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未来の経済システム(説明文)
この未来の経済システム(説明文)は下記のスライドの説明文章です。
未来の経済システム(スライド)
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■はじめに
私の専門は経済学などでは決してなく、あえていえば技術士の資格のある都市計画や交通計画の専門家といったことになるでしょうか。2000年に55歳でサラリーマンを辞めてから趣味として人間的な未来社会のあり方を考えてきました。恥ずかしげもなく2005年に未来社会をテーマにした小説と論文調の本、2冊を出版しました。この中では経済だけでなく、政治、文化など様々な問題を取り上げています。恐らく人とは順番が全く逆で、出版した後で経済システムなどに関する本を読むようになりました。読み進むうちに、私が考えていた経済システムのバックボーンになるアイデアが様々提案されていることを後から知った次第です。ここでは、これらのバックボーンになる先人達のアイデアの紹介を通じて、私の考える未来の経済システムのありかたに辿りつきたいと思っております。
■問題意識と出発点
●問題意識
最初の問題意識というのはここに書いてあるとおりです。人間の生産力というのは産業革命以降、物凄い勢いで伸びて大きくなったわけです。生産力の面から見れば、人間の社会というのはとっくにユートピアになっていなければならないはずなのに、何故こんなにも世界は問題だらけなのかということです。持続可能な社会の姿など到底見えてきません。
●出発点
次は考える上での出発点です。結局のところ、悪い動機で動く社会では不幸や悲劇が絶えないということだと思います。この悪い動機をもたらすのはマネーシステムに原因があり、これが人間の主たる活動動機を操っているとの考えに至りました。加えて、資本主義以前にはなかった経済恐慌といった現象も繰り返し起きているわけです。構造的に欠陥のあるシステムを幾ら法律の整備、宗教や道徳教育とかいった様々なパッチワークで綻びを取り繕おうとしても自ずから限界があるというのが私の基本的な認識です。
資本主義以前からの問題ではありますが、根本原因の一つは利子を要求する貨幣です。お金に利子があるということ、これが一つの大きい問題で、もう一つは後で説明しますが、「働かざる者食うべからず」という原理です。この二つが人間社会を非人間的なものにしている根本原因ではないかと考えております。
■資本主義の問題
●利子貨幣
最初に利子貨幣の問題について説明します。お金を借りれば当然の如くに利子がつく。貨幣には、御存じのように価値尺度、交換手段、貯蓄手段という三つの機能があると言われています。更に言えば、利子貨幣は支配の手段にもなっています。交換手段にすぎなかったお金に利子がつくようになったのは、劣化しない金属貨幣の登場以降かもしれません。劣化しないお金にはモノに対する優位性が発生します。そのために貯蓄手段にもなります。利息が得られるのであれば、貯蓄手段として銀行などに預けられます。銀行に預けられたお金は信用創造のネタになります。実体経済で必要とされるお金をはるかに上回る信用創造はバブル経済を引き起こす原因になります。利子貨幣による経済活動は、必然的に利潤追求動機の経済になり、経済成長が強制されます。私有財産社会では、経済は内部経済と外部経済に分かれているので、結果として私的な利潤追求が資源の乱獲や環境の悪化に結びついていきます。
●労働と所得
もう一つは労働と所得に関する問題です。現代社会では労働しないと所得が得られません。ここで言う労働とは、稼得労働を意味しています。稼得労働でない労働というのはたくさんあります。実際に社会的に必要な労働には、ここに書いてありますように家事や育児、ボランティアとかいった様々なものがあります。この稼得労働と所得が堅く結合されているがために、社会問題がたくさん起きてきます。働けない者に対する怠け者扱いや働くことの強制とか、反対に保護対象として扱われることでの差別もあります。稼得労働から排除された人々には失業、格差や貧困が待ち受けています。この「働かざる者食うべからず」という原理は、社会的な差別、悲劇と犯罪の温床になっているわけです。このような原理がまかり通っている限り、健常者と同様に働くことができない身障者などの社会的弱者は、日陰者的な意識を持たざるをえません。
●生命系の経済学
