NO-NAMEの隠れ家

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槇原敬之(1)

作品レビュー

1stアルバム
『君が笑うとき 君の胸が痛まないように』
(1990.10.25)

槇原敬之のデビュー作。アマチュア時代の約60曲の中からのセレクトされています。打ち込みにアマチュアゆえの青臭さが漂いますが、彼らしい良質なメロはデビュー盤にしながら、さすがと思わせてくれます。マッキーらしいメロディーの良さと、若さを感じられる作品。歌詞は、ほぼ全編に渡って情けないです(笑)。


1. ANSWER ★★★

後に2ndシングルとしてカットされます。しっとりとしたミディアムナンバー。
若いヴォーカルが精一杯切なさを歌いあげます。

2. RAIN DANCE MUSIC ★★★

青臭い打ち込みミディアムナンバーなんだけど、その青臭さがいいなぁ。

3. 80km/hの気持ち ★★★☆

あぁ~、いいねぇ、この曲も。実にマッキーらしい、情けない歌。
やっぱりサビのスピーディーなメロとそれに乗る英語詞の魅力がね、この曲の一番のポイントでしょうね。

4. 12月の魔法 ★★★☆

中華風のアレンジメントが印象的な佳作。温かみがありますね。

5. 桜坂 ★★★

やっぱり『桜坂』と言えばマッキー、僕の中では。
サビメロの良さと切実なヴォーカルが響きます。ひら歌部が弱くなかったら名曲だと思うんですけどね、惜しいです。

6. CLOSE TO YOU ★★★

シンセが大活躍する躍動的なナンバー。
やっぱり歌詞は情けない(笑)…と思いきや、一応幸せモードみたいです。おめでとう!!(笑)。

7. NG ★★★

アルバムと同時発売のデビューシングル。もうほんと、涙が出ますね、情けなくて(笑)。
身に覚えがあったり、自分にあてはまるようなことだと尚更。男の情けなさを歌わせたらマッキーの右に出る者はいない。

8. FISH ★★☆

アマチュアっぽいリズムの刻みで、どこかレトロな感じがする曲です。

9. 君を抱いたら ★★

こういう雰囲気の曲も嫌いじゃないんだけど、ちょっと退屈。

10. 北風 ★★★☆

『ANSWER』と両A面でシングルリリース。また、後にリメイク版もシングルでリリースされヒットしますね。『冬がはじまるよ』と並んで、彼の作った冬の名曲。やはりこの曲も、良質なメロディーが素晴らしいです。

総合 ★★★

(改:2008.1.13)










2ndアルバム
『君は誰と幸せなあくびをしますか。』
(1991.9.25)

3rdシングル『どんなときも。』が発売から1ヶ月半後にチャート1位にまで上り詰めるロングヒットで一気にブレイクを果たした後にリリースされた2ndアルバム。
インストで始まるのですが、『どんなときも。』のインストと言っても、ほのかに雰囲気が残っているかなぁ程度で、原曲の面影はあまり感じとることができません。メロディーなんて完全に崩されているというか、拭い去られているかのようですし。まぁ、それもそれでよくて、続く『僕の彼女はウェイトレス』は爽やかなアップテンポのナンバーで、歌詞も明るく、気持ちの良いオープニングです。このまま今作は明るいムードで続いていくのかと思いきや、そこからまったりした落ち着いた雰囲気の楽曲が続いていきます。
お得意の打ち込みパターンの『AFTER GROW』を挟んで、続く『Necessary』。
「どしゃぶりの雨の中~♪」なんていうベタなフレーズは彼らしくないですが、世界観に入り込むとかなり染みます。なかなか彼の作品群の中では貴重なタイプのバラード。
『満月の夜』は、終始まったりとした雰囲気と甘いメロディーがどうにも苦手。スキップします。
続く『EACH OTHER』は、終盤の盛り上がりが感動的で非シングルの傑作の一つでしょう。
このあたりはスロー~ミディアムテンポの曲が連続し、聴き手も眠くなりつつあるのですが、異国風のメロディーとめまぐるしく変わるアレンジメントが特徴的、いきなり歌声から入ってくる『ひまわり』で目が覚めます。異色の楽曲ですね。
流麗に流れていくメロディーが切なげな『CALLIN』は、打ち込みサウンドも前作と比べて洗練された感じで、このタイプも堂に入ってきたことを思わせますが、間奏の展開がやはり退屈な感じで惜しい。
続く『3月の雪』が個人的に今作のベストトラック。パーカッションとキーボードが絡むイントロからして美しいし、伸びやかで若いヴォーカルが卒業をテーマにした切なげな歌詞の魅力も更に引き出しています。コーラスワークも奇麗。
『僕は大丈夫』は、この手のシンガーソングライターなら一度はやりたがるであろうピアノとストリングスと生の歌声で勝負するバラード。しっかし、この人の歌声の吸引力はものすごいですね。
そしてラストにブレイク作で彼の最大のヒットナンバーである『どんなときも。』。やはりこの曲だけ飛びぬけて良いです。浪人時代の自分を元気付けるために作ったという楽曲ですが、普遍性を兼ね備えて幅広い人達の共感を呼んだ歌詞にも、あらためて耳を傾けて、その良さを味わいたいですね。

