日々徒然に

日々徒然に

2006年に劇場で観た映画

「ダ・ヴィンチ・コード」


 『5月20日、全世界一斉公開』との触れ込みに乗せられたわけではないが、「ダ・ヴィンチ・コード」の朝一番の放映に行ってきた。追いつ追われつの推理に、2時間35分という時間の長さを全然感じなかった。


 謎を解いていくハーバード大学教授に、トム・ハンクスという現在のハリウッドの中で、最も知的な俳優を持ってきたことで、安心して物語に中に入っていける。トム・ハンクスは、一頃より体を搾っていたようだ。あのブヨッとした頬のたるみが無くなっていた。


 トム・ハンクスと共に謎解きに挑戦するのは、「アメリ」で一躍世界のヒロインになったフランス女優のオドレイ・トトゥだ。ハリウッド女優にはない優美さを持っている。これからハリウッドでの仕事も増えるだろうが、スポイルされることなく、フランス女優独特の優雅さを保ってもらいたいものだ。


 本物のルーブル美術館でロケをしただけあって、目には見えない緊張感に包まれていた。所蔵されている絵画も全て本物だ。撮影は、閉館後と休館日に行われたとのこと。


 ロン・ハワード監督が、シラク大統領を表敬訪問したときに、ルーブル美術館での撮影のOKをもらったそうだ。シラク大統領の方も、ヒロイン役にソフィー・マルソーを推薦しようとしたが、その時は既に配役は決まっていて、その話は無くなったという。


 トム・ハンクスらを追いかけるパリ警視庁の警部には、「レオン」のジャン・レノが扮していた。今回は、トム・ハンクスらに出し抜かれてばかりいた。彼の演技は有り触れたものだった。普通に感じさせるのが名優の証かも知れない。


 もう一人、謎解きに参加する老人がいる。その老人の役は、「ロード・オブ・ザ・リング」で良い魔法使い役で3部作全部に出演していたイアン・マッケランだ。


 ちょっとでも話の内容に触れると、ネタをばらしてしまいそうなので、後は劇場で自分の目で確かめてもらいたい。私ももう一度観てみたいと思っている。今度は、手引き書をじっくりと読んでから行きたい。歴史的な建物や場所が幾つも出てくる。


 世界史嫌いな人も、キリスト教社会がどのようにして作られていったかを知る手掛かりにもなる。しかし、フィクションも含まれているので、あくまでも世界史の興味を引き出すための手段として観ることを薦める。





「出口のない海」


 地味な作品である。戦争をテーマにした作品ではあるが、交戦場面はおろか銃器すら出てこない。爆発シーンは、海中での爆雷攻撃だけだ。潜水艦の内部は良く再現されていたし、特撮も違和感がなかった。

 戦争というもののもう一つの顔が見られる作品でもあった。流血の惨状が無くても、十分に戦争の惨さと非情さが伝わってきた。

 ほぼ原作の味を生かしているが、主人公が特攻隊に志願するまでの葛藤や、部隊内の人間同士のドロドロとした確執が、描ききれていないように思った。原作の行間から滲み出てくる重苦しさが映画では少なく感じられた。あくまでも特攻隊を悲劇的に扱い、隊内のことはサラッと流している。

 原作の全てを映画に盛り込むことは不可能だし、文学と映像表現は全く別物だ。映画の場合は、その作品の何処にスポットライトを当てるかである。

 原作を先に読んでいたからかも知れないが、この原作が描き切れていない感じだが、最近見た戦争を扱った映画の中では最高の出来だった。



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