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Mr.Children(2)
作品レビュー…の続き
7thアルバム
『DISCOVERY』
(1999.2.3)
1997年3月より活動を休止していた彼ら。1998年2月に、11ヶ月ぶりとなる14thシングル『ニシエヒガシエ』がリリースされるのですが、これは活動休止前にレコーディングをしたもの。テレビやラジオへの出演はおろか、PVにさえメンバーは登場しておらず、まだまだMr.Childrenはリハビリ中という印象でした。
そんな彼らが本格的に活動を再開したのは、この年の10月。15thシングル『終わりなき旅』をリリース。王道のサウンドを聴かせ、ファンを安心させました。
1999年になって1月には16thシングル『光の射す方へ』をリリース。そして2月、ついに活動再開後初・前作『BOLERO』から1年11ヶ月ぶりの7thアルバム『DISCOVERY』がリリースされました。
途中、『Simple』や『ラララ』といった楽曲が小休止にはなっていますが、全体としては重く濃い流れで進む作品。まだ「深海」から抜け切れていないというか、悩んで迷った末、『Simple』で「探してたのはこんなシンプルなもんだったんだ」と歌われているように、活動休止を経たミスチルがひとつの答えを見つけた、しかし、それはまだ最終地点ではない、「発見=DISCOVERY」の旅は、まだまだ続いていく……そういったことが滲み出た作品だと思いますね。『終わりなき旅』が、まさにそうした精神性を描ききっているのではないでしょうか。
シングルの『光の射す方へ』をはじめ、『アンダーシャツ』や『#2601』など、あっと驚くような楽曲も登場してくるのは、活動休止でのリフレッシュ効果に因るところもあるでしょう。
1.DISCOVERY
★★★
オープニングは、エレキのフレーズが印象的なワイルドなロックナンバー。次第に濃厚になっていく演奏は、アルバムの幕開けとして最適役。この曲はメロディーどうこうよりも、このサウンドを味わいましょう。
2.光の射す方へ
★★★
従来の彼ららしい楽曲がくるのではというリスナーの予想を裏切って、2曲目に据えられたのは、直前にリリースされた16thシングル。
『ニシエヒガシエ』と同様、デジタル色の強い楽曲です。葛藤をそのまま表現したようなBメロのシャウトから激ポップなサビに雪崩れ込むという、ひねくれた構成も挑戦的。そのサウンドといい、約7分という演奏時間といい、よくこれをシングルで出したなぁと思わせます。ライブでは定番曲。
3.Prism
★★★
シングル『終わりなき旅』のc/wとして、既に発表済みであったナンバー。
歌い方もサウンドも歌詞も、すべて暗い。悲痛が伝わってくるかのよう。この曲を、復活第1弾シングルに…という案もあったようですが、さすがにそれでは暗すぎるということでc/wで収録ということになったそうです。メロディーそのものは彼ららしく分かりやすいんですけどね。
4.アンダーシャツ
★★
新境地。ファンクです。間奏の展開は聴き所。
社会風刺的な歌詞に関しては、『深海』~『BOLERO』の流れを汲んでいます。
5.ニシエヒガシエ
★★★☆
活動休止中の1998年2月にリリースされた14thシングル。フジテレビ系ドラマ『きらきらひかる』主題歌。
退廃的なデジロックで、彼らの王道路線とは幾分異なる楽曲をシングルリリース。歌詞も風刺的というか、病んでいるというか…、復活にはまだ程遠いなという印象を当時は得たものでした。しかし、サビのキャッチーさは流石ですね。現在では『光の射す方へ』と同様、ライブの定番曲として親しまれています。
PVには、メンバー本人の姿は映っておらず、代わりにThe Beatlesのパロディバンドが演奏する映像が使われています。このPVがまた印象的でしたね!売上は66万枚と低迷。
6.Simple
★★★☆
アルバムのここまでの流れは、非常に濃厚で重いものでしたが、そんなイメージを一気に変える曲が登場。初期を思わせるような穏やかな曲調のナンバー。温かみがありますね。
「ザーザーぶりの雨を~♪」というCメロがまた素晴らしい!心が洗われるようです。
7.I'll be
★★★☆
演奏時間9分超という大作。桜井さんのヴォーカルが聴かせてくれます。詩世界も見事。
好き嫌いはモロに出る曲かもしれないですね。後に今作とは正反対のアップテンポなアレンジを施した『I'LL BE』が17thシングルとしてリリースされます。
8.#2601
★★★
ミスチル史上最高にハードなナンバーが登場。叫んでます。叫んでます(笑)。どうしちゃったんだろうって驚きますが、まぁ、吹っ切れたということでしょう。