アルバム全体としてみると、傑作・佳作がある一方で、退屈な印象をもってしまうかも。
ブレイク期の作品ですが、まだまだ過渡期的な印象もあります。

1.どんなときも。[インストゥルメンタル・ヴァージョン] ★★★
2.僕の彼女はウェイトレス ★★★☆
3.AFTER GROW ★★★
4.Necessary ★★★☆
5.満月の夜 ★☆
6.EACH OTHER ★★★★
7.ひまわり ★★★
8.CALLIN ★★☆
9.3月の雪 ★★★★
10.僕は大丈夫 ★★★☆
11.どんなときも。 ★★★★☆

総合 ★★★











3rdアルバム
『君は僕の宝物』
(1992.6.25)

よくもまぁ、これだけ曲の駒が揃ったなと驚きます。次から次に出てくるポップチューンの連発にこちらが圧倒されてしまうほどの充実の完成度を誇る槇原敬之の3作目。
前年の1991年は6月のシングル『どんなときも。』が大ヒット。9月の2ndアルバム『君はだれと幸せなあくびをしますか。』を経て、11月にシングルとしては通算4作目の『冬がはじまるよ』をリリース、こちらも76.2万枚と好セールスを記録します。
年は明けて1992年。5作目のシングル『もう恋なんてしない』をリリースすると、最高位は2位ながら、139万枚を売り上げる大ヒットに成長します。そして続いてリリースされたアルバムが今作。オリジナルアルバムでは最高の126.5万枚を記録することとなりました。

S.Eを経てのスピーディーな『くもりガラスの夏』で幕を開けるこのアルバムは、2作のシングル以外にもレベルが高く聴きやすいナンバーが揃っており、前作のミディアム~バラード連発での退屈さが嘘のような充実ぶり。様々な曲調がバランスよく配置され、どの曲もが個性を持って飽きさせない仕上がりになっています。
アレンジメントも多彩で、これまでに見られなかったところでは、R&Bの『まばたきの間の永遠』といった楽曲にも挑戦。中華風の『雷が鳴る前に』も、もはや手の内といった感じです。かと思えば、高く上って行く観覧車とリンクして昂ぶる自分の気持ちを最小限の音をバックに丁寧に歌った『てっぺんまでもうすぐ』といったバラードも。この曲の間奏では歌詞の舞台である遊園地を思わせるような演奏がまた綺麗です。温もりあるタイトルナンバー『君は僕の宝物』もまた良いですね。
恋愛を中心に日常的な風景を描きながら、大切なことをさらりと気付かせるような彼独特の歌詞も一つの外せない彼らしさとして形づくられてきています。作詞・作曲・編曲とすべてを一定以上のレベルでこなしてしまう槇原敬之のシンガーソングライターとしての資質の高さを感じますね。
そんな恋愛中心の中でも、上京してきた人には特に染みるであろう励ましソング『遠く遠く』は、彼の楽曲中でも高い人気を誇ります。この曲ではレゲエのリズムにも挑戦。同様に郷愁を歌った楽曲で、僕が今作中ベストトラックに挙げたいのは『三人』。こちらは彼自身の経験を描いた実話であり、淡々とした曲展開の中で綴られていくストーリーに切なくなりつつも、思い出の大切さを実感させられます。
J-POPとしてのお手本のような一枚であり、また、槇原敬之というアーティストの作風を確立させた一枚でもあるアルバムです。

1.INTRODUCTION (評価なし)
2.くもりガラスの夏 ★★★
3.もう恋なんてしない ★★★★
4.三人 ★★★★☆
5.まばたきの間の永遠 ★★☆
6.てっぺんまでもうすぐ ★★★
7.雷が鳴る前に ★★★☆
8.涙のクリスマス ★★
9.遠く遠く ★★★
10.冬がはじまるよ ★★★★
11.君は僕の宝物 ★★★☆
12.君は僕の宝物~REPRISE~ ★★★

総合 ★★★★

(記:2007.2.21)










4thアルバム
『SELF PORTRAIT』
(1993.10.31)

