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図書館で『キャッシュレス進化論』という本を、手にしたのです。「いつもニコニコ現金払い」がモットーのアナログ老人にとってキャッスレスは脅威なのです。【キャッシュレス進化論】安留義孝著、金融財政事情研究会、2019年刊<「BOOK」データベース>よりこれでいいのか!?日本のキャッシュレス。必要なのはFinTechではなく、LiveTech。決済は日常生活の利便性を追求し進化すべきもの。決済事業者による“お仕着せ”のキャッシュレス化にNOを!世界中のキャッシュレスを知り尽くす著者が、日本に足りない視点を提示。<読む前の大使寸評>「いつもニコニコ現金払い」がモットーのアナログ老人にとってキャッスレスは脅威なのです。rakutenキャッシュレス進化論「第2章 日本の決済はいま」で日本のキャッシュレス化を、見てみましょう。p14~16<2-1 現金を中心とした日本の決済環境> 日本の銀行口座保有率は98.2%(2017年、World Bank)と世界のトップクラスを誇り、10万人当たりの銀行の店舗は34.0店、ATMは127.7台である。その数は10年以上大きな変化はない。キャッシュレス化が進む欧州などの先進国では基本的には減少の一途で、経済成長が進むアジアの途上国では増加の一途だが、日本は良くも悪くも安定してしまっている。 そして、郵便局、農協、コンビニ(ATM)が全国津々浦々まで展開され、地方都市も含めた金融包摂が実現できている。 その恩恵を受け、給与は銀行口座に振り込まれるものの、自宅、勤務先・学校の付近はいうまでもなく、リゾート地でも、いつでも、どこでも、現金を手に入れられる環境が整う。 紙幣もきれいで、その精巧さからも偽札も限りなくゼロである。また、ある一定期間で紙幣が更新されるのも、偽造防止には役立っている。当然だが、紙幣を製造するにはコストがかかる。日本は国内で製造する技術力をもつが、その技術を持たない国は、紙幣の製造を外国に委託しなければならず、外貨の準備ができない国では、古い、汚い、疲れた紙幣が流通し続けている。 最高紙幣が1万円で、加えて5000円、2000円、1000円と4種類だが、実際りゅうつうしているのは2000円を除く3種類であり、わかりやすい。そして1万円札1枚あれば1日の生活費には十分であり、経済と紙幣のバランスは良い。なお、インドネシアの最大価値の紙幣は100,000ルピアだが、約750円の価値しかない。ちょっとした買い物でも、財布がパンパンになってしまい、その桁数から計算も混乱してしまう。 そして、コインも500円、1大薗、50円、10円、5円、1円と種類も適切で、見分けヤスク、サイズも良い。またオーストラリアの50セント硬貨は31.51㎜で500円硬貨の26.5㎜と比べてもかなり大きい。一説では、オーストラリアは効果の扱いにくさが、キャッシュレス化の進展に貢献したといわれている。 そして、日本の治安は良く、盗難のリスクは非常に少ない。万が一財布を落とした場合でも、他国と比べれば、見つかる可能性は非常に高い。 さらに高額紙幣の1万円札の支払でも拒否されることはなく、POSのおかげでもあるが、日本人はケイ酸が得意な国民であり、精算時の誤りも限りなく少ない。<2-2 意外に進んでいる日本の決済の多様性> しかし、現金決済の環境が整う日本だが、いうまでもなく、すでに現金だけで生活しているわけではない。 クレジットカードは平均2.5枚保有し、首都圏をはじめ、IC乗車券が普及する地域に在住の人はSuica、PASMOなどの交通系電子マネーを日々利用している。生活圏にイオン、セブン-イレブンがあれば、同様に、WAON、nanacoもりようしている。さらに、ライフスタイルに応じてスターバックスなど個店ごとの電子マネーをもつ人も多い。ECではPayPal(ペイパル)などの決済代行も利用されている。 しかし、欧州ではデビッドカードがキャッシュレス決済を支えているが、日本では普及していない。ただし、日本のクレジットカードの利用方法は、海外諸国と異なり、実質的にはデビッドカードと同じともいえる。一括払いが中心であり、利用のつど、銀行口座から引き落とされることはないが、翌月の支払日の残額を意識しながら利用している人が多い。
2023.08.04
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<アマゾンvs楽天 R3>ひと昔前に、アマゾンと楽天といえば本の通販という感じだったけど・・・今ではeコマース、巨大物流の対決にさえなった感がありますね。個人的な買い物では、アマゾンでWin8.1タブレットを購入したので、アマゾンに軍配があがったわけですが・・・この際、グローバルな対決とまでなったアマゾンvs楽天の戦いを集めてみました。・潜入ルポ アマゾン帝国の闇・アマゾン・エフェクト・アマゾンのすごいルール・驕るな!アマゾン・アマゾンが本の値引き販売・アマゾンで中古車購入・ジェフ・ベゾス 果てなき野望・大型物流施設建設ラッシュで物流バブル?・アマゾンvs楽天の戦い・三木谷さんが経団連を退会・電子書籍大手コボを買収R3:『潜入ルポ アマゾン帝国の闇』を追記【潜入ルポ アマゾン帝国の闇】横田増生著、小学館、2022年刊<「BOOK」データベース>より潜入ジャーナリストが巨大倉庫で見た“便利の裏側”とは?第19回新潮ドキュメント賞受賞作。【目次第1章 15年ぶり2度目の巨大倉庫潜入/第2章 アマゾンではたらく社員の告発/第3章 宅配ドライバーは二度ベルを鳴らす/第4章 ヨーロッパを徘徊するアマゾンという妖怪/第5章 ジェフ・ベゾス あまりにも果てなき野望/第6章 わが憎しみのマーケットプレイス/第7章 フェイクレビューは止まらない/第8章 AWSはAIアナウンサーの夢を見るか/第9章 ベゾスの完全租税回避マニュアル/第10章 “デス・バイ・アマゾン”の第一犠牲者<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約(10/14予約、副本2、予約10)>rakuten潜入ルポ アマゾン帝国の闇『潜入ルポ アマゾン帝国の闇』3:巨象に立ち向かうアリ『潜入ルポ アマゾン帝国の闇』2:はじめに『増える宅配、事故が怖い』:『潜入ルポ アマゾン帝国の闇』1<アマゾン・エフェクト>今日の朝日新聞で「アマゾン・エフェクト」という言葉を見たので、さっそくネットで見てコピペしたので紹介します。要するに、スーパーや百貨店がアマゾンなんかの大手ネット通販の驚異に晒されて、対応策に苦慮しているようです。この記事をスクラップしたのだが・・・デジタルデータとダブルで保存するところが、いかにもアナログ老人ではあるなあ。(2019.10.10デジタル朝日から転記しました)<セブン&アイが大リストラ コンビニ閉鎖・移転1千店> セブン&アイ・ホールディングスは10日、グループの事業構造改革の方針を公表した。主力のコンビニエンスストア「セブン―イレブン」は約1千店の閉鎖・移転のほか、加盟店の負担を減らして収益力を改善させ、不振の総合スーパー「イトーヨーカドー」や百貨店の「そごう・西武」は店舗閉鎖や事業見直しなどのリストラを進める。人手不足やネット通販の普及に伴い、流通大手が事業の大幅見直しを迫られた。 セブン―イレブンでは、フランチャイズ(FC)契約する加盟店の加盟店料を減額し、各店の収益力を改善させる。セブン本部の利益は約100億円減る見込み。コンビニ事業の利益水準を維持するため、2019年下期以降に不採算店1千店を閉鎖・移転させ、本部人員の見直しや売り場の見直しも行う。 ヨーカドーでは、33店舗で閉店やグループ外企業との連携を検討する。具体的な店舗名は公表していない。また、衣料や住居関連事業を見直し、同事業の売り場面積を減らす。従業員数を22年度末には18年度末比で約1700人減らす。 そごう・西武では5店舗を閉鎖し、2店舗の売り場面積を減らす。従業員数は22年度末には18年度末比で約1300人減らす。セブン&アイ・ホールディングスの構造改革骨子【セブン―イレブン】・店主が本部に支払う加盟店料(チャージ)の見直し。24時間営業の店、非24時間営業の店ともに店主側の負担を軽減。具体的には、利益水準に合わせてチャージを24時間営業店については月額3万5千円~20万円減額。非24時間営業店については月額1万5千円~7万円減額する・2019年下期以降、約1千店の不採算店を閉鎖・移転【イトーヨーカ堂】・33店舗をグループ内外の企業と連携、閉店を検討・22年度末の従業員数を18年度末より約1700人減【そごう・西武】・20年8月から21年2月にかけて5店(西武岡崎店、西武大津店、そごう西神店、そごう徳島店、そごう川口店)を閉鎖、2店(西武秋田店、西武福井店)は売り場面積を減らす・22年度末の従業員数を18年度末より約1300人減在りし日の「そごう神戸店」<『アマゾンのすごいルール』2>図書館に予約していた『アマゾンのすごいルール』という本を、ゲットしたのです。かつて、アマゾンが本のeコマースを始めた頃は手早い配送には感心したものだが…昨今では、日本の流通業界を振り回すほどの巨大企業になりましたね。…その成功の秘密を見てみましょう。【アマゾンのすごいルール】佐藤将之著、宝島社、2018年刊<「BOOK」データベース>よりだからAmazonは成功した!Amazonの最大の武器は超合理的な「仕事術」だった。アマゾン ジャパンの立ち上げメンバーがジェフ・ベゾス直伝のメソッドを初公開。最速×最高の結果を出す仕事術と14の心得。<読む前の大使寸評>かつて、アマゾンが本のeコマースを始めた頃は手早い配送には感心したものだが…昨今では、日本の流通業界を振り回すほどの巨大企業になりましたね。…その成功の秘密を見てみましょう。<図書館予約:5/18予約、9/28受取>rakutenアマゾンのすごいルール『アマゾンのすごいルール』1<驕るな!アマゾン>お坊さんネット手配ってか・・・・ここまで来ると、「驕るな!アマゾン」と言いたくなるぜ。問題の根、は公明党(創価学会)に対するさまざまな税制優遇が裏にあるのだが。2015.12.26お坊さんネット手配「中止を」 アマゾンに仏教会要請へより ネット通販大手のアマゾンジャパンで申し込むことができる僧侶の手配サービスが始まった。このサービスが「宗教行為を商品化している」として、全国の主要宗派などでつくる全日本仏教会(全仏)が年明け、米アマゾン本社に対して文書でサイト掲載の中止を申し入れることが分かった。 アマゾンは今月上旬、葬儀社紹介サイト運営の「みんれび」(東京)が提供する僧侶の手配サービス「お坊さん便」をサイトに掲載しはじめた。サービス自体はみんれびが2年前に始めたもので、定額・追加料金なしで僧侶を法事や法要に仲介する。登録する僧侶は約400人で、主な宗派をそろえているという。仲介の実数は公表していないが、2014年は前年の3倍の受注があったとしている。 みんれびはサービスを広げようとアマゾンに「出品」した。売買されるのは僧侶の手配を約束するチケット(手配書)で、基本価格は税込み3万5千円。クレジットカード決済もできる。アマゾンやみんれびの手数料を除いた分が僧侶に「お布施」として入る。アマゾン経由でみんれびに10件以上の申し込みがあった。 これに対し全仏は24日、斎藤明聖理事長名で「宗教行為をサービスとして商品にし、宗教に対する姿勢に疑問と失望を禁じ得ない」との談話を発表。斎藤理事長は25日、朝日新聞の取材に「イスラム教圏であれキリスト教圏であれ、宗教行為を商品化している例はない。申し入れをアマゾンとの対話のきっかけにしたい」と話した。 アマゾンジャパン広報は「現時点でお答えできることはなく、コメントは控える」としている。(佐藤秀男) ◇ 仏教界が神経をとがらせるのは、宗教行為の「商品化」や「ビジネス化」が広がると、宗教法人へのさまざまな税制優遇の根拠が揺らぎかねないと懸念しているからだ。 現状では、宗教法人が得るお布施は喜捨とみなされ、法人は消費税を払わなくていい。僧侶個人が得たお布施は所得税の課税対象になるが、法人に入った場合は法人税が非課税だ。「お坊さん便」では、手配サービスを手がける「みんれび」側の所得は課税対象だが、僧侶側が取り分を納税するかは、僧侶側に委ねているという。 最近でも、都心のビル型納骨堂に東京都が固定資産税をかけたのに対し、宗教法人が「墓地と同様に非課税」と主張して都を提訴するなど、宗教とビジネスの課税上の「線引き」をめぐって税務当局と宗教法人は緊張関係にある。 全仏は、2009年に葬儀業に参入した大手スーパーのイオンが10年に寺院を紹介するサービスを始めた際も、「お布施が『ギャラ』のように表示され、寺が戒名を売買している印象も与える」などとして、料金表示の中止を申し入れた。現在イオンでは、対象は菩提寺のない人に限ったもので、お布施は「目安」とホームページ上で明記。口頭でも説明している。 一方、「お坊さん便」への好意的な見方もある。川崎市の自営業の男性(67)は今年11月、92歳で亡くなった父親の葬儀で「お坊さん便」を利用した。普段、寺と付き合いがなく、葬儀社には「僧侶を呼ぶと20万円以上かかる」と言われたが、半額以下で済んだ。「お経は聞いても意味が分からないし、しっかり供養してくれたら誰に頼んでも大差ない。友達にもすすめたい」と話す。 サービスに前向きな僧侶もいる。中国地方の寺で住職をしている40代男性は、数年前から首都圏に部屋を借り、「出稼ぎ」に来ている。「お坊さん便」だけでなく、知り合いの僧侶や葬儀社から声がかかれば、葬儀や法事に出かける。過疎が進む地元では経済的にやっていけないからだ。檀家(だんか)は数十軒しかなく、葬儀は年に1度あるかないか。地元にいるのは1年のうち3分の1ほど。「田舎で家族と暮らせればいいが、それではとてもやっていけない」と嘆く。 みんれびに登録する曹洞宗見性院(埼玉県熊谷市)の橋本英樹住職は「異論は承知の上。批判にさらされることで、仏教界に必要なことが見えてくる」と前向きだ。みんれびの秋田将志副社長兼COOは「経済的に苦しい僧侶が多いと肌で感じており、利用者のニーズも高い。仏教界とは共存共栄していきたい」と話す。<アマゾンが本の値引き販売>「アマゾンが本の値引き販売」というヘッドラインが新聞に載っているが、聞き捨てならないわけです。日頃、アマゾンを愛用しているのだが・・・日本の出版文化に手をつけるのは許されない行為ではないか!記事をじっくり、見てみましょう。2015.12.24アマゾンが本の値引き販売 根強い警戒感より ネット通販大手のアマゾンが、刊行から一定期間を過ぎた一部の本の値引き販売を始めた。本は再販売価格維持制度に基づく定価販売が普通だが、出版社から“要望”のあった本の値引き販売は認められている。ただ、参加するのは1社のみ。出版界の慣行を揺さぶる「黒船」への警戒感は根強い。「再販制度で競争原理働かず」アマゾン書籍担当・村井氏 参加するのは筑摩書房。「フローベール全集」など8タイトルで、当面は来年1月中旬ごろまで定価の2割を値引きする。アマゾンの値引き販売は6月に続いて2回目だが、5社の計約110タイトルだった前回から大幅に減った。しかも筑摩は約100の一般書店でも同様の取り組みをすでに始めており、今回はアマゾンが筑摩の取り組みに乗った形で、アマゾン単独の値引き販売に参加する出版社は今のところゼロだ。 「今回は参加できない」 前回参加した出版社の社長は11月にアマゾンから誘いを受け、そう漏らした。前回の販売初日、大手書店から「どういうことか説明に来て欲しい」と電話がかかってきた。書店役員らが居並ぶ部屋で、経緯説明と謝罪を求められ、他の一般書店からも本が続々と返本されてきた。「まさかここまでたたかれるとは思わなかった」 一般書店側の強烈な締め付けが出版社の参加を阻んだ形だが、アマゾンが出版社への攻勢を緩める気配はない。 10月、東京・目黒のアマゾンジャパン本社ビルに、大手・中堅出版社の社長と営業担当者らが集められ、2週にわたって計約40社が“懇談会”に参加した。 「出版がこれほど低落した原因は?」「アマゾンに期待することは?」 アマゾン側から立て続けに質問され、参加した社長らは、渡されたスケッチブックに「コンテンツの魅力を増すのを怠った」「アマゾンに長く本を置いてもらいたい」などと書き込んで見せた。 最後にアマゾンから直取引を持ちかけられた。出版社は通常、定価の7割弱で取次会社に本を卸し、そこから一般書店やネット書店に配本する。アマゾンもこれまでは日本出版販売(日販)などの取次会社を通して仕入れてきた。だが、取次の在庫に欠品が出た際に出版社から直接仕入れられれば、顧客に届けるまでの時間を短縮できる。スピード重視のアマゾンにとっては魅力的だ。 ただ、アマゾンは直取引の場合の仕入れ値(料率)を低く設定するため、出版社の利幅は薄い。中小出版社で組織する日本出版者協議会は16日、「直取引の拡大は書店・取次の廃業につながる」との声明を出した。 アマゾンには「カート外し」という“技”もあるとされる。サイトのショッピングカートを外す=商品を扱わないという意味だ。 複数の中小出版社が今春、アマゾンから「マーケティングプログラム」への参加を呼びかけられた。アマゾンのサイトへの露出を増やすなどの代わりに、そこでの全売り上げから一定割合を支払う仕組みだった。ある出版社はアマゾン側から「提案に乗らなければ取り扱わない商品も出てくる」と説明されたという。「『カート外し』をされるとなれば、提案に乗るしか選択肢はなかった」 一般書店側も手をこまぬいているわけではない。アマゾンへの対抗策も出てきている。紀伊国屋書店は9月に刊行された村上春樹さんのエッセー「職業としての小説家」を発行元の出版社から買い取り続ける。総発行部数20万部のうち約14万部を買ったという。しかし、これほど買い占めてもアマゾンで品切れになったことは一度もない。紀伊国屋の高井昌史社長は11月の講演で「品切れにならないのが不思議だ」と不満を漏らした。アマゾンは「別ルートで独自に仕入れている」と説明している。 出版市場は1996年の2兆6500億円をピークに縮み続け、2014年は1兆6千億円。出版流通に詳しい関係者は「アマゾンなしではやっていけない出版社もある」と危機感を募らす。 専修大学の植村八潮教授(出版学)は「書店を守ろうと、フランスでは値引きした本の無料配送を禁止する『反アマゾン法』と呼ばれる法律もできた。日本のネット書店で一強状態のアマゾンに流通網を握られるのは、出版文化の危機だ」と指摘する。(塩原賢、竹内誠人)<アマゾンで中古車購入>アマゾンのラインアップに、中古車が加わったそうです。ついに、車をワンクリック注文のe-コマースで買うようになったのか。7/15アマゾン、中古車をネット販売 名古屋の企業とタッグより インターネット通販大手のアマゾンが中古車のネット販売を始め、車離れが進む若者らへの売り込みを加速させている。名古屋市の中古車販売会社ネクステージと組み、車を供給する仕組みを整えた。購入がお手軽になる一方で、中古車は傷や故障も少なくない。不具合などのマイナス面も含めた情報の徹底開示が普及の鍵になりそうだ。■価格3種類、最短2週間 アマゾンの商品は多岐にわたり、カメラやお菓子など1億種類を超える。そのラインアップに6月3日、中古車が初めて加わった。買い方は、おなじみの書籍やCDなどと同じ。ネット上の写真を選んで走行距離や車の傷などを確認。あとは「ワンクリック注文」を押すだけだ。 違うところと言えば、車庫証明などの書類を郵送することぐらい。注文すると、最短2週間で車を自宅の前までキャリアカーに積んで届けてくれる。 いろいろな店の在庫をネットで調べ、問い合わせするのは中古車探しの常套手段だ。だが、スマホやパソコンで車を選び、支払いもネットで済ませてしまうのは、アマゾンならではだ。 アマゾンジャパンは「安さと便利さにこだわって独自の仕組みにした」(広報)という。中古車販売の大手とも連携を探ったが、価格などの仕組みで考えが一致したのがネクステージだった。ネクステージはアマゾンに販売手数料を支払うが、それ以上にアマゾンの知名度の高さを利用できることが魅力だった。 掲載されている車は軽自動車や小型車を中心とした約220台。製造されてから10年くらいの車が多い。 おもしろいのは価格設定だ。「33万円、44万円、55万円」の3種類だけ。値引き交渉はない。わかりやすい価格にするため、各種税金や自動車の登録などの手数料も込みの価格で、都市部の人なら追加費用はかからない仕組みだという。 アマゾンで早速、富士重工業の軽自動車プレオ(2003年製)を33万円で買った千葉県の大谷隆介さん(58)は「最終的にいくら払えばいいかわかったので、安心して買えた」。 これまでにアマゾンで売れた車の数は100台弱。この半分が首都圏を含む関東からの注文だ。東海地方を地盤に置くネクステージにとって、市場が大きい関東の手薄さが頭痛の種だった。ネクステージの山口慎也WEBマーケティング課長は「狙い通り」と語る。■品質確認課題、返品も可能 新車のネット販売は、各メーカーにとっては「御法度」だ。全国どこからも注文できるようになれば、担当地域ごとに販売店を割り振るメーカー主導の今の売り方が崩れ、体力の弱い店舗がつぶれかねないからだ。ネット販売の全国展開は、メーカーの影響力が弱い中古車だからこそできる売り方と言える。 ネクステージは、3年後には自前のサイトの分も合わせ、ネット販売で年3万台を売る目標を掲げる。昨年1年間に全店舗で売った台数に匹敵する規模だが、実現は容易ではない。 新車と違い、ドライバーの使い方次第で乗り心地が変わるのが中古車だ。実際に車をみたり店員と話したりして購入する店舗販売でさえ、購入後に「聞いてない不具合がある」とトラブルになる例も少なくない。 まして、サイト上の情報だけに頼るネット販売は、購入者に車の不具合をしっかり理解してもらうには限界がある。中古車販売最大手のガリバー(東京都)も08年に一度始めたが、「事前説明が不十分だとクレームが来てブランドイメージに傷が付きかねない」と、11年に撤退したほどだ。 ネクステージは車の状況を事前にわかった上で買ってもらうため、目立つ傷の写真や第三者が車の品質をチェックした鑑定書を、アマゾンのサイトの商品説明に載せたりしているが、「想像していたのと違って後部座席にスピーカーがついていない」といった苦情も寄せられている。購入者の期待を裏切らないようにするため、納車から1週間以内なら返品に応じることにもしている。 ある業界他社の社員は「ネット販売で売れるのは、購入者がもともと高い品質を期待していない数十万円の車に限られるだろう」と分析する。(大内奏、大日向寛文)中古車の値段が、33万、44万、55万の3種類というのが、面白い♪つい最近、アマゾンでタブレットを購入したのだが、短納期で、値段も比較的リーズナブルなアマゾンに不満はないわけです。ジェフ・ベゾス 果てなき野望ジェフ・ベゾス 果てなき野望より<「顧客体験の優先」貪欲に追求:川端裕人(作家) > 1994年創業、2000年に日本上陸した時、アマゾンは「オンライン書店」だった。それが今では、音楽、映画などのコンテンツ、衣料、家電、飲料、サプリまで、驚異的な拡大を遂げた。本書は謎に満ちた創業者、ジェフ・ベゾス氏について書かれた初の“半公認”評伝。特異なリーダー像と社の特質をあぶり出す。 実際、アマゾンは変だ。書籍購入の際に壁となる配送料をいち早く無料にした時には、果たして利益は出るのかと議論になった。商品検索すると中古出品(売り手は個人も多い)が同時に表示される。場合によっては他社サイトのリンクまで出るので、比較して買うことも可能。一体アマゾンは何を考えているのか……。 ベゾス氏の経営哲学は「顧客体験の優先」で、顧客に還元できない無駄は省く主義という。幹部でも飛行機のビジネスクラスは禁止。新製品の会議では、パワーポイントなどスライドを嫌い、最初からプレスリリースの形で顧客視線を意識させる。直接会った者なら忘れられないという強烈な笑い声、理念の貪欲な追求。社員の福利厚生にはほとんど投資しないが、企業を買収しては時に失敗する。それでも生き残る。恐怖政治が恒常化し、社員はしゃにむに働き続けるのを余儀なくされる。それがネットビジネス界の古参となり、今や「小売り」では収まらない「テクノロジー企業」として羽ばたく。著者はアマゾン社の取材を許された立場だが、しばしば辛辣な筆致で「ベゾスのアマゾン」を描き出す。 なおベゾス氏は個人の夢として宇宙開発を挙げ、民間宇宙開発企業を既に創業している。毎週水曜日午後をこの会社のために使う習慣で、テキサス州の広大な所有地では、宇宙ロケットの開発が進んでいる。「なぜ」と思う人もいるかもしれないが、これもまた複雑にして孤高の経営者の一つの顔だ。 ◇『ジェフ・ベゾス 果てなき野望』 ブラッド・ストーン著、日経BP社、2014年刊 <「BOOK」データベース>よりインターネットに大きく賭け、買い物や読書の習慣を大きく変えてしまったアマゾン創業者、ジェフ・ベゾス。本書は、その奇才の生い立ちから現在までをベテランジャーナリストが追った物語である。フィナンシャル・タイムズ紙、ゴールドマン・サックス共催ビジネスブック・オブ・ザ・イヤー2013受賞!【目次】第1部 信念を貫く(アマゾンは金融工学の会社から生まれた/冷たい目を持つ聡明な男/ベゾスの白昼夢と社内の混乱/宿敵アナリストに打ち勝つ)/第2部 書店サイトだけでは終わらない(ロケット少年/混乱続きの物流システム/テクノロジー企業であって小売企業ではない/キンドル誕生)/第3部 伝道師か、金の亡者か(グーグル、アップルと並ぶ会社になる/ご都合主義/疑問符の王国)<読む前の大使寸評> アマゾンvs楽天の日米対決が熾烈な昨今であるが、アマゾンのジェフ・ベゾスCEOが興味深いのです。 金融工学の会社から生まれ、優れた物流システムを持つアマゾンはいかにもアメリカ企業ですね。とにかく、アマゾンvs楽天の対決は、フラット化する世界でも取りあげたように、目下の関心事でおます。rakutenジェフ・ベゾス 果てなき野望大型物流施設建設ラッシュで物流バブル?ちょっと古いけど、13年4月時点での大型物流拠点のニュースです。楽天、アマゾン…ネット通販各社の大型物流施設建設ラッシュで物流バブル?より 日本国内のEコマース(電子商取引)市場は2011年で約8兆5000億円(経済産業省調べ)と、この5年間でほぼ倍増した。ちなみに、同時期の米国の同市場は1938億ドル(約16兆円/米商務省調べ)となっている。 このように、すでに日本は米国の半分規模となる巨大な市場を形成しているのだ。さらに人口対比換算をして国民一人当たりのEコマース市場を見ると、日本は米国の1.25倍に達する。 そうした動きと連動するように、このところ首都圏を中心に、ネット通販事業向けの最新鋭大型物流施設が続々と開業している。その背景には、アマゾンの即日配送に対する各社の強い危機感がある。たとえば楽天は、日本の人口の約7割をカバーするエリアに即日配送するため、100億円規模の投資を発表している。 一方、三井不動産も物流事業に初参入する。今後6年間で3大都市圏主体に約20棟の物流施設を建設し、即日配送も可能な多様なネット通販業者のニーズに対応するという。さらに三菱地所や大和ハウス工業などの異業種大手も、相次いでこの物流市場へ参入しだしてきた。 このような、いわば「物流バブル」とも言える現象は、物流系REIT(リート)相場が過熱してこの業界に資金がふんだんに流れ込んでくるなど、実需以外の要因も指摘されている。 それはともかくとして、こうしたハイテク物流施設の急増は、ネット通販の利便性と市場拡大をさらに促進することに変わりはない。従って有店舗小売業はそうした面からも、「わざわざ店に来てもらう」魅力と武器の明確化と強化が求められよう。 一方、前述のように増加、進化する「サードパーティ・ロジスティックス」に勝る究極の手法は、独自の自社物流方式の確立だろう。言うまでもなくそのベンチマーキング企業は、ネット通販ではアマゾン、そして有店舗では「しまむら」だ。アマゾンvs楽天の戦いネット通販でAmzonが楽天を抜いたんだそうですね。えらいこっちゃ!Amzonの納品の早さは、なんか別次元のような感じがしていたけど・・・・物流に対するインフラが違っていたんでしょうね。でも、ナショナリストの大使としては・・・この際、本の通販については楽天ブックスを選択肢に入れているのです。(というのは建前で、楽天ブログがAmzonを受け付けなくなったので、楽天ブックスをご愛顧しているのです)アマゾンvs楽天の戦いが今後も続くと思うので・・・関連ニュースをフォローしてみます。2/19アマゾン、ネット通販で売上高国内トップと判明 激化する楽天との攻防より 本日(2月19日)付日本経済新聞朝刊によると、米アマゾン・ドット・コムの2012年12月期の日本における売上高が、前年同期比で78億ドル(直近の為替レートで7300億円)となり、日本でネット通販事業を展開する企業としては最大となることが判明した(記事『アマゾン 日本で最大』)。同社の海外の国別売上高が公表されるのは初めて。売上規模では家電量販店のエディオンを上回り、小売業全体で10位前後に位置する格好となる。 日本のネット通販企業では楽天が最大手で、仮想商店街「楽天市場」や旅行予約「楽天トラベル」などネットサービス分野の12年12月期の売上高は2858億円。同社の売上高は、通販モールに出店した小売店などから得る手数料が中心であるため、主に自社で商品を仕入れて販売するアマゾンとはビジネスモデルが異なる。 楽天市場の12年12月期の流通総額は1兆3000億円程度。アマゾンの流通総額は非公開だが、通販モール事業「マーケットプレイス」なども合算すると、流通総額で楽天に匹敵する可能性もあるという。2000年に日本に進出したアマゾンは、書籍や家電製品、衣料品など5000万品以上を取り扱っている。 12年度の国内ネット通販市場は、前年度比15.9%増の約10兆2000億円となる見通しで(野村総合研究所調べ)、2桁成長が続くが、価格やサービス面での競争が激化している。そうした中、アマゾンは当日配送や顧客の購買データを基にお薦め商品を紹介する「レコメンド」機能などを武器に、同市場で存在感を高めている。 昨年7月に都内で開かれた国際電子出版EXPOで、講談社の野間省伸社長は、「楽天の三木谷浩史社長に、『打倒アマゾン』とプリントされたTシャツをもらった」と暴露し、話題となった。三木谷社長は社員に対し、「アマゾンの動向を注視せよ」と呼びかけているという。両社の攻防に注目が集まっている。2/21楽天・三木谷社長、安倍政権中枢進出で政商への道着々!?