宮木京子の さらさら散文

宮木京子の さらさら散文

「ステップ」その2




塾業界で、一番美味しいところは、マンション業界並に会社の業績予測が信用できる点でしょうかね。


マンションは1年後に売る物件が決まっていますから、完売さえすれば、業績の大幅な変動はありません(まあ、1個売れ残っただけでもウン千万のマイナスになってしまうので、あくまで完売スタイルの企業でないと意味ないですが)


塾だって、生徒の数って学年入れ替えの時期にほぼ確定しますからね。そこから1年間は大きく動かないですよ(経験上)。ってこんなのバイトしていなくても、いまくらいの自分の世代の人なら塾行っていた経験があるからわかりますよね(笑)。次の日行ったら、生徒が半分になっていた!!!!なんて事はなかったですよね?!(笑)


売れる数(生徒数)が変わらなければ、単価(授業料)も変わらないですよね。6月だけ全授業が3割引!!!なんて事はなかったですよね?(笑)。


また利益に直結する、原価(経費)もほぼ予想できます。塾の経費なんて家賃と人件費と広告費くらい。値段が日々上下するもんじゃありません。


ですので、まともな企業の決算予測というものは売上・利益ともほぼ100%信用できるんです。実際ステップの業績予測と結果を3年間比較してみましたが、ほとんど同じでした。若干の上方修正程度です。


まあ、塾が低PERなのは少子化でこれから先厳しいからだろうってのが根底にあるんでしょうが、少子化だったら=人口減ですから塾に限らず全ての産業にとってマイナスですから(笑)。塾業界だけが低PERってのは可笑しな話です。


それに、子供が5人も10人もいたら、塾なんて通わせられないですよ(笑)。まあ、5人とはいわず、仮に3人いたとしたらどうですかね???3人もいっぺんい塾に通わせたら、それだけで家計は火の車じゃないでしょうか???ですので、少子化じゃなかったら逆に塾業界はヤバイんです。子供が少ないから、不景気で家計の収入が少なくてもなんとか塾に通わす事ができる。


ぶっちゃけ業界にとっては、子供は1人か2人のほうが助かるんです。まあ、最近は子供いらないって夫婦も多いし、子供どころか夫(妻)もいらないって人が多いので、これは困りものですが(笑)。


フージャースの株式公開の理由は、資金調達はもちろんの事ですが、株を公開する事によって会社の信頼度をUPさせるというのも大きな目的の一つだったと思います。


前にも書きましたが、株式を公開したことによって顧客の信頼度がグンと上がったそうです。モデルルームに来た人に、いちいちフージャースとはどういう会社なのか?って事を説明しなくてもすむようになったって。


マンションディベなんて、本当そうでしょうね。顧客が


この会社、大丈夫なの??信頼できるの??


って簡単に客観的に判断できる材料って、あまりありません。まさかおなじディベがつくった既存のマンションをチェックしにいくなんてあんまいないと思うし、だいたいチェックのしようがないし。


ですので、


株式を公開している
店頭よりもとうぜん東証2部、2部よりも1部のほうが信頼度が高い
とうぜん、時価総額(株価)が高いほうが信頼度が高い


ってな感じになって、会社側としても株式(株価)を気にする傾向にあると思います。


しかし、塾業界の場合はどうでしょうか???


塾業界の場合、株式を公開しているなんて営業的には屁の役にもたたないと思います。株式公開が意味無いんだから、当然株価のほうも高かろうが安かろうが関係ない。塾の場合は、株とかじゃなくてその塾が良いか、悪いか?のきちんとした判断材料というか、結果がありますからね。


それはもう、


合格実績


でしょう。塾へいく目的は、当然いきたい高校や大学に合格する為ですからね。ほとんど合格実績で判断されるんじゃないでしょうか??


ですので、会社側としても株価を上げる様な株価対策やIR活動に力を入れるくらいであれば、一人でも多くの生徒を希望の高校に合格させるほうが大事であり、その結果IR活動が非常におろそかになります。


現に株式公開している会社の中で、21社中8社にHPに投資家向けのコーナーがありません!!!(当然決算短信などはダウンロードできない)


マンションディベは、当然すべての企業に投資家向けコーナーがあります。


ステップには、投資家向けのコーナーが無く、これが株の低評価にも多少影響していると思います。しかし、現状株主としてはIRに力を入れろ!とは強くいえません。IRに金をかけても、企業業績的にはあまり意味が無いので。マンションディベの場合はそうは行きませんがね。


出来れば決算短信くらいはHPからダウンロードさせて欲しいですけどね。まあ、ジャスダックのページは、それなりにまとまっているし、会社の経営体制や方針には全く問題ないので良しとします。(今仕込んでいる最終だから、皆に知られたら困るという個人的な事情もありますが(笑))


ステップ、株価はぼろぼろですが(配当利回り第1位、低PER第2位)、顧客が塾を判断する合格実績は文句なしです。神奈川県の公立高校合格実績第1位ですね。


大体、学習塾って株式公開する事自体がおかしいんですよ。


株式公開の一番の目的は、市場から資金を調達する事だと思いますが、そもそも学習塾なんて事業拡大するにしても何にしても莫大な資金なんて必要ないですよね。


何か作るわけじゃあないから設備投資もいらないし、教室を増やすにしても全部賃貸でかまわないんですから。まあ、多少の資金は必要でしょうけど株式公開してまで集めるもんじゃあないと思います。