1992年はアルバム『君は僕の宝物』の後、10月には1stアルバムに収録されていた楽曲のリメイクである『北風 ~君にとどきますように~』をシングルリリースしました。この曲も順調にヒットし、セールス面でも安定したヒットメーカーという地位をすっかり確保したマッキー。
1993年は4月にまず7thシングル『彼女の恋人』をリリース。それまでのパブリックイメージを覆すクールなナンバーには驚かされましたが、9月にはポップな『No.1』、10月1日にはしっとりとした切なげなミディアムナンバー『ズル休み』と、それぞれ違ったタイプでありながら彼らしさ全開のシングルを発表し、幅の広さを見せ付けました。
そして10月31日に、前作『君は僕の宝物』から1年4ヶ月ぶりの4thアルバムであるこの『SELF POTRAIT』がリリースされました。
ちなみに『雪に願いを』がこの年の11月にシングルカットされています。

1曲1曲の個性というか、個々の楽曲の際立ったキャラクター性でガツーンとくる感じは前作のほうが上かなと思います。
かといって手を抜いて作られているということは全くなく、地味な印象のアルバムですが、相変わらず曲の駒は揃っています。どの曲も丁寧に作ってあるなぁというのは、前作と変わらぬ印象。前作がJ-POPとしてのお手本ならば、今作は作家性の強いアルバムといった趣きですね。
アルバム曲の中では、温もりのある『MILK』がファンへの人気が特に高く、後のベスト盤にも選出されたりしています。
他にも、切ない歌詞がスリリングなアレンジに乗って胸を刺す『Witch hazel』は、松任谷由実の『埠頭を渡る風』に似たような感じで大好きだなぁ。あの夏の君との思い出を細やかに描写することで、今の心情をいっそう切なく描き出すリリックは、全文引用したいほど。「君がふざけて僕を押したひょうしに ころんだ空はこの街にはない」は胸が押しつぶされるような名フレーズ。
『髪を切る日』やシングルの『ズル休み』など、しっとりとした楽曲の印象が強いですが、シングルリリースされたクールな『彼女の恋人』や、テクノからサビではゴスペルへと変化する驚きの『困っちゃうんだよなぁ。』など、新境地の楽曲も。ほのぼのとしたバンドサウンドの『さみしいきもち』も良いです。
1曲目に『君に会いに行く』という、静かなバラードが来ているのが意外でしたが、ブルーズの『猫がふんじゃった』で締められていることでこの構成にもひとつ納得。上手く最初と最後でバランスがとられているなと、一枚通して聴いて感じました。

1.君に会いに行く ★★
2.No.1 ★★★
3.さみしいきもち ★★★☆
4.髪を切る日 ★★☆
5.Witch hazel ★★★★
6.彼女の恋人 [ALBUM VERSION] ★★★
7.SELF PORTRAIT ★★★
8.困っちゃうんだよなぁ。 ★★★
9.MILK ★★★☆
10.ズル休み ★★★
11.雪に願いを ★★★
12.猫がふんじゃった ★★★☆

総合 ★★★☆

(記:2007.2.22)










5thアルバム
『PHARMACY』
(1994.10.25)

前作からほぼ1年ぶりの5作目のアルバム。
冒頭のやや機械色の強いインストは意外でしたが、始まってみれば繰り出される楽曲はマキハラそのもの。爽やかでポップな『HOME WORK』・『DARLING』に、シングルリリースされ、ここでは別バージョンでの収録となっている『2つの願い』も、至って破綻のない槇原ワールド。哀愁漂う『LONESOME COWBOY』や、『TWO MOONS』という楽曲ももはや盤石の出来。こうした安定感や落ち着きが逆に平坦さを感じさせるきらいもなくはないのですが、そこを裏切ってくれるのがシングルリリースされヒットした『SPY』。格好良いイントロから、巧みなストーリーテリングと共に楽曲は展開し、サビで「だけど信じてる 信じてる 君を信じてる~♪」と、昂ぶる気持ちとリンクして跳ね上がるメロディーと軽妙なアレンジメントが印象的。どこか未完成的なイメージもあるのですが、そういった面をも含めて、それがこの楽曲の特長なのかなとも。他にも、ラス前には、前作の『困っちゃうんだよなぁ。』をも上回る打ち込みの衝撃的な『恋はめんどくさい?』というナンバーも。アルバム後半には、『花水木』・『今年の冬』・『東京DAYS』と、ミディアムの良作も揃っています。特に『東京DAYS』は、コンパクトな曲構成で、希望を描いた前向きな歌詞が力強い、これも彼による応援歌の傑作のひとつ。

