AEROSMITHのデビュー作。地元ボストンにてわずか2週間でレコーディングされたとか。 一発録りに近い荒々しさがありますが、それがまた魅力になっているのも事実。良い音出してますよ。楽曲は、どれも甲乙つけがたい感じですが、『DREAM ON』と『MAMA KIN』だけは抜きんでていますね。『DREAM ON』は、もはやスタンダードですが、このアルバムに並べられた楽曲達とはやはり違う範疇にあるかなという印象。完成されていますよね。悲痛なスティーブンのヴォーカルが胸に迫ります。『MAMA KIN』は、こちらも彼らのライブ・レパートリーにおいてなくてはならない曲。聴いただけで体が動き出してしまうようなリフは見事です。 後は、これぞ1stアルバムの1曲目だといった感じのストレートなロックチューン『MAKE IT』も好き。『MOUVIN’ OUT』では、ギターパートと絡みつくようなスティーブンのヴォーカルがエロくてよろし。『ONE WAY STREET』は、約7分に及ぶ演奏がライブバンド・エアロの萌芽といった感じですね。『WALKIN' THE DOG』は、Rufus Thomasのカバー。
1.MAKE IT
★★★ 2.SOMEBODY
★★★ 3.DREAM ON
★★★★ 4.ONE WAY STREET
★★★ 5.MAMA KIN
★★★★ 6.WRITE ME A LETTER
★★★ 7.MOVIN' OUT
★★ 8.WALKIN' THE DOG
★★☆
総合 ★★★
(記:2007.4.30)
2ndアルバム 『GET YOUR WINGS [飛べ!エアロスミス]』 (1974.3)
1年2ヶ月ぶりの2nd。このアルバムより、名プロデューサーのジャック・ダグラスが参加しています。 冒頭の『SAME OLD SONG AND DANCE』(邦題『エアロスミス離陸のテーマ』)が印象的。嫌でも頭に残るようなリフ。リフの分かりやすさってのは、AEROSMITHの楽曲でずっと共通したテーマとして掲げられていると思うのですが、そんな彼らの初期の代表作。 こちらもリフが熱い『S.O.S. (TOO BAD)』、そしてサイケデリックなミディアムバラード『SEASONS OF WITHER』も良い。また忘れてはならないのが『TRAIN KEPT A ROLLIN’』。彼らのライブステージの、特にアンコールでしばしば演奏される曲として外せない1曲。1950年にタイニー・ブラッドショウが発表したこの曲は、その後1965年にThe Yardbirdsがカバー。エアロ版は、このThe Yardbirds版を基にして演奏されています。 以上のように、なかなか見逃せない楽曲も多いのですが、ただ僕としては、聴いていてもちっとも面白くない曲がいくつか入っているのも事実。AEROSMITHのアルバムって、これは現在に至るまでずっとそうなんだけど、自分的に気に入る曲とそうでない曲の差が激しい。期待にそぐわない曲も必ず入ってるっていうね(笑)。好きな曲だけ取り出して聴くのが、自分にとってのAEROSMITHの一番の楽しみ方です。
1.SAME OLD SONG AND DANCE
★★★ 2.LORD OF THE THIGHS
★★☆ 3.SPACED
★★ 4.WOMAN OF THE WORLD
★★ 5.S.O.S. (TOO BAD)
★★★ 6.TRAIN KEPT A ROLLIN’
★★★ 7.SEASONS OF WITHER
★★★ 8.PANDORA’S BOX
★★
総合 ★★
(記:2007.5.6)
3rdアルバム 『TOYS IN THE ATTIC [闇夜のヘヴィロック]』 (1975.4)