カジノ解禁にも意欲よりアベノミクスを支えるブレーンとして、「産業競争力会議」民間議員に任命された三木谷氏。竹中平蔵氏、ローソン社長の新浪剛史氏、サキコーポレーション社長・秋山咲恵氏らとともに、産業の競争力強化や国際展開に向けた成長戦略などを審議する。 この三木谷氏に対して独占インタビューを行った本記事では、国内産業の再興による競争力向上というテーマに対して、三木谷氏は「(政府は)かかわらなくていい」と話している。その上で「産業に国の金を使うのではなく、成長の見込まれる分野の研究開発への税制優遇などを優先すべきだ」と持論を展開した。また「どの分野が伸びるのか官僚に分かるわけがない」と舌鋒鋭く官僚批判を行なっている。ところで、神戸発の経済人ということでは、ダイエーの中内さんと三木谷さんがよく知られています。楽天は中国への進出をはたし、世界を視野に入れているようです。ここまで成功すると、スタート時の三木谷さんのやや胡散臭いイメージは払拭されているわけで・・・もう中内さんを超えているかもしれないですね。とにかくおふたりの創生期を、神戸人として接してきた大使としては感慨深いものがあります。(実際に見たわけではありませんが) <三木谷さんが経団連を退会> 日経ビジネス2月20日号の2大特集(オオクボと楽天)が興味深いので、ネットからそのさわりを紹介します。楽天の三木谷さんは英語公用化を宣言してから、気になる人である。(楽天ブログを利用している者としても、当然、気になるが)日経ビジネス2012年2月20日号目次より沸騰する街・オオクボと楽天。今号の2つの特集は一見、何の関連性もないように見えて、根底では同じテーマを扱っています。日本人はどこまで外国人を受け入れる覚悟があるのか。現在、最も過激な人材の多国籍化が進行している地域社会と企業を題材にして、この点を読者の皆様と一緒に考えてみたいと思います。 <オオクボの磁力>不夜城、東京・歌舞伎町の北辺、職安通りと大久保通りの間にその街はある。大久保──。かつては街娼とヤクザがたむろする物騒な地域だったが、今では多様な外国人が集まる国際都市に姿を変えた。特に、「韓流の聖地」と化した最近は観光客が大挙して訪れる一大スポットに変貌している。成長が止まった夕暮れ時の日本にあって、強い磁力でヒト、モノ、カネを引き寄せる「オオクボ」。可能性と矛盾をともに抱える内なる「新興国」の実態に迫った。 ●波に乗り損ねる日本 韓流ブームの活況をよそに、大久保商店街の商店主の表情は暗い。目の前の膨大な需要を取り込めない姿は、アジア市場攻略に苦しむ日本企業に重なる。変革は摩擦と衝突から生じるが、日本はそれを起こす気力すら失いつつある。<楽天の焦燥>昨年、流通総額1兆円を突破し、大手流通業に比肩する規模になった楽天。円高を背景に次々と海外拠点を作り、その数は今や10の国・地域に及ぶ。三木谷浩史・会長兼社長は、なぜこれほどまでに海外展開を急ぐのか。危機に直面しても変われない日本の産業界を断ち切って、楽天は日本発の新たな世界企業になることができるだろうか。 ●決別、そして世界へ楽天は2011年12月、国内の年間流通総額が初めて1兆円を突破した。社内公用語の英語化、経団連の脱退など日本企業が抱えるしがらみを断ち、退路も断った。前人未踏の領域を突き進む三木谷浩史・会長兼社長。彼が目指すものとは。 ●世界でヨコテン「ヨコテン」という言葉をご存じだろうか。これは横展開の略で、自社で培った技術やノウハウを買収先などに広げていくことを指し、自動車メーカーなどでも使われている用語だ。 ●アマゾンに挑む「帝国」を凌駕せよ 日本のECでは敵なしの楽天だが、世界ではアマゾンの背中はまだ遠い。逆転への切り札として電子書籍を手に入れ、「連邦戦略」で世界制覇を狙う。楽天は「日本発世界企業」の新たな地平を拓くことができるのか。 ●楽天は「トランスナショナル戦略」を目指すべき流通・サービス業が海外展開するには3つの方法がある。楽天が目指すべき戦略は、自国のビジネスモデルの良さを残しながら、国ごとにある程度ローカライズをさせていく「トランスナショナル戦略」しかないと思う。 ●海外展開は「まだまだ遅い」三木谷会長兼社長「日本のサービス業でも成功できることを証明したい」。この思いが世界へと駆り立てる。英語公用語化にメドが立ったと判断、グローバルマネジメントの本格化へと歩みを進める。日本経団連は護送船団をやめ、日本の良さを広める努力をすべきと説く。 三木谷社長はツイッターで経団連の退会をほのめかしたそうです。2/20「経団連に入っている意味もないしね、正直言って」より 昨年、流通総額1兆円を突破し、大手流通業に比肩する規模になった楽天。円高を背景に次々と海外拠点を作り、その数は今や10の国・地域に及ぶ。危機に直面しても変われない日本の産業界を断ち切って、楽天は日本発の新たな世界企業になろうとしている。世界企業を目指す楽天に今、何が起きているのか。三木谷浩史会長兼社長をはじめ、楽天の各国の経営を担う幹部たちに語ってもらった。 僕が日本経団連を辞めたきっかけね。もともとなぜ経団連に入ったのかを振り返る必要があります。 奥田碩元会長(トヨタ自動車元社長)に誘われたのが直接のきっかけでした。当時は小泉純一郎政権下。経団連は改革の旗手を担う組織でした。ただ、その後、会長が奥田さんから御手洗さん(御手洗冨士夫・キヤノン会長兼社長)に代わり、それからまた米倉さん(米倉弘昌住友化学会長)になるにつれ、どんどん風向きが怪しくなっていった。 辞めようと思った直接的なきっかけは、やはり震災後です。経団連は(電力の)発送電分離の話が出たときには早々に反対し、原子力発電所については早々と賛成であると表明した。「多分経団連ってそういうために作られたんだな」とその時、初めて分かりました。 経団連が言っていることがあたかも経済界の統一見解のように言う。だから僕は「そんなことないよ」と世の中にはっきり言いたかった。違う意見だってあるんだよ、ということですね。<「経団連は日本企業の護送船団方式を擁護する団体」>ツイッターで退会をほのめかしたのは確信犯。全く入っている意味もないしね、正直言って。経団連は日本企業の護送船団方式を擁護し、これが世の中の共通認識だとカムフラージュするために作られた団体なんですね、そもそもが。そこはたぶん経済同友会とは違うんだと思うんですよ。 僕はあまり深く考えていなかったんですけど、今回の一連のことがあっていろいろよく考えてみると、ああ、そういう構造なんだな、これはと。要するに政官財の構造の一角。いや、中核なんですね。経団連を辞める時には仁義を切りました。諸先輩方の元に一人ひとり全部回りました。すると、みんな口を揃えて「その通り」だとか「いいね」と言う。けど辞めたのは結局僕1人。呆れましたよ、結局本当に反対したのは1人だけかと。まぁ、そんなものですよね。よほど強烈な人を会長に持ってきて、方向性を明確にしなければ今の経団連は変われないでしょうね。 <電子書籍大手コボを買収>楽天、カナダの電子書籍大手コボを236億円で買収より楽天は9日、カナダの電子書籍大手コボ(トロント市)を約3億1500万米ドル(約236億円)で買収すると発表した。 コボは自社ブランドの電子書籍端末を販売するほか、欧米など100カ国以上で電子書籍を配信しており、楽天はこの買収により、世界で成長が見込まれる電子書籍市場での事業拡大と海外展開の加速を目指す。 コボは2009年にIndigo Books & Music Inc(以下、インディゴ)からスピンオフした会社で、カナダ、米国、英国、フランス、ドイツ、オーストラリアなど100カ国以上で電子書籍コンテンツを提供している。楽天は今年8月に電子書籍販売サイトを立ち上げ、大手電機メーカーの端末に電子書籍コンテンツの提供を開始したばかりで、「コボとの連携により、内外で書籍事業を拡大したい考え」。同社によると世界の電子書籍市場は2011年から年平均36%で成長し、2015年に106億ドル(約8500億円)に拡大するとの予測もある。 楽天は電子商取引(EC)事業を主軸にグローバル展開を加速しており、今年に入ってからブラジル、ドイツ、英国でEC事業者を買収している。2012年当時のアマゾンを書籍販売の巨人:アマゾンに見てみましょう。
2023.03.12
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<『円安が日本を滅ぼす』(復刻)>日本の半導体が世界の半分も賄う時代があったけど・・・今では見る影もない有り様で、自働車産業の未来にも怪しい雲行きが漂っています。ここで気を引き締める意味で、以下のとおり復刻してみます。***********************************************************図書館に予約していた『円安が日本を滅ぼす』という本を、待つこと3ヶ月ほどでゲットしたのです。日銀黒田総裁がかたくなに「円安誘導」しているような理屈が分からないので、この本をチョイスしたのです。【円安が日本を滅ぼす】野口悠紀雄著、中央公論新社、2022年刊<「BOOK」データベース>より日本は成長がストップし、さまざまな国に抜かれた。これを食い止めなければ、約50年間続いた先進国時代は終わってしまう。国が行うべきは、変化を阻害している諸要因を除去することだ。日本を衰退させた基本的原因は、中国工業化への対処の誤りだ。本来は、技術革新で中国製品と差別化を図るべきだった。しかし、日本は、中国との価格競争で苦境に陥った産業を救済するため、賃金を抑え、かつ為替レートを円安に誘導した。そのために、古い産業が残り、技術革新が停滞して、経済全体が衰退したのだ。<読む前の大使寸評>日銀黒田総裁がかたくなに「円安誘導」しているような理屈が分からないので、この本をチョイスしたのです。<図書館予約:(2/07予約、副本1、予約30)>rakuten円安が日本を滅ぼす第7章で自動車産業の将来を、見てみましょう。p196~198<4 日本の自動車産業の優位性は、今後も維持できるか?>■エレクトロニクスでの水平分業化 IT革命以降、エレクトロニクス産業では、組み立てにはそれほど高度の技術を必要としなくなった。部品の製造は重要だが、それらを組み立てれば容易に製品ができるようになった。 擦り合わの相対的重要度が低下すると、日本の国際競争力は低下する。このため、新興国の工業化に伴って、エレクトロニクス産業の主力は、新興国、とくに中国に移った。 この結果、生産の方式が変わった。1980年代までの製造業では、一つの企業または企業グループで部品生産から組み立てまでを行う「垂直統合」が中心的な生産方式だったが、90年代になると、「水平分業化」が進展した。これは、世界中のさまざまな企業で部品の生産を行い、市場を経由してそれらを統合する方式である。 PCの場合、90年代まで、日本国内では国産機がほとんどだった。中でも、NEC9801が「国民機」と言われたほど高いシェアを獲得した。しかし、水平分業化が進むと、NECも含めて日本メーカーの優位性は消滅してしまった。 それまで垂直統合でPCを生産していたアップルは、iPodの清算から水平分業に転換し、新興国の企業を活用して低コストで生産を行い、高い利益を実現するようになった。日本はこのような流れに追いつくことができなかった。そして、日本型の垂直統合モデルが、水平分業への移行によって敗退した。90年代のPCだけではない。その後のEMSやファウンドリの発展で、さらに大きな変化が起きている。液晶パネルの生産で垂直統合を標榜したシャープが、世界最大のEMS企業〇海に呑み込まれたのは、象徴的な事件だった。■自動車では水平分業化が進まなかった ところが、自動車産業においては、日本の強さが継続した。それは、エレクトロニクス産業とは違って、組み立てが簡単ではないからである。 これは、内燃機関を用いる自動車が、機械的に複雑な製品だからだ。とくに変速機は極めて複雑な部品だ。ハイブリッド車に至っては、動力系統が二つあるので、さらに複雑になる。エレクトロニクス産業のように、部品を集めれば簡単に最終製品ができるというものではない。 しかし、こうした技術体系が将来も続くかどうかは、わからない。■EVになれば、自働車も垂直統合から水平分業に EVの技術体系は、ガソリン車のそれとは大きく異なるものになる。 エンジンがいらないので、金型や鋳造や、工作機械の多くが不要となる。トランスミッションというメカニカルに極めて複雑な装置がいらなくなる。こうして、これまで自動車メーカーが蓄積してきた技術体系が有効性を失う。 その半面で、バッテリーなどの部品で高度な技術が要求される。ただし、それらを組み立てるのは難しくない。「擦り合わせ」はあまり重要な意味を持たなくなる。 そうなると、自働車産業も水平分業化する可能性がある。つまり、PCと同じ事態が自動車産業にも起きる可能性が強い。 自動車産業は、経済全体に与える影響が大きい。ガソリン車からEVへの大転換が起きれば、日本経済は大きな打撃を受けるだろう。PCや家電製品で起きたことが再現されるわけだ。 さらに自動運転への移行がある。このような変化を考えると、日本の自動車産業が今後も現在のような優位を保つことができるかどうかは疑問だ。日本が生き残っていくためには、新しい技術に支えられた新しい産業を作り出していく必要がある。■自動運転への移行 自動車は、EVへの移行以外にも、さまざまな変化にさらされる。一つはAIによる自動運転だ。ここで重要なのは、最先端の情報技術だ。これは、日本企業が不得手な分野である。もう一つは、シェアリングエコノミーの進展によって、自動車の使い方が大きく変化することだ。それに適したハードウェアはどのようなものになるかが、追及されなければならない。 このような変化に対応するには、社内の技術人材の構成を変えていく必要がある。これまで日本の自動車会社で中心だったのは、機械工学のエンジニアだった。それらの人々は、現在でも自動車会社の意思決定に重要な影響力を持っている。ところが、右に述べたような変化を実現するには、他の専門分野の専門家が中心人材になる必要がある。『円安が日本を滅ぼす』3:自動車産業の将来『円安が日本を滅ぼす』2:半導体に対する補助金(続き)『円安が日本を滅ぼす』1:半導体に対する補助金
2023.01.09
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図書館に予約していた『潜入ルポamazon帝国』という本を、待つこと6日でゲットしたのです。以前は中古本やパソコンなどを注文していたが、年金生活に入ってからはご無沙汰のアマゾンであるが・・・コスパがよくて短納期ではあるが、このところの露骨な商売が気になるのです。【潜入ルポamazon帝国】横田増生著、小学館、2019年刊<出版社>より〈「とてつもなく大きくなったなぁ……」と気圧されるような思いに陥った(中略)私がアマゾンの物流センター内部に足を踏み入れるのは15年ぶり〉(第1章より)“世界最大の小売企業”アマゾンによって、いまや日本市場は制圧されつつある。果たして、その現場では何が起きているのかーー「アマゾン・エフェクト」の実態に迫るべく、著者は『潜入ルポ アマゾン・ドット・コム』以来、15年ぶりにアマゾンの巨大物流センターに潜入する。さらに、即日配送、カスタマーレビュー、マーケットプレイス、AWSなど、アマゾンのさまざまな現場に忍び込んでは「巨大企業の光と影」を明らかにしていく。私たちはこのまま何も実態を知ることなく、「アマゾン帝国」に支配されていくのだろうか……日本人に大きな問いを投げかける力作ルポルタージュである。<読む前の大使寸評>以前は中古本やパソコンなどを注文していたが、年金生活に入ってからはご無沙汰のアマゾンであるが・・・コスパがよくて短納期ではあるが、このところの露骨な商売が気になるのです。<図書館予約:(7/08予約、7/14受取)>rakuten潜入ルポamazon帝国「第6章 わが憎しみのマーケットプレイス」で、アマゾンと公取委の闘いを、見てみましょう。p216~219 <優越的地位の乱用> さらに、公取委は、アマゾンを筆頭とするECサイトの寡占と、優越的地位の乱用について、調査した。 公取委は19年1月、ネット通販に関する調査結果を発表し、アマゾンと楽天、Yahoo!の上位3社に利用者の出品が集中する傾向がある、と指摘している。7割から5割の出品者が上位3社を利用していた。さらに、すでに取引における依存度が高いため、販売を容易にやめられない、と答えた利用者が7割近くを占めた。出品者のうち、利用料金に不満があると答えたのが62%で、決済方法に不満があるとしたのが85%に上がった。 調査を担当した公取委の取引企画課の戸塚亮太課長補佐は、私の取材にこう話した。「出品者の利用料金などえの不満が、すぐに、独禁法の優越的地位の乱用に当てはまるわけではありません。けれど、たとえば同じように利用料金を値上げしたとしても、出品者が集中するECサイトの方が、優越的地位の乱用となる可能性が高いので、その点を周知徹底してもらうように調査結果を発表しました」 公取委の厳しい監視の視線は、アマゾンに注がれている。 そのさなか、三度目の公取委とアマゾンの闘いがはじまった。 事の発端は、アマゾンが19年2月20日、5月下旬から、マーケットプレイスの出品者や直接仕入れるメーカーなどに対し、消費者が購入した金額の1%以上をポイントとして還元するとし、その原資を出品者の負担とする、と規約を変更するとしたことだった。もし、アマゾンで1万円の商品が売れたら、出品者の負担で1%に当たる100ポイント以上が購入者に付与される。1ポイントは1円だから、100円以上を出品者が負担するというもの。 これに対し、出品者からは不満の声が上がる。《セラーフォーラム》の掲示板には、こんな書き込みが遺されている。「この先、(付与するポイントが)1%が3%、3%が5%、5%が8%、8%が10%…なんてことにならなければ良いですが。考えてたら夜も眠れなくなりそうです」や「出品者に同意なく、一方的にこれを強制するのは法律的には問題ないのでしょうか?」や「確かに泣きを見るしかないんですよねぇ…。売り上げが上がるとか無責任なこと書かれてましたが、注文数は増えるかもですが実質利益減るのは目に見えてますし。本当に売り上げ上がるんなら強制されなくてもこちらで勝手にポイント付けますし。ポイント強制という名の手数料値上げですわ」・・・など。 アマゾン側が、発言者を特定できる《セラーフォーラム》における否定的な発言である。出品者の反発がどれだけ強いのかが伝わってくる。 公取委は2月26日、ネット通販サイトのポイント還元をめぐりアマゾンを筆頭とするECモールの運営会社を、出品者を不利な取引を強要していないか一斉調査に乗り出す、と発表した。ポイント還元の原資を出品者に負担させることが、優越的地位の乱用にあたるかどうかを調査する、とした。 アマゾン側は「ポイント制度は出品者にとって販売機会の拡大につながる」と説明している。しかし、ここには2つの要点がある。1つは、出品者にとって、ポイント還元の費用負担以上に、販売機会が拡大するといえるのかどうかであり、もう1つは、出品者にその経済合理性について事前の説明を尽くしていたか、だ。この2点がクリアできていないのなら、優越的地位の乱用にあたる可能性が高い。 公取委事務総長の山田昭典は、記者会見で、企業側の説明が不十分である場合、独禁法40条に基づく強制捜査についても「可能性を排除しない」という強気の姿勢をしめした(日経新聞 19年2月28日付) この独禁法40条とは、《調査のための強制顕現》と呼ばれるもので、公取委にとっての“伝家の宝刀”だ。その“宝刀”を抜くこともある、と牽制したうえで、調査に着手した。 公取委の委員長である杉本和行は3月、優越的地位の乱用に当たるという認識か、と問われ、「一般論で言えば、オンラインモール運営事業者が利益の拡大を図るため、取引先に不当に不利益を与えるやり方で一方的に取引条件を変更する場合、優越的地位の乱用として独占禁止法上の問題が生じる可能性がある」と答えている(週刊ダイヤモンド 19年3月30日号) 役所のトップが、一般論と断ったうえとはいえ、現在進行中の案件に関し、これだけ踏み込んだ発言をするのは珍しい。アマゾンの調査にかける公取委の意気込みが感じられる。ネットで配信されたこの記事には、「公取委員長吠える!GAFAの『勝者総取り』は許さない」という見出しが躍った。 こうした公取委の猛攻に怖気づいたのか、アマゾンは4月10日、「予定していた計画を変更することにしました」として、出品者に原資を負担させるポイント還元案を撤回した。マーケットプレイスでのポイントの付与は出品者の任意となり、アマゾンが直接販売する商品は、アマゾンの負担でポイントを付与するという新しい方針を示した。これを受け、公取委は翌日、「違反の懸念はなくなった」として、アマゾンへの調査を打ち切った(日経新聞 19年4月12日付)。 アマゾンは再度、公取委の前に全面降伏した形となった。公取委とアマゾンとの戦績は、公取委の2勝で、残りの1つの案件については現在も調査が続いている状況だ。『潜入ルポamazon帝国』3:アメリカ流の商売『潜入ルポamazon帝国』2:過酷な宅配ドライバー『潜入ルポamazon帝国』1:はじめに
2022.07.30
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本屋で『2022大予測 東洋経済』という雑誌を、手にしたのだが・・・2021~22年の年越しに読むのはいいではないか♪と、買い求めたのです。【2022大予測 東洋経済】雑誌、 東洋経済新報社、2021年刊<出版社>よりいま世界は夜明け前なのか、それとも暗闇迫る夕暮れか──。新秩序と混沌が交錯する2022年の幕開けに、起こりうる激変のすべてを先読みする。<読む前の大使寸評>2021~22年の年越しに読むのはいいではないか♪と、買い求めたのです。toyokeizai『2022大予測 東洋経済』 半導体の需給逼迫の辺りを、見てみましょう。p86~<♯25 歴史的な需給逼迫は一服、それでも設備投資は活発> 半導体産業は空前の活況に沸いている。英調査会社オムディアによると、世界の半導体市場は2021年に5737億ドル(約65兆円)と前年から21%の大きな伸びとなる見込みだ。もともとIoT(モノのインターネット)や5G、自動車といった需要が長期的な増加トレンドにあった。加えて新型コロナ禍はテレワークやクラウドサービスの普及を急加速させ、パソコンやデータセンターに使われる半導体の需要を急増させた。 22年の見通しはどうか。半導体大手・ルネサスエレクトロニクスの柴田英利社長は10月の決算説明会で「22年前半までは順調に需要が伸びていくだろう」と話した。足元では自動車向け半導体などで需給の逼迫は徐々に解消しつつあるものの、「自動車メーカーも今回の半導体不足で痛い目をみた。ジャスト・イン・タイム方式で機動的に部材を調達するのではなく、ある程度在庫を持っておこうとする」との事情もあり、高水準の需要が続いている。 とはいえ、オムディアの杉山和弘氏は「21年7~9月期がピークだったとみている。特需に一服感が出始めている」と分析する。巣ごもりで需要が膨らんだパソコンやテレビなどは不足感が解消し、メーカー側は先行きを慎重に見極める姿勢に転換。恩恵を受けてきた半導体商社も「これまでの過剰ともいえる受注は一段落しそう」「受注にピークアウトの兆しがある」と口をそろえる。21年のような未曽有の半導体不足は終焉を迎えると考えたほうがいい。ただ、半導体は受注から納品までのリードタイムが少なくとも半年程度あるため、22年前半までは成長が続く可能性が高い。(中略)<装置・材料の「黒子」健在> 半導体チップだけでなく、日本勢が強みを持つ製造装置や材料のメーカーにとっても、しばらく追い風が続く。製造装置で国内最大の東京エレクトロン・河合利樹社長は11月の決算説明会で、「市場は21年よりも成長する見通しだ。ロジック(演算用)、メモリー半導体の先端投資、成熟世代の半導体への投資のいずれも増加するとみている」と話した。 念頭にあるのは、台湾TSMC、米インテル、韓国サムスン電子の「ビッグスリー」による活発な投資競争だ。3社とも米国で100億ドル単位の巨額な設備投資を発表しており、そこに日本製の装置も納入されるのは間違いない。 半導体受託製造(ファウンドリー)世界最大手のTSMCはソニーグループの半導体事業子会社と合弁で熊本県にも工場を建設することを発表している。22年に着工し、24年末の稼働を目指す。投資総額は8000億円程度に上り、その半分程度を日本政府が補助金として支援する方針だ。10年ほど前の技術である回路線幅22~28ナノメートルのロジック半導体を生産する計画で、設備の償却が一通り済んでいるライバルの既存工場と競争するには、補助金なしでは成り立たないプロジェクトだ。
2022.01.04
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図書館で『貧乏という生き方』という本を手にしたのです。ぱらぱらとめくってみると、年金生活者として生きるノウハウが多々見られるわけで・・・これは、ええでぇ♪【貧乏という生き方】川上卓也著、WAVE出版、2010年刊<出版社>より「貧乏くささ」を忌避し、本物の「貧乏」を求める道がここに!お金に左右されない豊かさと楽しさを求めた、爽快無比なる「使える」エッセイ。<読む前の大使寸評>ぱらぱらとめくってみると、年金生活者として生きるノウハウが多々見られるわけで・・・これは、ええでぇ♪rakuten貧乏という生き方「第四章 一億総貧乏時代を迎えて」で貧乏時代の歴史を、見てみましょう。p223~226<一億総貧乏時代へ至る歴史―思想の消失> バブル経済の終焉から現在までは、20世紀型のあらゆるものが衰退するための準備期間でした。これこそが、一億総貧乏時代幕開けの潜伏期間だったのですけれど、では感染したのはいつなのかなあと探ってみますと、これはどうも、70年代から80年代への移り変わりが臭うのです。 「日米安保の自動継続でうべてが終わった…。俺達は挫折したんだ」 かつて水道橋で石を投げていたという人が、僕に対してこう言いました。ベトナム戦争が終わると反戦運動も雲散霧消し、安保条約が自動継続となることで、安保闘争も終わってしまった。学生運動に若さのすべてを注いだ人々の味わったものなど、僕には分かることができません。けれど、ひとつの時代が終わり、新たな時代の始まった区切りであると捉えることは可能なのです。 このとき、日本から思想が消えてしまったのです。銭湯で、八百屋の店先で、縁側で、人々があれやこれやと政治を語り、国の進むべき道を議論するような時代は終わってしまった。 70年代と80年代の間には、確実に切り替わりが存在します。長野県知事を務めた方のデビュー作も、1980年に書かれました。そういう時代が始まったのです。 思想の消えた人々がシフトしたものは、ずばり消費でした。70年代には、ファーストフード店やファミリーレストラン、コンビニエンスストアなど、貧乏臭い人々に必要不可欠とされるものは日本にも登場していましたから、消費という甘美な行動に移行する下地は整っていました。 高度経済成長によって世界屈指の経済大国にのし上がった日本の人々から思想が消えた80年代、消費へのシフトなんて簡単なことでした。 とにかく金はある。家は一生の買い物というくらい大変なものですけれど、だからこそ、それ以外のものに金の使い所を示してあげれば、人々はほいほいと面白いように消費していきます。 消費のためのメディアが台頭するのも80年代で、ポパイこそ1976年に創刊されていましたが、オリーブやモノ・マガジンが1982年、ハナコが1988年に創刊され、あちらでもこちらでも、なんとなくクリスタルな生活を謳歌する若者で溢れていたのです。まさに「カタログ文化」の時代でした。(中略) 自分の感性を頼りに気に入ったものを探すのではなく、見せかけのステータスを手に入れるために誰でもそれと一目でわかるような物をカタログ雑誌から選ぶ。多くの人が高価だと知っているものを手に入れることに躍起になる不毛な時代の始まり。感染時期は、確実に80年代なのです。 そんなこんなで、消費意欲は最高潮に達し、日本はバブルを迎えます。馬鹿が金を持つとろくなことにならないと証明してくれた狂乱の時代でしたけれど、崩壊から十年以上経った今でも、バブルについての検証はあまりに不十分で、決定打がありません。 経済学者がそんな状態であるのに、最終学歴が工業高校の僕に多くを語ることなどとても不可能ですけれど、80年代のカタログ文化がより一層、人々の生活に色濃く浸透した事実だけは語ることにいたします。『貧乏という生き方』2:コンビニ活用法『貧乏という生き方』1:喰うことは生きること
2021.03.30