1.INVITATION (INSTRUMENTAL) (評価なし)
2.HOME WORK ★★★
3.DARLING ★★★
4.2つの願い (VERSION II) ★★★
5.LONESOME COWBOY ★★★☆
6.TWO MOONS ★★☆
7.SPY ★★★
8.花水木 ★★★☆
9.OCTAVERS ★★
10.今年の冬 ★★★☆
11.恋はめんどくさい? ★★☆
12.東京DAYS ★★★☆

総合 ★★★

(記:2007.3.8)










7thアルバム
『UNDERWEAR』
(1996.10.25)

お、いきなりロックフレーバー漂う楽曲からスタートするとは。なかなかいいじゃないですか。「だけど大切な言葉~♪」のくだりは、説教臭いけど僕は好きです。

って、意表を付かれた1曲目でいきなりレビューも先走ってしまいましたが、まずは背景を紹介しておきましょう。
マッキーの7枚目のオリジナルアルバム。同年7月25日にはMAKIHARA名義で全曲英詩のアルバム『Ver 1.0E LOVE LETTER FROM THE DIGITAL COWBOY』が出ています。企画色が強い『Ver 1.0E~』は個人的にはオリジナルアルバムとしてカウントしたくないですが、公式でも6thアルバムとして数えられているので、今作『UNDERWEAR』は7作目となります。
で、1995年にリリースがなかった反動からか、1996年はリリースラッシュに沸いたマッキー、アルバムとしては『Ver 1.0E~』は別として前作『PHARMACY』からぴったり2年ぶりのこの作品でも、クオリティーの高さは相変わらず。商業的にも初登場2位、75.8万枚と健在をアピールしました。
実はこの作品の制作時には引退も考えて、金字塔となる作品を目指したというマッキー。その成果(?)あってか、まさにここまでの彼の作品の集大成でありながら、また別の段階に上ったようなアルバムに仕上がっています。

2曲目の『PENGUIN』が、このアルバムの中でもかなり好きな曲。ファンからの人気もひそかに高いようです。南極で君と僕とペンギン…。悪くないですね(笑)。
『どうしようもない僕に天使が降りてきた』は、シングル曲として知名度はなかなかでしょうか。ストーリー仕立ての歌詞もいいし、どこまでもキャッチーなメロディーもマル。サビで一瞬裏声に転じるのも良いですね。
続く『君の自転車』も盤石感ある仕上がり。こちらも歌詞にストーリー性があり、しかも恋人同士のささいな喧嘩というネタも前曲と同じですが、焦点がまた別のところに当たっています。可愛らしいですね。
『うん』は、バラードナンバー。これは彼の声ならではの味ですね。うん、良い歌です。
アルバムとしての流れの良さもお見事で、前半は特に素晴らしい完成度で進みます。
ちょっと中盤に落ち着きすぎちゃった感があるのが唯一と言ってもいいほどの難点なんですけどね。
コーラスが映える『I need you』、1曲目に続いてロックテイストを取り入れた『revenge』、打ち込みサウンドの中で自らを狼に例えた詞が歌われる『オオカミ少年』、不倫をテーマにした歌詞を美メロで歌い上げる『THE END OF THE WORLD』などなど、歌詞も曲調も様々に羽を伸ばしながらも、彼らしい納得のレベルに仕上げています。
温かみのあるキーボードリフが印象的な『PAIN』を経て、目に映るシーンと心情を重ね合わせながら描き上げた歌詞と、せつない歌声のコントラスト、鮮やかなアレンジメントが憎らしいほどに良く出来ている名曲『LOVE LETTER』から、まだ見ぬ大切な人へ今の僕を伝える応援歌『まだ見ぬ君へ』へ。
明るい曲で気持ちよく終わりますね。
本当に良く出来た楽曲が揃っている一枚。アルバム全体としてのファンからの人気も高いものがあります。
『UNDERWEAR』というタイトルは、うわべの服を取り払った本質の「曲」と「詞」と「うた」で勝負した今作を聴いてほしいという想いからでしょうか。

1. 男はつらいっすねぇ ★★★
2. PENGUIN ★★★★
3. どうしようもない僕に天使が降りてきた ★★★☆
4. 君の自転車 ★★★
5. うん ★★★☆
6. I need you. (ALBUM VERSION) ★★★☆
7. revenge ★★☆
8. オオカミ少年 ★★☆
9. THE END OF THE WORLD ★★★☆
10. PAIN ★★★
11. LOVE LETTER ★★★★☆
12. まだ見ぬ君へ ★★★

総合 ★★★☆

傑作・佳作揃いの好盤。個人的には、7~8曲目でダレを感じるのが惜しかったです。
シングルは1曲ですが、ファンに人気のナンバーも多いです。スルメアルバムかも。
(記:2006.3.19)