この図は『生命系の経済学』という本から抜き出してきたものです。産業社会の生産的構造ということで三層構造が描かれています。一番上にピンク色で書いたものがいわゆるGNPで表される部分です。中ほどが、先ほど言いましたように家事やボランティア、老人や病院での介護とか、いわゆる稼得労働に分類されない労働です。一番底辺に「母なる自然」と書いてありますが、いわゆる自然資源のことです。ここには自然による自浄能力とか回復力が作用しています。このような構成によって人間の生活というのは成り立っているわけです。
ここで、GNPで表されない人間の労働というのはどのくらいの時間数になっているかが気になるところですが、スウェーデンで実際に計測した時間が書いてあります。スウェーデンというのは女性の就業率が非常に高い国ですが、稼得労働部分が60億時間、稼得労働以外の時間がこれよりも多い70億時間になっています。実際には人間活動というのは、このように稼得労働以外の労働によって支えられているわけです。
一番上のパイの部分は稼得労働に相当する部分ですが、人間を雇うというのはコストがかかることですから経営者は稼得労働を削減しようとします。コスト削減だということで省力化が進められていきます。しかしながら、この稼得労働部分によって稼いだお金によってこのブルーの稼得労働以外の労働部分も養わなければならないのです。このようになっているわけですから根本的に無理があります。一番底辺の下の部分というのは外部経済として扱われていまして、取り放題、使い放題、汚染自由になっています。ですから自然の浄化能力が落ちてくるのは必然でしょう。
■社会規範
●経済システムとの関係
私が目的としているのは、経済システムを変えること自体ではなくて、人間が人間としての尊厳をもっていきることができるような社会規範にあります。しかしながら、人間の活動動機である経済システムそのものを変えない限り、人間的・自然的な社会規範に満ちた社会にはなることはないと考えています。
●環境問題との関係
ところで、環境問題の解決方策は技術的対策に置きかえられている面が非常に強いと思います。温室効果ガスの削減に関しては排出権取引制度によって削減できるんだというようないわれ方をしていますが、一向にらちがあきません。それどころか、金融資本が触手を伸ばして商売のネタにしようとしています。これに対して北欧の諸国がCO2の削減などで大きな成果を上げている理由は、社会保障システムが充実しているためであると考えています。どういうことかと申しますと、生活上の不安から解放されたために心のゆとりが生まれ、人間的な社会規範が支配的になってきたことが背景にあるのではないか思います。スウェーデンなどでは削減した排出量を商売道具にすることなど考えていないようです。環境問題というのは、社会・経済システムが人間的・自然的でないために起きるのであって、基本的には技術的に解決するような問題やビジネス化することで削減できる問題ではなく、社会・経済システムを変更することで解決する問題であると考えています。
■商業銀行の利子貨幣
この辺から本題になってきます。まず、お金というのはどこで生み出されるのかという話です。これは知っている人もいるかと思いますけれども、お金の大半は商業銀行で生み出されているのです。紙幣は造幣局で印刷しているのかもしれませんが、通貨の95%は商業銀行が生みだしています。実際には銀行のデータベースの書きかえ作業で生み出されています。お金というのは借りたときに生まれ、返されたときに消滅します。つまり負債がお金になるのです。この有利子貨幣というのは、基本的には金持ち優先、富者優遇であって本当に困っている人は相手にしてくれません。
ということで、実際にはお金というのは銀行の中でデータベースによって無から創造されたバブルであり、レバレッジによって膨れ上がっていきます。借り手は無から創造されたものに利子を要求されているのです。我々が持っているお金としての資産のうち、現金で持っているのはほんの数%に過ぎないはずでありまして、あとは預金通帳に書いてある数字としてのお金です。預金通帳というのは、実際には銀行のデータベースに書き込まれたものが印字されたものに過ぎないわけでありまして、これが商業銀行の有利子貨幣です。これは紙幣でも硬貨でもありませんがお金、通貨です。
これに対して日銀券というのは現金なわけですけれども、日本銀行が勝手に印刷してばらまいてもよいというものではなく、負債勘定として発行されるものなので、通貨発行益というのは日銀券では得られません。
通貨発行益が得られるのは政府貨幣でして、この場合には印刷した分だけ政府の収入になるというようなお金です。この政府貨幣は、今現在でも硬貨や記念貨幣として発行されています。これは日銀が発行しているものではありません。従って、私たちは日銀貨幣と政府貨幣を併用しているわけです。硬貨には「日本国」の文字はありますが「日銀」の文字はありません。