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図書館で『貧乏という生き方』という本を手にしたのです。ぱらぱらとめくってみると、年金生活者として生きるノウハウが多々見られるわけで・・・これは、ええでぇ♪【貧乏という生き方】川上卓也著、WAVE出版、2010年刊<出版社>より「貧乏くささ」を忌避し、本物の「貧乏」を求める道がここに!お金に左右されない豊かさと楽しさを求めた、爽快無比なる「使える」エッセイ。<読む前の大使寸評>ぱらぱらとめくってみると、年金生活者として生きるノウハウが多々見られるわけで・・・これは、ええでぇ♪rakuten貧乏という生き方「第二章 遊びながら暮らすために」でコンビニ活用法を、見てみましょう。p98~102<貧乏不足がコンビニに走らせる> 夜中に風呂へ入ろうとしたとき、ふと石鹸の無いことに気がついた場合などは、コンビニの便利さが手ぐすねを引いて待っている瞬間です。けれど、ここであの蛍光灯に照らされた眩しい店内へと吸い寄せられてしまっては、それこそコンビニの思う壺なのです。 タオルで汗を洗い流すだけでも、1日くらいなら何の問題もなく過ごすことができます。汗は水溶性ですし、油汚れだってお湯で流せばある程度は落ちます。これが毎日では社会生活に支障を来たすかもしれませんけれど、1日くらいなんてことはありません。(中略) 貧乏人の生活サバイバル能力を用いれば、コンビニに生活用品を求める必要はなくなるのです。<便利さに付け入る、これこそが貧乏> こうなると、貧乏人にはコンビニを利用する術はないのかといえば、実は、いくつかの存在が認められています。コンビニが提供している便利さのなかには、貧乏人が付け入る隙、客寄せのための無料サービスもあるのです。 その代表格と言えるのが、公共料金の支払。口座振替では、どうしようもなくお金がないときにでも容赦なく引き落とされてしまいますから、僕はできるだけ支払票を持っていって自分で払うことにしています。そんな公共料金の支払いは、もっぱらコンビニで済ませます。なにしろ、24時間365日、いつでも支払うことができるのですから、自動引き落としでなくても十分に便利です。 コンビニには常に客が入っていますけれど、混雑時を避ければレジは開いていることが多いですから、金融機関で順番を待つよりも早いのです。 トイレというのも、コンビニの魅力のひとつです。店舗によってばらつきもありますけれど、大抵は掃除も行き届いていますし、トイレットペーパーも常備されています。街道沿いのコンビニなどは、トイレを売りのひとつにしているところもあり、そのような店のトイレにはおしり洗浄機まで設置されていたりして、貧乏人が文明に触れる瞬間とも言えます。(中略) 雑誌コーナーで立ち読みをすれば、テレビを持っていない貧乏人でも、ある程度の情報を手に入れることができます。知らない土地を旅するとき、地図を立ち読みできるのも魅力です。本屋よりもコンビニの方が多いですし、一緒にトイレを済ませることもできるのですから、こういった便利は是非とも活用したいところです。 立ち読みは嫌がられるのではないかという心配する人も居るかもしれませんけれど、時間帯によっては長居も可能です。なにかと心細い真夜中、必ず道路に面した雑誌コーナーに立ち読みをする客が居れば、ある程度は防犯に役立つのです。さすがに何時間もの立ち読みは注意されるかもしれませんけれど、気になる記事を拾い読みするくらいなら、堂々と立ち読みしてもそれほど煙たがられません。 公共料金、トイレ、雑誌の立ち読み。ささやかではありますけれど、コンビニという有料冷蔵庫を利用してくれるお金持ちのおかげで、貧乏人だって少しだけおこぼれにあずかることができるのです。『貧乏という生き方』1
2021.03.30
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図書館で『貧乏という生き方』という本を手にしたのです。ぱらぱらとめくってみると、年金生活者として生きるノウハウが多々見られるわけで・・・これは、ええでぇ♪【貧乏という生き方】川上卓也著、WAVE出版、2010年刊<出版社>より「貧乏くささ」を忌避し、本物の「貧乏」を求める道がここに!お金に左右されない豊かさと楽しさを求めた、爽快無比なる「使える」エッセイ。<読む前の大使寸評>ぱらぱらとめくってみると、年金生活者として生きるノウハウが多々見られるわけで・・・これは、ええでぇ♪rakuten貧乏という生き方「第一章 喰うことは生きること」あたりを、見てみましょう。p26~30<台所は食の発信源> 貧乏人が食を楽しむとなれば、当然、自分で作るということになります。食事を作るための台所は、貧乏を支えてくれる場所とも言えます。食の発信源が準備不足では、楽しい食事は生まれません。■台所の整備 僕の台所には、日頃から使うような道具は全部、ぶら下がっています。それほど多くの道具は持っていませんから、狭い台所でも、常に表に出しておくことができるのです。物が少なければ整理整頓も苦になりませんし、使いたい物を瞬時に取り出せるような工夫も簡単に出来てしまいます。台所を小さな厨房にしてしまうこと、これこそが、食の発進準備なのです。 僕の台所で動いている家電製品は、冷蔵庫だけです。御飯は鍋で炊くし、冷凍食品なんていうのは食の楽しさを放棄するための物ですから、電子レンジもありません。 ガスレンジ、鍋、フライパン、まな板、包丁、砥石、ざる、おたま。まあ、このくらいがあれば、大抵の料理はこなせます。その他の小物あ、日々の自炊で必要を感じたときに揃えれば良いでしょう。使用頻度の低い物は、借りてくるという方法もあるのです。 僕の経験からすれば、台所に必用な道具というのは、自炊を重ねれば簡単に見えてきます。家庭の火力で美味しい炒め物を作るには、フライパンがチリチリと煙を吐くまで過熱しなければなりませんし、刺身なんかは包丁の切れ味すら味覚に影響します。 したがって、フッ素加工のフライパンとか、セラミックの包丁というのは好ましく思えません。食に興味を持てば、台所に不要な物というのは簡単に見分けられるようになるのです。■台所に常備したい味 砂糖、酒、塩、酢、醤油、味噌。食を楽しむためには、これらの調味料は欠かせません。 煮物には味醂が不可欠ですけれど、これは、酒に砂糖を加えて煮きれば代用品を作れます。味醂は飲めませんけれど、酒は違う楽しみもできます。それはともかく、その他にあると便利な物を常備しておくことで、食の楽しさはより膨らんでくるのです。 ネギとニンニク。食生活を豊かにしてくれるアイテムですから、僕にとっては欠かせません。冷凍庫を開ければ、刻みネギの水気を拭きとって冷凍した物がビニル袋に入っています。納豆を混ぜるときに入れてしまえば、すぐに溶けてくれます。 ニンニクは、吊るしておけばそのままでも持ちますけれど、皮を剥いて醤油に漬け込むニンニク醤油が僕の定番です。薬味としても大活躍ですし、もちろん酒の友にもなりますけれど、風邪を引いたときには、これをそのままかじってしまうのです。 ニンニク醤油は、ラーメン、雑炊、炒め物、ごく稀には鰹のたたきを食べるときにも利用できます。 ネギ油、ニンニク油も常備しておいたい調味油。ネギやニンニクを刻み、過熱したサラダ油や胡麻油でさっと素揚げすれば、油に香りが移ります。瓶に入れて保存しておけば、炒め物などに便利なのです。油作りに利用したネギやニンニクも、そのまま薬味として使えます。安いときにまとめ買いして保存食に加工すれば、楽しい食作りに役立つのです。 和食の決め手は出汁(だし)。けれど、毎回出汁をとるのは面倒だというところに、化学調味料の付け入る隙を作ってしまいます。そんな場合、出汁を冷凍保存してさえおけば、割高な化学調味料との訣別も可能になります。 鍋で出汁をとり、製氷皿や洗った卵のパックに流し込んだら、冷凍庫へ。凍ったら、ビニル袋に入れて冷凍保存します。こうすれば、化学調味料を使うことなく、気軽に出汁を使うことができるのです。暇のあるときに作った冷凍出汁は、手間すらもストックできてしまう。手早く炊事をこなすには、あらかじめの工夫が必要なのです。■塩漬け肉で、肉のある日々を 保存食として、もっとも豪華で役に立つのが、肉の塩漬け。ああ、なにしろ肉は憧れの食材です。入手の困難な肉が偶然にも手に入ったなら、塩漬けにすることで長期保存可能になります。食品の腐敗は、水が腐ることが原因。肉を塩漬けにすることで、肉の水分が抜け、塩により殺菌もされます。1ヵ月ほど熟成させれば、豚肉でも鶏肉でも、加熱せずに食べられる食べられるようになるのです。 冬だったら、塩漬け肉を塩抜きして、陽の当らない風通しの良い場所に吊るしておくことで、乾し肉にすることもできます。かちかちに乾いた塩漬け肉は、削るだけで酒の肴です。これをスモークして、使いやすいように切って冷凍保存すれば、1年間はベーコンを楽しめてしまうのです。
2021.03.29
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図書館で『団地と移民』という本を手にしたのです。表紙のコピーに「課題最先端“空間”の闘い」とあるが・・・ややセンセーショナルな書きっぷりではあるが、課題最先端ではあるなあ。【団地と移民】安田浩一著、KADOKAWA、2019年刊<「BOOK」データベース>より排外主義的なナショナリズムに世代間の軋轢、都市のスラム化、そして外国人居住者との共存共栄…。かつて「夢と希望の地」だった団地は、課題最先端「空間」となっていた!!厳しいこの現実に負けずに、“一緒に生き続けること”を実践している各団地の取り組みを私たちは“日本の未来”に出来るのか?この国の“これまで”と“これから”を浮き彫りにする、地べたからのルポルタージュ!!<読む前の大使寸評>表紙のコピーに「課題最先端“空間”の闘い」とあるが・・・ややセンセーショナルな書きっぷりではあるが、課題最先端ではあるなあ。rakuten団地と移民「第三章 排外主義の最前線」で在特会の活動を、見てみましょう。p76~79<排外運動の発火点> 15階建ての居住棟が、まるで切り立った屏風岩のように連なる。地元では皮肉交じりに「万里の長城」と呼ぶ人も少なくない。 芝園団地(埼玉県川口市)―JR京浜東北線・蕨駅から徒歩8分、1978年に完成したUR団地だ。 全2500世帯という大型団地だが、半数の世帯が外国人だ。そのほとんどはニューカマーの中国人である。 芝園団地が一部メディアの注目を集めるようになったのは、2009年ごろだった。中国人住民の急増が話題となり、風紀の乱れや治安の悪化を憂う記事が相次いで掲載された。 「チャイナ団地」 「中国人の脅威」―いずれも身勝手にふるまう中国人と肩身の狭い思いをする日本人といった文脈でまとめられたものだった。 こうした記事を目にするたびに気持ちがザラついた。外国人が増えることを「治安問題」とする日本社会の空気にうんざりした。排他と偏見を煽るような雰囲気が怖かった。 当時、私は「在日特権を許さない市民の会」(在特会)など、外国人排斥を主張する差別者集団を追いかけていた。そのころから彼ら、彼女らは日本各地で“排外運動”を展開していた。外国人、なかでも在日コリアンや中国人をターゲットに、「日本から出て行け」「死ね」「殺せ」と叫びながら、街頭での差別デモを繰り返した。 芝園団地の最寄り駅である蕨から西川口にかけての一帯は、実は、こうした差別デモの開催地としても知られている。排外運動に飛躍を促した場所でもあった。 2009年4月11日、蕨市内において「フィリピン人一家追放・国民大行進」なるデモがおこなわれた。私が知る限り、差別者集団による初の“大規模デモ”だった。 そのころ、「不法滞在」を理由に入国管理局から強制送還を迫られていたフィリピン人一家(蕨市在住)の問題が連日、テレビや新聞で大きく報道されていた。 フィリピン籍の両親と娘からなる三人家族の一家は、中学校1年生の娘だけが日本生まれだったため、彼女自身は「友達と離れたくない」と、涙ながらに両親の強制送還処分撤回を訴えた。しかし結局、入管当局は両ウシンだけをフィリピンに送りかえし、家族は離れて暮らすことになる。 外国人支援団体などはこの入管の処置を非人道的な行為であると強く抗議し、メディアもこぞってこの「悲劇」を報じた。私は、たとえ不法なにゅうこくであったとしても、長く日本に居住し、生活基盤を確立した家族に対しては、特別在留許可のオプションを用いるべきだと考えている。 移民政策が確立していない日本は、単純労働の分野では外国人に依存してきたのだ。それなり柔軟な対応があってしかるべきだ。 だが、問題発覚後から一貫してネット世論は「強制送還支持」を訴えていた。ネット掲示板には「処分は当然」「お涙頂戴の報道はやめろ」といった書込みが殺到した。在特会など差別者集団も早くから「不法入国者、外国人犯罪者を助長させるな」とのメッセージを発表、ついには一家の居住地である蕨市において、「国民大行進」と銘打った大々的なデモ行進を展開したのである。 同日、集まった約200人のデモ隊は「不法滞在者を即刻追放せよ」「一家を叩きだせ」とシュプレヒコールを繰り返しながら、日章旗や旭日旗を担いで市内を行進した。 デモのコースには、当事者である娘が通う蕨市立第一中学校前も含まれていた。デモ隊は中学校の校門に差し掛かると、わざわざそこで立ち止まり、「ここに娘が通っている。怒りの声を上げましょう!」と叫ぶ先導役に合わせて、「追放せよ!」と繰り返した。 このとき、娘は音楽部の活動のため、学校内にいた。彼女はどんな思いで、この罵声を、ヘイトスピーチを聞いただろうか。13歳の少女を名指しで攻撃するこの集団に、私は心底怒りを感じた。 だが、このデモは結果的に在特会の知名度だけでなく、支持をも高めた。ネット上にはデモを称賛する書き込みが相次ぎ、同会の入会者も急増したのである。私はその後、多くの同会メンバーを取材したが、蕨での「国民大行進」を動画サイトで目にしたことが運動に参加するきっかけだと述べた者も少なくなかった。同会広報担当者も、私の取材に「あれはひとつのエポックだった。運動への支持者も急増した」と答えている。 蕨のデモが排外運動の発火点になったのだ。 以来、蕨や隣接する川口市を舞台とした差別デモは定例化する。デモの際に日章旗や旭日旗だけでなく、ナチスのシンボルであるハーケンクロイツを掲げる者まで現れた。 そうした空気が流れる中で、中国人住民が急増した芝園団地が差別主義者の攻撃対象となることは時間の問題でもあった。
2021.03.29
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図書館で『アディオス! ジャパン』という本を、手にしたのです。真山仁さん初の社会派エッセイてか・・・週刊誌連載の書籍化とのことで興味深いのです。【アディオス! ジャパン】真山仁著、毎日新聞出版、2018年刊<「BOOK」データベース>より「ハゲタカ」の著者、初の社会派エッセイ。日本は終わった国なのか。「週刊エコノミスト」の人気連載が待望の書籍化。【目次】外からの視点でニッポンを見つめてみる/変凹君ニッポン漫遊記/ミャンマーは民主主義の学校か/先進国への狼煙 TOKYO1964/ビバ!富士山/ワインは語る/さらば築地のはずが/地熱は日本を救えるか/銀座でお金の重みを考える/IRは日本復活の成長産業となるのか/問われる震災復興/韓国は近くて遠いのか/沖縄は可哀そうな場所なのか/ニッポンの“国技”野球の底力/トランプ大統領は、民主主義の申し子なのか/ものづくり大国はいずこにー阪神工業地帯盛衰/大政奉還150年ーその探訪遠慮と誤算/言葉とは裏腹の平成時代/名門・東芝は何を失ったのか<読む前の大使寸評>真山仁さん初の社会派エッセイてか・・・週刊誌連載の書籍化とのことで興味深いのです。rakutenアディオス! ジャパン東芝の転落あるいは凋落を見てみましょう。・・・団塊世代にとっては見るのが辛いのだが。p290~295<製造業として原発ビジネスを見誤ったツケ> 東芝の転落は、2006年(平成18年)2月6日に始まったと、私は考えている。 この日、東芝は英国の国営企業・英国核燃料(BNFL)から原子力関連企業の雄、WH(米国ウェスチングハウス)を54億ドル(約6400億円)で買収した。 BNFLが当初想定した売却額は18億ドル程度だと言われているので、東芝は約3倍で買収したことになる。 日本では、東芝のWH買収に喝采を送ったアナリストが多かった。なぜならWHは、原子力発電所の軽水炉の一つであるPWR(加圧水型軽水炉)を開発した企業だからだ。 近年では、WHが直接携わっているのは原発の設計管理のみで、実際の建設は、ライセンス生産によって各分野で高い技術力を培ってきた企業に委ねられている。東芝が買収するまでは、三菱重工業がプラント部分のほぼ全てを、そして、基礎工事は大成建設や清水建設が担ってきた。 ところで原子炉には二つのタイプがあり、世界の原子力発電所のほとんどはPWRとBWR(沸騰水型軽水炉)のどちらかである。そしてBWRタイプの原発は、GE(米国ゼネラル・エレクトリック)が開発し、日立製作所と東芝がライセンス生産していた。 要するに、原発建設は、日本企業がほぼ独占受注し、世界の原発の安全を担保してきた。だが、それらは全て下請けであり、原発プラントの受注ビジネスはWHとGEの両雄が山分けし、共に大きな富を得ていたのだ。 設計から完成までの全てを自社で行うことは、日本の原発メーカーの悲願だった。だから東芝がWHを買収した際に関係者はみな喝采したのだ。 しかし、原発関係者は、正反対の反応を示した。 拙著『ベイジン』の取材中、「東芝は、PWRを製造するつもりでWHを買収したのだろうけど、それは無理」という声を何人もの関係者から聞いた。それどころか、「PWRを世界で独占的に製造している三菱重工が適正価格で買収しようとしたのを、東芝は大枚をはたいて奪取した。それによって失った国益は計り知れない」と憂う声も聞いた。 なぜか…。BWRを製造するノウハウと技術力と、PWRのそれとは全く別物だからだ。 原発は核燃料を利用し、核分裂によって水を沸騰させてタービンを回す。つまり放射能汚染された水蒸気で発電するのだ。しかし、原子力潜水艦用に開発されたというPWRは、200度以上に熱した水を、蒸気発生器という強靭かつ極薄の金属の配管に注入し、タービンを回すのだ。つまり核汚染されていない蒸気が電気を生む。 この蒸気発生器の製造には、豊富な知識や特殊な金属の製造技術などが必要だ。もし、その条件が満たされない場合、破断事故が起きる。実際に、関西電力美浜原子力発電所では、蒸気発生器の破断による死亡事故が過去に発生している。そうした事故も踏まえ、WHと三菱重工は改良を重ねて、他社が真似できない技術を蓄積してきたのだ。そして東芝はそのノウハウを知らなかった。 地球温暖化が問題視されたことで二酸化炭素をほとんど発生しない発電方法である原発が見直され、さらに沸騰水型より安全だというイメージもあって、世界からPWRの新規原発プラントの発注依頼が相次いでいる。WHを手に入れても、それらの新規建設が可能になれば、初期投資など安いもの…。当時の東芝経営陣あそう踏んだのだろう。 しかし、WHが受注し、東芝が製造したPWR型の新規原発は、建設中も含め一基も存在しない。 結果、宝の持ち腐れとなった。 メーカーとしての技術力の実績を踏まえて、自社の製造能力をしっかり測っていれば、PWRの新規受注の独り占めなどという夢は、取らぬタヌキの皮算用だとわかったはずだ。 製造業としての本分を失い、ビックビジネスに目がくらんだのだろうか。現在の東芝を見る限り、そう批判されても致し方ない。 経営危機に瀕する東芝は2018年1月、経営破綻したWHを、カナダの投資ファンドに46億ドル(約52000億円)で売却することを決めた。ウン 小説『ベイジン』を執筆しただけあって、原発ビジネスに関する知見は実に詳しいのである。(かく言う私も在職中は原発関連装置に関わっていたんだが)()
2021.02.26
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図書館で『㈱貧困大国アメリカ』という本を手にしたのです。大使がかねてより嫌っていたウォール街やモンサント社のあくどさが告発されているようですね。・・・ということで借りたわけです。【㈱貧困大国アメリカ】堤未果著、岩波書店、2013年刊<「BOOK」データベース>より「1%vs99%」の構図が世界に広がるなか、本家本元のアメリカでは驚愕の事態が進行中。それは人々の食、街、政治、司法、メディア、暮らしそのものを、じわじわと蝕んでゆく。あらゆるものが巨大企業にのまれ、株式会社化が加速する世界、果たして国民は主権を取り戻せるのか!? 日本の近未来を予言する、大反響シリーズ待望の完結編。<読む前の大使寸評>大使がかねてより嫌っていたウォール街やモンサント社のあくどさが告発されているようですね。・・・ということで借りたわけです。rakuten㈱貧困大国アメリカエピローグでGM作物がとりあげられているので、見てみましょう。p255~259 <エピローグ>■企業はモラルより損得で動かせ 2013年3月 全米最大のオーガニック・スーパー「ホールフーズ・マーケット」は、2018年までに店内に置くすべてのGM作物および原料にGM由来の有機物を使用した食品にラベル表示することを発表した。 毎週二回はホールフーズで買い物をするという、カリフォルニア州サンタバーバラ在住のルイーズ・レイエスは、ホールフーズの決定をこう称賛する。 「去年、GMラベル表示義務化の住民投票がアグリビジネスの横槍で否決されたときはづごくショックでした。全米の果物と野菜の八割を作っているカリフォルニア州の結果は全国に影響しますから。でもお金儲けしか考えない企業ばかりではなく、ちゃんとモラルある企業っもあったんですね」 2012年の大統領選挙と同時にカリフォルニアで行われた「GMラベル表示義務化」をめぐる住民投票は、それまで全米各地で何度も提出されたGMラベル法案と同様に、否決された。 すさまじいネガティブ・キャンペーンに、モンサント社を始めとするバイオテクノロジー企業や、大手食品メーカー、農薬関連企業は4000万ドル(約40億円)を超える資金を投入。賛成派の40万ドル(約4000万円)の100倍だ。「ラベル表示で食品価格が上昇」は、テレビや広告を信じる州民たちに恐怖心を抱かせるには効果的なマーケティングだった」。 「ホールフーズが方針を180度変えたのは、それから3ヵ月たった後でした」 そう言うのは独立系環境ジャーナリスト、マイク・アダムスだ。 「ちょうど住民投票の少し前に、環境NGOのメンバーがホールフーズを覆面捜査したんです。扱っている商品にGM作物は使われていないのかどうか。顧客を装って各地の店舗で何十人もの店員に聞いてみた。その結果は驚くべきものでした。なんと商品全体の二割から三割にGM作物が使われているというんです。なかには『会社のガイドラインで、外の人間にGM作物使用のことは言わないようにというルールがあるので』と言う店員もいた。このビデオをユーチューブにアップしたところ、あっと言う間に削除されたので、自分たちで立ち上げた専用の投稿サイトで公開しました。すごい反響があり、ホールフーズには問い合わせが殺到したようです」 「でもホールフーズはオーガニック食品を中心に、安全や環境に配慮しているPRをしていますね」 「広告ではそうですが、忘れてはいけないのは、彼らもまたピラミッド形のビジネスモデル内で商売をしている会社だということです。GMラベル表示義務化の住民投票キャンペーンには、オーガニックや環境保全を掲げる団体や企業がたくさんの寄付をしていましたが、賛同人リストにホールフーズの名前はなく、1ドルの寄付金も出ていません。GM入り食品をラベル表示なしで販売していれば、当然の行動ですよね」 「動画の反応はどうだったのでしょう」 「反応は日に日に大きくなる一方でした。私たちはありとあらゆる市民メディア・ネットワークを使って拡散したからです。ホールフーズに嫌がらせをするためではなく、消費者の信頼を裏切るような商売は続かないというメッセージを企業側に伝えるために。するとホールフーズは急に、GMラベル表示義務化の住民投票の賛同人に加わったのです。そしてその数ヵ月後、同社は全米で初めて、GMラベル表示を宣言しました」 「何が同社の方針を転換させたのだと思いますか」 「商業マスコミはホールフーズが従来のポリシーを貫いたとその勇気を絶賛していましたが、あれだけ大きな企業がモラルだけで動くなら、最初からGMラベル表示義務化の住民投票を支持し、資金を出してその姿勢をアピールしたはずです。ですが実際には水面下で猛烈な勢いで拡散された動画の影響が大きくならないうちに手を打ったという所でしょう。企業にとってのアキレス腱は何と言っても「イメージ」ですから」 ホールフーズ社はどこまでも、今回の決断は「消費者の側に寄り添った」からだと言い続けるだろう。資金の動きが表す本音はそれとは逆だが、それでも同社のこの方向転換を、自分たちは全力で支援してゆくつもりだとマイクは言う。2018年までの間に、逆側からの圧力は必ず来るだろう。そのときはじかれる収支決算によって、せっかくできたこの流れが後退してしまわないように、支えるのはメディアと消費者の役目なのだと。 住民投票が否決されたあとも、人々はあきらめず動き続け、2011年3月にはが、超党派議員代表のバーニー・サンダース上院議員から提出された。 だがこれは2ヶ月後にまたしても否決される。 「政治家はすでに大半が「1%」に買われてしまっています」 「ならば次はその「1%」のアキレス腱に対し、私たち消費者が力を行使する番でしょう」 フェイスブックやツイッター、ユーチューブなどの新技術は諸刃の剣だ。それは利益のために大衆を操作する「1%」側のマーケティングにも、真実を伝え意識改革をうながす、「99%」側の武器にもなる。 4000万ドルという巨大な資金力であっさりと買われた商業マスコミあ、住民投票を否決させた。だがお金ではなく知恵と口コミ力で企業を動かした市民メディアの力は、「1%」に対峙する、決してあなどれない重要な力になるだろう。『㈱貧困大国アメリカ』2:遺伝子組み換え作物p78~81『㈱貧困大国アメリカ』1:アグリビジネスのメカニズムp73~75
2021.02.21
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図書館で『シルバー・デモクラシー』という本を手にしたのです。この本でシルバーと称している世代は団塊世代を指すわけで、ちょうど我々の世代であり無視できないわけでおます。ところで、帰って調べてみるとこの本を借りたのは2度目だと判明したのです。・・・で、この記事を(その5)とします。【シルバー・デモクラシー】寺島実郎著、岩波書店、2017年刊<「BOOK」データベース>より戦後日本人の先頭として民主主義、高度成長の恩恵を受けてきた団塊の世代。世界的な民主主義の危機が語られる今、1980年の論稿「われら戦後世代の『坂の上の雲』」のタイムカプセルを開け、35年後の高齢化した都市新中間層の現状をみつめ、シルバーが貢献する新たなデモクラシーへの視界を探る。参画型社会構築への提言。<読む前の大使寸評>この本でシルバーと称している世代は団塊世代を指すわけで、ちょうど我々の世代であり無視できないわけでおます。rakutenシルバー・デモクラシー老後破産とか二極分化する高齢者が気になるので、見てみましょう。p126~128 <二極分化する高齢者の経済問題> 高齢者の経済状態は、一般論で単純に判断できないほど、二極分化が進んでいる。人口の27%、3400万人が2015年時点での高齢者人口だが、あえて高齢者を経済状態で分類するならば、約20%(700万人)が「金融資産1000万円以下で、年金と所得の合計が200万円以下」の「下流老人」であり、約15%(500万人)が「金融資産5000万円以上で、年金と所得の合計が1400万円以上」の「金持ち老人」で、残りの約2200万人が「中間層老人」といえるが、この中間層老人が「病気・介護・事故」などを機に、下流老人に没落する事例が急増しているという。 生活保護受給世帯159万世帯のうち79万世帯が高齢者世帯であり、「貧困化する高齢者」問題も深刻である。 確かに、高齢者の平均貯蓄額(2014年)は2467万円と意外なほど高いが、1000万円以下が36%、2000万円以下が60%で、富は偏在しているのである。つまり、安定した経済状態にある高齢者層が確実に圧縮しているといえよう。 「老後破産」の現実について、NHKスペシャル『老人漂流社会~“老後破産”の現実』での放送を単行本化した『老後破産―長寿という悪夢』(新潮社2015年)は注目すべき現実を報告している。年金生活は、些細なきっかけから破産へと追い込まれる危うさを抱えていることを思い知らされる。 また、『週刊東洋経済』は、「下流老人」特集や「キレる老人」特集と、支えるコミュニティを失った高齢化社会の断面に迫る規格を積み上げており、高齢化の現実について深く考えさせられる。 こうした潜在不安を抱える高齢者、とりわけ中間層から金持ち老人にかけての層、約270万人が、金融資産、株式投資に最も敏感な層であり、「とにかく株が上がればめでたい」という心理を潜在させ、アベノミクス的「資産インフレ誘発政策」を支持する傾向を示すのである。 結局、アベノミクスの恩恵を受けるのは、資産を保有する高齢者と円安メリットを受ける輸出志向型企業だという構図がはっきりとしてきた。ここから生ずる世代間格差と分配の適正化という問題意識を持たねば、金融政策に過剰に依存して「調整インフレ」を実現しようとする政策は社会構造の歪みを招き、まちがった国えと向かわせるであろう。 <本当に深刻なのはこれから来る高齢化社会> 日本の社会的意思決定において、高齢化が問題になるのは、現在よりも5年から10年先の時代においてであろう。高齢者の貧困化、二極分化がより一層際立つと予想されるからである。つまり、現在40歳から60歳前後の現役の壮年層が高齢者となる頃の日本において、より一層厳しい格差と貧困が予想されるのである。ウーム 高齢者の医療負担を2割とする応分負担が決まったが、高齢者の貧困化に加えて容赦のない経済政策ではある。『シルバー・デモクラシー』1:日本の貧困化と世代間格差p123~128『シルバー・デモクラシー』2:現在進行中の国家資本主義p151~153『シルバー・デモクラシー』3:日本の産業構造のあり方p174~177『シルバー・デモクラシー』4:都市新中間層としてp54~56
2021.02.14
