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それは1枚の広告がきっかけとなった。只野の言葉にすれば、新聞の「チラシ」ということになる。
ベッドである。板間の寝床というのは、やはり少し違う感じがしていた。「いずれベッドだな」と思い始めていた。
チラシには、手頃な値段のベッドが載っていた。「このあたりが頃合いだな」などと只野は思ってしまうことになった。
「よし買いに行こう」思いついたが日曜日である。こういうときの只野の行動は早い。
「チラシに載っていたベッドですけど...」只野は店員に尋ねた。 「それはこれですね」店員は軽妙な受け答えである。「まぁこれもいいんですけどね...」店員は客の要望を半分受け入れながらも、否定的講釈の構えである。
「頭に小物入れがあれば...」と只野。 「それもいいんですけど、実際寝てみると頭の上というのは案外使いにくいんですよ。むしろベッドサイドに小さな台を置いた方が...」と店員。
「ベッド下に収納があれば...」と只野。 「収納は便利ですよね。でも通気がよくないんですよね。ベッド下は空けておいた方が...」と店員。
「マットレスが大事なんですよ。寝てみてください...違うでしょ。そうそう替えるものじゃないし、マットレスにはお金をかけた方が...」と店員。
結果、只野は予算にして3倍の金銭をかけることになった。ちなみに只野のセミダブルと家内のシングルである。加えて急遽、手持ちの予算から、ボーナスをあてにせざるを得なくなった。
いずれにせよ、いよいよ只野の就寝も高床の時代に入ることになった。
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