ベストアルバム
『"SMILING" ~THE BEST OF NORIYUKI MAKIHARA~』
(1997.5.10)

槇原敬之、初のベストアルバム。この後、レコード会社をソニーに移籍。ワーナー時代までの総決算という意味合いでの区切りのベスト盤です。
この後、この『SMILING』シリーズの第2弾・第3弾や、ソニー時代をまとめたベストアルバム、10周年記念盤など、ベストアルバムを乱発するようになるマッキーですが、この時点では初のベストということで166万枚の売り上げを記録しました。
内容的に見ても、スッキリとした文句のない選曲。英語詞の2作と当時最新の『まだ生きてるよ』を除く全シングル曲に、アルバムからのセレクト3曲を加えた全16曲。
現在では、シングル曲を時系列に網羅した『Completely Recorded』がリリースされていますが、入門編としては手軽で聴きやすいこちらのベストがお勧めです。マッキーの一番良いところが詰まっている一枚。オリジナルアルバムからの楽曲も、無難なところを選んできています。
『北風 ~君に届きますように~』・『彼女の恋人』などは、シングルバージョンがアルバム初収録。

1.No.1 ★★★
2.どんなときも。 ★★★★☆
3.もう恋なんてしない ★★★★
4.2つの願い ★★★
5.NG ★★★
6.MILK ★★★☆
7.冬がはじまるよ ★★★☆
8.北風 ~君にとどきますように~ ★★★★
9.彼女の恋人 ★★★
10.ANSWER ★★★
11.僕の彼女はウェイトレス ★★★☆
12.SPY ★★★
13.ズル休み ★★★
14.どうしようもない僕に天使が降りてきた ★★★☆
15.雪に願いを ★★★
16.遠く遠く ★★★☆

総合 ★★★☆

入門編としては最適な一枚。
(改:2007.3.8)










ベストアルバム
『"SMILING II" ~THE BEST OF NORIYUKI MAKIHARA~』
(1997.9.25)

前作から約4ヵ月でリリースされたベスト第2弾。今回は、非シングルの楽曲の中から、彼の最も得意とするところであるバラード・ミディアムを中心に選曲されています。
曲調をある程度絞っていることで、同じようなタイプの楽曲の連続が退屈さをもたらすのではないかとも思いましたが、実際聴いてみてほとんどダレることはありませんでした。これだけ聞かせてくれるというのは、彼の作る楽曲ひとつひとつの質の高さがなせる業だなと実感。個人的には前作以上に楽しめましたね。
しかし、今作は初心者に薦めるべきものではないなとも思います。入り口としては前作、その後は各オリジナルアルバムを聴くほうが彼の楽曲を幅広く楽しめるはず。今回のベストは、ある程度彼の楽曲を聴き込んだファンが総集編として楽しむ一枚かも。
シングル『雪に願いを』のカップリングだった『Red Nose Reindeer』は、今回がアルバム初収録。

1.北風 (ORIGINAL VERSION) ★★★☆
2.君に会いに行く ★★★
3.EACH OTHER ★★★★
4.花水木 ★★★☆
5.まだ見ぬ君へ ★★★☆
6.てっぺんまでもうすぐ ★★★
7.東京DAYS ★★★☆
8.DAY AND NIGHT ★★★
9.THE END OF THE WORLD ★★★☆
10.Red Nose Reindeer ★★☆
11.Witch Hazel ★★★★
12.LOVE LETTER ★★★★☆
13.今年の冬 ★★★☆
14.君は僕の宝物 ★★★☆

総合 ★★★★

(記:2007.3.8)










18thシングル
『モンタージュ』
(1997.10.29)

1.モンタージュ ★★★☆
2.僕のものになればいいのに ★★

アルバム『Such a Lovely Place』の先行シングル。『モンタージュ』は、「This is マキハラ」と言えるようなキャッチーで癖のないポップナンバー。ちょっと胸をさすような切なさを滲ませたあたりが巧いです。
c/w『僕のものになればいいのに』は暗くてイマイチかなぁ。
(記:2008.6.28)










8thアルバム
『Such a Lovely Place』
(1997.11.27)

1.うたたね ★★★★
2.Fan Club Song ★★★
3.Cleaning Man ★★★
4.モンタージュ ★★★☆
5.手をつないで帰ろ ★★★☆
6.素直 ~Album Version~ ★★★☆
7.情熱 ~Album Version~ ★★★
8.印度式 ★★☆
9.僕のものになればいいのに ★★
10.足音 ★★★★
11.Such a Lovely Place ★★★★☆