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『お金のために働く必用がなくなったら、何をしますか?』という新書を、読んでいるのだが・・・この本はベ-シックインカム導入を題材にして、望まれる社会保障制度を論じているわけです。・・・ということで、ベ-シックインカムについて集めてみます。・唖蝉坊さんのサイト(2021.1.01)・アメリカの新しい論調から「ベーシックインカムについて」(2020.11.18)・ドイツでベーシックインカム実験始まる(2020.8月)・日本でベーシックインカムは実現できるか?(2020.4.26)・「ベーシックインカム」実験 疑問の声も(2019.1.15デジタル朝日)・国家で実験ベーシックインカム(2018.12月デジタル朝日)・『新・日本の階級社会』(2018年刊)・『お金のために働く必用がなくなったら、何をしますか?』(2018年刊)・與那覇潤著『中国化する日本』(2011年刊)・ミヒャエル・エンデ著『モモ』(2005年刊)R5:『アメリカの新しい論調から「ベーシックインカムについて」』『唖蝉坊さんのサイト』を追加*****************************************************************************<唖蝉坊さんのサイト>唖蝉坊さんのサイトが充実しているので紹介します。ベーシックインカム導入実験始まる:唖蝉坊よりIf any would not work, neither should he eat. 「働こうとしない者は、食べることもしてはならない」という言葉が「働かざる者食うべからず」という表現になったのはソ連の初代指導者ウラジミール・レーニンが共産党機関紙プラウダに書いた論文で、資産家らが不労所得で荒稼ぎする階級層を戒めるためのものだったようです。◆聖書の「働きたくない者」(怠惰な者」)とレーニンの「働かざる者」(地主、資産家、富裕層)はどちらも同じ意味でつかわれています。「働きたくても働けないため、人の世話になっている」といった、止むを得ない生活をしている人のことではなく、働くことを拒否している者のことです。◆それが日本では、本来の意味から離れ、経営側にとって絶好の口実に変わり、「失業者は食うな」「営業成績の悪い営業マンは給料不払い」「サービス残業100時間」「遅刻欠勤は給料天引き」などと云うブラック企業が続出するようになり自殺者まで出るようになっています。働けるのに働かないのか、本当に病気や障害で働けないのか、現実的に失業者全員を選別するのは不可能なので、ベーシックインカムの実験が始まったことは歓迎すべきことです。*****************************************************************************内田先生が米国におけるベーシックインカム事情を語っているので紹介します。2020-11-18 アメリカの新しい論調から「ベーシックインカムについて」より ふだんのアメリカなら「自助」である。失業したのも病気に罹るのも自己責任である。公的支援を求めることは許されないというリバタリアン的な発想が主流である。けれども、今度はあまりに短期間にあまりに大量の失業者が出現したのである。自己責任で放置するには多すぎた。そして、既存の社会福祉プログラムではこれに対応できなかった。 理由の一つは彼らの多くがパートタイマーや自営業やギグワーカーで社会保障の受給条件を満たさなかったこと。もう一つは給付レベルが低すぎて、そんなものをもらっても生活できなかったこと。もう一つは支給条件の検査が面倒すぎること。支給するまでにさまざまな条件をクリアし、ケースワーカーとの定期的な面談を義務づけると、もうシステムが押し寄せる受給希望者に対応できない。 だから、受給条件を緩和し、給付レベルを上げて、申請プロセスを大胆に簡略化した。「申請すれば支給される」というシステムの信頼性を高めたのである。これはBIにアイディアとしては近い。その経験を踏まえて著者(Evelyne L. Forget)はこう述べる。「BIは単なるお金だが、それは他の所得支援プログラムと比べて大きなメリットがある。政府がやるべきことは、お金を口座に送金するだけだ。これは、現在実施されている複雑で官僚的なシステムの多くよりも、はるかに効率的な支援方法だ。」(「ベーシックインカムの台頭-パンデミックが呼び起こした構想」、FAR, 2020, No.11, p.21)もう一つ大きなメリットがある。「誰が何を必要とするかを深く考える必要がないことだ。」(Ibid.) アメリカにはフードスタンプ制度があるけれど、これは栄養支援なので、食物以外に使えない。酒もたばこも買えない。「好きにさせると人は悪い決断を下す」という人間観が制度設計の前提になっている。「だが、BIでは、概して貧困の原因はお金がないことで、政府はこの問題を解決し、それをどのように使うかは市民に委ねるべきだと考えられている。」(Ibid,) その論拠として著者はカナダのBI事例を挙げる。カナダのマニトバ州では1975年から78年までBIを実施した。その結果わかったこと。病院の受診者が減った(主にメンタルヘルスのカウンセリングが減ったため。鬱病、睡眠障害などを訴える患者数が減った)。犯罪発生率が減った。就職する人の数が増えた。BI反対論者は「BIを支給されると就労意欲が減殺する」と主張しているが、これはBIについては当たっていなかった。 その中で、就労者が減った社会集団が二つあった。一つは第一子を出産した女性たち(彼女たちはBIを利用して産休を延長した)。一つはティーンエイジャーの若者たち(高校を中退して就労するのを止めて、ハイスクール卒業資格を得るまで学校にとどまった)いずれも長期的にはBI利用者の生活のクオリティを高める効果があった。 *****************************************************************************欧米におけるベーシックインカムの実施状況(厳密には2020年8月の試行状況)を見てみましょう。ドイツでベーシックインカム実験始まる…3年間、毎月15万円を支給。より・ドイツ経済研究所によるユニバーサル・ベーシック・インカム(UBI)研究の一環として120人のドイツ人が3年にわたって毎月1200ユーロ(約15万円)を受け取る。・UBIは国民あるいは居住者に対して最低限必要な所得を保障する政策で、通常は政府から現金の支給という形で行われる。・暫定的なUBIは、すでにアメリカ、スペイン、デンマークなどいくつかの国で実施されている。 ドイツの研究者グループが、ユニバーサル・ベーシック・インカム(UBI)の効果を明らかにするための実験を開始した。UBIは、国民あるいは居住者に対して最低限必要な所得を保障する政策で、通常は政府から現金の支給という形で行われる。 ドイツ経済研究所が8月18日にUBIに関する3年にわたる調査研究を開始したと、ロンドン・タイムズが19日に報じた。その一環として、120人が毎月1200ユーロ(約15万円)を受け取る。研究者はその後、1380人の現金支給を受けていない人々の体験と比較分析を行うことになると、Business Insiderでも報じた。 他の国々でも似たような議論がスタートしており、パンデミックをきっかけとしてある種のUBIをすでに導入した国もある。 ロンドン・タイムズによると、5月上旬、スコットランド自治政府のニコラ・スタージョン(Nicola Sturgeon)首相は、全国民に政府から現金支給する形のUBIについて、真剣に検討すべき「時が来た」と述べた。同首相はこの件について「建設的な議論」をイギリス政府と行うとした。最終的に国家的な政策として実行するか否かはイギリス政府の判断によるからだ。 アメリカでは3月に連邦議会が「コロナウイルス支援・救済・経済安全保障法案(Coronavirus Aid, Relief, and Economic Security:CARES法)」を可決した。これは景気刺激策の一環であり、資格を満たすアメリカ国民に単発で最大1200ドルを支給するといった内容が含まれていた。だが、これでは十分ではないと指摘する議員もいる。4月には、民主党所属の連邦下院議員が、「緊急資金法案(Emergency Money for the People Act)」を提出した。これは、16歳以上で年収13万ドル未満のアメリカ国民に対し、少なくとも月に2000ドルを6カ月にわたって支給するというものだ。 スペインでは最貧層の100万世帯に対して毎月の収入を保障する計画だとロイターが報じた。同国の経済担当相、ナディア・カルビニョ(Nadia Calvino)は4月、民間テレビ局ラ・セクスタ(laSexta)に対し、政府としてはUBIを「恒久的な支援策」にしたいと語ったとBusiness Insiderが報じた。*****************************************************************************<日本でベーシックインカムは実現できるか?>ポスト・コロナウイルスの働き方は劇的に変わるのではないか・・・ということで、このサイトを見てみたわけです。日本でベーシックインカムは実現できるか?導入のメリット・デメリットを金融の専門家が解説より貧困や経済格差の拡大を背景に、ベーシックインカム制度導入についての議論が以前からありました。しかし、2020年に発生した新型コロナウイルスにより世界的な社会的な不安が増すことで、ベーシックインカムの流れは加速するかもしれません。実際に試験的に導入が進められている国もあり、一定の成果を上げています。この記事では、ベーシックインカムとはどのような仕組みなのかを、メリット・デメリットと合わせて解説します。■ベーシックインカムとは政府が行う経済政策には、「国民にお金を配る」という政策があります。これを実現させると、すべての国民が毎月一定額のお金をもらえるようになります。これを「ベーシックインカム」といいます。ベーシックインカム(Basic Income)は「最低所得保障」と呼ばれ、年齢や性別、所得を問わず、すべての人に所得保障として一定額の現金を支給する制度。つまり、働かなくても生活に最低限必要なお金がもらえるという政策なのです。ベーシックインカムを導入すると、世の中のお金が回り始めます。日本は現在、お金の量が足りなくてモノの値段が下がる「デフレ」の状態です。モノが売れないと企業の売上が落ちます。企業は売上を増やすため、商品を値下げしないといけないので物価が下がります。これがデフレと呼ばれる状態です。しかし、商品を値下げすれば利益が減るので、従業員に支払う給料も減ってしまいます。これが、今の日本の状態なのです。ですから、足りない分のお金をベーシックインカムとして国民に配ることで、不足を埋め合わせします。お金の不足が解消されるので、すべての人が豊かになれる制度なのです。定年を迎えた人には年金、働けない人には生活保護、失業した人には失業保険といった社会保障制度によって、所得が少ない人を支える仕組みは用意されています。しかし、これらの給付には審査があり、満足のいく額を受給できなかったり、まったく支給されなかったりする恐れがあります。そうなると、憲法で保障されている「最低限の生活」を送れない人も出てくるでしょう。日本は先進国ですが、貧困による餓死が社会問題化しています。ベーシックインカムのような社会保障制度は、弱者を救済する手段の1つとなるのです。近年、ベーシックインカム制度に注目が集まり、エリアや支給対象を絞って試験的に導入する国が増えています。日本も政党によって考え方は違うでしょうが、今後は議論が進んでいくでしょう。*****************************************************************************<「ベーシックインカム」実験 疑問の声も> 大使は北欧の「ベーシックインカム」実験をフォローしているのだが、1/15デジタル朝日に最新記事が載ったので、紙のスクラップとともにダブルで残したのです。「ベーシックインカム」実験 疑問の声も 隣国フィンランドが模索するのは「ベーシックインカム(BI)」。生活保護のように特定の人が対象ではなく、すべての人に一律の現金を配る仕組みだ。 「いまのシステムは、企業に勤めない人への支援が難しい。どんな手法が可能か、実験の一つ」と首相府のマルクス・カネルバ専門官は説明する。ランダムに選んだ失業者2千人に、月560ユーロ(約7万円)を無税で2年間支給。その間に就職しても支給を続け、収入申告などの手続きは不要だ。(長くなるので省略、全文はここ)*****************************************************************************<国家で実験ベーシックインカム> ベーシックインカムに関心があって調べていたのだが、およそ1年前の朝日新聞スクラップからフィンランドの実例を見つけたので紹介します。(新聞からの転記になるが、転記すれば頭に入るというアナログ人間の大使でおます)北欧フィンランドで、政府が無条件で一定額のお金を配る「ベーシックインカム」の実証実験が進んでいる。現状の失業保険などの社会保障制度が国民のニーズに対応できておらず、抜本的な見直しが必要ではないかとの問題意識からだ。導入には賛否があるが、欧州では他の地域でも実験を始める動きが続いている…■月7.5万支給 職探し前向きに(長くなるので省略、全文はここ)*****************************************************************************【新・日本の階級社会】(長くなるので省略、全文はここ)*****************************************************************************【お金のために働く必用がなくなったら、何をしますか?】(長くなるので省略、全文はここ)*****************************************************************************【中国化する日本】與那覇潤著、文藝春秋、2011年刊(長くなるので省略、全文はここ)*****************************************************************************エノ・シュミットがミヒャエル・エンデ著『モモ』を引合いに出してベーシックインカムを語っているので、読んでみようと思うのだが。【モモ】(長くなるので省略、全文はここ)
2021.01.02
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図書館で『コンビニが日本から消えたなら』という本を手にしたのです。実地調査に基いた目の付け所がいいし、読みどころ満載の経済評論だと思います。【コンビニが日本から消えたなら】渡辺広明著、ベストセラーズ、2019年刊<「BOOK」データベース>より抜群の親しみやすさ!バイヤー経験に基づく確かな目利きで流通界に鋭く斬り込む!コンビニを見ると気づく日本経済復活論。いい仕事をするための教科書。<読む前の大使寸評>実地調査に基いた目の付け所がいいし、読みどころ満載の経済評論だと思います。rakutenコンビニが日本から消えたなら同一チェーンの近隣出店を、見てみましょう。p228~231<第4章 目からウロコのコンビニ裏事情>■同じコンビニチェーンの店舗が近隣にも建つ理由 しばしば街を歩いていると「同じコンビニチェーンの店舗ばかり建っている」といった光景に遭遇することがあるでしょう。ときには、隣や道路を挟んだ向かいに同一チェーンのコンビニが建てられているケースもあります。 この理由は、フランチャイズ業界における「ドミナント戦略」です。 ドミナント戦略とは、一定の地域に集中的に出店していき、知名度を上げて競合他社よりも優位に立とうとする戦略です。コーヒーチェーンのスターバックスもドミナント戦略を得意としています。池袋駅周辺には10店舗以上、新宿駅周辺には20店舗以上も出店していて、両駅の周辺では、スターバックスの紙コップを持って街を歩いている若者が目立つ。その宣伝効果も計り知れません。 ドミナント戦略による出店には、大きく分けて2つの方法があります。1つは、例に出したスターバックスのように、狭小エリアに集中的に出店してゆく方法。もう1つは、もっと大きなエリアで捉える方法です。たとえば、セブン-イレブンは四国に進出する際、一挙に30店舗ほど同時に出店することで、強いインパクトを与えました。工場・物流センターを拠点とした配送効率においても、ドミナント戦略は理に適った戦略となるのです。 しかし、コンビニ本部にとっては合理的でも、オーナー側にとっては理不尽に感じるのがドミナント問題です。とくに、狭小エリアのドミナント出店は、店舗の売上が大幅に落ちるため、心情的には穏やかではありません。 ただし、同一チェーンによるドミナント戦略は、決してオーナーへの嫌がらせではありません。それどころか、むしろ「他社からのプロテクト」という側面もあります。近隣のテナントに他社のコンビニが入ってしまったら、それは単純に競合店の誕生を意味します。しかし、自社で押さえれば、オーナーを救う手立ても残されています。どういうことかと言うと、本部が同一チェーンの店舗を建てる際、近隣のオーナーに「新店舗も経営しませんか?」と多店舗経営を打診するのが一般的なのです。 ドミナント出店で抗議しているオーナーの中には、本部から多店舗展開を打診されなかった人々も多いようです。ただし、本部も打診する相手を選んでいます。実は、打診されなかったオーナーは、本部の目指す店舗の運営と乖離がある場合が多いのです。また、複数店の経営を望まないオーナーもいます。このため、ドミナント出店に苦しむオーナーたちに同情の声が集まることもありますが、私は一概に本部ばかりを悪者扱いするのは間違いだと思っています。 ただし、たとえオーナー側に打診されないような原因があったとしても、心情的には良くないことだとも思っています。新たにフランチャイズ法を策定し、同一チェーン出店の場合は、距離規制などを設ける必要があるかもしれません。また、近隣の同一チェーン出店の場合は、既存オーナーに、新店を運営するプライオリティを各コンビニ本部は与えるべきだとも思います。 しかし、こうしてオーナーを守ったとしても、今度は別の問題が浮上します。それは、コンビニ以外の業界からの出店です。「まいばすけっと」や「マルエツプチ」などの安売りのミニスーパーが出店すれば、コンビニは他社の競合店よりも苦戦を強いられます。ほかにも、周囲に弁当チェーンやファストフード、ドラッグストアが建てば、コンビニの需要は著しく下がるでしょう。『コンビニが日本から消えたなら』3:「店舗数」と「マス化」が商品開発の土壌『コンビニが日本から消えたなら』2:キャッシュレス決裁『コンビニが日本から消えたなら』1:「はじめに」()
2020.11.21
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<『コンビニが日本から消えたなら』3>図書館で『コンビニが日本から消えたなら』という本を手にしたのです。実地調査に基いた目の付け所がいいし、読みどころ満載の経済評論だと思います。【コンビニが日本から消えたなら】渡辺広明著、ベストセラーズ、2019年刊<「BOOK」データベース>より抜群の親しみやすさ!バイヤー経験に基づく確かな目利きで流通界に鋭く斬り込む!コンビニを見ると気づく日本経済復活論。いい仕事をするための教科書。<読む前の大使寸評>実地調査に基いた目の付け所がいいし、読みどころ満載の経済評論だと思います。rakutenコンビニが日本から消えたならコンビニの商品開発力を、見てみましょう。p139~142<第2章 コンビニこそ商品開発の最前線>■「店舗数」と「マス化」が商品開発の土壌をつくる 近年、家電メーカーの低迷により、「日本の商品開発力が弱まっている」との指摘があります。これは「日本が得意とする多種多様すぎるものづくりからくる負のスパイラル」が原因なのかもしれません。 高スペックでさまざまな機能を詰め込むという手法が、世界では受け入れられなくなっているのです。代わりに、サムソンのような使用頻度の高いスペックに絞り込んだ商品が発展途上国を中心に人気を集めています。 しかし、「日本の多種多様なものづくり」は、一般的な消費財においては強い武器だと私は思っています。シャンプーや化粧品、食品など、お客様の多様なニーズに合わせ、これだけ豊富な種類を取り揃えている国は日本だけです。 これらの商品を、世界に目をむけて開発していけば、素晴らしい進化を遂げる可能性があります。 そのなかでも、とくに私が期待しているのはコンビニが持つ商品開発力です。■商品開発に適した巨大なロット数 まず前提として、日本の商品の品質が高い理由は工場(大手メーカーのOEM/製造受託工場)にあります。日本の工場は徹底した生産管理と時間管理によって高品質を保っています。 中国やベトナムなどの工場でも、日本が指導している工場ならば、均一で同品質で製造できるものが増えています。ただ、時間管理に関しては日本ほど正確な国はありません。正確できめ細やかに対応できるというのは、商品づくりにおいてとても大切なのです。 そして、コンビニの商品開発力が工場とどう関わっていくのかというと「巨大なロット数」を保有していることが武器となってくるということです。商品はロット数で売価が決まります。3000個つくるのと、3万個つくるのと、30万個つくるのとでは原価が大きく変わってきますからね。コンビニは店舗数が多いため、大手3社が「1店舗あたり3個売れる」と想定したら、各社のロット数は1.5~2万店のため、4万5000~6万個になります。コンビニの店舗数は、商品づくりに向いた大ロット数なのです。 世界の小売業を見回しても、これほどの店舗数を抱えている企業はありません。業界トップの売上高を誇るウォルマートでも、店舗数は世界で1万1300店舗です。これに対し、コンビニは「国内」だけでセブン-イレブンが2万1000店舗、ファミリーマートが1万6500店舗、ローソンが1万4600店舗。世界最高峰の店舗数を大手3社が抱えているのです。『コンビニが日本から消えたなら』2:キャッシュレス決裁『コンビニが日本から消えたなら』1:「はじめに」()
2020.11.21
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図書館で『コンビニが日本から消えたなら』という本を手にしたのです。実地調査に基いた目の付け所がいいし、読みどころ満載の経済評論だと思います。【コンビニが日本から消えたなら】渡辺広明著、ベストセラーズ、2019年刊<「BOOK」データベース>より抜群の親しみやすさ!バイヤー経験に基づく確かな目利きで流通界に鋭く斬り込む!コンビニを見ると気づく日本経済復活論。いい仕事をするための教科書。<読む前の大使寸評>実地調査に基いた目の付け所がいいし、読みどころ満載の経済評論だと思います。rakutenコンビニが日本から消えたなら大使は「いつもニコニコ現金払い」を励行していて、キャッシュレス決裁には抵抗を感じているのだが・・・そのキャッシュレス決裁を、見てみましょう。p26~27<SECTION 03 キャッシュレス決裁>■政府が推進するキャッシュレス事業、人手不足のコンビニには大きな追い風 2019年10月の消費税引き上げに伴い、政府はキャッシュレス決裁のポイント還元制度を開始しました。 かねてから日本では“現金信奉”が強く、経済産業省によれば、2016年の日本のキャッシュレス普及率のは約20%。「キャッシュレス後進国」とも揶揄されるなか、政府は2025年までに普及率40%を目指すと発表しています。 コンビニ業界においても、キャッシュレス推進は歓迎すべき政策と言えます。深刻な人手不足に陥っている各店舗では、レジ会計における省力化が必須なのです。 私は月に1,2回の頻度で、現場の状況を勉強するため、都内のコンビニ店舗で働かせていただいています。そんな私の肌感では、キャッシュレス決裁を利用するお客様は、10月を機に3割程度から5、6割に増えています。各社の全国平均の発表でも。セブン-イレブンで約42%、ファミリーマートで約26%、ローソンで約28%と確実に増加しています(2019年11月)。 私がレジ打ちした感覚では、支払方法として最も多いのは、クレジットカードをはじめとした、もともとお客様が所有していたであろう電子マネーです。とくに交通機関系電子マネーの「Suica」で支払うお客様が増えているようです。一方、近頃話題になっている「スマホ決裁」の利用者は、現状ではそれほど多くない印象を受けました。アプリ立ち上げの手間が継続利用の妨げになっているようです。 得てして人は、年を重ねるに連れて、変化を苦手に感じるものです。キャッシュレス化においても、高齢者は従来の現金払いのままといった感じです。しかし、駅の改札で「Suica」をはじめとしたICカード乗車券が一般化したように、変化を嫌う一方で、その利便性に気付けば順応していくのが人間です。 キャッシュレス決裁の利便性が広まれば、高齢者の利用も少しずつ増えていくと考えられます。『コンビニが日本から消えたなら』1()
2020.11.20
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図書館で『コンビニが日本から消えたなら』という本を手にしたのです。実地調査に基いた目の付け所がいいし、読みどころ満載の経済評論だと思います。【コンビニが日本から消えたなら】渡辺広明著、ベストセラーズ、2019年刊<「BOOK」データベース>より抜群の親しみやすさ!バイヤー経験に基づく確かな目利きで流通界に鋭く斬り込む!コンビニを見ると気づく日本経済復活論。いい仕事をするための教科書。<読む前の大使寸評>実地調査に基いた目の付け所がいいし、読みどころ満載の経済評論だと思います。rakutenコンビニが日本から消えたなら冒頭の「はじめに」を、見てみましょう。p6~9<「はじめに」コンビニのない世界を想像できますか?> 高校3年まで家事全般は母親任せだった浜松の田舎育ちの私が、東京の大学に進学を機に上京することになり、一人暮らしのワクワク感と不安がまじった心持ちだったことを憶えています。母親も同様だったようです。 そんな不安を一変させた親父の一言、 「住む所の近くにニコマートって24時間開いている店があるから大丈夫じゃないか」 確かに、その後の10年近く続く一人暮らしはもとより、いまに至るまでコンビニのおかげで不自由なく便利に暮らすことができています。そして外国に行くとそのありがたさを痛感します。 誰もがたとえ一人でも快適に暮らすことができる世の中になったのは、まさにコンビニが大きな役割を果たしたからなのではないでしょうか? 同時に、未婚化を加速させた戦犯かも。いまでは高齢者世帯の拠り所にもなっています。 セブン-イレブンのTVCMのキャッチコピーが「開いててよかった」から「近くて便利」へと変わり、国民にとってなくてはならない、空気や水のような存在に昇華したコンビニ。 まさに日常を支える店に生まれ変わっています。 しかしながら、人手不足も深刻化して、都内のコンビニでは外国人労働者なくしては成り立たないし、若年層人口の減少でアルバイトも集まらない。時給も上がっている。店舗運営を担うフランチャイズオーナーの窮地は加速しています。 コンビニは、24時間・年中無休。 全国で従業員が駅伝のようにタスキをつなぎながら商売してきました。現状ではタスキをつなぐことは難しくなり、深夜営業や正月営業の見直しが増えていきそうです。 そして、2020年7月のレジ袋の有料化、日々発生する食品ロス問題。人口減少社会でシュリンクするマーケットとなり、ドミナント問題も加速。 労働者ではないと定義され、個人事業主とも一概には言えないフランチャイズオーナーに対する法規制の行く末。 コンビニは、お客さまのニーズ・ウォンツを消費意欲を満たし続けるだけではなく、令和に入り社会的意義に立ち向かい進化する時代となりました。 コンビニは変化対応して45年間伸び続けました。全国に5万8000店以上あるコンビニがさまざまな課題を解決していけば、自ずと日本全体が元気になっていくでしょう。 世界最強のリアル小売業のコンビニが社会の問題を解決してさらに進化していく。すごくワクワクしませんか? ただし、いま必用とされている社会的課題との向き合いは、オーナー・本部ともに大変厳しい戦いとなります。そんな現状と処方箋を、日本の未来になぞらえて、この本を書きました。 ぜひ本書を読んで頂き、皆様が感じた異論反論・斬新なアイデアで、前向きな議論が活発化する機会になれば幸いです。
2020.11.20