■政府貨幣
●政府の通貨発行権
ということで、今度は政府貨幣の話に入ります。政府には通貨発行権があります。通貨発行額には制限が設けられていません。しかし今のところ硬貨や記念紙幣程度のものしか発行していないわけです。実質的には貨幣発行大権を発動していないことになります。これを大々的に行使したのが、明治時代の太政官札とか民部省札です。これによって戊辰戦争の戦費調達などを行っております。この場合には発行額から印刷経費を除いた分の通貨発行益が得られます。
ところで現在、金融バブルがはじけて世界中で大騒ぎになっています。日本でも何とかしなくてはいけないということで、小野盛司さん(日本経済復活の会の会長で、素粒子論が専門だが政府貨幣論や進化論の著書などがある)や丹羽春喜さん(日本経済再生政策提言フォーラムの会長で、大阪学院大学の名誉教授が現在の肩書き)が以前から政府貨幣を大々的に発行すべきであると政府に熱心に説いています。そうすれば、たちまち日本経済はデフレを脱却し、成長を取り戻せると言っています。
丹羽さんが根拠として上げているのは日本経済の生産余力であり、真の財源とは生産能力のことであると言っております。生産能力に十分余裕があるならば、政府貨幣を大量に発行してもインフレなんかには決してならないということです。確かにそれはそのとおりでありまして、需要が幾ら増えても、その需要を満たすための商品がどんどん出てくれば、需要と供給のバランスの関係で物価が上がるはずはないわけです。現在、このデフレギャップというのはどのくらいあるかということですが、今の日本には40%くらいあるということです。ですから、例えばヘリコプターから万札をばらまいたとしても、そんな程度ではインフレなんかになりませんよというような話をしております。ということで、彼は政府貨幣による財源の調達は、増税によらずして景気の振興、高齢化社会への対応、財政の健全化が実現できるなど一石二鳥にも三鳥にもなる有効な対策であるということを懸命に説いています。
通貨改革をすべきだという考えはEUの中にもあるようです。通貨の発行は政府のみが行うべきであって、銀行からはこの権利を取り上げるべきだという結構過激な提案もあります。そうすれば銀行に信用創造機能がなくなり、マネーゲームなんか無くなって、経済恐慌も起きなくなるだろうということです。このへんの事情に関しては参考文献に掲げておいたものをお読み下さい。
●ハイパーインフレ
ちょっと横道にそれますが、政府貨幣の話をすると必ずといってよいほど歴史的なハイパーインフレの例を持ち出して反対する人が出てくると思います。政府のモラルハザードを問題にするわけです。ハイパーインフレを引き起こしたしたのはそれなりの政治的事情があったわけですが、政府貨幣だけがハイパーインフレを引き起こした訳ではなく、国債だって同じことを行ってきました。赤字国債などというものは本来発行してはいけないはずのものですが、途方もない額になっています。「政府貨幣=ハイパーインフレ」の迷信によって、全く必要のない膨大な借金を積み重ねているのです。政府のモラルハザードが心配ならば、政府通貨の発行額の上限を生産余力やGDPに対する一定割合としておけばよいだけの話です。大インフレを起こしそうな政策を行うような政府は選挙を通じてやめさせることもできます。
これに対して銀行貨幣の場合にはどのようなバブルを生み出そうが、モラルハザードを起そうが、銀行の頭取達をやめさせることなんかできない相談です。政府貨幣なんか…と思っている人は、とりあえず小野盛司さんという人が書いた『政府貨幣で日本経済が蘇る』をお読み下さい。政府通貨の意義と反対意見に対する詳細な記述がなされています。
■減価貨幣
●減価させる理由
次に減価貨幣について説明します。ところで、減価するお金なんてものはあるのかと思われる方が多いのではないかと思います。お金を減価させる理由というのは、モノが減価するのだからお金も減価しないと釣り合いがとれないではないかということです。キリスト教やイスラム教では利子をとることを禁じていた時代があったようです。労働によらずして利益を貪る行為が反社会的でモラルに反するものだからでしょう。しかし、減価しないお金はモノに対して優位性を持つことになるので、利子が生まれざるをえないわけです。
●古代エジプト