彼らの出世作。ロングセラーとなりました。サウンドからは、ハードな側面が押し出されてきたのが感じ取れます。 収録曲には、代表曲の一つである『WALK THIS WAY』(邦題『お説教』…誰がこんなタイトルを考え付いたんだ。)を始め、『TOYS IN THE ATTIC』・『SWEET EMOTION』・『BIG TEN INCH RECORD』等、現在でもライブで演奏されるナンバーがズラリ。捨て曲も少ないので個人的にも結構イイ感じで聴ける一枚です。 『WALK THIS WAY』は、ファンキーなギターリフと矢継ぎ早にラップ調で畳み掛けるスティーブンのヴォーカル、そしてサビでの甲高いシャウト。これが繰り返されるだけなのに、物凄く格好いいですからね。これまた彼らの代表曲である『SWEET EMOTION』も、ジョーの不良気味なギターと同じメロディーが繰り返され、とても耳に残ります。終盤に暴れ出す演奏が格好良くて好き。 難点を挙げるとすれば、上記のこのアルバムの中心的な楽曲は、現在では、ほぼ全てベスト等に収録されてしまっていることか。あと、個人的にはラストの『YOU SEE ME CRYING』がイマイチ。なんか引っ張りすぎててダルイ。 そんな面もあるのですが、ルーズな『UNCLE SALTY』、ポップな中に一瞬だけ哀愁のメロディーが顔を出す『NO MORE NO MORE』、ゴリゴリに重い『ROUND AND ROUND』等、ベストアルバム(『GEMS』等の企画盤は除く)に収録されていない聴き所も揃っています。なかなか良いんじゃないでしょうか。最後まで飽きずに聴けるし、バラエティ豊かなアルバムです。
1.TOYS IN THE ATTIC
★★★ 2.UNCLE SALTY
★★★ 3.ADAM’S APPLE
★★★ 4.WALK THIS WAY
★★★★ 5.BIG TEN INCH RECORD
★★★☆ 6.SWEET EMOTION
★★★☆ 7.NO MORE NO MORE
★★★ 8.ROUND AND ROUND
★★★ 9.YOU SEE ME CRYING
★★
総合 ★★★☆
(記:2007.5.10)
4thアルバム 『ROCKS』 (1976.5)
AEROSMITHの第1次黄金期を築いたアルバム。発売と同時に大ヒット。彼らは遂に絶頂期を迎えることになります。 アルバム自体の完成度も、粒揃いといった印象で、ファンからの評価も高く、最高傑作としての人気を第2次黄金期の『GET A GRIP』と二分します。 そんな世間の評価と相反して、個人的にはそこまで好きなアルバムというわけでもないんですけどね。中盤以降の流れがイマイチ好きになれなくて。ただそれでも、スティーブンの発狂したかのようなシャウトパフォーマンスが冴え渡る『BACK IN THE SADDLE』で幕を開け、ねちっこいリズムの『LAST CHILD』、疾走する泥臭いHR『RATS IN THE CELLAR』と続く冒頭3曲の格好良さには惚れます。前作よりもハードな質感で統一されたような印象のアルバムですね。 頂点に達した彼らですが、黄金期は長くは続きませんでした。この後、彼らはドラッグ中毒による堕落、メンバーの脱退・入れ替え、そしてオリジナルメンバーでの復帰と、壮絶なストーリーを歩んでいくことになります。
1.BACK IN THE SADDLE
★★★☆ 2.LAST CHILD
★★★ 3.RATS IN THE CELLAR
★★★ 4.COMBINATION
★★★ 5.SICK AS A DOG
★★☆ 6.NOBODY’S FAULT
★★ 7.GET THE LEAD OUT
★★ 8.LICK AND A PROMISE
★★★ 9.HOME TONIGHT
★★★
総合 ★★★
(記:2007.5.10)
5thアルバム 『DRAW THE LINE』 (1977.11)