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<ベ-シックインカムがつなぐ輪R4>『お金のために働く必用がなくなったら、何をしますか?』という新書を、読んでいるのだが・・・この本はベ-シックインカム導入を題材にして、望まれる社会保障制度を論じているわけです。・・・ということで、ベ-シックインカムについて集めてみます。・ドイツでベーシックインカム実験始まる(2020.8月)・日本でベーシックインカムは実現できるか?(2020.4.26)・「ベーシックインカム」実験 疑問の声も(2019.1.15デジタル朝日)・国家で実験ベーシックインカム(2018.12月デジタル朝日)・『新・日本の階級社会』(2018年刊)・『お金のために働く必用がなくなったら、何をしますか?』(2018年刊)・與那覇潤著『中国化する日本』(2011年刊)・ミヒャエル・エンデ著『モモ』(2005年刊)R4:『ドイツでベーシックインカム実験始まる』を追記*****************************************************************************欧米におけるベーシックインカムの実施状況(厳密には2020年8月の試行状況)を見てみましょう。ドイツでベーシックインカム実験始まる…3年間、毎月15万円を支給。より・ドイツ経済研究所によるユニバーサル・ベーシック・インカム(UBI)研究の一環として120人のドイツ人が3年にわたって毎月1200ユーロ(約15万円)を受け取る。・UBIは国民あるいは居住者に対して最低限必要な所得を保障する政策で、通常は政府から現金の支給という形で行われる。・暫定的なUBIは、すでにアメリカ、スペイン、デンマークなどいくつかの国で実施されている。 ドイツの研究者グループが、ユニバーサル・ベーシック・インカム(UBI)の効果を明らかにするための実験を開始した。UBIは、国民あるいは居住者に対して最低限必要な所得を保障する政策で、通常は政府から現金の支給という形で行われる。 ドイツ経済研究所が8月18日にUBIに関する3年にわたる調査研究を開始したと、ロンドン・タイムズが19日に報じた。その一環として、120人が毎月1200ユーロ(約15万円)を受け取る。研究者はその後、1380人の現金支給を受けていない人々の体験と比較分析を行うことになると、Business Insiderでも報じた。 他の国々でも似たような議論がスタートしており、パンデミックをきっかけとしてある種のUBIをすでに導入した国もある。 ロンドン・タイムズによると、5月上旬、スコットランド自治政府のニコラ・スタージョン(Nicola Sturgeon)首相は、全国民に政府から現金支給する形のUBIについて、真剣に検討すべき「時が来た」と述べた。同首相はこの件について「建設的な議論」をイギリス政府と行うとした。最終的に国家的な政策として実行するか否かはイギリス政府の判断によるからだ。 アメリカでは3月に連邦議会が「コロナウイルス支援・救済・経済安全保障法案(Coronavirus Aid, Relief, and Economic Security:CARES法)」を可決した。これは景気刺激策の一環であり、資格を満たすアメリカ国民に単発で最大1200ドルを支給するといった内容が含まれていた。だが、これでは十分ではないと指摘する議員もいる。4月には、民主党所属の連邦下院議員が、「緊急資金法案(Emergency Money for the People Act)」を提出した。これは、16歳以上で年収13万ドル未満のアメリカ国民に対し、少なくとも月に2000ドルを6カ月にわたって支給するというものだ。 スペインでは最貧層の100万世帯に対して毎月の収入を保障する計画だとロイターが報じた。同国の経済担当相、ナディア・カルビニョ(Nadia Calvino)は4月、民間テレビ局ラ・セクスタ(laSexta)に対し、政府としてはUBIを「恒久的な支援策」にしたいと語ったとBusiness Insiderが報じた。*****************************************************************************<日本でベーシックインカムは実現できるか?>ポスト・コロナウイルスの働き方は劇的に変わるのではないか・・・ということで、このサイトを見てみたわけです。日本でベーシックインカムは実現できるか?導入のメリット・デメリットを金融の専門家が解説より貧困や経済格差の拡大を背景に、ベーシックインカム制度導入についての議論が以前からありました。しかし、2020年に発生した新型コロナウイルスにより世界的な社会的な不安が増すことで、ベーシックインカムの流れは加速するかもしれません。実際に試験的に導入が進められている国もあり、一定の成果を上げています。この記事では、ベーシックインカムとはどのような仕組みなのかを、メリット・デメリットと合わせて解説します。■ベーシックインカムとは政府が行う経済政策には、「国民にお金を配る」という政策があります。これを実現させると、すべての国民が毎月一定額のお金をもらえるようになります。これを「ベーシックインカム」といいます。ベーシックインカム(Basic Income)は「最低所得保障」と呼ばれ、年齢や性別、所得を問わず、すべての人に所得保障として一定額の現金を支給する制度。つまり、働かなくても生活に最低限必要なお金がもらえるという政策なのです。ベーシックインカムを導入すると、世の中のお金が回り始めます。日本は現在、お金の量が足りなくてモノの値段が下がる「デフレ」の状態です。モノが売れないと企業の売上が落ちます。企業は売上を増やすため、商品を値下げしないといけないので物価が下がります。これがデフレと呼ばれる状態です。しかし、商品を値下げすれば利益が減るので、従業員に支払う給料も減ってしまいます。これが、今の日本の状態なのです。ですから、足りない分のお金をベーシックインカムとして国民に配ることで、不足を埋め合わせします。お金の不足が解消されるので、すべての人が豊かになれる制度なのです。定年を迎えた人には年金、働けない人には生活保護、失業した人には失業保険といった社会保障制度によって、所得が少ない人を支える仕組みは用意されています。しかし、これらの給付には審査があり、満足のいく額を受給できなかったり、まったく支給されなかったりする恐れがあります。そうなると、憲法で保障されている「最低限の生活」を送れない人も出てくるでしょう。日本は先進国ですが、貧困による餓死が社会問題化しています。ベーシックインカムのような社会保障制度は、弱者を救済する手段の1つとなるのです。近年、ベーシックインカム制度に注目が集まり、エリアや支給対象を絞って試験的に導入する国が増えています。日本も政党によって考え方は違うでしょうが、今後は議論が進んでいくでしょう。*****************************************************************************<「ベーシックインカム」実験 疑問の声も> 大使は北欧の「ベーシックインカム」実験をフォローしているのだが、1/15デジタル朝日に最新記事が載ったので、紙のスクラップとともにダブルで残したのです。「ベーシックインカム」実験 疑問の声も 隣国フィンランドが模索するのは「ベーシックインカム(BI)」。生活保護のように特定の人が対象ではなく、すべての人に一律の現金を配る仕組みだ。 「いまのシステムは、企業に勤めない人への支援が難しい。どんな手法が可能か、実験の一つ」と首相府のマルクス・カネルバ専門官は説明する。ランダムに選んだ失業者2千人に、月560ユーロ(約7万円)を無税で2年間支給。その間に就職しても支給を続け、収入申告などの手続きは不要だ。(長くなるので省略、全文はここ)*****************************************************************************<国家で実験ベーシックインカム> ベーシックインカムに関心があって調べていたのだが、およそ1年前の朝日新聞スクラップからフィンランドの実例を見つけたので紹介します。(新聞からの転記になるが、転記すれば頭に入るというアナログ人間の大使でおます)北欧フィンランドで、政府が無条件で一定額のお金を配る「ベーシックインカム」の実証実験が進んでいる。現状の失業保険などの社会保障制度が国民のニーズに対応できておらず、抜本的な見直しが必要ではないかとの問題意識からだ。導入には賛否があるが、欧州では他の地域でも実験を始める動きが続いている…■月7.5万支給 職探し前向きに(長くなるので省略、全文はここ)*****************************************************************************【新・日本の階級社会】(長くなるので省略、全文はここ)*****************************************************************************【お金のために働く必用がなくなったら、何をしますか?】(長くなるので省略、全文はここ)*****************************************************************************【中国化する日本】與那覇潤著、文藝春秋、2011年刊(長くなるので省略、全文はここ)*****************************************************************************エノ・シュミットがミヒャエル・エンデ著『モモ』を引合いに出してベーシックインカムを語っているので、読んでみようと思うのだが。【モモ】(長くなるので省略、全文はここ)
2020.11.12
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図書館に予約していた『サル化する世界』という本を、待つことおよそ5ヵ月で、ゲットしたのです。内田先生には毎度「内田樹の研究室」の紹介を務めている太子である。この本には期待できそうやでぇ♪【サル化する世界】内田樹著、文藝春秋、2020年刊<「BOOK」データベース>より現代社会の劣化に歯止めをかける、真の処方箋!堤未果氏との特別対談も収録。【目次】1 時間と知性/2 ゆらぐ現代社会/3 “この国のかたち”考/4 AI時代の教育論/5 人口減少社会のただ中で/特別対談 内田樹×堤未果 日本の資産が世界中のグローバル企業に売り渡されるー人口減少社会を襲う“ハゲタカ”問題<読む前の大使寸評>内田先生には毎度「内田樹の研究室」の紹介を務めている太子である。この本には期待できそうやでぇ♪<図書館予約:(3/25予約、9/02受取)>rakutenサル化する世界堤未果さんとの対談「人口減少社会を襲う“ハゲタカ”問題」が興味深いので、見てみましょう。p283~287 <「老後2000万円」問題に隠された思惑>内田:人口減少社会で年金制度が持続できるか不安視する声が高まっています。最近、金融庁が発表した「老後2000万円不足」問題がネット上でも話題になりました。麻生(太郎、財務)大臣は「報告書読まない、受け取らない」として問題をもみ消そうとしていますが、そもそも「100年安心」を掲げていたことに無理があった。この先の人口減少を考えたときに、よくこんな嘘をつけたなと思います(笑)。 とりあえず「向こう15年くらいは安心」あたりを目指し、状況が変わったら、そのつど新しいファクターを取り込むことのできる、フレキシブルで復元力のあるシステムを作った方がよほど現実味があったんですけどね。 堤:現行の年金制度は、経済成長し続けることが前提で設計されている上に、当初より平均寿命も20年以上伸びている。あのとき予想していなかった少子高齢化など、状況が大きく変わっているのにどの政権も触りたがらず、ずっと後回しにしてきましたね。 恩恵を受けている高齢世代が高投票率で、しわ寄せを若年層の投票率が低い状況が、この問題をさらに悪化させています。選挙前のこの時期に触るなと言わんばかりに、大臣が報告書を受取拒否して炎上する姿はまさに象徴的でした。 本当は今のライフスタイルも社会制度も根本的に考え直さなければいけない、この国にとってとても重要なテーマなのに、政治的にごまかされてしまう。2007年の選挙では「消えた年金」問題が争点になりましたが、あれもうやむやのままですよね。内田:消えた年金といえば、僕が大学を退職するとき総務に年金の資料をもらいにいったら、神戸女学院時代の21年分しか記録がなくて、それ以前の、会社で5年間、都立大の助手を8年間やっていた期間の支払いがすべて消えていたのには驚きました。「どうすればいいの?」って訊いたら、「在職して年金を払っていたという証明書をもらってきて、手続きしないとダメでしょうね」っていうんです。「でも、僕の勤めていた大学、もうなくなっちゃたんですけど・・・」(笑)。そういう場合はどこに行ったらいいのか訊いても、「さあ・・・」といわれて。冷たいもんですよ(笑)。めんどくさいので、僕、年金貰ってないんです。 堤:ひどい・・・信じられない話ですね、最後の結論が潔いけれど(笑)。「記録が消える」「統計ミス」などは国の機関にとって重大な欠陥ですが、その後も年金データの処理が下請けの外国企業に委託されるなど、ずさんな扱いをしているのが気になります。 2000万円問題に戻ると、あの報告書を読むと、高齢夫婦無職世帯の平均貯蓄額は2484万円と書かれていますが、平均だから当然その中に格差があり、2000万円という数字だけ見るとゾッとしますよね。 厚生年金加入者が2000万円なら国民年金は5000万円以上足りなくなるなど、国民が不安になったところに金融庁から「とにかく早い段階から資産形成を」と促されている。金融庁の本命はあの部分でしょう。内田:今の高齢者はある程度の個人資産を持っているかもしれないけれど、現役世代が普通に働いて2000万円貯めるのは難しいと思います。定期預金の金利はほぼゼロですから、貯金してたら資産形成なんてできない。だから、あれは要するに「株や不動産を買って、投機的なふるまいをしろ」って国民を脅しつけているってことですよね。一般市民を賭場に引きずり出して来て、「さあ、張った張った」と煽っている。堤:NISAの優遇措置をはじめ、政府はこれまで金融分野の法改正を進め、なかなか預貯金を移し替えない一般国民が投資いやすい環境を整えてきました。金融リテラシーは確かに必要ですが、問題は、財界や投資家と政府の距離が近すぎること。投資を促したい人たちに金融庁が協力し、そこが出した平均値が一人歩きして老後不安が煽られている。『サル化する世界』3:対独協力国だったフランス『サル化する世界』2:China Scare―中国が怖い『サル化する世界』1:なんだかよくわからないまえがき
2020.09.18
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図書館に予約していた『上級国民/下級国民』という本を、待つこと9ヵ月ほどでゲットしたのです。この本の「はじめに」で高級官僚の存在や神戸市営バスの運転手の事件が載っているので、見てみましょう。【上級国民/下級国民】橘玲著、小学館、2019年刊<「BOOK」データベース>より「下級国民」を待ち受けるのは、共同体からも性愛からも排除されるという“残酷な運命”。一方でそれらを独占する少数の「上級国民」たち。ベストセラー『言ってはいけない』の著者があぶり出す、世界レベルで急速に進行する分断の正体。<読む前の大使寸評>この本の「はじめに」で高級官僚の存在や神戸市営バスの運転手の事件が載っているので、見てみましょう。<図書館予約:(10/24予約、副本16、予約283)>amazon上級国民/下級国民「PART1 下級国民の誕生」の「令和で起きること」を、見てみましょう。p51~54パラサイト・シングルの“発見” パラサイト・シングルは「学卒後もなお、親と同居し、基礎的生活条件を親に依存している未婚者」のことで、社会学者の山田昌弘さんが1999年に『パラサイト・シングルの時代』(ちくま新書)で命名しました。 彼ら/彼女たちは当初、「社会人になっても親を利用して優雅な生活を送っている」とされ、新しい生き方としてもてはやされてもしましたが、たちまち“バッシング”の標的になっていきます。 パラサイト・シングルは独身者ですから、結婚して子どもをつくることがありません。これが晩婚化・少子化の原因とされたのが典型的な批判のひとつです。「親に甘えて大人になろうとしない」「社会人としての自覚がなく、責任も果たそうとしない」というのです。 もうひとつの批判は、パラサイト・シングルはフリーターが多く、「失業予備軍」でしかないというものです。フリーターは「正社員として会社に所属せず、アルバイトなど自由な仕事で自己実現を目指す」働き方として1980年代のバブル期に脚光を浴びましたが、90年代半ば以降の「就職氷河期」では、「正社員になれないからしかたなくフリーターをやっている」ケースが大半になりました。 それにもかかわらずこの時期、新卒の若者のうち3年以内に会社を辞める割合が、中卒で7割、高卒で5割、大卒でも3割に達することが大きな社会問題になりました。日本は労働市場の流動性が低く、転職が困難なので、正社員を辞めた若者の多くがフリーターになりました。それが、「最近の若者はこらえ性がない」「世の中をなめている」との批判につながっていきます。(中略) 「就職氷河期」の若者は賃金の低いフリーターや非正規になりやすく、自活するだけの収入を得られませんから、成人しても実家で暮らすしかありません。こうして1990年代末に「パラサイト・シングル」が“発見”されます。 アルバイト仕事はせいぜい20代までで、30歳を超えてフリーターをやっていると周囲から奇異な目で見られるし、職場にもいづらくなります。同窓会など、学生時代の友人と会う機会にも足が向かなくなるでしょう。 パラサイト・シングルのフリーターはやがて失業者になり、家から出ることのない「ひきこもり」になっていきます。このように、「フリーター→パラサイト・シングル→ひきこもり」という現象は、1990年代半ばを起点としって一直線につながっているのです。不都合なことはすべて若者の責任 玄田有史さんは『仕事のなかの曖昧な不安』の文庫版のあとがきで、「この本の最大の主張は、中高年の雇用という既得権が若者から仕事を奪ったというものである」とはっきり書いています。 そしてこの主張は、2004年にベストセラーになった『ニート フリーターでもなく失業者でもなく』(玄冬社文庫)につながっていきます。ウン 我らが団塊の世代は、一時期アメリカの土地を買いあさったが・・・日本の若者から仕事を奪ったという面(嫌われもん世にのさばる)が有ったのかもしれませんね。『上級国民/下級国民』5:私の人生は私が自由に選択する『上級国民/下級国民』4:日本経済の成長率の低迷『上級国民/下級国民』3:急落したGDP成長率『上級国民/下級国民』2:日本のサラリーマン『上級国民/下級国民』1:はじめに
2020.09.09
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図書館に予約していた『上級国民/下級国民』という本を、待つこと9ヵ月ほどでゲットしたのです。この本の「はじめに」で高級官僚の存在や神戸市営バスの運転手の事件が載っているので、見てみましょう。【上級国民/下級国民】橘玲著、小学館、2019年刊<「BOOK」データベース>より「下級国民」を待ち受けるのは、共同体からも性愛からも排除されるという“残酷な運命”。一方でそれらを独占する少数の「上級国民」たち。ベストセラー『言ってはいけない』の著者があぶり出す、世界レベルで急速に進行する分断の正体。<読む前の大使寸評>この本の「はじめに」で高級官僚の存在や神戸市営バスの運転手の事件が載っているので、見てみましょう。<図書館予約:(10/24予約、副本16、予約283)>amazon上級国民/下級国民この本の「PART3 世界を揺るがす上級/下級の分断」を、見てみましょう。p151~154私の人生は私が自由に選択する 産業革命後の18世紀半ばから20世紀初頭までが「前期近代」で、その特徴は強大な科学技術によるゆたかさの追求でした。この時代は富が土地(領土)と結びついていたため、いち早く近代化したヨーロッパ列強は競って植民地獲得に乗り出しました。 それから100年遅れて、日本がアジアではじめて近代化に成功し、朝鮮半島と台湾を植民地化し中国大陸を侵略していくことになります。 こうして植民地主義(帝国主義)がふたつの大きな戦争を引き起こし、数千万というとてつもない数の戦死者・餓死者を出し、アウシュビッツとヒロシマを経験してようやく「戦争の世紀」が終わります。 米ソ両超大国が世界を何十回も滅ぼすだけの核兵器を保有したことでもはや大国間の戦争は不可能になり(ゲーム理論でいう相互確証破壊)、国家の存在意義は領土の拡張から経済成長=国民のゆたかさへと変わりました。これが「後期近代」の始まりであり、「福祉国家」の誕生です。 第二次世界大戦後の西側諸国は、アメリカを中心とする自由主義諸国間の貿易によって空前の繁栄を実現します。1960年代になると、ごくふつうの庶民まで、数百万年の人類の歴史のなかで王侯貴族ですら想像できなかったようなとてつもない豊かさを手にすることになりました。 こうして、ゆたかさを背景に価値観の大きな転換が起こります。それをひと言でいうなら、「私の人生は私が選択する」です。「そんなの当たり前じゃないか」と思うでしょうが、それは私たちが「後期近代」に生きているからです。 中世や近世はもちろん、日本では戦前(前期昭和)ですら、「人生を選択する」などという奇妙奇天烈な思想を持つひとはほとんどいませんでした。長男は家業を継ぎ、次男や三男は軍人になるか都会に出稼ぎに行き、姉妹は親の決めた相手と結婚するか、兄弟の学資を稼ぐために身体を売るのが当然とされていたのです。 ところが1960年代になると、こうした前期近代の価値観(生き方)は「過去の歴史」と見なされるようになり、古代や中世と区別がつかなくなります。好きな職業を選び、好きな相手と結婚し、自由に生きることが当たり前になったのです。 これは、どれほど強調しても強調し足りないほどの巨大な変化です。18世紀半ばの産業革命においてゆたかさの相転移が起きたとすれば、20世紀半ばに価値観の相転移が起き、ひとびとは新たなアナザーワールドを生きるようになりました。これが「自由な社会」です。 政治的な自由は「Liberty(リバティ)」で、自由な社会を目指す運動が「Liberal(リベラル)」です。自由化とはリベラル化のことであり、とてつもないゆたかさを背景に若者たちはますます自由=リベラルになっていきました。 こうして1960年代末のアメリカで、ベトナム反戦運動、公民権運動、セックス・ドラッグ・ロックンロールのフラワームーブメント(ヒッピーカルチャー)が始まります。『上級国民/下級国民』4:日本経済の成長率の低迷『上級国民/下級国民』3:急落したGDP成長率『上級国民/下級国民』2:日本のサラリーマン『上級国民/下級国民』1:はじめに
2020.09.09
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図書館に予約していた『上級国民/下級国民』という本を、待つこと9ヵ月ほどでゲットしたのです。この本の「はじめに」で高級官僚の存在や神戸市営バスの運転手の事件が載っているので、見てみましょう。【上級国民/下級国民】橘玲著、小学館、2019年刊<「BOOK」データベース>より「下級国民」を待ち受けるのは、共同体からも性愛からも排除されるという“残酷な運命”。一方でそれらを独占する少数の「上級国民」たち。ベストセラー『言ってはいけない』の著者があぶり出す、世界レベルで急速に進行する分断の正体。<読む前の大使寸評>この本の「はじめに」で高級官僚の存在や神戸市営バスの運転手の事件が載っているので、見てみましょう。<図書館予約:(10/24予約、副本16、予約283)>amazon上級国民/下級国民この本の「PART1 下級国民の誕生」(続き)を、見てみましょう。p38~40生産性の高い工場も閉鎖されている? 生産性の高い工場は生産性の低い工場に比べて規模(続き)が格段に大きいのです。それにもかかわらず約半数が閉鎖されたため、規模を勘案した加重平均で算出される「(工場の)退出効果」は13年間でマイナスになっています。日本経済の成長率の低迷は、この「奇妙な事実(ファクト)」でかなり説明できるのです。報酬の高い産業から低い産業への移動 ここで誰もが感じる疑問は、「生産性の低い工場だけでなく、生産性の高い工場まで閉鎖したのか?」でしょう。 深尾さんはその理由として、「生産性の高い製造業が海外の市場や安価な労働を求めて海外移転を進めたこと」と、「大企業が国内において、おそらく労働コストの削減を求めて、生産の拡大を子会社に担わせ企業内ではリストラを進めたこと」を挙げています。 バブルが崩壊して日本経済が急減速したとき、日本企業にとって最大の重荷はバブル期に大量採用した人員でした。日本ではいったん雇った正社員はよほどのことがないかぎり解雇できないことになっているので、だぶついた社員を年功序列・終身雇用で養っていかなくてはなりません。このことに気づいた経営者は、会社が消滅するリアルな恐怖を感じたのではないでしょうか。 こうして、なりふりかまわぬ人件費の削減が始まりました。 最初にやったのは、新卒採用を大幅に絞り込むことです。とにかく、流れ込んでくる正社員を止めなくてはなりません。 次は、年功賃金のカーブを平準化することです。これまでと同じように年齢に応じて給与を増やしていったら、人件費の重みで会社がつぶれてしまいます。日本的雇用システムでは会社と正社員は一蓮托生ですから、労働組合も「賃下げ」に応じるほかありませんでした。 それでもポストの数が限られている以上、どうしても余剰人員が出てきます。そこで子会社に転籍させたり、採算のとれない事業部ごと外資に売却したり、場合によっては中高年を「追い出し部屋」に放り込むようなことも行われました。これが「リストラ」として大きく報じられたわけですが、その陰でそもそも労働市場(正社員)から排除された膨大な数の若者たちがいることはほとんど顧みられることがありませんでした。 しかしこれだけでは、事業はどんどん縮小する一方です。そこで製造業を中心に、人件費の安い中国や東南アジアなどの新興国に積極的に進出して利益を上げようとする試みが広がりました。こうして、「日本の大企業においては、生産性の上昇が(日本国内の)生産性の拡大に直結せず、むしろしばしば生産性の縮小に直結する」という奇妙な事態が起こったのです。『上級国民/下級国民』3:急落したGDP成長率『上級国民/下級国民』2:日本のサラリーマン『上級国民/下級国民』1:はじめに
2020.09.09
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図書館で『移民の経済学』という新書を、手にしたのです。昨今の最底辺の人たちといえば、シングルマザーか移民であるが・・・そういう意味でこの新書を読んでみようと思ったのです。【移民の経済学】友原章典著、中央公論新社、2020年刊<「BOOK」データベース>よりすでに250万人の「移民」が暮らす日本。2018年末に入管法を改正し、さらなる外国人労働者の受け入れ拡大に舵を切った。移民が増えると、私たちの生活にどのような影響があるのか。本書は、雇用や賃金、経済成長や物価、貿易、税と社会保障、さらに科学技術、治安・文化に至るまで、主要な論点を網羅。経済学の研究成果をもとに分析することで、感情的な議論を超え、移民がもたらす「損」と「得」を明らかにする。<読む前の大使寸評>昨今の最底辺の人たちといえば、シングルマザーか移民であるが・・・そういう意味でこの新書を読んでみようと思ったのです。rakuten移民の経済学「第5章 イノベーションの起爆剤になるのか」を、見てみましょう。p138~142 <低技能者が増えると技術革新が遅れるのか>■技術革新が遅れ、雇用が守られる 単純労働に従事する移民が増えると、技術革新が遅れるという見解がある。移民を受け入れると、国内における労働者の技能水準は変化する。たとえば、アメリカでは多くの高校中退者が移民してきたため、低技能の労働者が相対的に増えた。その結果、全体として見ると、労働者の技能水準が低技能化した。このように労働者の平均的な技能水準が変わると、技術革新にも影響があるのだろうか。 この疑問に答えるために、ダートマス大学のルイスは、アメリカにおける生産技術と労働者の技能水準の関係について研究した。都市ごとに見た労働技能水準の変化の違いが、それぞれの都市における工場の技術採択にどのような影響があるかを分析したのだ。 アメリカにおける移民の流入数は、都市によって違う。このため、高校中退の労働者が増える程度も、都市によって異なる。この違いを生かした分析だ。また、ここでの生産技術とは、組み立て・加工、検査や運搬管理などを行う自動機械化を指している。労働者の技能は学歴によって分類され、大卒以上は高技能、高卒または高卒相当ア中技能、高校中退は低技能とする。 その結果、低技能労働者が増えると技術革新が遅れることが示されている。1988年から93年にかけて、移民の流入により、高校卒業者に対する高校中退者の比率が急速に増えた。この時期にその比率が大きくなった都市ほど、88年からの5年間に、工場で追加された技術の数が減っていたのだ。つまり、工場の自動機械化が遅れた。 高技能や中技能に比べて、低技能労働者が増えた急速に増えた大都市の工場では、生産1単位当たりの機械使用が少なくなっている。「せっかく低技能労働者がたくさんいるのだから、わざわざ設備投資をしなくても、彼らに仕事をしてもらおう」という現象が見られたのだ。専門的にいえば、低技能労働者が相対的に増えると、資本・産出高比率の成長が遅くなる。それぞれの都市で利用可能な労働者の技能水準によって、生産における資本(=機械使用)の割合が変わるのだ。(中略)■日本は変われるか 日本でも、単純労働を行う外国人労働者を大量に利用することで、高度な技術を使う生産体制への移行が遅れる可能性がある。ピエリの研究では、移民が流入した州では生産性の向上が認められたが、それと同時に、低技能的な生産に偏重していた。これは、低技能の労働者が多いと高度な技術の採用が遅れるという、ルイスの研究とも一致する結果となっている。 ただ、技術革新が遅れることは、一概に悪いことだとはいい切れない。現在働いている日本人の雇用を維持するかもしれないからだ。新しく導入される技術の操作に習熟していない低技能労働者のなかには、失業する人も出てくる。技術革新の速度をゆるめると、そうした産業転換に伴う痛みを緩和してくれる。特に、不利益を被るのが経済的弱者の場合にはなおさらだ。ウーム 経済的には著者のおっしゃる通りであるが・・・コロナ禍で今しもホームレスになりかねない経済的弱者は、生活保護を求めてさまよっているようです。『移民の経済学』1
2020.07.14
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図書館で『移民の経済学』という新書を、手にしたのです。昨今の最底辺の人たちといえば、シングルマザーか移民であるが・・・そういう意味でこの新書を読んでみようと思ったのです。【移民の経済学】友原章典著、中央公論新社、2020年刊<「BOOK」データベース>よりすでに250万人の「移民」が暮らす日本。2018年末に入管法を改正し、さらなる外国人労働者の受け入れ拡大に舵を切った。移民が増えると、私たちの生活にどのような影響があるのか。本書は、雇用や賃金、経済成長や物価、貿易、税と社会保障、さらに科学技術、治安・文化に至るまで、主要な論点を網羅。経済学の研究成果をもとに分析することで、感情的な議論を超え、移民がもたらす「損」と「得」を明らかにする。<読む前の大使寸評>昨今の最底辺の人たちといえば、シングルマザーか移民であるが・・・そういう意味でこの新書を読んでみようと思ったのです。rakuten移民の経済学「第1章 雇用環境は悪化するのか」を、見てみましょう。p35~36 <日本の場合> 最後に、これまでの研究結果を整理しながら、日本の場合を考えてみよう。 理論的には、移民が市民と代替的であれば賃金が下がり、補完的であれば賃金は上る。つまり、理論的には賃金への影響は不明なので、データを使った検証が必要となる。 その検証にはいくつかの方法が提唱されているが、その分析方法によって、賃金に与える結果は違う。地域分析によると、移民によって市民の賃金が大幅に下がるとはいえない。しかし、労働者の分類ごとに分析すると、移民の割合が増えている労働者の分類区分ほど、賃金の低下が見られる。一方、長期的には、わずかながら賃金が増えるという分析まである。 結局、移民を受け入れると市民の賃金はどうなるのか、はっきりとした結論は出ていない。ただ、議論の焦点が競合だということは分かる。そして、確かなことは、移民と競合しないが、新規移民が従来の移民と競合し、従来からいる移民の賃金を低下させた事例も指摘されている。この場合、移民は市民とまったく同じ性質の労働者(完全代替)ではなく、ある程度しか似ていない労働者(不完全代替)だからだ。 日本における賃金がどうなるかは、海外から流入する移民数による。ヴュルツブルグ大学のフェールらが、ボストン大学のコットリコフとともに行った試算では、海外から新規に来る移民が日本の賃金に及ぼす影響は、軽微だとされている。 2001年から05年まで、毎年10万8000人の移民を受け入れて、移民数を2000年時点の2倍にする場合の予測だ。2100年までの予測でも賃金への影響が少ないのは、移民によって労働供給がさほど増えないためだ。つまり、大量の外国人が来れば、賃金が低下する可能性は否定できない。 また、地域や業種で、その影響は異なる。労働需給環境の違う大都市の飲食業と地方の小都市の飲食業をまとめて議論するのは適切でないだろう。大都市の飲食業では求人が困難であるのに対し、地方の飲食業ではそれほどでないところもある。単に地域別に分析するだけではなく、「大都市圏の〇〇業」のように、地域や業種の区分を細分化した考察が必要となろう。