歴史上存在した減価貨幣として、ここに三つほど紹介しています。一つは古代エジプトの場合です。ここでは「オストラコン(陶片)」と書いてありますけれども、穀物の受領証明書です。どうしてこれが減価貨幣なのかということですが、穀物というのは自分の家に蓄えておくとネズミにかじられたり、あるいは泥棒に取られてしまったり、そういうことが起き得るということで、あなたの穀物を安全保証つきで預かってあげましょうということになります。そうすると、その預かり代金として、例えば米10俵1年間の保管に対して、1俵分は保管料として頂きますというような形のオストラコンが発行します。このオストラコンが貨幣と同じ役割をするということになるわけです。これは1年後には価値が90%になる減価貨幣です。
●中世中期
中世中期のヨーロッパではここに書いてありますようにかなり広範囲で、ブラクティアンという薄い銀板の貨幣が作られ流通しました。封建領主がつくったわけです。自分の私腹を肥やすためと言ってもよいかもしれません。数年置きに貨幣を改鋳し、改鋳前の貨幣は使用不可とされます。旧貨幣を回収する際に、旧貨幣4枚と新貨幣3枚を交換するというようなことをやったわけです。実際にぺらぺらの薄い銀板なので、すり減ってくるということが根拠かもしれませんけれども、そういうことをしたわけです。そうすると、そのようなお金は、そのまま持ち続けていると最終的には4枚が3枚に減らされてしまうために、損をすることになるので使い回すわけです。お金が手に入ると、直ちにモノを買うということになります。
●大恐慌期
三番目が大恐慌期に使われた減価貨幣の話です。シルビオ・ゲゼルという人が提唱者ですが、歴史に埋もれた人と言えるかと思います。主著である『自然的経済秩序』の全文翻訳がインターネットに掲載されています。彼は地域通貨として減価貨幣を提案した訳ではありませんが、地域通貨の運動も元を辿ればシルビオ・ゲゼルに行き着きます。彼は自由土地と自由貨幣という構想を出しております。自由貨幣は減価貨幣のことです。シルビオ・ゲゼルに関してはNHKの番組『エンデの遺言』で紹介され、本も出版されています。彼の考えに基づく減価貨幣の例を二つほど載せておきました。ドイツのシュヴァーネンキルヘンのヴェーラとオーストリアのヴェルグルです。これらはスタンプ紙幣です。金属貨幣の場合には貨幣改鋳という方法が考えられますけれども、紙幣の場合にはそういうわけにはいきません。例えば千円札を1年後に900円に減価させるにはどうしたらいいかということですが、スタンプを貼るのです。スタンプが貼られていなければ通用しなくするのです。100円分の切手みたいなものを貼ると、翌年も千円札として通用するというような方式です。このような地域通貨が大恐慌期に、地域経済を活性化するために発行されたのです。これによって地域経済は瞬く間に発展するのですが、国家通貨との競合を恐れた政府によって廃止させられてしまいました。このような減価貨幣が大々的に普及していたら、ヒトラーの台頭を許すことがなかったのかもしれません。
この三つの例とも経済は活況を呈したそうです。減価していくお金を使わないで持っていると損をすることになります。交換手段ではあっても貯蓄手段ではないお金というのは高速に回転するということです。お金には死蔵されているお金と、経済の血液となる生きたお金がありますが、減価貨幣はそのすべてが経済活動を促進する役割を果たすことになります。
■利子貨幣と減価貨幣の社会
●利子貨幣の社会
ここで利子貨幣と減価貨幣の話に関するまとめをしています。利子貨幣の社会では当然に利潤追求社会になり、指数関数的な経済成長を求められます。金利が稼げなくなるや否や、つまり社会が本当に必要としている現在のような不況期には貨幣の多くは死蔵され、供給されなくなります。利子貨幣の社会では貨幣が神となり、モノを支配し、人間を支配するということになります。
●減価貨幣の社会
減価貨幣の社会では、貨幣に貯蓄手段としての機能がなくなるので、持っていない方がよいものになります。先にお金を払う方が有利になって、現在と逆転するわけです。先ほど言いましたようにお金が高速で循環するから、経済活動が活発になります。お金は貯蓄手段ではないので、価値を保存しようとするのであれば固定資産などに投資することになります。例えば、中世中期の大聖堂建築ブームというのもこの影響だそうです。余談ですが、中世というのは暗い、陰湿な沈滞したイメージというのがあると思いますが、中世中期はどうもそうでなかったようです。中世中期の歴史は見直すべきだという議論があるように聞いています。
■ベーシック・インカム
●ベーシック・インカムの理由