『ROCKS』で頂点を極めた彼らですが、このアルバムの頃からメンバーは既にドラッグに溺れていたようです。 アルバム自体は引き続き70年代のエアロ節が健在といった感じで、トップに置かれたタイトルナンバー『DRAW THE LINE』は、リフのインパクトで引っ張る彼ららしいナンバー。続く『I WANNA KNOW WHY』もノリが良し。中盤5曲目の『BRIGHT LIGHT FRIGHT』は、ジョーがリードヴォーカルを努めるナンバーでスパイス的存在になっています。しかし、このアルバムから1曲挙げるとすれば、個人的には『KINGS AND QUEENS』で決まり。一種、アルバムでは浮いているように思える様式美HRで、ゆったりとしたテンポで演奏され、中盤以降の壮大で耽美な展開には引き込まれてしまいます。実はジョー抜きで録音されたというこの楽曲。サウンドはドラッグの影響も少なからずあるのかなぁなんて深読みしたくもなるのですが、ともかく傑作。この曲でもうお腹いっぱいになって、終盤の3曲はなんかあんまり印象に残らないな(笑)。『MILK COW BLUES』は、K.Arnoldの1934年の楽曲が原曲。
1.DRAW THE LINE
★★★ 2.I WANNA KNOW WHY
★★★ 3.CRITICAL MASS
★★☆ 4.GET IT UP
★★ 5.BRIGHT LIGHT FRIGHT
★★☆ 6.KINGS AND QUEENS
★★★★ 7.THE HAND THAT FEEDS
★★★ 8.SIGHT FOR SORE EYES
★★☆ 9.MILK COW BLUES
★★☆
総合 ★★☆
(記:2007.5.11)
ライブアルバム 『LIVE! BOOTLEG』 (1978.11)
6thアルバム 『NIGHT IN THE RUTS』 (1979.11)
プロデューサーは、ジャッグ・ダグラスからゲイリー・ライオンズに交代。しかし、ドラッグ禍は一層酷く、また、メンバー間の確執も激しいものとなり、レコーディング作業は鈍行に。製作途中には、ついにギタリストのジョー・ペリーが脱退。スティーブン・タイラーの幼馴染のリッチー・スパ、後に正式メンバーとなるジミー・クレスポらの協力を得て、どうにか作り上げた作品。そんなバンドの苦しい状況とは裏腹に、セールスは今作も順調な伸びを記録したのが皮肉というか、なんというか。灰色のジャケットも、この頃の彼らの壊滅的な状況を象徴しているようです。 アルバムの内容自体も、悪くはないですが、決して良くもない。地味な印象です。 トップに据えられた『NO SURPRISE』なんかは、彼ららしいご機嫌なギターリフが聴けるナンバーですが、全体的には渋い感じのアルバムですね。そんな中でも、スティーブンの泣きのヴォーカルが映える『REMEMBER (WALKING IN THE SAND)』は聴き所。スティーブン自身がお気に入りだったというガールズ・グループ The-Shangli-Lasのカバーという意表を付く選曲で、賛否両論あるでしょうが、これは個人的には好きな部類だなぁ。これをあたかもAEROSMITHの持ち歌のようにベスト盤に収録したりするのは嫌だけどさ(笑)。 『REEFER HEAD WOMAN』も、1945年のブルーズのカバー作品。これがまた良いんですねぇ、うん。AEROSMITHの根底って、やっぱブルーズなんですよね。 前作『DRAW THE LINE』から2年をかけて作り上げられたこのアルバムですが、次回作『ROCK IN THE HARD PLACE』までは、更に3年近い年月がかかることになります。
1.NO SURPRISE
★★☆ 2.CHIQUITA
★★★ 3.REMEMBER (WALKING IN THE SAND)
★★★ 4.CHEESE CAKE
★★☆ 5.THREE MILE SMILE
★★☆ 6.REEFER HEAD WOMAN
★★★ 7.BONE TO BONE (CONEY ISLAND WHITE FISH BOY)
★★ 8.THINK ABOUT IT
★★☆ 9.MIA
★★
総合 ★★☆
(記:2007.5.14)
ベストアルバム 『AEROSMITH'S GREATEST HITS』 (1980.10)
