Fancy&Happiness

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君の腕の中で死ねたら― プロローグ


僕と君の短くて儚い物語。
今でもよく覚えてる。
僕たちが出会ったのは、大きな桜の木の下だったね
さあ、そこから記憶をたどろう。
本のページをめくるように、ゆっくりと...

―君の腕の中で死ねたら―


春先で移動にされて、僕は少し田舎に引っ越さなければならなくなった。
半ば必死に物件を探して、自分の条件にぴったりの部屋を見つけることが出来たのは幸いだけど。
1DK、家賃4万。
なかなかキレイで、駅からも結構近いのにこの値段は安い(と思う)。
もしかして、なにか理由があるのだろうか?
・・・・・自殺者が出た、とかさ。
契約した後だから、今更だけどね。

引越しして来て見れば、ここは思ったより素敵な場所だった。
季節は春。道路沿いに植えられた木は全部桜の木で、ちょうど満開。美しい景色だった。
しかし、スーパーなど日用品を売る店を見かけなかったのが大いに不安だ。
この辺の店などを知る必要がある。
アパートを出てすぐは公園になっていて、子供たちが元気よく遊んでいた。
そこを右に行くと駅に向かうのだが、僕はあえて左に曲がってみた。
ややカーブの上り坂を上っていくと、ぽつんと上のほうに白くて大きな建物が見える。
・・・病院・・・だろうか?
5分ほど上り続けて、やっと白い建物のそばまでやって来た。
近くで見るその建物は、やはり病院か、それ以外なら老人ホームのように見える。 続く


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