それでは、もう一つの大きな柱であるベーシック・インカムの話に移ります。初めの方でふれた稼得労働の問題に対応してベーシック・インカムも古い歴史を持っているようです。おもしろいことに右から左までの様々な人が提案しています。そもそも労働と所得が結合しているということ自体に問題があるのではないかということですが、省力化技術によって失業率が上昇していくというのは、歴史的に避けられません。いずれはロボットだって普及してくるでしょう。この「働かざるもの食うべからず」という原理は自給自足の社会、物不足社会での原理です。現在は物余り社会です。言ってみれば、他給自足社会の原理が必要とされているのではないでしょうか。これが無条件の所得保証と言われるベーシック・インカムの提案理由であり、基本的人権、生存権を保証するものとしての原理になるということです。
●ヴェルナーの提案
このベーシック・インカムについては様々な人が類似した提案をしていますが、私が一番良いと思っているのが、ドイツのゲッツ・W・ヴェルナーという人の提案です。この人は実業人で、デーエムというスーパーストアの経営者です。ところで、先ほど紹介したシルビオ・ゲゼルもドイツ人で、経済人でもあります。学者や思想家といった人達よりもこのような人たちの方が具体的提案をするように思うのは私だけでしょうか。ヴェルナーは消費税とベーシック・インカムをワンセットにしています。消費税率50%でベーシック・インカムの財源を確保することを提案しています。随分高い消費税率ですが、逆に企業に課される税金並びに社会保険料などは全部撤廃すべきであると言っています。なぜならば、企業に幾ら税金や負担金を課しても、企業は必ずこれらの負担分を製品やサービス価格に転嫁してしまうからです。企業に負担させたお金を最終的に支払うのは一般消費者にほかなりません。まったくもって企業に対する賦課金というのは、スルーするだけの意味のないものであるということです。
ところが消費税とこのベーシック・インカムのセットというのは、課税も給付も全く所得に関係なく一律で、不公平感がありません。確かに、消費税だけを取り上げれば、低所得者にとっては逆進的な税制のように見えるかもしれませんが、それを十分に補ってあまりあるベーシック・インカムが支給されます。消費税は法人税と違って国際競争力には影響しません。影響しないどころか、どちらかというと有利に作用します。この組み合わせによって、企業は税金から解放され、労働者は貧困の恐怖と賃金奴隷の身分から解放され、女性は男性による経済的支配から解放されことになります。市場も景気変動の荒波から解放されると思います。税制と社会保障制度が非常にシンプルになります。ということは役所の機構もシンプルになるわけです。とりわけ職場環境は大幅に変貌するでしょう。不愉快な職場には人がいつかなくなるので、職場は楽しいものにならざるをえない。3Kなどの労賃は大幅にアップするでしょうし、雇用主と労働者が対等の関係になるので階級対立も消滅するでしょう。
■負の所得税とベーシックインカム
次のスライドはヴェルナーのベーシック・インカムと著名な新自由主義経済学者であるミルトン・フリードマンという人が提案した負の所得税を対比したものです。負の所得税は所得に対する課税で、低所得者にはマイナスの課税、つまり給付金が与えられるというものです。このため、負の所得税は慈善事業を法制化したようなものと言えます。フリードマン自身がはっきりと、そのようなものであると言っています。この場合、税率は所得に応じて異なりますから、脱税や資力調査などのスティグマの問題も発生します。これに対して消費税とベーシック・インカムのセットの方は、公平・透明で課税・給付がシンプルであり、役所業務もシンプルかつ効率的なものになります。先ほど消費税には逆進的な側面があると申しましたが、実際には所得の大きい人は一般に消費額も大きいので、所得の大きな人の方が多額の消費税を払うことになります。高額所得者を狙い撃ちにして多額の消費税を徴収しようとしているわけではありません。多額の税金を払いたくない高額所得者には貧乏人と同じような生活を選択できる自由があります。もっともなんのために金持ちになったのかは疑問になりますが…。
■税制改革
●地球税
次は税制改革に関する提案です。始めが地球税です。これは、課税対象を何にするのが適切であるかと言う問題と関係しています。労働や創意によって付加される価値、収益や所得に課税するというのは、人や社会のための有意義な活動に課税することですから、そもそもおかしいし、間違っているのではないでしょうか。代わりに、資源の消費と環境に被害を与える活動に対してのみ課税をするという考えの方が全うではないでしょうか。外部経済とみなされロハ扱いされていたものが有料になることで自然環境も保全されます。地球資源の利用に対して課税されれば交通費や輸送費がかなり高くなります。これらは関税と同じような役割を果たすことになります。そうなると、地域経済が自立化したり活性化したりします。巨大資本が猛威をふるうグローバリズムではなくなります。