『NIGHT IN THE RUTS』の途中で脱退したジョー・ペリーに代わり、ジミー・クレスポを正式メンバーに迎え、ツアーへと出たAEROSMITH。しかし、ドラッグ依存からツアー日程は円滑に運ばれることなく、スティーブンのバイク事故なども重なり、バンドの活動は滞ることに。そういった中で穴埋めの意味もありリリースされたベストアルバム。 これまでの6枚のアルバム全てからバランス良く美味しい所どりをした選曲で、70年代のAEROSMITHを知るにはもってこいのベスト盤になっていると思います。『MAMA KIN』が入っていないのは残念ですが、10曲という手軽に聴けるヴォリュームにまとめられているのも良いところ。 『COME TOGETHER』は、『LIVE!BOOTLEG』でも演奏されていたThe Beatlesのカバーで、今回はスタジオ録音版が収められています。また、『SAME OLD SONG AND DANCE』・『SWEET EMOTION』・『WALK THIS WAY』・『KINGS AND QUEENS』の4曲はシングル・ヴァージョンにて収録されています。
1.DREAM ON
★★★★ 2.SAME OLD SONG AND DANCE
★★★ 3.SWEET EMOTION
★★★☆ 4.WALK THIS WAY
★★★★ 5.LAST CHILD
★★★ 6.BACK IN THE SADDLE
★★★☆ 7.DRAW THE LINE
★★★☆ 8.KINGS AND QUEENS
★★★★ 9.COME TOGETHER
★★★ 10.REMEMBER (WALKING IN THE SAND)
★★★
総合 ★★★☆
(記:2007.5.15)
7thアルバム 『ROCK IN A HARD PLACE [美獣乱舞]』 (1982.8)
ジョーに続き、今度はブラッド・ウィットフォードまでも脱退。後任にはリック・デュフェイを迎えました。ジャック・ダグラス、スティーブン・タイラー、トニー・ボンジョヴィ(ジョン・ボンジョヴィの叔父さんにあたる)の3人による共同プロデュースで作られたアルバムが今作です。多くの楽曲が、スティーブンとジミー・クレスポによる共作で書かれています。 ジョーとブラッドの両輪を失ったAEROSMITH。聴いてみると…、曲自体は悪いわけじゃないんだけど、う~ん、確かに何か違う。不思議な空気感に包まれたアルバムになっていますね。ジョーとブラッドという二人のギタリストが、AEROSMITHサウンドを形づくる上で大きな力を果たしていたことが分かりますね。 ただ、本当に曲自体はなかなか良いんですよ。リッチー・スパによって書かれた『LIGHTNING STRIKES』は格好いいし、『PRELUDE TO JOANIE』での導入部を経て、アコースティックに演奏される前半部分からラウドな後半部分へと変化する二部構成の『JOANIE’S BUTTERFLY』は印象的。『CRY ME A RIVER』はJulie Londonのカバー。渋すぎますが、個人的にはこういった曲をプレイするAEROSMITHは大好きです。これまでには全くなかった雰囲気のラストナンバー『PUSH COMES TO SHOVE』もいい。 オリジナルメンバーで復活した後のライブでは、このアルバムからは『LIGHTNING STRIKES』くらいしか演奏されていません。う~ん、眠らせたままにしておくにはもったいないけど、お蔵入りになっていく運命のアルバムなのかなぁ。
1.JAILBAIT
★★☆ 2.LIGHTNING STRIKES
★★★☆ 3.BITCH’S BREW
★★☆ 4.BOLIVIAN RAGAMUFFIN
★★★ 5.CRY ME A RIVER
★★★☆ 6.PRELUDE TO JOANIE
(評価なし) 7.JOANIE’S BUTTERFLY
★★★ 8.ROCK IN A HARD PLACE (CHESHIRE CAT)
★★☆ 9.JIG IS UP
★★ 10.PUSH COMES TO SHOVE
★★★