総合 ★★★★☆

前作『UNDERWEAR』も良作でしたが、今回はそれを上回る傑作。螺旋階段をまた一回り上ったような、そんな感のある一枚。彼のひとつの到達点といえるかもしれません。1曲1曲に説得力があり、彼のこれまでの経験が滲み出ているような、説得力のある一枚。
ロックナンバーからスタートした前作とはうって変わって、穏やかでうっとりとしてしまう『うたたね』から緩やかにアルバムは幕を開けます。ここから3曲は、これぞマッキーといえるようなポップセンスの溢れる楽曲が連発されます。この心地良さは、どれも円熟の技といった感じ。特に、先行シングルの『モンタージュ』は、いつもの彼のセンを狙ってサクッと作った感もありますが、それでいて水準以上の楽曲を作れるというのが、もう職人の域というべきか。耳馴染みの良いフレーズの中に漂う切なさがとても痛い。大阪弁を使用し、学生時代の恋愛の一風景を描いた『手をつないで帰ろ』も、決してわざとらしくなく、自然な仕上がり。そして、『素直』。メロディーメーカーとして、シンガーソングライターとして原点に立ち返ったような楽曲が、アルバムの中心部に据えられています。この曲のシングルリリースというのも、ひとつの点に達したからこそ出来たことだと個人的には思います。ここでは「Album Version」として収録されていますが、もっとシンプルなシングルバージョンも必聴。
ここから終盤にかけての展開が面白い。クラブサウンドの『情熱』で驚かされるのですが、次の『印度式』が更に凄い。インド風+テクノサウンドで度肝を抜かれます。歌詞も、リスナーを馬鹿にしているんじゃないかというほど、かつてない領域まで足を踏み入れています(笑)。続いてR&Bの『僕のものになればいいのに』。この曲は暗くてあまり好きじゃないのですが、新境地と呼べるナンバーでしょう。ここまでの意外性のある3曲の流れは、前半2~4曲目で見せた円熟の良質ポップスの流れとは対をなすかのような趣。質的にはここで少し落ちるかなという感想もあるんだけど、ここでこの3曲を続けたのは、ラスト2曲を際立たせるためには良い流れだと思います。本当に。構成の面でも、このアルバムは高く評価したいなぁ。
ラス前の『足音』は、彼らしい温かいミディアムナンバー。「消えそうになっていても~♪」からの力強い展開には思わず涙。そして、最後に壮大な『Such a Lovely Place』。ここでまた涙。なんて良い楽曲なのだろう。ここまでの流れを経て最後に迎えたこの曲は、すべてを包み込むような魅力に溢れています。「ここにはちゃんと愛がある」…彼は遂に、「Lovely Place」と呼べる場所を見つけたのではないでしょうか。深みのある作品。
(記:2007.10.21)










19thシングル
『足音』
(1998.1.21)

1.足音 ★★★★

アルバム『Such a Lovely Place』からのシングルカット。温かみの感じられるミディアム・ナンバー。中盤以降のドラマティックな盛り上がりが感動的です。
ところでこのシングル、シングルカットでカップリング曲はなし、バッキングトラックがついただけで816円っていうのはちょっと高いですね。
(記:2008.6.28)










ベストアルバム
『"SMILING III" ~THE BEST OF NORIYUKI MAKIHARA~』
(1998.5.10)

シリーズ第3弾となる今回は、前2作に収録されなかったアルバム楽曲の中からポップなところをセレクト。初期の楽曲はアレンジを変えたNEW VERSIONとして収録されています。また、それらに加えて『SECRET HEAVEN』・『COWBOY』の2シングルを始めとした英語詞の楽曲、更にはワーナー時代の最後のシングルであった『まだ生きてるよ』も収録されています。編集盤的意味合いの強い一枚で、前作以上にファンアイテムと言えるでしょう。これまで彼の楽曲を楽しんできたファンなら、たっぷりと楽しめるベスト盤。前2作は新曲がなかったのに対して、今作は新音源てんこ盛りですからね。
1stアルバムに収録されていた『CLOSE TO YOU』・『DANCING IN THE RAIN』(原題は『RAIN DANCE MUSIC』の2曲は、英語詞でのリメイクで収録。
『80km/hの気持ち』は、オリジナルとは大幅に印象が変わっていますが、こちらも良いですね。その他、オリジナルそのままで収録されている楽曲も、『DARLING』・『雷が鳴る前に』・『PENGUIN』など、良いところを選んできています。『まだ生きてるよ』は、アルバム初収録ですが、シングル盤の打ち込みに対して、今回は外人バンドによる生演奏の「’98 NEW VERSION」となっており、厳密なシングルバージョンはこの時点ではまだアルバム未収録です。(現在ではワーナーから出たシングルコレクション『10.Y.O』のみに収録。)
こういった編集盤でも『恋はめんどくさい』・『困っちゃうんだよなぁ。』というテクノの飛び道具的な楽曲が収録されるのは、彼本人の意向なんでしょうか?(笑)。

