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カテゴリ: 實戦刀譚

古人の教えた外装

  刀の武用的外装の記述として権威あるもののひとつは、
 文政年間に、信州高遠藩士星野常富という兵学者の著述になる
 『武學拾粹』全八巻中の第三巻に所載されるもので、この書物は
 全国に行われたもののひとつである。
 この著者は彼の『常山紀談』その他の戦記、
 ことに天草の乱における実戦の模様を精細に研究し、
 武士の野外における要務を一通り説いたものである。
  戦陣用刀の外装に関するものの一部を要約摘記してみよう。

  柄は七寸五分か八寸柚の木にて随分堅くかき入、
  中心(なかご)は柄先まで通る程にすべし。
  短きは釣合も宜(よろ)しからず。
  両手をかけて打たる時柄中より間々打折る事あり。
  短き中心は摺上げてなりとも長くなすべし。
  椽頭(ふちがしら)は鐵(てつ)或は銅にて造るべし。
  高彫(たかぼり)置上(おきあげ)などは害多し。用ふべからず。
  目釘は目詰まりたる竹を用ひ、目貫(めぬき)高過ぎざる様にし、
  柄鮫は上を平苧(ひらを)にて巻き塗籠(ぬりごめ)るとも又漆着せにすべし。
  柄糸は太刀巻片捻巻などがよろし、
  又柄糸巻たる上を麻の縷緒(よりを)觀世紙縒(かんぜこより)の類にて
  くるくる巻いて陣用に備うべしと云(いふ)説あれども
  柄太くなり手の内の締り惡しければ利少なかるべし。
  鍔(つば)は鐵の無地、形は丸撫、角、木瓜など好みに依るべし。
  (中略)?銅(はばきどう)の一重、切羽(せっぱ)も一枚、
  裏の方厚さ一分餘(あまり)にし、くつろぎなき様に摺込むべし。
  ?は物強く當(あた)る時は忽(たちまち)に放るる故、
  鍔刃の方へ踊り出、柄甘く手心惡しきもの也。
  其時の用心に裏切羽を丈夫に拵ふべし。
  鞘は下に糊づけにし合せ上を漆にて塗りしものなれば
  長陣にて雨露にうたれ或は川越の時水に入らば糊はとび放るるもの也。
  夫(それ)を厭(いと)うには平苧にて巻きたる上を塗籠にするか、
  巻鞘など宜しかるべし。
  上飾の〓[金交]具(かうぐ)のみ美々しくしたりとも
  格別の強みともなるべからず。
  太刀拵なんどは時勢に不相應とや云べき。
  古(いにし)へ衛府の横刀は荘觀を第一とし鳥頸龍頭の飾美々しく
  刃は細造り木太刀などなりしを革ひもをもて佩きし故
  柄先下り見苦しきに依り鞘尻に〓[金交]具つけて釣合とせし也。
  今の刀は儀杖の荘觀を省き刃肉厚きを好めば、
  太刀拵にしたるは帯差にしても腰固(こしがため)にさしても
  小尻下がり騎歩共に働きあしく
  且(まさに)無用の重荷を佩ぶるに等しければ
  害あるとも利なかるべし。

  右は武用刀外装の記述として、簡にして要を得たものであって、
 決して机上の論議ではない事は第一線に従軍して、
 つぶさに血刀を手がけた者には、ぴったりと来るところがある。
 以下右の古記を台として、実戦から得た外装上の事実譚をのべてみよう。







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Last updated  2012年04月27日 02時21分09秒


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