2020.07.14
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<ベ-シックインカムがつなぐ輪R3>『お金のために働く必用がなくなったら、何をしますか?』という新書を、読んでいるのだが・・・この本はベ-シックインカム導入を題材にして、望まれる社会保障制度を論じているわけです。・・・ということで、ベ-シックインカムについて集めてみます。・日本でベーシックインカムは実現できるか?(2020.4.26)・「ベーシックインカム」実験 疑問の声も(2019.1.15デジタル朝日)・国家で実験ベーシックインカム(2018.12月デジタル朝日)・『新・日本の階級社会』(2018年刊)・『お金のために働く必用がなくなったら、何をしますか?』(2018年刊)・與那覇潤著『中国化する日本』(2011年刊)・ミヒャエル・エンデ著『モモ』(2005年刊)R3:『日本でベーシックインカムは実現できるか?』を追記*****************************************************************************<日本でベーシックインカムは実現できるか?>ポスト・コロナウイルスの働き方は劇的に変わるのではないか・・・ということで、このサイトを見てみたわけです。日本でベーシックインカムは実現できるか?導入のメリット・デメリットを金融の専門家が解説より貧困や経済格差の拡大を背景に、ベーシックインカム制度導入についての議論が以前からありました。しかし、2020年に発生した新型コロナウイルスにより世界的な社会的な不安が増すことで、ベーシックインカムの流れは加速するかもしれません。実際に試験的に導入が進められている国もあり、一定の成果を上げています。この記事では、ベーシックインカムとはどのような仕組みなのかを、メリット・デメリットと合わせて解説します。■ベーシックインカムとは政府が行う経済政策には、「国民にお金を配る」という政策があります。これを実現させると、すべての国民が毎月一定額のお金をもらえるようになります。これを「ベーシックインカム」といいます。ベーシックインカム(Basic Income)は「最低所得保障」と呼ばれ、年齢や性別、所得を問わず、すべての人に所得保障として一定額の現金を支給する制度。つまり、働かなくても生活に最低限必要なお金がもらえるという政策なのです。ベーシックインカムを導入すると、世の中のお金が回り始めます。日本は現在、お金の量が足りなくてモノの値段が下がる「デフレ」の状態です。モノが売れないと企業の売上が落ちます。企業は売上を増やすため、商品を値下げしないといけないので物価が下がります。これがデフレと呼ばれる状態です。しかし、商品を値下げすれば利益が減るので、従業員に支払う給料も減ってしまいます。これが、今の日本の状態なのです。ですから、足りない分のお金をベーシックインカムとして国民に配ることで、不足を埋め合わせします。お金の不足が解消されるので、すべての人が豊かになれる制度なのです。定年を迎えた人には年金、働けない人には生活保護、失業した人には失業保険といった社会保障制度によって、所得が少ない人を支える仕組みは用意されています。しかし、これらの給付には審査があり、満足のいく額を受給できなかったり、まったく支給されなかったりする恐れがあります。そうなると、憲法で保障されている「最低限の生活」を送れない人も出てくるでしょう。日本は先進国ですが、貧困による餓死が社会問題化しています。ベーシックインカムのような社会保障制度は、弱者を救済する手段の1つとなるのです。近年、ベーシックインカム制度に注目が集まり、エリアや支給対象を絞って試験的に導入する国が増えています。日本も政党によって考え方は違うでしょうが、今後は議論が進んでいくでしょう。*****************************************************************************<「ベーシックインカム」実験 疑問の声も> 大使は北欧の「ベーシックインカム」実験をフォローしているのだが、1/15デジタル朝日に最新記事が載ったので、紙のスクラップとともにダブルで残したのです。「ベーシックインカム」実験 疑問の声も 隣国フィンランドが模索するのは「ベーシックインカム(BI)」。生活保護のように特定の人が対象ではなく、すべての人に一律の現金を配る仕組みだ。 「いまのシステムは、企業に勤めない人への支援が難しい。どんな手法が可能か、実験の一つ」と首相府のマルクス・カネルバ専門官は説明する。ランダムに選んだ失業者2千人に、月560ユーロ(約7万円)を無税で2年間支給。その間に就職しても支給を続け、収入申告などの手続きは不要だ。 雇用が不安定でも、一定の収入が担保されれば、起業や新しい仕事にも挑戦しやすい。全員一律なので、申請や審査のコストも削減できる、といった狙いがある。 BIには「働く意欲をそぎ、怠け者をうむ」という批判もつきまとう。今回の実験には、「失業者以外も対象にしなければ本当のBIとはいえず、人々の行動にどんな影響があるかの実験としても意味がない」(タンペレ大学のペルッティ・コイスティネン教授)と、BIを支持する専門家にも疑問の声がある。 実験は昨年12月で終わった。対象者は「怠けた」のか。これから本格的な分析が始まる。若者と社会保障 北欧の「全世代型」:中2019.1.15*****************************************************************************<国家で実験ベーシックインカム> ベーシックインカムに関心があって調べていたのだが、およそ1年前の朝日新聞スクラップからフィンランドの実例を見つけたので紹介します。(新聞からの転記になるが、転記すれば頭に入るというアナログ人間の大使でおます)北欧フィンランドで、政府が無条件で一定額のお金を配る「ベーシックインカム」の実証実験が進んでいる。現状の失業保険などの社会保障制度が国民のニーズに対応できておらず、抜本的な見直しが必要ではないかとの問題意識からだ。導入には賛否があるが、欧州では他の地域でも実験を始める動きが続いている…■月7.5万支給 職探し前向きに 「自由を与えられた感じがします」。フィンランド西部ユルバ近郊の村で暮らすユハ・ヤルビネンさん(39)はそう言って喜ぶ。政府は昨年1月から2年間、25~58歳の失業者2千人を対象として、失業保険の代わりに、無条件で月560ユーロ(約7万5千円)のお金を給付する実験を始めた。ヤルビネンさんもその一人に選ばれた。 フィンランドの失業率は8%台と高止まりが続く。政府の狙いは、ベーシックインカムの制度が失業者の働く意欲を高め、雇用増につながるかを調べることだ。政府の担当者によると、世界でも地方自治体レベルによる実験は過去にもあったが、国として取り組むのは初めてだという。 ヤルビネンさんが経営していた窓枠の製造会社は6年前に倒産。5~16歳の6人の子どもを抱え、看護士の妻の収入に、子ども手当や月640ユーロ(約8万6千円)の失業保険を合わせ、計3千ユーロ(約40万円)の収入でギリギリの生活が続いた。1日8ユーロ(約千円)がもらえる教会の手伝いなどもしたが、地元に就職先がほとんどなく、再び起業を目指した。 ところがネックになったのが失業保険だ。一定以上の所得があえwば、失業保険の受取額は段階的に減らされる。「売上高が少ないと、生活が苦しくなるだけだ」とあきらめていた。それが、所得に関係なく毎月安定して入るベーシックインカムに変わったことで、売上額の多寡を気にしなくていい。 昨夏に手作り太鼓などを販売する会社をつくった。「試験期間の2年間で軌道に乗せて、税金もしっかり払えるようにして見せる」と意気込む。 南部タンペレでIT企業で働き出したミカ・ルースネンさん(46)は、従来の失業保険だと、社会保険事務所に臨時所得の有無や求職活動の状況などを定期的に報告せねばならず、「政府にすべてコントロールされている感じがする」。ベーシックインカムなら「そのストレスから解放され、前向きになれる」と話す。 自身もベーシックインカムを受けるジャーナリストのトーマス・ムラヤさん(44)によると、取材した実験参加者5人全員が「職探しに前向きになれた」と答えた。ベーシックインカムだけで生活するのは難しいため、「社会に出るのを後押ししてくれる」と言う。政府から無条件でお金をもらえることで、「怠け者になるのでは」との見方は当らないとの考えだ。 政府は実験終了後、参加者から生活の変化などの聞き取り調査をする予定だ。社会保険庁事務所のマルユッカ・ツルネン部長は「現段階では一切評価していない」と話す。■国の費用負担 課題 導入を巡っては国内でも賛否が割れる。懸念の一つは費用負担だ。実験にかかるのは約2千万ユーロ(約27億円)。政府は当初1万人で計画したが、負担増への批判が出て規模を縮小せざるを得なかった。国全体に広げると、国内総生産(GDP)の約5%の費用が必要との試算もある。 国と企業との責任分担を巡る懸念もある。フィンランド労働組合中央組織の労働政策責任者のピリヨ・バーナネンさん(45)は、政府がベーシックインカムで国民の所得保障に大きな責任を持つようになれば「企業が賃上げに後ろ向きになるなど、逆に不安定な仕事を増やすことにつながらないか」と心配する。 一方、導入に前向きなタンペレ大学のペルッティ・コイスチネン教授は「新しい時代の社会保障の一つに解決策になれる」と話す。(中略) コイスチネン教授は「不安定な仕事につく人が増えているが、今の制度では蚊帳の外に置かれている。そうした人のリスクを減らす制度になりうる」と話す。ウン ニッポンでは拙速で新移民法案が決まったりするけど、北欧ではこんな地道な福祉制度の実験が行なわれているのか・・・国の規模の違いがあるが、政治の質の違いもあるんでしょうね。*****************************************************************************【新・日本の階級社会】(長くなるので省略、全文はここ)*****************************************************************************【お金のために働く必用がなくなったら、何をしますか?】(長くなるので省略、全文はここ)*****************************************************************************【中国化する日本】與那覇潤著、文藝春秋、2011年刊(長くなるので省略、全文はここ)*****************************************************************************エノ・シュミットがミヒャエル・エンデ著『モモ』を引合いに出してベーシックインカムを語っているので、読んでみようと思うのだが。【モモ】(長くなるので省略、全文はここ)
2020.06.14
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新型コロナウィルス対応に明け暮れるうちに、リーマンショク以降で最大の不況が到来したようですね。朝鮮日報に2020年長者番付が出ていたので、読んでみました。億万長者の全体資産規模は減少したものの、相変わらずGAFAの長者が強いわけで・・・日本人の中では柳井正会長が41位、韓国人の中では李健熙サムスン会長が75位とのこと。2020/04/232020年長者番付1位は3年連続でジェフ・ベゾス、柳井正は?より 米アマゾンの創業者で最高経営責任者(CEO)のジェフ・ベゾスが3年連続で、米国の経済誌「フォーブス」が選ぶ世界長者番付1位に名を連ねた。 「フォーブス」は7日(現地時間)、「2020年世界長者番付」ランキングを発表。公開された資料を見ると、3月18日基準で株式など資産価値を評価した結果、世界の億万長者は今年2095人で前年に比べ58人減り、億万長者の全体資産規模はおよそ8兆ドルで、前年に比べ7000億ドル減少した。 「フォーブス」は、資産が減った億万長者の数は1062人で、調査開始以来最多となり、変動が激しい金融市場や新型コロナウイルス感染症の影響だと分析している。 3年連続で世界長者番付1位となったジェフ・ベゾスの純資産は、昨年の1310億ドルから今年1130億ドルへと減少した。続いて2位はマイクロソフト創業者のビル・ゲイツで980億ドル、3位はLVMH取締役会長のベルナール・アルノーで760億ドルだった。 今年リストに名前を連ねた韓国の億万長者の数は28人で、前年の40人から大幅に減っていることが分かった。日本人の中では柳井正会長が純資産197億ドルで41位、韓国人の中では李健熙サムスン会長が純資産141億ドルで前年に比べ10ランクダウンの75位だった。
2020.04.25
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<キャッシュレス化が進んでいるが>先日(2/27)初めてポイントで買い物をしてみたのです。ポイントを数ヶ月溜めた全額が400円程度のささやかなものでした。何しろ年金生活の貧乏人ですから。昨今、キャッシュレス化が進んでいるが・・・アナログ老人としては、「いつもにこにこ現金払い」を励行しているのでおます。つまり、何事につけ国が誘導する動きには乗らない、へそ曲りの太子である。それに、携帯を持っていない太子にはGPSがついていないので、国からの監視の網にはかからないのである。「5%還元」には7000億円の税金補填で、20年6月まで運用されるそうで・・・ポイントを貯めるばかりでなく使い切ることもお早めに。なお大手デパートなどでは5%還元がないとのこと。還元割合いはクレジットカード決裁が一番大きいとのこと。ポイントの4重取りというスーパーテクニックもあるそうで、経済観念の長けた主婦層にはかないませんなぁ。でもね、国による個人情報の取り扱いは例のごとく杜撰であるので、要注意である。***********************************************************************【疑問点】・カード会社が優遇されているが、国とカード会社にはどのような癒着があるのか?・キャッシュレス化に誘導されている昨今、国のセキュリティ対応は進んでいるのか?【ポイント還元案】・イオンで食料品購入・アマゾンで古書購入・・・いずれにしろ、税金補填のポイント還元は6月までの期限付きなので、期待するほどのアベノミクスではないのだろう。 なお民間財源のポイント還元は6月以降も続くものもあるようです。
2020.03.02
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太子在職中、長崎へ出張時の食事であるが・・・毎回、チャンポンか皿うどんの2択で事足りたわけで、つまりそれだけ地元に定着した飽きのこない料理であった。我がドングリ国にもリンガーハットが1軒あるので、ときどきこの店でチャンポンを所望している太子であるが・・・ネットでリンガーハットのランチメニューを見てみましょう。「リンガーハット」がランチメニューを改定! まさかの『370円餃子定食』爆誕へ!! よりランチメニューを改定現在もお得なランチを提供しているリンガーハット。今回改めてメニューの種類やオペレーションを見直すことで、ランチメニューのさらなる低価格化が実現したのだという。それでは「リンガーランチ」13種類を以下に記載しよう。価格はすべて税抜だ。長崎ちゃんぽん ランチメニュー・長崎ちゃんぽん 薄皮ぎょうざ 5個ランチ:690円(東日本)、690円(西日本)・長崎ちゃんぽん 薄皮ぎょうざ 3個ランチ:640円(東日本)、610円(西日本)・小さいちゃんぽん 薄皮ぎょうざ 5個ランチ:590円(東日本)、590円(西日本)・小さいちゃんぽん 薄皮ぎょうざ 3個ランチ:540円(東日本)、540円(西日本)長崎皿うどん ランチメニュー・長崎皿うどん 薄皮ぎょうざ 5個ランチ:780円(東日本)、760円(西日本)・長崎皿うどん 薄皮ぎょうざ 3個ランチ:700円(東日本)、660円(西日本)・小さい皿うどん 薄皮ぎょうざ 5個ランチ:590円(東日本)、590円(西日本)・小さい皿うどん 薄皮ぎょうざ 3個ランチ:540円(東日本)、540円(西日本)ぎょうざ定食 ランチメニュー・ぎょうざ定食 薄皮ぎょうざ 5個:370円(東日本)、370円(西日本)・ぎょうざ定食 薄皮ぎょうざ 10個:550円(東日本)、550円(西日本)・ぎょうざ定食 薄皮ぎょうざ 15個:590円(東日本)、590円(西日本)東京でコスパのいいランチといえばキッチンカーとなるようですが、店舗のランチでこのコスパに対抗できるのはリンガーハットぐらいのものか。安全な国産野菜を、機械化された調理器で炒めているところが、特筆すべきではなかろうか♪ キクラゲは自社の農場で生産とのこと。また、リンガーハットと競合するチェーン店として、マクドやKFCや花まるうどんなどがあるが・・・マクドを描いた映画がありましたね。【ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ】ジョン・リー・ハンコック監督、2016年米制作、H29.8.22鑑賞<movie.walker作品情報>よりカリフォルニア州南部の小さなハンバーガーショップ、マクドナルドを世界最大のファーストフードチェーンへと成長させた男、レイ・クロックの実話を描く人間ドラマ。創業者であるマクドナルド兄弟とミキサーのセールスマンだったレイとの出会いから、両者の対立まで、成功の陰にあったダークな側面までも映し出す。レイをマイケル・キートンが演じる。<観る前の大使寸評>封切り映画を観るのは『シン・ゴジラ』を観て以来のことではないか…手元不如意の大使のチョイスは、それだけ厳選されているわけでおます。movie.walkerファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ
2020.01.13
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明けましておめでとうございます。年越し読書になりますが、お付き合いねがいます。<『限界都市』3>図書館で『限界都市』という本を、手にしたのです。都会の高層ビル群を見るたびに、ババ抜きのババではないか・・・と思ったりする。【限界都市】日本経済新聞社編、日本経済新聞出版社、2019年刊<「BOOK」データベース>より再開発で次々と建設されるタワマンやオフィスビル。一方で取り残される老朽団地や空き家・空き地の増加、進まぬコンパクトシティー化。誰も全体を把握できないまま日本列島で同時進行する「合成の誤謬」に、データ分析と現地取材でメスを入れる。<読む前の大使寸評>都会の高層ビル群を見るたびに、ババ抜きのババではないか・・・と思ったりする。amazon限界都市第3章でスプロール化が語られているので、見てみましょう。p140~142 <止まらぬ「スプロール現象」> 人口減少荷台に向けたコンパクトな街づくりがなかなか進まない。住宅や商業施設、公共施設を街の中心部に誘導する計画をつくった自治体が、郊外の開発案件すべてを事実上黙認している…。こんなちぐはぐな実態が日本経済新聞の調べで明らかになった。 街を集約する計画を策定している自治体のうち、3割の市町は郊外開発の規制そのものを緩和していることも判明した。人口が減っているのに生活の拠点が拡散すると財政負担は膨らんでいく。都市の衰退を避けるためには、より効果的に街を集約する制度が必要になってきた。 国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、2045年の総人口が2015年より少なくなる市町村数は1588で全体の94%にあたる。減り方を見ると33%の自治体で2~4割減少し、41%の自治体が4割以上へる。 かたや地方を中心に地価が安い郊外開発が進み、公共インフラが後追いする「スプロール現象」が止まらない。東京都を除いて、市街地の目安である「人口集中地区(DID)」を46道府県の県庁所在地でみると、2015年のDID面積は1970年と比べ約2倍となった。 一方でDID内の人口密度は政令市で16%、それ以外の都市で30%も低下している。このままでは人口減が進めば、「交通や医療・福祉といった公共サービスの提供が将来、困難になりかねない」(国土交通省)。自治体の税収が減るのに過剰ストックの維持費だけがかさむ負のスパイラルに陥りかねないのだ。 このリスクを抑えるために国が打ち出したのがコンパクトシティー戦略だ。都市の密度を高めれば1人あたりの行政費用を減らせる。国交省は2014年に都市再生特別措置法を改正して制度を整え、補助金などを通じ、具体策となる「立地適正化計画」を策定するよう市町村に促した。 立地適正化計画は住宅や店舗、公共施設などを街なかに集約するために「誘導区域」を設定し、補助金や税制優遇、規制緩和を通じて区域内に対象施設の立地を促す。誘導区域は2種類ある。病院や福祉施設、学校、商業施設、役所といった地域住民に必要な施設を集める「都市機能誘導区域」と、住宅を集める「居住誘導区域」だ。都市機能誘導区域を先行して定める自治体も多い。ちなみに、中国やアメリカのスプロール化については『『世界の都市(ナショナルジオグラフィック2019年4月号)』2』でレポートされています。『限界都市』2:空き家予備軍『限界都市』1:月島地区のタワマン乱立
2020.01.01
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図書館で『限界都市』という本を、手にしたのです。都会の高層ビル群を見るたびに、ババ抜きのババではないか・・・と思ったりする。【限界都市】日本経済新聞社編、日本経済新聞出版社、2019年刊<「BOOK」データベース>より再開発で次々と建設されるタワマンやオフィスビル。一方で取り残される老朽団地や空き家・空き地の増加、進まぬコンパクトシティー化。誰も全体を把握できないまま日本列島で同時進行する「合成の誤謬」に、データ分析と現地取材でメスを入れる。<読む前の大使寸評>都会の高層ビル群を見るたびに、ババ抜きのババではないか・・・と思ったりする。amazon限界都市第2章で空き家予備軍が語られているので、見てみましょう。p117~119 <全国に予備軍705万戸、三大都市圏に336万戸が潜む> 都市の「老い」を加速している要因はマンションの老朽化だけではない。一戸建てを含む空き家が急増している問題についても、注意を払う必要がある。空き家は簡単に取り壊すことができず、危険な状態のまま据え置かれるケースが多い。しかも清国なのは、いま目の前にある空き家にとどまらず、「空き家予備軍」が大都市に大量に潜んでいることだ。 日本経済新聞は65歳以上の高齢者だけが住む一戸建てとマンションの持ち家を「空き家予備軍」とみなし、現状でどれほど存在しているのかを独自に集計した。すると、東京、大阪、名古屋の三大都市圏に予備軍は語形336万個もあり、三大都市圏の持ち家全体の2割強に達することが分った。この圏内の空き家比率はまだ7%だ。 もちろん高齢者だけが住む持ち家が将来すべて空き家になるわけではないが、家主の死後に相続人が入居しないことが多く、古い家屋は買い手がつきにくい。高齢者だけが住む家屋は空き家になる潜在リスクが大きい。早く手を打たないと空き家が大都市であふれてくる懸念は強まってくる。(中略) 空き家が増えているのは、住宅数が世帯数を大幅に上回るのに住宅の大量供給が止まらないためだ。全国の住宅数は2013年時点で約6060万戸。約5240万戸総世帯数を16%上回り、その差はほぼ空き家の数と一致する。 空き家の内訳は賃貸や売却用が56%、別荘など「二次的住宅」は5%、問題視されるのは空き家の中で39%を占める「その他の住居」だ。実数は318万戸に達する。2008年比の増加率をみると、賃貸・売却用の3%増に対し、「その他の住居」は19%増と突出する。 こうした空き家は人の目が届きにくく防犯面の懸念が強まるだけでなく、ゴミの不法投棄による環境悪化や火災の発生、災害時の屋根や外壁の落下など周辺の住民を危険に巻き込む可能性がある。更に、読みすすめました。p121~122 <10万人市区では千葉県我孫子市がトップ> 持ち家に占める空き家予備軍の比率を三大都市圏の10万人以上の市区でランキングしたところ、最も高いのは千葉県の北西に位置する我孫子市で比率は28%だった。 我孫子市は都心から40キロメートル圏にあり、上野駅からJR常磐線で1本でつながっているとあって都心部に通勤する会社員の住宅地として発展してきた。 1970~80年代に戸建て住宅の開発が急速に進み、市制制定の1970年に5万人だった人口は13万人まで成長したが、2011年以降、減少に転じた。現在の空き家の比率は7%と千葉県全体の比率と同じだが、高齢者だけが住む戸建て住宅が1万戸あり、今後の空き家の急増リスクを示す。 我孫子駅から徒歩20分の閑静な住宅地を歩くと、郵便ポストが粘着テープでとじられ、雑草が生い茂る空き家が多く見受けられた。近くの戸建てを訪ねてみると、70代の男性が出てきた。家は40年前に新築で買ったという。「子ども2人は職場に近い都内に住んでいる。この家をやると言っても、将来の介護などを心配するのか、一緒に住むとは言い出さない。わしらが死んでも、もう子どもたちは戻ってこない」と語った。 別の家で対応してくれた60代後半の女性は「子どもたちは独立して、今はリタイアした夫と2人。このあたりは私たちのような世代ばかりで、すでにあちこちに空き家がある」と話した。 これが空き家予備軍の実像だ。住宅開発が進んだ1970~80年代に入居した世代はすでに退職し、鬼籍に入る人も出始めている。我孫子市の市民生活部は「高齢の方が亡くなった後に、相続人が住まずに空き家になる事例が目立つ」という。ウーム 空き家予備軍に相当する太子としては、腰をすえて対策を立てる必要があります。『限界都市』1
2019.12.31
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図書館に予約していた『AIの世紀カンブリア爆発』という本を、手にしたのです。おおAIってか・・・人知を超えるかもしれないAIには危機感を覚える大使である。【AIの世紀カンブリア爆発】田中徹著、さくら舎、2017年刊<「BOOK」データベース>よりAIは、いまどんな「知」を獲得しているのか!そして、どのようにして「知」を獲得していくのか!AIが人知を超える日は必ずやってくる!最前線の取材で、AIとロボットと人間の現在と驚くべき近未来をわかりやすく解説!【目次】序章 これまでのコンピューターと人工知能は何が違うのか/第1章 ディープ・ラーニングで直観を獲得した機械知能/第2章 機械が変える「不確実な世界」/第3章 「機械知能の爆発」はいつ起こるのか/第4章 ビットコインに見る管理者無用の分散型世界/第5章 機械がする仕事、人間がする仕事/第6章 身体があるから知能が発生する<読む前の大使寸評>おおAIってか・・・人知を超えるかもしれないAIには危機感を覚える大使である。rakutenAIの世紀カンブリア爆発第4章で、ビットコインの胡散臭さを、見てみましょう。p175~178 <広がるビットコインの市場> 一方、世界では、ビットコインやそれを支える基幹技術であるブロックチェーンへの投資が年々増大している。 銀行を使って海外送金すると数千円の手数料がかかる。すでに、ビットコインを使った途上国への送金サービスが事業となり、小額の決裁にも使われている。途上国には銀行口座を持てる人が少なく、それが何か仕事を始めたり事業を起こしたりすることの障碍トナッテイルケースがある。そうした人が、ビットコインの財布(ウォレット)を銀行口座代わりに使えるようになっている。 まだ一般には広がっていないが、ビットコインとブロックチェーンが将来、インターネットの登場と同じくらい社会を変える可能性があるとも考えられている。 MITメディアラボの伊藤穣一所長は、自身のブログで「Bitcoinとインターネットの類似点と相違点」と題して次のように記している。全文を読んでいただきたいたいが、ここでは一部を引用する。「20年前、広告会社、メディア企業そして銀行への講演で、インターネットがどれだけ重要になり、劇的な変化をもたらしていくかを説明したことがあった。ほとんどの人はインターネットが商業およびメディアをいかに根幹から変えることになるかを想像できてなかった。これら大企業には、自分たちがインターネットについて何かしら学ぶ必要がある、ないし、インターネットが自分たちの商売に影響するだろう、と考える人はいなかったので。講演での反応はぽかんとした顔やいびきがほとんどだった。(略)ブロックチェーンはコストを削減し、ビジネスの様々なレイヤーでの中抜き効果をもたらし、摩擦要素を軽減することだろう。そしてご存知のように、ある者の摩擦は他の者の実入りになるのだ」 ところで、ただのデジタルデータに過ぎないビットコインがなぜ価値を持つのだろうか? 「ビットコインなんかに投資するのは、どうかしているのではないか」という疑問を持つ人もいるかもしれない。 では、逆に考えてみよう。世界はとっくに「金本位制」を捨て去った。各国の通貨は、ゴールドの保有量に関係なく発行されている。 確かにゴールドは美しく輝いている。金属アレルギーも起こさないから、身を飾るのに最適な素材だ。ハイテク製品に欠かせない資源でもある。でもそれだけなら、レアメタルやレアアースと大して変わらない。 ゴールドの価値は、貯蔵や分割・合成、運搬が容易という特性にある。そしてなにより、みんなが価値のあるものと考えている点にある。比較的簡単にドルや円、ユーロといった法定通貨と交換できる。そして、ここがビットコインと通じるところであるが、中世から山師や科学者がゴールドを人工的につくろうと錬金術にのめり込んだにもかかわらず、実現できていない。埋蔵量が有限だから、ゴールドは稀少だ。 ビットコインも同じだ。ハードディスクにデータを入れたり、紙にQRコードとして印刷したりすることで貯蔵できる。分割はもちろん簡単で、さらに法定通貨よりも移動や運搬が簡単だ。インターネット環境さえあれば、理論上10分で送金が可能だ。そして、偽物をつくることが事実上、不可能であり、発行上限が決まっているから稀少だ。 ビットコインのエットワークに参加し、報酬を得ることを「採掘」(マイニング)という。ビットコインは文字通り、ゴールドの代替品になっている。中国共産党が管理・規制するデジタル通貨を、ネットで見てみましょう。2019/12/27中国、来年1月1日「暗号法」実施 デジタル通貨発行の下準備かより 中国当局が10月26日、成立させた「暗号法」は2020年1月1日に実施される。これにより、当局が設置した国家暗号管理局が今後、国内ネットワークの暗号を一元管理することになる。同法は、「国家安全保障」に関わる暗号は、中国当局が厳しく審査すると規定している。当局がデジタル通貨を発行する布石だとみられる。 国家暗号管理局は今年6月25日、同法の草案を提出した。10月26日に開催された第13期全国人民代表大会(国会に相当、全人代)常務委員会第14回会議で、同法は可決した。 同法は、暗号を「コア」「一般」「商業用」の3種類に分類している。「コア」と「一般」に分類された暗号は国家秘密とされ、情報の保護対象になる。「商業用」は、国家秘密でない情報を保護するために用いられる。一般市民や企業が使用できる。ただ、「国家安全に影響を与える」ものについては、当局の審査を受けなければならないという。 国家暗号管理局は、「党が暗号を管理するという基本原則を貫徹し、中央政府の指示を完全に実施する」と表明、「中国の特色ある暗号発展の道を歩む」とした。 台湾軍事評論家の蘇紫雲氏は、中国の暗号法成立は「違憲行為」だと批判した。中国の現行の憲法では、国民の「通信の自由」と「通信の秘密」が保障されている。 海外メディアは10月の報道で、デジタル通貨の発行に意欲を示す中国当局が、その下準備として暗号法を可決したとの見方を示した。デジタル通貨に用いられるブロックチェーン技術には、政府当局の監視・検閲を回避できる機能を備えているため、中国当局が暗号法を通して、ブロックチェーン市場を監視・規制する狙いがあるとみられる。『AIの世紀カンブリア爆発』2:シンギュラリティ到来『AIの世紀カンブリア爆発』1:機械知性が人間を超える日