歌詞はJenのプライペートを歌ったものだとか(笑)。
9.ラララ
★★★
『Simple』と同様に、ほっと一息つけるような穏やかなナンバー。アコースティック基調で、徐々にアレンジが厚みを増していきます。日常からささやかな幸せを見つけ出すという歌詞のテーマも良いなぁ。
10.終わりなき旅
★★★★
復活作となった14thシングル。力強いロックバラード。重厚で温かみのあるオケが「ミスチルが帰って来た」ことを印象付けますね。転調を繰り返し、大迫力のブリッジを経てのサビのリフレインはカタルシス満点。歌詞も前向きで励まされます。完成度の高い1作。
11.Image
★★★☆
サビは一度だけ。シンプルな序盤から、壮大に展開する様は、フィナーレに相応しいことこの上なし。いやぁ~、聴かせてくれますね。
総合 ★★★☆
(記:2007.12.1)
8thアルバム(ライブアルバム)
『1/42』
(1999.9.8)
9thアルバム
『Q』
(2000.9.27)
1999年2月の7thアルバム『DISCOVERY』の後、5月に17thシングル『I’LL BE』、9月には8thアルバムとして初のライブ盤『1/42』を50万枚限定でリリースした彼ら。
2000年1月には、18thシングル『口笛』をリリース。8月には19thシングル『NOT FOUND』をリリース。そして9月、オリジナルとしては8作目、ライブ盤を含めて通算9枚目となる新作『Q』が届けられました。
セールスの面では89万枚と、絶頂期の彼らから考えればだいぶ数字を落としています。週間チャートでも、同日発売の浜崎あゆみ『Duty』に100万枚以上の大差をつけられ、初登場2位に終わっています。彼らにとって、『Atomic Heart』以降、1位にならなかった作品は現在でもこのアルバムだけ。年間アルバムチャートでも23位と、もうひとつ。その後、人気も盛り返した現在の彼らがあるわけですが、セールス的には低迷期の作品なんですね、今作は。
ただ、中身のほうは、そんな売上面の低迷とは反比例するかのような出来。とにかく今作は、その開放的な作風が印象的です。発売当初は「問題作」と言われたのも納得。サウンドにしても、歌詞にしても、それからヴォーカルにしても、それまでに無かったようなタイプの楽曲の目白押し。何かが吹っ切れたことがわかります。自由なセッションによって生み出された楽曲、更には、ダーツの合計得点でテンポを決めたという楽曲まであるのだから(笑)。
こうしたリラックスした曲作りのスタイルは、これまででは出来なかったことでしょう。前作『DISCOVERY』でもまだ抜け切れていなかった精神的な鬱の要素が、ここで完全に漂白されたってことじゃないかな。
どことなく地味な印象もあったり、「マニアックでファン向け」といった評価もあるアルバム、確かにそうなんだけど、聴き込めるスルメ作としてオススメしたい作品。このアルバムをスルーしちゃうのは勿体無いかも。この佇まいは、一聴の価値あり。
1.CENTER OF UNIVERSE
★★★☆
ダーツの得点でテンポを決めたという(!)オープニングナンバー。ゆったりと始まったかと思いきや、サビで急激にテンポアップ。遊んでますね。
歌詞の面でも、言葉遊びにも磨きがかかり、ラストは「僕こそが中心です」・「あぁ世界は素晴らしい」と、完全にこれまでからは吹っ切れたことを思わせます。
開放的な今作の作風を象徴する1曲。
2.その向こうへ行こう
★★☆
作曲名義は「Mr.Children」。今までにまったく無かったタイプの楽曲ですね。全体を通してみれば落ち着いた雰囲気。ゴージャスなインド風味に転じるサビが特徴的。最後のサビの繰り返しは削って、すっきり終わらせても良かったかなと、個人的には思います。
3.NOT FOUND
★★★☆
19thシングル。フジテレビ系ドラマ『バスストップ』主題歌。当時の桜井さん曰く、「最高傑作」との今曲は、12/8拍子のロックバラード。ひとかたまりとなって激しくぶつかってくるようなサウンドは見事。感情を全面に押し出したヴォーカルも、桜井さんならでは。
4.スロースターター
★★★
シンプルなロックナンバー。これがまたシブくて格好良い。モロにストーンズを意識していると言って良いでしょう。
5.Surrender
★★★
17thシングル『I’LL BE』のc/w。この曲の焦燥感のあるヴォーカルもまた特徴的。アコースティックで、「小品」と呼んでも良いくらいの楽曲ではあるんですが、にもかかわらず強烈に漂う重苦しい雰囲気はファン必聴。「暗闇を~♪」のCメロがすごく良いですね。
それにしても、アルバムのここまでの流れ、渋い!!
