日々徒然に

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私と病気2



 教授は私の病気については専門ではないらしく、この病気について研究している助教授が担当となった。病名は「錐体外路系症候群による不随意運動」とのことだった。また、私の直接の主治医は若い医局員が担当した。幾つかの検査を受けた後、手術となった。その手術とは、定位脳手術というものだった。

 手術当日の朝早く、病院の散髪屋が来て、私の頭を丸刈りにして更に剃っていった。その日はちょうど高校の卒業式の日だった。従って、私には高校の卒業式の思い出はない。退院してから高校に卒業証書をもらいに行った。

 手術室の前まで車椅子に乗せられて行った。手術室には歩いて入った。手術台に上がると、頭を枠で固定した。更に足を手術台に固定した。最初は主治医の若い医局員ともう一人医者がいるだけだった。

 そのうちに顔に覆いを掛けられて、耳だけが頼りとなった。助教授も現れていよいよ手術の開始である。外が見えなくてもその場の雰囲気でだいたいのことは分かる。局部麻酔である。シュッシュと頭にスプレーをされたような感じだった。麻酔はそれだけだった。執刀はその若い医局員がするらしかった。いつまで経っても始まらない。そのうちに助教授が、「遠慮せんと、切れ切れ!」と言った。この医局員は手術が初めてのようだった。

 何か頭を引っ掻くような感じがした。その後はドリルで穴を開けられた。その時は頭に凄い圧力を感じるとともに、頭の上でかき氷でも作っているような音が響き渡った。

 それから頭の上で何やガチャガチャと音がしていた。また助教授が怒鳴る「そんなことは教えんぞ!」。私はもう諦めの境地だった。騒々しかったのはそこまでで、後は静寂が流れた。3,4時間経った頃、急に騒がしくなった。

 この手術は、頭の左側(私の場合は右手だったので)に穴を開けて、針を脳の奥の視床まで差し込み、電流を流して震えを起こしている部分を焼き切るのだ。静かになったのはその部分を探すのにレントゲンなどで検討していたためらしい。

「何アンペア、何アンペア、流します!」という声が聞こえる。そのうちに寝ている私に水の入ったコップを持たせた。震えが収まっているかどうか確かめているのだ。

 そうして手術は終わった。6時間半が経っていた。手術が成功したので、助教授も主治医も上機嫌だった。しかし、そんなに簡単に組み伏せられるような病気ではなかったのだ。


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