2019.12.31
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「KFC、551 vs たこ焼き」・・・何のこっちゃ?言い換えるとケンタッキー、551の豚まん、たこ焼き更に言い換えるとアメリカ産チェーン店、関西生れの豚まんチェーン、関西生れの粉もんということになるが・・・お値段もほぼ拮抗していて、手元不如意の太子もどれを選ぶか悩ましいのである。ところで、たこ焼きのチェーン店展開は何ゆえに存在しないのか?暇な太子は、この経済的疑問を解明しようと思い立ったのです(暇なこっちゃ) たこ焼きにチェーン店が無いかといえば、実はあるのです。 いずれも地域限定の姉妹店という規模で、ゼロサム志向で日本一を目指すようなアホがいないことが・・・せめてもの救いでしょうか。大阪・地元民が愛する”たこ焼き”店10選!美味しいお店を厳選しましたより「大阪に旅行に行くなら、名物の大阪のたこ焼きを食べたい!」そんなあなたのために、地元の人がよく行くおすすめ大阪たこ焼き店を調査しました。TAKOPA(TAKOYAKI PARK)たこ焼きにうるさい大阪人が自信をもっておすすめする有名たこ焼き店6店舗が一挙に集結した、たこ焼き尽くしのフードテーマパークです。会津屋・くくる・甲賀流・玉屋など、当記事掲載のお店もあります。各店の味を一度に楽しめるので、ぜひ6店舗の食べ比べをしてみてくださいね♪551の豚まんも見てみましょう。大阪人にとって「551蓬莱の豚まん」はいったい何なのかより 大阪に引っ越してきて4年近くなるのだが、ようやく大阪にとって「551蓬莱の豚まん」がどういう存在なのか分かってきた気がする。 たとえば、一日出歩いて少し疲れた帰り道。「疲れた。もう今日の夕飯は簡単なもので済まそう」という気分の時に駅前にちょうどよく「551蓬莱」のお店があった時、「よし! 夕飯は551の豚まんにしよう!」と思うことによってテンションが一気に上がる感じ。 あるいは、家に友達が遊びに来た時に、「551買って来たよー」と言われた時の、友達に対して感じる「こいつ分かってるわー! 最高の友達!」という気持ち。 ぜいたくなグルメというような存在ではなくて、あくまで日常の中にありつつグッと幸福感をもたらしてくれるもの。身近なごちそう。それが「551蓬莱の豚まん」ではないだろうか。どうでしょうか。「551蓬莱」には有名なCMシリーズがあって、お笑い芸人のなるみちゃんと、株式会社蓬莱の取締役常務である田中一昭さんという方が主に出演しているものなのだが、「551蓬莱の豚まん」がある時は最高で、ない時はものすごい辛い、という気持ちをストイックなまでにシンプルに表現した内容になっている。 いかにも大阪と言う感じでちょっと大げさな表現のだが、「551がある時」、テンションが上がるというのは間違いではないのだ。チェーン店展開といえば、『ファウンダー』にマクドのケースが見られたが・・・まあ、すさまじいのです。【ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ】ジョン・リー・ハンコック監督、2016年米制作、H29.8.22鑑賞<movie.walker作品情報>よりカリフォルニア州南部の小さなハンバーガーショップ、マクドナルドを世界最大のファーストフードチェーンへと成長させた男、レイ・クロックの実話を描く人間ドラマ。創業者であるマクドナルド兄弟とミキサーのセールスマンだったレイとの出会いから、両者の対立まで、成功の陰にあったダークな側面までも映し出す。レイをマイケル・キートンが演じる。<観る前の大使寸評>封切り映画を観るのは『シン・ゴジラ』を観て以来のことではないか…手元不如意の大使のチョイスは、それだけ厳選されているわけでおます。movie.walkerファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ
2019.11.24
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今日の朝日新聞で「アマゾン・エフェクト」という言葉を見たので、さっそくネットで見てコピペしたので紹介します。要するに、スーパーや百貨店がアマゾンなんかの大手ネット通販の驚異に晒されて、対応策に苦慮しているようです。この記事をスクラップしたのだが・・・デジタルデータとダブルで保存するところが、いかにもアナログ老人ではあるなあ。(2019.10.10デジタル朝日から転記しました)<セブン&アイが大リストラ コンビニ閉鎖・移転1千店> セブン&アイ・ホールディングスは10日、グループの事業構造改革の方針を公表した。主力のコンビニエンスストア「セブン―イレブン」は約1千店の閉鎖・移転のほか、加盟店の負担を減らして収益力を改善させ、不振の総合スーパー「イトーヨーカドー」や百貨店の「そごう・西武」は店舗閉鎖や事業見直しなどのリストラを進める。人手不足やネット通販の普及に伴い、流通大手が事業の大幅見直しを迫られた。 セブン―イレブンでは、フランチャイズ(FC)契約する加盟店の加盟店料を減額し、各店の収益力を改善させる。セブン本部の利益は約100億円減る見込み。コンビニ事業の利益水準を維持するため、2019年下期以降に不採算店1千店を閉鎖・移転させ、本部人員の見直しや売り場の見直しも行う。 ヨーカドーでは、33店舗で閉店やグループ外企業との連携を検討する。具体的な店舗名は公表していない。また、衣料や住居関連事業を見直し、同事業の売り場面積を減らす。従業員数を22年度末には18年度末比で約1700人減らす。 そごう・西武では5店舗を閉鎖し、2店舗の売り場面積を減らす。従業員数は22年度末には18年度末比で約1300人減らす。セブン&アイ・ホールディングスの構造改革骨子【セブン―イレブン】・店主が本部に支払う加盟店料(チャージ)の見直し。24時間営業の店、非24時間営業の店ともに店主側の負担を軽減。具体的には、利益水準に合わせてチャージを24時間営業店については月額3万5千円~20万円減額。非24時間営業店については月額1万5千円~7万円減額する・2019年下期以降、約1千店の不採算店を閉鎖・移転【イトーヨーカ堂】・33店舗をグループ内外の企業と連携、閉店を検討・22年度末の従業員数を18年度末より約1700人減【そごう・西武】・20年8月から21年2月にかけて5店(西武岡崎店、西武大津店、そごう西神店、そごう徳島店、そごう川口店)を閉鎖、2店(西武秋田店、西武福井店)は売り場面積を減らす・22年度末の従業員数を18年度末より約1300人減在りし日の「そごう神戸店」ウーム 我が町のダイエーがイオンモールに吸収されたし、「そごう神戸店」が10月5日に「神戸阪急」と店名を変えるにおよんで、寂しいかぎりというか・・・「アマゾン・エフェクト」(ネット通販の脅威)を感じる昨今でおます。なお、ダイエーの消滅については、わが町のイオン・モールにしたためております。セブン&アイが大リストラ コンビニ閉鎖・移転1千店2019.10.10
2019.10.12
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図書館に予約していた『米中ハイテク覇権のゆくえ』という本を待つこと3ヶ月でゲットしたのです。アメリカに対して、新型ICBMをこれ見よがしに披露する中国であるが・・・その覇権志向はかつてのソ連をしのぐものであり、怖い気がするのだ。【米中ハイテク覇権のゆくえ】NHKスペシャル取材班、NHK出版、2019年刊<「BOOK」データベース>より国家戦略のもと、ハイテク分野で急速な成長を遂げる中国。アメリカの強さの源泉であった「情報」や「金融」、そして「AI」などの分野で、その“覇権”に迫らんとしている。激しさを増す二つの大国の競争は、世界をどこへ導くのか?選択を迫られる日本の運命は?米中攻防の真実に迫る取材で大反響を呼んだNHKスペシャルを新書化。「新冷戦」の今後を読み解く一冊!<読む前の大使寸評>アメリカに対して、新型ICBMをこれ見よがしに披露する中国であるが・・・その覇権志向はかつてのソ連をしのぐものであり、怖い気がするのだ。<図書館予約:(6/30予約、9/25受取)>rakuten米中ハイテク覇権のゆくえ「中国製造2025」の問題について、見てみましょう。p51~55 <「中国製造2025」は何が問題なのか> さらに、アメリカ側が批判を強めるのが、「産業育成」の名の下に行なわれる、中国政府の自国企業に対する不透明な補助政策だ。そもそも社会主義を掲げる中国では、市場化が進んだとはいえ、鉄鋼などの素材分野をはじめとする重要産業では、いまだに国有企業が大きなウェートを占めている。そうした国有企業は工場用地の払い下げにはじまり、銀行による事業資金の低利融資など様々な優遇を受けていると指摘されてきた。 「中国製造2025」で重要産業が指定されることで、中国企業が再び政府から様々な支援を受け、外国企業との公平な競争条件をゆがめることになるのではないかと、危惧されているのだ。 中国政府はそうした見方を否定するが、政策の発表された2015年から2年間で中国では政府が出資する産業投資ファンドが次々と設立され、その資金規模は2016年末時点で3兆元、日本円で50兆円を超える規模に達している。そのすべてが政府資金というわけではないが、こうしたファンドが出資・投資先を決定する際に、自国企業に対する審査が優先されるであろうことは容易に想像される。 そうした資金力が今後、アメリカをはじめ外国企業が中国と技術的に争っていく上で脅威になっていくかもしれないのだ。 <圧力を受ける中国。産業政策はどこに向うのか?> アメリカからの圧力を受ける中国の産業政策。貿易交渉が進む中で、転換は進むのか。実は中国ではアメリカとの貿易摩擦が激化するにつれて、政府高官の発言や公式メディアなどから「中国製造2025」というキーワードがめっきり姿を消している。さらに、アメリカの有力紙「ウォールストリートジャーナル」も2018年12月、「中国指導部が『中国製造2025』の見直しを進め、2019年の早い時期に公表される見通しだ」と伝えた。 報道に反していまだに中国側から新しい産業政策の発表はなされてはいないが、2019年3月の全人代でその先行きを占う出来事があった。李克強首相の政府活動報告だ。2015年の全人代以来、政府活動報告で必ず触れられてきた「中国製造2025」という言葉が、2019年は報告中に一度も登場しなかったのだ。アメリカとの貿易交渉が佳境を迎える中、中国として相手方に十分配慮を尽したといえるだろう。 ただ、ここでも注意は必要だ。「中国製造2025」というワードこそ報告から消えたものの、李首相は今後の産業育成の方向性として「先進的製造業と現代サービス業の融合発展を促し、『製造強国』の建設を加速させる」とはっきりと言及した。 さらにビッグデータやAIの研究開発を応用・強化し、「中国製造2025」で挙げた次世代情報技術や新エネ車などを育成するとも強調した。つまり、「中国製造2025」の看板は下げたように見せつつ、従来の産業政策になんら揺るぎはないということだろう。 全人代期間中にはもう一つ、中国の産業政策を見る上で注目されるべき発言があった。中国の国有企業を管理する「国有資産監督管理委員会」のトップ、肖亜慶主任の記者会見だ。外国メディアの記者から「中国政府の国有企業に対する『隠性補貼=隠れた補助政策』」について質問を受けた主任は「我々の法律には国有企業に限定した補助金の規定はない」と述べ、アメリカが主張する優遇措置の存在を否定したのだ。 これらの発言を見る限り、「製造強国」を目指そうという中国の産業政策が根本的に変更されるということはありえないだろう。もちろん、従来の大量生産方式の「製造大国」から脱皮して、付加価値の高いイノベーション産業の育成を目指す中国の方針に対して、アメリカのみならず、外国が頭から否定することなどはできない。 しかし、ここまで力をつけた中国がさらに国家主義的な産業育成を続け、外国企業の市場参入を阻むような政策をとり続けるなら、それは西側諸国にとって大きな脅威となり、さらなる摩擦を招くことになりかねないだろう。 <「製造強国」へのもう一つの課題>「序章」で触れた、中国がAIや自動運転といった分野で急速に技術力を伸ばした原動力となった海亀も、その摩擦の一因となり得る。 中国のAIや自動運転の分野の第一人者で、中国科学院自動化研究所の王飛躍主任は、「海亀」がこれまで果してきた役割を高く評価しつつも、それに頼った成長モデルには疑問を投げかけている。(中略) 王主任は中国が一流の製造強国を目指すにあたっては「他人が歩んできた道をオーバーテイクするのではなく、自身の指針を作り出し世界レベルをリードしなければならず、国内で育成した人材に頼らなければならない」と提唱する。
2019.09.28
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図書館で『コロンブスからはじまるグローバル社会I493』という本を、手にしたのです。タイム誌ベストノンフィクション部門の第1位になったとか・・・さて、どんなグローバル社会なのか。【コロンブスからはじまるグローバル社会I493】チャールズ・C・マン著、あすなろ書房、2017年刊<「BOOK」データベース>よりコロンブスのアメリカ到達によって、世界はどう変わったのか?さまざまな思惑によって、人とモノが行き交い、世界がつながっていく様子をダイナミックにたどる新しい歴史入門書。タイム誌ベストノンフィクション部門(2011年度)第1位の大著が、わかりやすくコンパクトに!<読む前の大使寸評>タイム誌ベストノンフィクション部門の第1位になったとか・・・さて、どんなグローバル社会なのか。rakutenコロンブスからはじまるグローバル社会I493ポトシ銀山「第5章 ガレオン貿易」でガレオン貿易を、見てみましょう。p112~115<ガレオン貿易> 16世紀から18世紀の間に、アメリカ大陸のスペイン植民地からは、15万トン以上の銀が産出された。その“スペイン銀”は、世界の貴金属の供給量を二倍、いや三倍に急増させた。 世界中にあふれたスペイン銀は、諸政府や銀行などの金融機関を圧倒した。スペインのペソ銀貨が世界の基軸通貨となって、今日のユーロのようにヨーロッパ諸国を結びつけた。ペソはポルトガル帝国、オランダ帝国、イギリス帝国の主要通貨となり、フランスやドイツ諸邦でも広く使われた。 ヨーロッパ中に銀が流通し、さらにまた大量の銀が流れこみ、通貨供給量は爆発的に増加した。これがインフレと財政不安を招いた。常軌を逸した大量産出が60年間つづくと、銀は供給過剰になり、価値が下落しはじめた。1640年の100万ペソの価値は、100年前の1540年当時の三分の一にまで落ちていた。 銀の価値下落にともない、スペイン帝国の財政をがっちりと支えてきた銀採掘による利益も大幅に減少した。国王は依然と同じ量の銀を納税させていたが、価値の急落によって、国庫はたちまち危機におちいった。スペイン経済の黄金期は消え去った。 同じくスペイン銀に依存していた十数ヶ国の経済も、導火線でつながれた爆竹が破裂するように、次々と破綻していった。すっからかんになった貧者たちは絶望のあまり、通りで拾った石を投げつける相手を探した。経済破綻が暴動と革命を引き起こしたのだ。スペイン領ネーデルラント(現オランダ、ベルギーなどの地域)や併合されたポルトガルが、宗主国スペインに対して独立戦争を起こし、フランスでは王と貴族が激しく対立する内乱があり、1618年から48年にかけては、ドイツを中心にヨーロッパ全土を巻きこむ30年戦争が勃発した。 ヨーロッパの動乱の原因は、アメリカ大陸産の銀だけではないが、銀という糸はさなざまなもめ事を結び合わせてしまった。当然、混乱による被害も甚大だったが、銀貿易の専門家である歴史学者によれば、それは「付随的な事件」にすぎなかったという。大量の銀は、アジアへも流れていたのだ。その大部分が中国福建省にある、海賊と海商の歴史をもつ月港へ行きついていた。 ガレオン貿易の中国側の拠点は福建省だった。スペインの船はメキイコで積みこんだ銀を、太平洋を渡って福建商人に売り、福建商人からは中国製の商品を仕入れた。しかし、実際のやりとりが行なわれていたのは、1571年、レガスピの探検隊が初めて中国船と出会ったフィリピンだった。 1580年代半ばになると、福建にある月港は毎春に、20隻以上の大型ジャンク船をフィリピンに送るようになっていた。どの船にも、売れる可能性がありそうな、ありとあらゆる品物とともに、500人もの商人がすし詰めになって乗りこんでいた。主役は絹や陶磁器だったが、木綿、砂糖、栗、象牙、宝飾品、家具、ウシやウマ、ミカン、小麦粉など、ヨーロッパ人がほしがりそうなものならなんでも積んでいた。航海は危険だった。たいてい倭寇が待ち伏せしていたからだ。 ぶじにフィリピンに到着したジャンク船は、マニラ湾をはさんだマニラ市の真向かいにあるパリアンに船をつけた。福建商人は、そこでマニラ在住の中国人販売代理人と落ち合った。代理人たちは、最近入港したガレオン船がどれほどの銀を積んでいるかを把握しており、価格設定についても助言してくれるのだ。パリアンは、要塞都市マニラの城壁の外側に、スペイン人が建設した中国人居住地だった。 大きな倉庫群を中心に、商店や茶店、飲食店が迷路のように入り組んで軒を連ねていた。狭い通りはいつも、幅広の長い袖がついた長衣を着こみ、手のこんだ刺繍をほどこした絹の靴をはき、まん中が高くなった丸い帽子をかぶった男たちで込み合っていた。 ガレオン貿易がはじまってから約20年後の1951年には、パリアンには数千人の中国人が暮らすようになっており、数百人のヨーロッパ人しか住んでいないマニラ市中心部を圧迫していた。中国人にとって、この状況は好都合だった。明当局の監視の目が届かない異国に、中国人街を築くことができたからだ。 スペイン人は、パリアンを異質でうさん臭い存在として警戒していたが、同時になくてはならぬものでもあった。中国人はスペイン銀に、ほかの国の二倍も払った。しかも彼らは、驚くほど安い値段で絹や陶磁器を売るのである。(中略) いずれにしろ、きわめて大量の銀が中国へ行ってしまったのだ。あちこちで戦争中のスペインの国王は、物資を買い入れ、兵士に給料を払うために銀を必用としていたため、この事態に憤慨した。ウーム 当時の世界経済はマニラ在住の福建商人が回していたのか、マニラがウォール街だったのか。『コロンブスからはじまるグローバル社会I493』2:鄭和の大遠征『コロンブスからはじまるグローバル社会I493』1:コロンブス交換
2019.09.01
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<『日経テクノロジー展望2017 世界を変える100の技術』2>図書館で『日経テクノロジー展望2017 世界を変える100の技術』を手にしたが・・・全項目に、カラー写真、カラー画像満載で、まさに図説という感じで、ええでぇ♪【日経テクノロジー展望2017 世界を変える100の技術】日経BP社編、日経BP、2016年刊<「BOOK」データベース>よりテクノロジーはどこまで進化するのか?どの分野のどれが有望なのか?人の仕事を本当に奪っていくのか?日経BP社の専門誌編集長が2017年以降を展望。ビジネスパーソンが知っておくべき100の技術の価値を解説!【目次】1章 すべてが変わるーここまで来たテクノロジー/2章 交通が変わるー自動車はサービスに/3章 住まいが変わるー「木造の時代」再び/4章 医療が変わるー再生医療のカギ「自己活用」/5章 産業が変わるーブロックチェーン、IoTの影響は/6章 危険から守るー見守りから情報セキュリティまで/7章 もっと速く、便利にーAI、ICTでこう変わる/8章 課題を見極めるー死角はないか<読む前の大使寸評>2016年発行という古さが気になったが、内容的には陳腐化していないように思ったのです。帰って調べてみると『日経テクノロジー展望2019 世界をつなぐ100の技術』というのが出ているようです。rakuten日経テクノロジー展望2017 世界を変える100の技術ビットコインやFinTecを、見てみましょう。<054 仮想通貨が迫る「常識の刷新」>p168~171 FinTecは特定技術の名称ではなく、ファイナンスとテクノロジーの融合によって新たな金融サービスが登場する新潮流を指す造語である。米国では2014年から、国内では2015年から注目され、官公庁、金融機関、IT企業、ベンチャー企業が様々な取り組みを始めている。 現在のFinTecの発端を2008年に発生したリーマン・ショックに求める論者が多い。金融機関への不信感や失望の高まりが、顧客をまったく新しい金融サービスへ向かわせた。大量に解雇された金融機関のエンジニアがベンチャーに流れたという指摘もある。 これに加え、国内では金融庁が2015年9月に公表した「平成27事務年度金融行政方針」の影響がある。その中で金融庁は、金融行政全体に関する大きな方針を提示、FinTecにも言及し、注目を集めた。従来は今後1年間の金融機関に対する監督・検査に関する方針が主であった。「金融庁としては、我が国が、FinTecの動きに速やかに対応し、将来の金融ビジネスにおける優位性を確保するため、民間部門と協働しつつ、海外事例の調査や内外の担い手との対話等を通じてFinTecの動向を出来る限り先取りして把握していく。その上で、利用者保護等の金融行政上の課題と両立させつつ、将来の金融業・市場の発展と顧客利便性の向上につなげていくとともに、内外の専門家の知見を積極的に活用し、技術革新が我が国経済・金融の発展につながるような環境を整備する」(平成27事務年度金融行政方針より) この方針を打ち出す前提として、金融庁はFinTecがもたらす構造変化に国内金融機関が出遅れているとした。「構造変化の動きを敏感に捉え、ITベンチャー等のノンバンク・プレイヤーと金融機関との連携・協働等の動きが見られている欧米の状況に比べ、我が国ではこのような有機的な対応が遅れている。また、我が国金融機関が提供する決済サービウは、国際的に活動する企業・個人のニーズに十分に対応出来ていないという課題もある」(平成27事務年度金融行政方針より) もっとも金融とテクノロジーの融合は昔からのテーマで、1990年代にも両分野の融合が盛んに叫ばれていた。冷戦の終結に伴い、軍需関係に従事していたエンジニアが金融街に入って金融工学を発達させ、さらにインターネットの普及に伴って、金融のオンラインサービスが相次いで始まった。 日本では松井証券やマネックス証券といったオンライン専業の証券会社が登場し、2000年にはネット専業銀行のジャパンネット銀行が開業。現在時価総額が五兆円を超す米ペイパルが起業したのは1998年になる。 ただし、この時期に立ち上がった起業の大半は2001年のドットコムバブルの崩壊と共に倒産に追い込まれた。こうした経緯からFinTecの動きを冷静に見る向きもあるが、1990年代とFinTecを比較すると決定的な違いがある。それは「仮想通貨」の登場だ。 仮想通貨の代表と言えるビットコインはSatoshi Nakamotoと呼ばれる人物の論文を基に、2009年1月3日から流通が始まった。2013年3月16日、キプロスがEUとIMFからの財政支援を受ける引き換えに、すべての銀行預金へ課税を決めた際、資金がビットコインに流入して取引価格が暴騰、ビットコインは世界中の耳目を集めた。国家のような管理主体がないにも関わらず、ビットコインが既存の金融機関や国に対する信用不安の受け皿になった恰好だ。■非中央集権化のトレンド これを金融の「非中央集権化」と呼ぶことがある。政府や金融機関はこのトレンドを見極め、対策を講じていく必要がある。 日本では2014年2月に、ビットコイン取引所「マウントゴックス」が破綻し、注目が集まった。その当時と比べれば、テレビや新聞紙面を賑わせることは減ったが、ビットコインは地中に根を張るがのごとく生き延び、新たなビジネスを少しずつ生み出している。 2016年5月25日、ビットコインなど仮想通貨に対する規制を盛り込んだ改正資金決済法が成立した。仮想通貨の取引所に登録制を導入、口座開設時の本人確認などを義務づけ、顧客の資産と自己資産を分ける分別管理を求める。 マネーロンダリングやテロ資金への悪用防止を目指した法改正だが、位置づけが曖昧だった仮想通貨を規定し、その存在を認めた法改正とも言える。ところで、堀江さんはビットコインをどう見ているのか?・・・『これからを稼ごう』1に載っています。『日経テクノロジー展望2017 世界を変える100の技術』1
2019.08.26
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エスカレーターを1基増設し、わが町のイオン・モールの改装がほぼ終わったようである。 ここの土地代が高いのでモール内の店舗の入れ代わりの多いことには定評があるのだが・・でもね、住民としては物が安くて店が綺麗であればそれでいいのである。 わが町はダイエー顕彰の地とでもいうわけで、町の中には中内さんの威光をしのぶように流通科学大学まで備えています。 でも、ダイエーが傾きイオンの傘下になって以降・・・ イオン・モールの場所にはダイエーの看板が見えていたような気がしていたのたが、このたびの改装で、ダイエー色は完璧に一掃されたわけです。 この改装には「そんなに金をかけてペイできるのか?」という不安を覚えるのであるが・・・もしかしたら、全国に先駆けて小売業の実験をしているのかもしれないのです。 中国人や韓国人を相手にする一過性の儲けではなく、日本人の住民を狙っているあたりは、わりと健全なスタンスである。 そして思うに、イオンの競合先としては、アマゾンや弱小ネット通販なんだろう。果してわが町のイオン・モールに勝算はあるのだろうか? 太子が在職中に、催しの買出しといえば、三宮のダイエー1号店だったわけで、ダイエーに対する懐かしさはヒトシオなんでおます。
2019.08.24