6.つよがり
★★★★
十八番。ピアノ・ストリングスを主体とした伴奏のバラードナンバー。メロディーの美しさは、今更言及するまでもないですが、素晴らしいですね。
でも、こういった楽曲も久しぶりだよなぁ。『深海』~『DISCOVERY』を経た今だからこそ生み出された楽曲のひとつと言えるかもしれませんね。
7.十二月のセントラスパークブルース
★★★
ここから後半に向けて、前半の渋さが嘘のようなはっちゃけた展開を見せます(笑)。
『スロースターター』に続いて、また出ました、ストーンズな今曲。ミック・ジャガーを意識したと思われるヴォーカルのテンションの高さといったら。滞在中のニューヨークでの出来事を歌ったナンバー。小林武史の演奏するピアノがこの曲の楽しさをアップさせています。
8.友とコーヒーと嘘と胃袋
★★★
おふざけソングが続きます。どうしてもヴォーカルと歌詞に耳が行きがちですが、打ち込み色の出たオケそのものもなかなか良い。
そして、これを語らずにこの曲のコメントを終えるわけにはいかないのが、中盤の桜井さんの語り(笑)…前にも『Everything (It’s you)』で触れましたが、落研出身の桜井和寿の力が見事に発揮されています。収録前に酒を飲んで、ほろ酔い気分でレコーディングしたんだとか。
9.ロードムービー
★★★★
イントロの第1音を聴いただけで嬉しくなっちゃうような楽曲。個人的にはこれが今作のベストトラックです。この曲がお気に入りだというファンは、かなり多いんじゃないかな?
『君がいた夏』・『虹の彼方へ』・『星になれたら』あたりの初期Mr.Childrenを彷彿とさせる(もちろん、中身は全然違うんだけど)、キャッチーな爽やかポップスといった印象の楽曲。
軽い聴き心地で、どことなく大陸風で、良いですね。アルバムの、この流れの中でこの曲が出てくるというのがまた良い。
そして、歌詞がまたね、情景描写を中心としているのですが、本当に良い。「スカートの裾を濡らしはしゃいでたあのビーチハウス」・「ファミレスの裏の野良犬が見てたキス」…、さらっと出てきているようですが、良いフレーズが続きます。
10.Everything is made from a dream
★★★
この曲も作曲名義は「Mr.Children」。タイトル通り、夢をテーマにしており、この曲も間奏ではセリフが挿入されています。これはメンバーと女性の声をごちゃまぜにしたもの。
サウンドは掴みどころがない感じだなぁ。マーチ風でポップですね。
11.口笛
★★★★
18thシングル。この曲が、Mr.Childrenの完全復活を印象付けました。
初期の彼らのポップ性・優しく穏やかなメロディーと、これまでのキャリアで熟成されたバンドサウンドが、高い水準で融合した名曲。リハビリ期間を終えて、ついにこういった楽曲が生み出された、嬉しいじゃないですか!
もちろん、その一方で、『NOT FOUND』でも歌われたように、長い自分探しは続いていくのだろうけど。決して病んでいない、復活したMr.Childrenの姿が、このピュアなラブソングに映っています。
ちなみに、この曲がMr.Children最後の8cmシングル。
12.Hallelujah
★★★
いかにもラストといったような、壮大に展開するバラード。終盤の「ハレルヤ」の連呼は感動的。後にベストアルバムにも収録されています。
ということで、今作『Q』も幕を閉じ…、あれっ、まだ終わってなかった(笑)。
13.安らげる場所
★★★
最後にこういった楽曲がくるのは、『KIND OF LOVE』の『いつの日にか二人で』を思わせます。いろんなところで、この曲の収録が蛇足かどうかについて議論があるけど、僕はこれもこれで良いじゃんって思います。確かにこれはプライベートな内容の楽曲で、『Hallelujah』で終わるのが普通なんですけどね。でも、はっきり言えば、今作は「なんでもあり」ですから(笑)。
総合 ★★★★
(記:2007.10.28)
ベストアルバム
『BEST Mr.Children 1992-1995』
(2001.7.11)
ベストアルバム
『BEST Mr.Children 1996-2000』
(2001.7.11)
10thアルバム
『It's a wonderful world』
(2002.5.10)
11thアルバム
『シフクノオト』
(2004.4.7)
12thアルバム
『I ♥ U』
(2005.9.21)
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