快適ライカ生活
ライカを使い始めてすぐに気が付いたこと。それは、ライカにまつわる数々の伝説には、正しい部分とそうではない部分があるということだ。はっきり言ってしまえば、ライカはどちらかと言うと不便なカメラであるし、ライカで撮ったからといって写真がうまくなる訳でもない。
しかし、不便さすらも楽しみの一部になってしまうところがライカのライカたるゆえんであって、これはもう、実際に使ってみた人にしかわからない。さらに、そういうちょっとした不満を解消するサードパーティー製のアイテムが豊富なところも、ライカの特徴の一つだ。
実際、使い心地が良くない道具というものは、使う意欲が減退し、確実に防湿庫から出す機会が減る。なんらかのオプションを付けてフィット感を改善してあげる事は、その道具に命を吹き込むことに等しいのだ。
ここでは、エンゾーが実際に使っているアイテムをご紹介する。
GMP PRODUCTS製 M-GRIP
「ライカで撮ると、50mmを1/8秒で使ってもブレなかった」
よくある、 ライカは手ブレに強い
という伝説であるが、エンゾー的には「?」である。箱出しの状態のライカは、レリーズの感触はそれほど良い訳ではない。モノによっては、ザラつくような感触があったりする事もある。
また、横走り布幕シャッターのショックは思いのほか大きく、ファインダーを覗いていてはっきりと手ブレが分かることがままある。しっかり保持して慎重にレリーズしても、ブレを押さえ込むのに苦労する。
そういうわけで、このグリップ。
アメリカ製で、新品を買おうとすると個人輸入するしかないのが泣き所であるが、使ってみると、その効果の高さに驚く。ホールディングが見違えるように安定し、特に縦位置では大活躍する。シンプルで飽きの来ないデザイン、手に馴染む絶妙な形状と大きさなど、純正を凌ぐ使いやすさで、一度カメラに装着したら付けっぱなしになるのは間違いない。
残念なことに、今現在、日本のカメラ屋さんで新品を取り扱っている店は存在しない。エンゾーは3つ持っているが、ひとつは馴染みのカメラ屋さんで中古を購入、のこり2つはヤフオクで落札した。もしどこかで見つけたら、とにかく即GETをお勧めする逸品である。
関東カメラサービス製 ベースプレートストラップ
ライカと言えば、フツーのカメラと最も違うところが、フィルムの装填方法だろう。ベースプレートを外して底からフィルムを差し込むという独特のスタイルは、お世辞にも簡便とはいい難く、愛がなければ我慢できない。
内田ユキオ氏のように、ベースプレートを片手に持ったまま手早くフィルム交換をできれば、いかにもライカ使いらしくて様になるのだが、不器用なエンゾーにはなかなか難儀な作業で、いつ硬いアスファルトの上に落とすんじゃないかとハラハラするし、両手が使えないのでまごついたりもする。
そこに登場したのが、関カメ製のこのストラップである。これをベースプレートの三脚穴にねじ込んで、もう一端をストラップの吊り環につないでおけば、うっかり手を離しても、プレートを地面に落下させずに済む。
(実際、中古のライカのベースプレートには、明らかに落下痕と分かる当たり傷がよく見られる)
ちなみに、エンゾーのようにグリップをつけて使用する場合は、三脚穴の位置が中央寄りに移動するために、デフォルトの状態ではヒモの長さが足りなくなる。しかしご安心あれ、関カメに注文する際、ストラップ長はリクエストが可能だ。エンゾーのストラップは15cmにしてもらった。
何箇所か結んで玉を作っておくと、糸が暴れないのでより使いやすくなる。
注意すべき点は、ネジをねじこむ深さ。ベースプレート本体ではなくグリップにヒモを装着する場合、グリップの三脚穴は貫通しているため、 何も考えずに限界までねじ込むと、ベースプレートにゴリゴリと傷を入れる羽目になる
。ほどほどで止めておくのがミソ。しかし、これはきちんと固定できていないことと同義なので、ねじロック剤で固定するか、マメに取り付け状況をチェックすることをお勧めする。エンゾーは、ねじロック剤を使っています。
エツミ ロイヤルストラップ
オリジナルのライカ用ストラップと言えば、数々のムック本で取り上げられているアルチザン&アーティスト製のコードバンストラップあたりが品質もよく有名であるが、ひねくれもののエンゾーは、あまりにもメジャー過ぎると物欲が湧かなくなるという性癖の持ち主であり、A&Aだけは使うまいと心に決めていた。なんでだ。
しかし、ライカに使うなら本革であることは外したくない。なおかつ、不要な金具を一切使わず、柔らかくて肩当も付いていること。こういう条件を満たす製品は思った以上に少なく、いろいろ探した末に辿り着いたのは、意外にも大量生産品だった。それが、この「エツミ ロイヤルストラップ」である。
トップカバーを吊り環から保護するベロが付いた取り付け部は、糸で縫いつけてあり金属製のかしめピンなどは一切使用していない。長さは90cm固定で調節は出来ないが、この長さが実に絶妙で、首から下げたときにズボンのベルトに当たらない、ちょうど良い高さにカメラが来るようになっている。無論、タスキ掛けにも対応する。
また、特筆すべきは使用されている革の良さで、ストラップも肩当ても、とても量産品とは思えないしなやかさを保っている。手で触った感触がなんとも心地よい。どこにもロゴがないノンブランドであるところも好感が持てる。コストパフォーマンスに優れた良品である。
シャッターボタン
ライカのレリーズは、意外なほどストロークが深く、ガク押しを誘発しやすい。これはどうも皆が感じていることらしく、レリーズの感触を改善するためのシャッターボタンが数多く作られている。
エンゾーは銀一やマップカメラのものを使っているが、よりお洒落なものや大きいもの・小さいものなど、様々なバリエーションが存在するので、自分に合った一品を探してみるのも面白い。いずれにせよ、装着することによってブレの危険性が少しでも減るのは間違いないようだ。