●地価税
地価税は土地のレンタル料に対して課税するということです。シルビオ・ゲゼルの自由土地の構想と同じようなものです。地価税が導入されれば土地保有による収益が大幅に減少するので、土地の売買価格は低下して土地投機はなくなります。最終的に土地が公有化されてしまえば、土地も地球資源の一部ですから、地価税は地球税の一部になってしまうでしょう。公有化された土地はオークションによって貸し出されることになります。
●消費税
これまで、ベーシック・インカムと消費税のセットは良い組合せだと述べてきましたが、実は、消費税などという税金も必要なくなるのではないかと考えています。地球税と政府貨幣があれば、財源は十分に調達できます。財源確保のための所得税や法人税も何もいらないわけです。消費税というのは、いわゆるばらまいたお金の回収手段として考えればよいということになります。消費税は税金の調達手段ではなく、マネーサプライの調整手段のようなものになります。さらに言えば、もしも減価するお金を使うならば、この場合には――お金は硬貨や紙幣のようなハードマネーではなくデータに過ぎないソフトマネーになっている必要がありますが――減価率が回収率になりますので、消費税さえも必要なくなります。ところで、政府貨幣とベーシック・インカムのセットの方が消費税とベーシック・インカムのセットよりも優れたアイデアであると思います。いずれにしてもこれらによって、失業、貧困、老後の経済的な不安などがなくなります。そうなると、人々はお金を溜め込む必要も土地などの資産を子供達に残してやりたいといった動機も薄れてきます。従って、ベーシック・インカムや地価税の導入の延長線上には、土地の私的所有や相続制度の無意味化があるだろうと考えております。
■未来の経済システム
これからが、私がサラリーマンをやめてから考えついたことの説明になります。私の頭には、これから述べることの方が先にあったわけで、今までに述べてきたことと大部分オーバーラップしていたことに驚いています。
●三種類の配当
(1)基本配当
私の考える未来社会の経済システムでのお金は「配当」という名称にしてあります。これは流通経路に応じて三種類の呼称があります。基本配当というはベーシック・インカムのことです。ところで、ここに記載しているとおり、ベーシック・インカムには様々な呼称があるようです。何も知らない時点で、私は「基本配当」という言葉を用いたのですが、ベーシック・インカムを直訳すれば「基本所得」になります、更に「国民配当」とか「社会配当」という呼称が既にあったことにも驚いています。
未来社会では商業銀行による信用創造通貨はありません、「配当」は全て政府通貨になっています。政府には地方政府も含みますので地方政府通貨などがあってもかまいません。
(2)投資配当
これとは別に投資配当というものを考えました。おそらくこのようなアイデアを提案した人はいないと思います。これは投資をするためのお金であって、自分の消費のためには使えません。社会のために役立ててもらうお金を希望者全員に配分しましょうということで、ベーシック・インカムと同様にGバンクと呼ばれる通貨管理局から供給されます。配当の回収には減価貨幣を使います。ところで、このアイデアを考えついた時点では減価貨幣のことは知りませんでしたので、単に定率での回収を考えていました。定率でお金を回収することは、とりもなおさずお金が少なくなっていくことなので、減価貨幣と同じものであったわけです。私の考える未来社会は、最終的には無相続・私有財産社会になっています。死んだ人の遺産は社会に還元されます。具体的には、通貨管理局がこれらの遺産の売却とその売上金を管理します。地球税、政府貨幣、遺産売却代金を合計した金額はベーシック・インカムとしての総支給額をはるかに上回るでしょう。このありあまるお金を政府が全て使うのではなく、社会的に有用と思われる――有用・無用の区別は難しいので有害でなければ無用であってもかまいませんが――人々の活動を支援するために活用してもらいます。選挙と同じように投資も民主主義的に行ってもらうわけです。報酬を期待した投資でも、無報酬の寄付でもよいのです。
(3)授権配当
三番目が授権配当です。私の考える未来社会は自由な市場経済であって計画経済ではありません。未来社会でも、安価な費用でより良いモノやサービスを提供する法人や個人がより大きな収入を得ることには変わりがありません。他人から授かったお金やモノやサービスの売買代金の元が基本配当の場合も投資配当の場合もあるでしょう。このように他人から授かったお金のことを授権配当と呼んでいます。これは投資配当のように使途が特定されたお金ではなく、自由に使えるお金になります。
