かに、それまで断片的に聴いてきたシングル曲からはなかなか感じ取ることの難しかった日本的な匂いが。古き良き歌謡曲の香りを、J-POPとして上手く仕上げているなぁという印象。ちょっとGSチックな曲もあったり。
演奏もなかなか上手いです。ヴォーカルも良いし。音だけ聴いていると結構良いんですよね、これが。軽やかで、BGM的に聴き流すのに丁度いい感じ。「哀愁」という点では、8曲目に置かれた『僕の行方』。この曲はデビュー曲でもあり、ここではストリングスを絡めたアレンジメントになっているのですが、ここでその哀愁・焦燥感は頂点に達します。以降、ゆっくりと穏やかに滑り降りていくような構成がマル。
ただ、欠点は歌詞に中身がないこと。ちょっとこれがね。アルバムを聴いてみても1曲1曲の個性を際立たせるに至っていない所以かなと。だって、「こんにちは ありがとう さよなら」だもんなぁ(笑)だから、本当、BGMになっちゃうんですよね。それ以上のものじゃない。例えば2曲目『目隠しの街』なんて、サウンドはなかなか良いんだけど、歌詞で損をしている印象。あと、1曲1曲が引っ張りすぎな印象もありましたね。楽曲のサイズ的に。
そんな感じなのですが、ロングヒットとなった彼らの代表曲『二人のアカボシ』は、その曲調、歌詞、ヴォーカル伊藤君の歌声と、全てがアルバムの楽曲群の中でも飛び抜けて良く、まさしく名曲。夜景と昂ぶる感情が鮮やかに想起されます。
また、この『二人のアカボシ』に続くシングルとしてリリースされた『七色の風』も、ナイアガラサウンドを似せた音作りが非常に爽やかで心地良いです。

1.手の鳴る方へ ★★
2.目隠しの街 ★★☆
3.二人のアカボシ ★★★★☆
4.ゆびわ (new recordings) ★★★☆
5.七色の風 ★★★☆
6.しあわせ ★★★
7.追い風マークII ★★★
8.僕の行方 (ストリングスは素晴らしいものだVersion) ★★★☆
9.密室 ★★
10.ぽっかぽか ★★☆
11.少年の頃の想い出 ★★☆
12.さらば ★★★

総合 ★★★

(記:2007.6.4)


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