RICOH GX100




RICOH GX100



勝手にインプレッション

GR Digitalの後釜として購入した、3代目のメモ用デジカメ。GRDそっくりの外観、必要最小限のズームレンズに手ブレ補正機能の搭載、着脱可能な可動式電子ビューファインダー(以下EVF)など、発売当初から話題の尽きない機種だった。

こと汎用性の高さでは兄貴分であるGRDを完全に陵駕しており、リコーのハイエンドコンパクトの中で、趣味性一辺倒のGRDに対し趣味+実用性のGXというポジションを確立した。ちなみに、さらに実用に振ったのがR8でありR10だとエンゾーは理解している。(この辺りに関しては後述する)



まず何はともあれ、GX100らしさを最も特徴付けているのがEVFである。正位置から90度引き上げることが出来、真上から見下ろすポジションが取れる。正方形フォーマットを選択可能なこともあり、それらを組み合わせて「ローライのような遊び方が出来る」と紹介されることが多い。

だが実際に使ってみると、むしろ遊びどころか積極的に使いこなしたいアイテムであることがすぐに判った。ピーピングと言ったら聞こえが悪いが、被写体が見ず知らずの人物で、カメラを意識させずに撮りたい時に非常に役に立つのだ。スナップをメインに撮るユーザーにはありがたい仕様だ。
残念なことに、後継機種であるGX200では、EVFはオプション扱いになってしまった。GX100からの買い替えで既に持っているユーザーに配慮してのことだと思われるが、実質的にはかなりの値上げになってしまったのが惜しい。


    (面と向かってでは、こんなカットは撮れない)

銀塩の頃からそうだったが、単焦点コンパクトと言うのはかなりマニアックな存在で、それゆえユーザーは「分かっている人」とか「カメラ通」と見られがちで、良くも悪くもステータス性があった。それはデジタルであるGRDもまた然りである。

だがしかし。
作品指向の強かった銀塩の頃と比べて、メモカメラとしての意味合いが強まったデジタルコンパクトという製品の性質を考えた時、ズームが搭載されていないことは、エンゾーにはやはり不便に感じる。判りやすく言えば、(少なくとも現時点において)デジタルという方法論と単焦点というストイックさがマッチしないのだ。

デジタル一眼レフに単焦点レンズを付けるのならともかく、ダイナミックレンジの広さやレンズの明るさ、素子の大きさ、ボケの量など、あらゆる意味において構造的に一眼に比肩し得ないデジタルコンパクトで単焦点を気取ったところで、それは単なるスタイルでしかないと言ったら石が飛んできそうだが、しかし、コンパクトでも一眼でも同じ135フォーマットであるがゆえに同じ土俵で語ることが出来た銀塩カメラとは、この点が決定的に違う。今のところ(2008.10現在)、本当の意味で「コンデジでも一眼並みのクオリティ」と語っていいのはシグマだけだ。
ちなみにリコーはそんな大きなことは言っていない、念のため。GRDあたりを過剰に持ち上げて煽っているのは写真業界誌や情報誌である。


 (GX200用のフードは流用が可能で、故に発売当初は品薄だった) 

かなり脱線したが、そういうことをつらつらと考えると、GX100は銀塩GRの延長として生を受けたGRDよりもはるかにエポックメイキングなカメラであり、デジタルカメラの長所を上手にまとめ上げた名機だと言える。GRDシリーズについて回る「こうでなくてはならない」という呪縛をGXからはあまり感じない。

なので、リコーにはもっと堂々と売って欲しいというか、少なくとも価格はそれなりに高いのだから、いつまでもGRの下ではなく、外観などの細かい仕様も含め、フラッグシップ扱いに格上げしてもいいのではないだろうか。
ともあれ、GXシリーズはいま最もオススメのコンパクトである。




長所

○シンプルにして洗練された操作系はGRD譲り。非常に操作性が高い。
○何よりも、ズームレンズを搭載した事。デジタルなんだし、表現の幅は広い方が良い。
○手ブレ補正はいまや必須条件とは言え、このクラスのカメラに入れた意義は大きい。
○ストイックな外観は、リコーの十八番。なかなか他社が追随できない。


短所

●暗部のノイズがかなり多い。素子が小さいから仕方ないが、改善して欲しい。
●既に必要十分ではあるものの、もう少しAFが速かったら言うことないのだが…
●形がユニークであるがゆえ、EVF付きの状態でしっくり来るケースがない。
●純正のレンズカバーは不便すぎる。オプションの自動開閉式に買い換えるのが吉。


超個人的オススメ度 (10点満点)
☆☆☆☆☆ ☆☆☆

偏愛度 (10点満点)
☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆

Yahooオークション出現率 (10点満点)
☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆ 

*GX200が出た今、特にお勧めはしないが、もし買ってもきっと満足できるはずだ。






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