●無相続・私有財産社会
先ほど無相続・私有財産社会のことにふれましたが、この社会は自分の基本配当や授権配当によって得たモノは自分の資産になるが相続や譲与することができない社会です。相続・譲与の制度は人生のスタートラインに差別を設ける制度で、好ましいものではありません。未来社会では、それ以前に相続・譲与などを必要としなくなるはずです。
●税金がない社会
このような社会は、生活不安のない社会、利子のない社会、税金のない社会になります。地球税も税金ではないかと言われそうですが、これまでは私もそのように呼んできました。しかし地球税というのはそもそも税金なのでしょうか? 地球資源の排他的利用料ではないでしょうか。そうであるならば税金ではなく高速道路の利用料のようなものです。ところで、この資源の排他的利用には厳しい条件がつきます。地球環境を外部経済扱いできなくなれば、資源の濫用とか環境汚染がなくなります。ということで、地球税が利用料であるならば、世界から税金と言われるものは消滅します。
●借金のない社会
基本配当や投資配当の制度があれば、借金をする必要もなくなります。借金のない社会ということですが、貸したお金を持ち株つまり投資扱いにすれば借金なるものを社会から無くすことができます。
●民主主義
現代社会は、建前上は民主主義社会であるということになっていますが、実態はせいぜい半分しか民主主義ではありません。職場は封建的階級社会です。男女平等も建前だけです。親による子供の支配もあります。言論の自由なるものも、実際には資本が支配するマスメディアに左右されています。こういった現象も未来の経済・社会的システムは一掃することになるでしょう。
■配当(通貨)の流れ
「配当(通貨)の流れ」が、私が当初に考えた経済システムでの配当の経路です。政府は人や組織の範疇に入ります。これをもっとシンプルに書き直したものが「未来の経済システム」ですが、真ん中にGバンクという通貨管理局があり、政府を抜き出して描いています。信用創造を行う商業銀行は当然ですが存在しません。投資仲介業のようなものに取って代わるでしょう。この図ではお金の回収は減価貨幣で行っています。
■移行段階(中間段階)のシステム
「移行段階(中間段階)のシステム」では、基本配当は入っていますが、投資配当は組み込まれていません。商業銀行にも暫くは生き残る道を残しておきましょうということで、信用創造機能のない銀行の存続を考えています。それと、お金は未だ紙幣や硬貨が使用されている状態を想定しています。紙幣や硬貨の減価処理は難しいので、政府貨幣の回収は消費税のような方式にせざるをえないというのが中間段階のシステムです。
■未来社会への道程
最後は私の考える未来社会へのロードマップです。国家による単一所有、計画経済、官僚主義を柱とする社会主義経済は崩壊しました。小さな政府、商業銀行貨幣、低負担・低福祉、自己責任、市場原理主義などを骨子とする新自由主義は、今回の世界的経済恐慌によって、持続不可能な経済システムであることが明らかになってきました。この中で、大きな政府、高負担・高福祉、社会責任などを骨子とする北欧型福祉社会はその健全性を維持しています。
ケインズ型社会というのは存在していませんが、私がそう呼んでいるものです。これは大きな政府、政府貨幣、低負担・高福祉、有効需要制御経済を骨子とする社会です。政府貨幣によるベーシック・インカムの支給や有効需要の創出によって福祉社会を実現しようとするものです。ですから、北欧型社会は高負担ですが、ケインズ型社会は低負担で高福祉になります。ケインズ型社会は不況知らずになることも特徴です。政府貨幣に対する偏見が収まれば、一挙にこのような社会が実現すると思うのですが残念なことです。このケインズ型社会は北欧型の社会と連動して、いずれはひとつに収斂していくだろうと考えています。
ここまでくれば私の考える未来社会は時間の問題になります。政府貨幣による有効需要管理、基本配当や投資配当は自然に導入されるでしょう。減価貨幣の導入は多少遅れるかもしれませんが、その中継役は貨幣の回収手段としての消費税になるでしょう。地価税から地球税への延長線上には土地を含む地球環境の共有化・公有化があり、無相続・私有財産社会があるでしょう。……というのが私のイメージするユートピア的未来社会です。ご静聴有難うございました。
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