1.CLOSE TO YOU (ENGLISH VERSION) ★★★
2.DARLING ★★★
3.くもりガラスの夏 (’98 NEW VERSION) ★★★☆
4.SECRET HEAVEN (SINGLE VERSION) ★★★☆
5.80km/hの気持ち (’98 NEW VERSION) ★★★☆
6.雷が鳴る前に ★★★☆
7.COWBOY (SINGLE VERSION) ★★★
8.恋はめんどくさい? (’98 NEW VERSION) ★★☆
9.LIMIT’S OF LOVE ★★★
10.困っちゃうんだよなぁ。 (’98 NEW VERSION) ★★
11.DANCING IN THE RAIN (ENGLISH VERSION) ★★★
12.HOME WORK ★★★
13.I’M NOT GONNA FALL IN LOVE ★★☆
14.まだ生きてるよ (’98 NEW VERSION) ★★★
15.PENGUIN ★★★★

総合 ★★★☆

(記:2007.3.9)










20thシングル
『HAPPY DANCE』
(1998.7.23)

1.HAPPY DANCE ★★★☆
2.BLIND ★★★

ラテン・アレンジを施したダンス・ナンバー。アルバム『Such a Lovely Place』に収録されているものとは、アレンジと一部の歌詞が異なります。c/w『BLIND』は、安心して聴けるミディアム・ナンバー。
(記:2008.6.29)










21stシングル
『STRIPE!』
(1998.11.26)

1.STRIPE! ★★★☆
2.Merry-go-round ★★★

『STRIPE!』は、アルペンCMソング。彼のレパートリーで季節感漂う曲はいっぱいあるんだけど、ここまでモロに「リゾート・ソング」を意識して作られた楽曲は多分初めてではないでしょうか。イントロからしてとても爽やかで、白銀の世界にピッタリですね。あんまりアウトドア経験はなさそうなマッキーだけど、こういうの書けるんじゃん!(失礼)。
c/w『Merry-go-round』は、オリジナルアルバム未収録ナンバー(あまりセールス的に奮わなかったベストアルバムに収録されたことはあります)。こちらも冬を舞台にした楽曲です。アレンジの雰囲気が『僕は君の宝物』の頃に近いですね。『てっぺんまでもうすぐ』とか、『涙のクリスマス』とか、あのへんに似た雰囲気。
(記:2008.6.28)










22ndシングル
『Hungry Spider』
(1999.6.2)

1.Hungry Spider ★★★★
2.この傘をたためば ★★★
3.Hungry Spider ~English Version~ ★★★★

事件前ラストシングル。異国風のアレンジと狂ったような音階の動きがポイント高いポップナンバー。聴き手を引き付ける歌詞の展開も見事。槇原自らが曲に合わせて紙芝居をめくるPV含めて、とても印象的な楽曲でした。
(記:2008.6.28)










9thアルバム
『Cicada』
(1999.7.7)

前作から1年8ヶ月ぶりの9thアルバム。『HAPPY DANCE』・『STRIPE!』・『Hugry Spider』のシングル3作を含む全12曲。
前作『Such a Lovely Place』という到達点を迎え、次なる彼の一手は…と、非常に期待された一枚は、なるほど…、こうきましたか!
ワールドミュージックの要素を多分に取り入れ、更にデジタル色とも融合、これまでとはまた違ったサウンドを、しかも高い完成度で聴かせてくれています。「日本の夏」をテーマにした作品とのことですが、そんなテーマを、こうしたトラックの上で演じてしまうというのが凄いですね。
1曲目のイントロダクションからそのまま繋がっていく『pool』、ドラマ主題歌として久々の大きなヒットとなったシングル『Hungry Spider』、ラテンの『HAPPY DANCE』と、異国風の楽曲が序盤から連続、『Star Ferry』はお馴染みの中華風アレンジを施したミディアムナンバー。HIP-HOPの『青春』を挟み、爽やかなリゾートソング『STRIPE!』も良い出来。その後の楽曲は、お遊び的な近未来ロックの『The Future Attraction』なんてのがあるものの、彼らしい穏やかなナンバーが続きます。このへんも出来は流石ですが、まぁ、いつも通りの楽曲ということで特別な目新しさはなく、飛ばしまくった前半に比べると、かなり落ち着いた雰囲気に変わりますね。
それでも、総合的に見て、彼の新たな境地を開いてくれたということで、面白い一枚でした。今後の更なる新作にも期待をさせるような内容のアルバムだったのですが、この後、8月に、槇原敬之は覚せい剤取締法違反で逮捕。執行猶予付きの有罪判決を受けることに。残念でなりません。