現に、塾業界売上げ1位2位の企業は株式公開していません(何処だか知りません(汗)。上場企業の中では売上げは栄光が1位なのに四季報には業界3位と書いてあるので(笑))


申告所得ランキングでは、(株)さなるという愛知県の会社が1位みたいなのですが、この会社も株式公開していません。


元々、資金が必要ないんだから、塾業界の財務内容は何処も素晴らしいです。上場21社中6社が無借金経営で、14社が株主資本比率50%以上です。当たり前といえば、当たり前です。別に凄くもなんともありません。


逆に言えば、無借金の上場会社は、もう内部保留をぶくぶく膨らませても全然意味ないんだから、儲けはずべて配当にまわせ!!!って言いたいです。しかし塾業界の配当性向は平均で37%程度であり、このへんがちょっと舐めています。


株式公開しても意味が無いんだったら、何でステップは株式公開しているんですかね???公募増資で得た資金はいったい何に使っているんでしょうか????また内部保留はどうしているんでしょうか???


このへんの問題がちゃんと答えが出ないようだとヤバイんですが。。。ステップの場合はちゃんと答えが出ており心配がありません。


ステップは、展開する教室に自社物件が多いです。規模の割には有形固定資産が多いので気がつくと思います。普通の会社の場合、豪華な自社ビルを作ったりするのは愚の骨頂ですが、学習塾の場合は、そのスペースがまさに稼ぎ所となるわけだし、仮に賃貸となれば半永久的に借りる事になりますからね。


賃貸ビルが商売になっている以上、どうぜずーっと借りるのであれば賃貸よりも自社でやったほうが利益になります。


実際、大学受験の校舎などは自社ビルみたいです。このように資金を効率的に自社ビルに当てていくために、配当性向が50%から30%に引き下げられたようです。


負債もあります。昔は無借金経営だったみたいですが。まあ減ってはきていますけど。現在はまだ成長中なのでこの戦略と配当性向30%はしばらくは持続するでしょうが、近い将来は完全に成長が止まるはずです。


おそらく神奈川県外に事業展開する事は考えていないので。


成長が止まれば、ほとんど資金が必要ない事業なので配当性向も30%から50%へ戻してくれるでしょう。この株価で配当性向50%に戻れば美味しいです。今でも十分美味しいのに。


あまり有形固定資産を持ちすぎるのもどうか?と思いますが、資金を塾以外のサイドビジネスに使ってしまった栄光や明光よりはずっといいだろうと思います。だいたい、栄光なんて有利子負債結構あって、そんな事してる場合じゃないだろうに・・・。


塾って、ブランドで勝負できる業界だと思います。バフェットのコカコーラの話は、いろいろな株サイトで耳にたこが出来るくらいに聞かされましたが、まあ塾も似たようなもんだと思います。(そう思うと投資対象としては適した業界かも)


私が子供のときは、ちょっと今では信じられませんが


栄光ゼミナールの塾生=頭がいい


っていうイメージがありました(笑)。本当、今では信じられませんけどね。栄光は入塾テストがあって、成績のよくない生徒は入塾させなかったんですよ。


おいおい!成績の悪い生徒を良くするのが塾の仕事じゃないのかよ(笑)


そんな事で、もともと成績の良い生徒が通っていたんですから合格実績は素晴らしいものがありました。こうなると、もう栄光ゼミナールという名前がブランド化してしまって、親ってのはブランドや噂話に弱いですからね~。皆、栄光へ通わせようとします。


このようにブランド化さえしてしまえば、そんなに莫大な広告費を使わなくても生徒は向こうから寄ってきます。


逆に言えば、このブランド化するまでが大変ですよね。しかし、今上場している企業はそれぞれの地盤で完全にブランド化されているでしょうから、逆に楽なんですよ。


神奈川ならステップ!!!

静岡なら秀英!!!

千葉では市進!!!


みたいな感じで・・・。他の塾が今から同じ格にまで成長するのは大変だと思いますよ。第一、初めて塾を開く時には、塾の宣伝になる”合格実績”がないんですから。そう考えると参入障壁の高い業界であると思います。


だいたい、この”ブランドが効く!!”、しかも”かなり長い間通用する!!”ってのは塾ならではの現象だと思います。


成績なんて本人のやる気次第ですから、勉強する子供は何処の塾いったって勉強するし、勉強しない奴はどんなに有名な塾にいったってやる気がないんだから駄目なんですよ(笑)。だいたい本人が好きで行っているわけではなく、親が行かせているんですから(笑)。


これは何を意味するかというと、塾なんて何処でも大差がなく、実際に通っている生徒には塾の良し悪しが判断できない。ですので成績が良くなろうが悪くなろうが最後は本人次第であって、成績が伸びないからといって塾を鞍替えする生徒は少ない。(仮に鞍替えしたって、そいつは駄目だよ(笑))


一度ついたブランドは、簡単には剥げ落ちないし、今ではもうそれなりの成績の生徒が集まるようになっているので、きちんと授業を行えば、それなりの合格実績が出る。よほどの事が無い限り、現状の業績は確保できる恵まれた状態にあると思っています。


ステップの場合は、


神奈川ではブランド力がついて、絶対に負けない!!!


という自信があると思います。

→「その3」へ続く


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