1.~introduction for Cicada~ (評価なし)
2.pool ★★★☆
3.Hugry Spider ★★★★
4.HAPPY DANCE ~Album Version~ ★★★☆
5.Star Ferry ★★★
6.青春 ★★★
7.STRIPE! ★★★☆
8.この傘をたためば ★★★
9.The Future Attraction ★★☆
10.BLIND ★★★
11.Name Of Love ★★★☆
12.Cicada ★★★

総合 ★★★☆

(記:2007.11.7)










36thシングル
『GREEN DAYS』
(2007.8.15)

1.GREEN DAYS ★★★★
2.どんなときも。’07 ★★★

前作『ほんの少しだけ』以来、約1年半ぶりの新曲。エイベックス移籍後の第1弾シングルでもあります。
表題曲『GREEN DAYS』は、早い時点からCS系ドラマ『牛に願いを Love&Farm』主題歌として、また、トヨタ・ラクティスのCMソングとしてもON AIRされていたので、耳馴染みのある人も多そうですね。オリコン初登場3位を記録。これは、『SPY』以来実に13年ぶりのこと。久々に、歌い手としての、アーティストとしての槇原敬之というのを世間にアピール出来たのではないでしょうか。
「青春」をキーワードに作られたこの曲、実に懐かしい感じがします。昔のマッキーらしさが感じられますね。澄んだ声で歌われる歌詞もとてもストレートで良いですね。
色々あったけど、ニュートラルな位置で生み出された楽曲ではないでしょうか。「これぞ槇原敬之」っていう感じ。この曲が気に入らないファンはいないんじゃないかなぁ。素直に良い曲。
c/wには、『どんなときも。』のニューバージョンを収録。こうして自身の昔の楽曲に正面から向き合えるっていうのも、すごくアーティストとして充実していて、なおかつ自然体で居られていることの証左なんじゃないかな。
(記:2007.10.6)










37thシングル
『赤いマフラー/お元気で!』
(2007.12.12)

1.赤いマフラー ★★
2.お元気で! ★★★

この年末には『GREEN DAYS』で16年ぶりの紅白出場を果たしたマッキー。どうでもいいけど、松本零士先生との裁判はどうなったんでしょうか。
今作は、アルバム『悲しみなんて何の役にも立たないと思っていた。』からのシングルカットである『赤いマフラー』と、新曲『お元気で!』の両A面シングル。
さて、『赤いマフラー』。マッキーと銀座。合うんだか合わないんだか(笑)。雰囲気で聴かせる…っていう曲に結局なっちゃってるのは、メロディーの弱さが問題なんだと思うなぁ~。彼らしい一流のメロディーは、この曲では聴けません。もっともっと良い曲に仕上がるはずだと思うんだけど…。なんか納得いかない1曲。アルバムはまだ聴いてないんだけど、カットするのがこの曲って判断は正解なんでしょうか!?。
『お元気で!』のほうは、『モンタージュ』とか、あの辺りの彼を髣髴とさせるポップス。ただ、今作で聴こえる裏声よりも、普通に高音を聴かせてくれるほうが好きだなぁ。『誰かを心から~』のメロディーは、往年の『AFTER GROW』に似ている気がします。よくそんな昔の曲を自分も覚えていたもんですが(笑)。
(記:2008.2.29)










38thシングル
『Firefly ~僕は生きていく』
(2008.2.6)

1. Firefly ~僕は生きていく ★★☆
2.もう恋なんてしない’08 ★★☆

さて。この曲なんだけど。な~んか、説明文っぽくて難解なイメージを与えてしまっている印象。あんまり好きじゃないなぁ…。
c/wも、これが彼の「今の音」だと言われればそうかなぁとも思うけど、あんまりグッとくるものがないです。
今作は、個人的にはいまひとつ。
(記:2008.6.25)










39thシングル
『WE LOVE YOU.』
(2008.7.23)

1.WE LOVE YOU. ★★★☆
2.Orange Colored Sky ★★★

ここ数作の彼のシングルの中では、かなり好印象だった1曲。安定感とテンポ感のあるマッキー節。いい感じです。
c/w『Orange Colored Sky』は、めずらしく尖った感じの音。サビの「ものに溢れた~♪」が英語に聴こえます。サウンドを楽しみたい1曲。
(記:2009.3.16)


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