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『お金のために働く必用がなくなったら、何をしますか?』という新書を、読んでいるのだが・・・この本はベ-シックインカム導入を題材にして、望まれる社会保障制度を論じているわけです。・・・ということで、ベ-シックインカムについて集めてみます。・「ベーシックインカム」実験 疑問の声も(2019.1.15デジタル朝日)・国家で実験ベーシックインカム(2018.12月デジタル朝日)・『新・日本の階級社会』(2018年刊)・『お金のために働く必用がなくなったら、何をしますか?』(2018年刊)・與那覇潤著『中国化する日本』(2011年刊)・ミヒャエル・エンデ著『モモ』(2005年刊)R2:『新・日本の階級社会』を追記*****************************************************************************<「ベーシックインカム」実験 疑問の声も> 大使は北欧の「ベーシックインカム」実験をフォローしているのだが、1/15デジタル朝日に最新記事が載ったので、紙のスクラップとともにダブルで残したのです。「ベーシックインカム」実験 疑問の声も 隣国フィンランドが模索するのは「ベーシックインカム(BI)」。生活保護のように特定の人が対象ではなく、すべての人に一律の現金を配る仕組みだ。 「いまのシステムは、企業に勤めない人への支援が難しい。どんな手法が可能か、実験の一つ」と首相府のマルクス・カネルバ専門官は説明する。ランダムに選んだ失業者2千人に、月560ユーロ(約7万円)を無税で2年間支給。その間に就職しても支給を続け、収入申告などの手続きは不要だ。 雇用が不安定でも、一定の収入が担保されれば、起業や新しい仕事にも挑戦しやすい。全員一律なので、申請や審査のコストも削減できる、といった狙いがある。 BIには「働く意欲をそぎ、怠け者をうむ」という批判もつきまとう。今回の実験には、「失業者以外も対象にしなければ本当のBIとはいえず、人々の行動にどんな影響があるかの実験としても意味がない」(タンペレ大学のペルッティ・コイスティネン教授)と、BIを支持する専門家にも疑問の声がある。 実験は昨年12月で終わった。対象者は「怠けた」のか。これから本格的な分析が始まる。若者と社会保障 北欧の「全世代型」:中2019.1.15**********************************************************************<国家で実験ベーシックインカム> ベーシックインカムに関心があって調べていたのだが、およそ1年前の朝日新聞スクラップからフィンランドの実例を見つけたので紹介します。(新聞からの転記になるが、転記すれば頭に入るというアナログ人間の大使でおます)北欧フィンランドで、政府が無条件で一定額のお金を配る「ベーシックインカム」の実証実験が進んでいる。現状の失業保険などの社会保障制度が国民のニーズに対応できておらず、抜本的な見直しが必要ではないかとの問題意識からだ。導入には賛否があるが、欧州では他の地域でも実験を始める動きが続いている…■月7.5万支給 職探し前向きに 「自由を与えられた感じがします」。フィンランド西部ユルバ近郊の村で暮らすユハ・ヤルビネンさん(39)はそう言って喜ぶ。政府は昨年1月から2年間、25~58歳の失業者2千人を対象として、失業保険の代わりに、無条件で月560ユーロ(約7万5千円)のお金を給付する実験を始めた。ヤルビネンさんもその一人に選ばれた。 フィンランドの失業率は8%台と高止まりが続く。政府の狙いは、ベーシックインカムの制度が失業者の働く意欲を高め、雇用増につながるかを調べることだ。政府の担当者によると、世界でも地方自治体レベルによる実験は過去にもあったが、国として取り組むのは初めてだという。 ヤルビネンさんが経営していた窓枠の製造会社は6年前に倒産。5~16歳の6人の子どもを抱え、看護士の妻の収入に、子ども手当や月640ユーロ(約8万6千円)の失業保険を合わせ、計3千ユーロ(約40万円)の収入でギリギリの生活が続いた。1日8ユーロ(約千円)がもらえる教会の手伝いなどもしたが、地元に就職先がほとんどなく、再び起業を目指した。 ところがネックになったのが失業保険だ。一定以上の所得があえwば、失業保険の受取額は段階的に減らされる。「売上高が少ないと、生活が苦しくなるだけだ」とあきらめていた。それが、所得に関係なく毎月安定して入るベーシックインカムに変わったことで、売上額の多寡を気にしなくていい。 昨夏に手作り太鼓などを販売する会社をつくった。「試験期間の2年間で軌道に乗せて、税金もしっかり払えるようにして見せる」と意気込む。 南部タンペレでIT企業で働き出したミカ・ルースネンさん(46)は、従来の失業保険だと、社会保険事務所に臨時所得の有無や求職活動の状況などを定期的に報告せねばならず、「政府にすべてコントロールされている感じがする」。ベーシックインカムなら「そのストレスから解放され、前向きになれる」と話す。 自身もベーシックインカムを受けるジャーナリストのトーマス・ムラヤさん(44)によると、取材した実験参加者5人全員が「職探しに前向きになれた」と答えた。ベーシックインカムだけで生活するのは難しいため、「社会に出るのを後押ししてくれる」と言う。政府から無条件でお金をもらえることで、「怠け者になるのでは」との見方は当らないとの考えだ。 政府は実験終了後、参加者から生活の変化などの聞き取り調査をする予定だ。社会保険庁事務所のマルユッカ・ツルネン部長は「現段階では一切評価していない」と話す。■国の費用負担 課題 導入を巡っては国内でも賛否が割れる。懸念の一つは費用負担だ。実験にかかるのは約2千万ユーロ(約27億円)。政府は当初1万人で計画したが、負担増への批判が出て規模を縮小せざるを得なかった。国全体に広げると、国内総生産(GDP)の約5%の費用が必要との試算もある。 国と企業との責任分担を巡る懸念もある。フィンランド労働組合中央組織の労働政策責任者のピリヨ・バーナネンさん(45)は、政府がベーシックインカムで国民の所得保障に大きな責任を持つようになれば「企業が賃上げに後ろ向きになるなど、逆に不安定な仕事を増やすことにつながらないか」と心配する。 一方、導入に前向きなタンペレ大学のペルッティ・コイスチネン教授は「新しい時代の社会保障の一つに解決策になれる」と話す。(中略) コイスチネン教授は「不安定な仕事につく人が増えているが、今の制度では蚊帳の外に置かれている。そうした人のリスクを減らす制度になりうる」と話す。ウン ニッポンでは拙速で新移民法案が決まったりするけど、北欧ではこんな地道な福祉制度の実験が行なわれているのか・・・国の規模の違いがあるが、政治の質の違いもあるんでしょうね。この記事も一応 朝日のインタビュー記事スクラップR9に収めておきます。**********************************************************************【新・日本の階級社会】橋本健二著、講談社、2018年刊<「BOOK」データベース>より豊かな人はより豊かに、貧しい人はより貧しくー「日本型階級社会」の実態!!!【目次】第1章 分解した「中流」/第2章 現代日本の階級構造/第3章 アンダークラスと新しい階級社会/第4章 階級は固定化しているか/第5章 女たちの階級社会/第6章 格差をめぐる対立の構図/第7章 より平等な社会を<読む前の大使寸評>おお 楽天の日別ランキング (美容・暮らし・健康・料理) のトップではないか♪でも、ジャンル分けがちょっとヘンやで。<図書館予約:(7/18予約、8/10受取)>rakuten新・日本の階級社会『新・日本の階級社会』3**********************************************************************【お金のために働く必用がなくなったら、何をしますか?】エノ・シュミット, 山森亮著、光文社、2018年刊<「BOOK」データベース>より 2016年5月、スイス・ジュネーブの広場に巨大なポスターが現れた。そこには「What would You do if Your income were taken Care of?」(お金を稼がなくてよくなったら、あなたは何をしますか?)と書かれていた。 これは、世界で初めてベーシックインカムを求める国民投票を実現させたアーティスト、エノ・シュミットらによる「世界最大の問い」だった。世界各地で導入の具体的な動きが広まるベーシックインカムは、社会や人間のあり方に何をもたらすのか。 2017年4月に同志社大学で開催されたシンポジウム「エノ・シュミットと語るコモンズ、フェミニズム、ベーシック・インカム」をもとに、四人の執筆者が「世界最大の問い」を考える。<読む前の大使寸評>「お金のために働く必用がなくなったら、何をしますか?」と大きく問うた経済的コピーにひかれて中身をみたら・・・ベーシックインカムにからむ本であり、つい衝動買いになったのです。rakutenお金のために働く必用がなくなったら、何をしますか?『新・日本の階級社会』3:『お金のために働く必用がなくなったら、何をしますか?』2:山森さんの提言『お金のために働く必用がなくなったら、何をしますか?』1:「働かざる者、食うべからず」ではないか?**********************************************************************【中国化する日本】與那覇潤著、文藝春秋、2011年刊<内容紹介>より日本の「進歩」は終わったのか──ポスト「3.11」の衝撃の中で、これまで使われてきた「西洋化」・「近代化」・「民主化」の枠組を放棄し、「中国化」「再江戸時代化」という概念をキーワードに、新しいストーリーを描きなおす。ポップにして真摯、大胆にして正統的な、ライブ感あふれる「役に立つ日本史」の誕生!<大使寸評>歴史を今の政治経済にまで引き寄せる與那覇さんの着想が鮮やかであり・・・それをまた、読みやすく書く文才が並の歴史学者と違うのかもしれませんね。Amazon中国化する日本『中国化する日本』8:郡県化する日本:真説政治改革p247~248、ベーシック・インカムをまじめに考えるp275~278与那覇先生が、これしかないというベーシック・インカムであるが・・・・too little too lateが信条ともいえる日本の官僚制度がベーシック・インカムを取り込むとはとうていあり得ないでしょうね。*****************************************************************************エノ・シュミットがミヒャエル・エンデ著『モモ』を引合いに出してベーシックインカムを語っているので、読んでみようと思うのだが。【モモ】ミヒャエル・エンデ著、岩波書店、2005年刊<「BOOK」データベース>より町はずれの円形劇場あとにまよいこんだ不思議な少女モモ。町の人たちはモモに話を聞いてもらうと、幸福な気もちになるのでした。そこへ、「時間どろぼう」の男たちの魔の手が忍び寄ります…。「時間」とは何かを問う、エンデの名作。小学5・6年以上。<読む前の大使寸評>追って記入rakutenモモ
2019.08.16
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図書館に予約していた『新・日本の階級社会』という新書を、待つこと約1ヵ月でゲットしたのです。おお 楽天の日別ランキング (美容・暮らし・健康・料理) のトップではないか♪でも、ジャンル分けがちょっとヘンやで。【新・日本の階級社会】橋本健二著、講談社、2018年刊<「BOOK」データベース>より豊かな人はより豊かに、貧しい人はより貧しくー「日本型階級社会」の実態!!!【目次】第1章 分解した「中流」/第2章 現代日本の階級構造/第3章 アンダークラスと新しい階級社会/第4章 階級は固定化しているか/第5章 女たちの階級社会/第6章 格差をめぐる対立の構図/第7章 より平等な社会を<読む前の大使寸評>おお 楽天の日別ランキング (美容・暮らし・健康・料理) のトップではないか♪でも、ジャンル分けがちょっとヘンやで。<図書館予約:(7/18予約、8/10受取)>rakuten新・日本の階級社会この本では、新中間階級を三つのグループ(1.穏健保守 2.自民支持のコアグループ 3.リベラル派)に分類しているのだが、頼りの綱ともいえるリベラル派を、見てみましょう。p298~302■リベラル派の結集を 分析結果から見ると、格差社会克服の担い手となりうるのは、資本主義経済のメインストリームから外れた人々であるようだ。つまりアンダークラス、パート主婦、専業主婦、そして旧中間階級である。(中略) 一番目と二番目のグループは、格差が拡大しているという認識が弱く、所得再配分を支持する人がほぼ皆無で、自民党支持率の高い保守的なグループである。しかし両者には、かなりの違いがある。自己責任論を支持する人、軍備重視の強い人、排外主義の強い人の比率は、前者でいずれも三割前後にとどまるのに対して、後者は六-八割程度まで達していて、かなり極端である。 貧しくなるのも豊かになるのも自分次第だ、憲法を改正して軍隊をもつべきだ、沖縄に米軍基地が多いのは当然だ、中国人・韓国人は日本を悪く言いすぎる、近所に外国人が来るのはごめんだと考える、極右排外主義とでもいうべきこの二番目のグループは、案の定、自民党支持率が60.0%にも達している。「自民支持のコアグループ」と呼ぶべきだろう。これに対して一番目のグループは、「穏健保守」と名付けておこう。構成比は、両者合わせて53.2%である。 これに対して三番目のグループは、格差が拡大しているという事実を明確に認め、自己責任論を否定し、所得再配分を支持する傾向が強い人々である。「リベラル派」ともいうべきこのグループは、新中間階級の46.8%を占めている。二つの保守的なグループとは、ほとんどの点で大きく異なっている。 女性比率が33.2%と高く、管理職比率は低く、専門職比率が高い。軍備重視の比率はわずか4.0%で、排外主義も15.6%に過ぎない。この「リベラル派」こそ、メインストリームから外れた人々とともに格差社会を克服する重要な主体だろう。今回は分析結果を省略するが、同じような分析を行なえば、正規労働者のなかにも同じようなリベラル派の存在をみいだすことができる。 リベラル派の支持政党をみると、支持政党なしの比率が73.5%と、保守的な二つのグループより高くなっている。自民党支持率は13.2%と低いが、その他の政党の支持率も民進党7.0%、共産党2.5%、公明党2.0%などで、高いとはいえない。ここにはリベラル派が、格差解消の立場から自民党以外の政党を支持したくても、現実には支持しうる政党がないという現状が反映されている。この点は、アンダークラス、パート主婦、専業主婦なども同じだろう。旧中間階級は伝統的に自民党支持率が高かったが、第三章でみたように、近年では低下傾向にある。 もし格差社会の克服を一致点とする政党や政治勢力の連合体が形成されるなら、その支持基盤となりうる階級・グループはすでに存在しているといっていいだろう。アンダークラス、パート主婦、専業主婦、旧中間階級、そして新中間階級と正規労働者のなかのリベラル派である。これらの、一見すると多様で雑多な人々を、格差社会の克服を一点で結集する政治勢力こそが求められるのである。 そのような政党が登場すれば、これらの人々の政党支持は激変する可能性がある。その可能性の一端は、2017年10月の衆議院選挙での立憲民主党の躍進にあらわれたといっていいだろう。 自民党の一強支配は、当面の間揺るぎそうにない。しかし自民党にも弱点はある。それは、他の選択肢がないために、今のところ選挙で票を集めることができるが、実際には図表に示したように、また新中間階級の二番目のグループをみてもわかるように、排外主義と軍備重視に凝り固まった特殊な人々しか、強固な支持基盤になっていないことである。『新・日本の階級社会』3:ベーシック・インカム『新・日本の階級社会』2:生活保護の実態『新・日本の階級社会』1:日本型階級社会
2019.08.15
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図書館に予約していた『新・日本の階級社会』という新書を、待つこと約1ヵ月でゲットしたのです。おお 楽天の日別ランキング (美容・暮らし・健康・料理) のトップではないか♪でも、ジャンル分けがちょっとヘンやで。【新・日本の階級社会】橋本健二著、講談社、2018年刊<「BOOK」データベース>より豊かな人はより豊かに、貧しい人はより貧しくー「日本型階級社会」の実態!!!【目次】第1章 分解した「中流」/第2章 現代日本の階級構造/第3章 アンダークラスと新しい階級社会/第4章 階級は固定化しているか/第5章 女たちの階級社会/第6章 格差をめぐる対立の構図/第7章 より平等な社会を<読む前の大使寸評>おお 楽天の日別ランキング (美容・暮らし・健康・料理) のトップではないか♪でも、ジャンル分けがちょっとヘンやで。<図書館予約:(7/18予約、8/10受取)>rakuten新・日本の階級社会「第7章 より平等な社会を」でベーシック・インカムを、見てみましょう。p286~288■ベーシック・インカム 失業手当や年金なども同じだが、生活保護は自分から申請することによって、初めて受け取ることができる。自分に受給資格があると知らなかったり、受け取るのが恥かしいとかバッシングを受けたくないなどの理由から、申請しない人も多い。だから預貯金の制限を緩和しても、また水際作戦をやめさせても、生活保護制度はすべての貧困層をカバーすることはできない。では、どうすればいいか。 考えられる方法は、ベーシック・インカムの導入である。ベーシック・インカムとは、すべての人に対して無条件で、生活に必要最低限の所得を与えるというものである。給付する金額は、論者によって異なるが日本円で月額数万円から10万円程度と想定されることが多い。この金額が、毎月すべての人の口座に政府から振り込まれるのである。 最初は誰でも突飛な話だと思うかも知れないが、よく考えるとたいへん合理的な制度である。ベーシック・インカムを導入すれば、生活保護制度はもちろんのこと、基礎年金、雇用保険、児童手当など、多くの社会保障制度を簡素化することができる。金額からみて、少なくとも基礎年金と児童手当は全廃可能だろう。 すべての人に支給されるベーシック・インカムは、失業の証明をしたり、資産がないかどうかをチェックしたり、保険料の支払を促したりするような手間は一切かからないから、運用のための費用は、わずかですむ。 実際にオランダ、フィンランド、米国などいくつかの国で、実験的に導入して効果を確かめる試みが行なわれている。フィンランドの実験では、全国から無作為に選ばれた失業者2000人に月額約7万円を給付しているが、就労すると失業手当を受け取れなくなるため就労に慎重になっていた失業者が、積極的に就労するようになったり、安心して起業に踏み切ったというような効果が報じられている。 提唱者によると、これまでの実験で「現金をもらえるからといって、働かなくなる人など一人もいませんでした」という。(NHK「けさのクローズアップ」2017年7月27日)。 長時間労働やブラック企業がはびこっている日本では、病身を押して働いている人、過酷な労働条件に耐えかねている人などが仕事を辞めるかもしれないが、それはむしろ望ましいことである。富裕層にも配るのはおかしいという疑問もあるかもしれないが、他の収入と合算して課税すれば、さほど問題はない。所得税と住民税合わせて税率50%の高所得者の場合、半分は税金として戻ってくることになるからである。『新・日本の階級社会』2:生活保護の実態『新・日本の階級社会』1:日本型階級社会
2019.08.15
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図書館に予約していた『新・日本の階級社会』という新書を、待つこと約1ヵ月でゲットしたのです。おお 楽天の日別ランキング (美容・暮らし・健康・料理) のトップではないか♪でも、ジャンル分けがちょっとヘンやで。【新・日本の階級社会】橋本健二著、講談社、2018年刊<「BOOK」データベース>より豊かな人はより豊かに、貧しい人はより貧しくー「日本型階級社会」の実態!!!【目次】第1章 分解した「中流」/第2章 現代日本の階級構造/第3章 アンダークラスと新しい階級社会/第4章 階級は固定化しているか/第5章 女たちの階級社会/第6章 格差をめぐる対立の構図/第7章 より平等な社会を<読む前の大使寸評>おお 楽天の日別ランキング (美容・暮らし・健康・料理) のトップではないか♪でも、ジャンル分けがちょっとヘンやで。<図書館予約:(7/18予約、8/10受取)>rakuten新・日本の階級社会「第7章 より平等な社会を」で生活保護の実態を、見てみましょう。p282~286■生活保護制度の実効性の確保 今日の日本では、生活保護制度が機能不全の状態にある。というのは、本来は生活保護を受ける権利のあるはずの貧困層のごく一部しか、生活保護を受けることができていないからである。 生活保護を受ける資格がある貧困層のうち、実際に生活保護を受給している人の比率を捕捉率という。それは、どれくらいの比率になるのか。2010年に厚生労働省は、2007年の国民生活基礎調査のデータの再集計して、捕捉率の推定結果を公表した。これによると生活保護基準以下の低所得世帯は705万世帯だった。これに対して当時の生活保護受給世帯は108万世帯だったから、補給率はわずか15.3%である。膨大な数の貧困層が、生活保護を受けることのできないままに放置されているのである。 この15.3%という捕捉率は、他の先進国に比べて著しく低い。尾藤廣喜らによると、ヨーロッパ諸国の捕捉率は、スウェーデンが約82%、ドイツが64.6%、フランスが91.6%、英国は対象者の属性によって異なるが、47-90%だという。生活保護制度は、明らかに機能不全の状態にある。 なぜ日本の捕捉率はこんなに低いのか。少なくとも、二つの理由がある。一つは、受給条件が厳しすぎること、もう一つは「水際作戦」の存在である。 受給条件でとくに問題なのは、預貯金である。原則として生活保護申請時に預貯金があってはならず、最大でも最低生活費の1ヵ月分程度までの預貯金だけを認めるとされている。ひとり暮らしなら約10万円、家族がいてもせいぜい20数万円程度だろう。 このため収入が少ないにもかかわらず、預貯金があるために生活保護を受けられない世帯がきわめて多い。先に紹介した厚生労働省の推計によると、生活保護基準以下で生活保護を受給いていない世帯は597万世帯だが、このうち最低生活費の1ヵ月分以上の預貯金のある世帯が368万世帯ある。現状ではこれらの世帯には生活保護の受給資格がないので、この分を引いて計算すると、捕捉率は32.1%になるのだという。 生活費に充てることのできる預貯金がたくさんある、たとえば大企業や官公庁を定年退職した後の高齢者世帯を、生活保護の対象から外すというのは理解できなくもない。しかし預貯金は、生活費に充てるためだけにあるのではない。急に病気になったときの備え、近く進学を迎える子どもの学費、高齢の家族がいる場合は葬儀のための費用、その他急な出費が必要になったときのためにも、預貯金は必用である。にもかかわらず、1ヵ月分の生活費相当額までしか預貯金を認めていないために、生活保護の受給資格のある人の範囲が、著しく狭められているのである。 このため多くの低所得世帯は、ささやかに貯金を取り崩して生活を続けたのちに、ようやく貯金が尽きて、幸か不幸か生活保護基準を満たすようになる。このため保護開始の理由をみると、「貯金等の減少・喪失」である世帯は月平均で5520世帯にも上がり、全体に対する比率は32.2%で、病気や失業などを押さえて堂々の第一位なのである。(中略) 水際作戦とは、自治体の一部にみられる対応で、生活保護を申請しようとして窓口にやってきた住民を、いろいろな理由をつけて追い返して申請させないようにしたり、理由にならない理由で申請を却下したりすることである。申請を水際で阻止するということから、関係者の間でこのように呼ばれてきた。またすでに生活保護を受給している住民に対し、受給を辞退するよう迫るというようなこともしばしば行なわれてきており、これを含めてこのように呼ぶ場合もある。 申請させなかったり、申請を却下したりする口実としては「まだ働けるのだから仕事を探しなさい」「親族に養ってもらいなさい」「持ち家がある人は受けられない」などが多い。いずれも生活保護を受けさせない理由にはならない違法な対応である。(中略) 自治体が水際作戦に走る最大の原因は、生活保護費の財源の四分の一が自治体の負担になっていることだろう。生活保護費がかさむと自治体財政が苦しくなるわけだから、制度が自治体を水際作戦に追いやっているといっても過言ではない。 生活保護制度は、憲法で保障された生存権、つまり「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を守るためにあるのだから、全額を国が負担すべきだろう。自治体の財政状況によって、生存権が保障される地域とされない地域が出てくるなどということがあってはならないからである。 しかし生活保護費の削減を進めてきた日本政府が、全額負担を受け入れる見込みは当面ないから、さしあたっては、生活保護制度の運用を監視するしくみを作ることが有効だろう。これには、簡単な方法がある。総務省が5年ごとに行っている「就業構造基本調査」のデータを使えばいいのである。調査対象は100万人以上と多く、調査項目は、家族構成、世帯年収、職業の有無、職業がある場合には産業、職種、従業上の地位、企業規模、労働時間、その仕事から得ている年収など、幅広い。 このデータを使えば、都道府県はもちろんのこと、一定以上の人口のある市区町村についても、貧困率を計算することができる。これを実際の生活保護需給率と比較すれば、生活保護制度がうまく機能していない地域、つまり水際作戦が行なわれていたり、自治体が怠慢だったりする地域はどこかということが一目瞭然となる。そうした地域に対しては原因を調査し、制度の運用を改善させればいい。『新・日本の階級社会』1
2019.08.13
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図書館に予約していた『新・日本の階級社会』という新書を、待つこと約1ヵ月でゲットしたのです。おお 楽天の日別ランキング (美容・暮らし・健康・料理) のトップではないか♪でも、ジャンル分けがちょっとヘンやで。【新・日本の階級社会】橋本健二著、講談社、2018年刊<「BOOK」データベース>より豊かな人はより豊かに、貧しい人はより貧しくー「日本型階級社会」の実態!!!【目次】第1章 分解した「中流」/第2章 現代日本の階級構造/第3章 アンダークラスと新しい階級社会/第4章 階級は固定化しているか/第5章 女たちの階級社会/第6章 格差をめぐる対立の構図/第7章 より平等な社会を<読む前の大使寸評>おお 楽天の日別ランキング (美容・暮らし・健康・料理) のトップではないか♪でも、ジャンル分けがちょっとヘンやで。<図書館予約:(7/18予約、8/10受取)>rakuten新・日本の階級社会「序にかえて」で日本型階級社会を、見てみましょう。p10~13■分断された日本 人々の意識も、大きく変わった。「一億総中流」と呼ばれた時代、多くの人々が自分の生活程度を「中」またはそれ以上だと考えていた。それは本人の生活程度とはほとんど関係がなく、豊かな人も貧しい人も、あまり違いがなかった。貧富の差にかかわらず、「豊かな気分」「中流気分」が人々を覆っていたのである。 ところが今日では、豊かな人と貧しい人の意識が、はっきり違っている。1975年に行なわれたSSM調査によると、自分を「人並みより上」だと考える人の比率は、富裕層でも44.5%に過ぎず、貧困層でも17.2%までが、自分は「人並みより上」だと考えていた。 ところが2015年に行なわれた同じ調査によると、この比率が富裕層では73.7%へと上昇したのに対して、貧困層では10.0%にまで落ち込んでいる。人々は自分の豊かさと貧しさを、リアルに感じるようになっているのである。(中略)■日本型「階級社会」の出現 こうした意味で現代の日本社会は、もはや「格差社会」などという生ぬるい言葉では形容すべきものではない。それは明らかに、「階級社会」なのである。 詳しくは第二章で述べるが、階級とは、収入や生活程度、そして生活の仕方や意識などの違いによって分け隔てられた、いくつかの種類の人々の集まりのことをいう。そして各階級の間の違いが大きく、その違いが大きな意味をもつような社会のことを階級社会という。 今日の日本社会は、明らかに階級社会としての性格を強めている。しかもその構造は、階級社会についての従来の理論や学説が想定してきたものとは異なっている。その意味では「新しい階級社会」である。 本書で示したいのは、この現実である。本書を手にする人々には、格差を縮小すべきだと考える人もいれば、現状程度の格差はあってよいと考える人もいるだろう。いずれの立場であっても、現代日本を論じる際に知っておく必用のある現実。これを解き明かしていくことにしよう。 なお本書では、官庁等の統計の他、さまざまな社会調査データを用いる。なかでも重要なのは、SSM調査と、2016年首都圏調査データである。SSM調査は正式名称を「社会階層と社会移動全国調査」といい、階級・階層研究を専門とする社会学者の研究グループにより、1955年から10年ごとに行われている。最新の調査は2015年に実施された。
2019.08.11
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図書館で『限界都市あなたの街が蝕まれる』という新書を、手にしたのです。少子高齢化の昨今、日本はいまだに「新築志向」から抜け出せずにいる・・・ほんま、バカの一つ覚えというか、アホやで!【限界都市あなたの街が蝕まれる】日本経済新聞社著、日本経済新聞出版社、2019年刊<「BOOK」データベース>より再開発で次々と建設されるタワマンやオフィスビル。一方で取り残される老朽団地や空き家・空き地の増加、進まぬコンパクトシティー化。誰も全体を把握できないまま日本列島で同時進行する「合成の誤謬」に、データ分析と現地取材でメスを入れる。<読む前の大使寸評>少子高齢化の昨今、日本はいまだに「新築志向」から抜け出せずにいる・・・ほんま、バカの一つ覚えというか、アホやで!rakuten限界都市あなたの街が蝕まれる「第3章 虚構のコンパクトシティー」で自治体の本音を見てみましょう。p148~150日経調査から見えてきた矛盾 ■ある自治体首長の本音「コンパクトシティーっていうのは、そこから外れたところに住んでいる人はのたれ死ぬっていうこっと?」 ある北関東の主要市の首長が日本経済新聞の取材に対して、記者に問いかけてきた言葉だ。首長の率直の発言は高齢化と人口減少に直面し、衰退リスクを抱える多くの自治体の本音なのかもしれない。コンパクトシティー政策を推進するうえで、決して無視はできないので、少し長いがその主張をご紹介しよう。「人は住みやすいところに住んでいくもの。そこに病院や学校、保育園、介護施設を誘導していくものだと思う。街の中心に誘導していくと地方都市は農村から潰れていく。住民が地域を守っているという面もある。住まなくなったら誰がその農村を守るのか」「うちの市は工場が分散して建っており、工場の近くに職住近接で住みたいというニーズがある。それから弱点は道路で、現在も通勤時間帯の街なかは渋滞がひどい。これ以上、人が市の中心部に集まると、さらに渋滞が激しくなるので困る。工場を増設したいという要望や、新しく市内に工場を建てたいという要望が引きも切らないので、市としてはそれに対応しなければならない」「10年以上住んでいるなど一定の条件を満たせば市街化調整区域内に家を建てられるように規制を緩和した。今もこの規制緩和に従って、年間200件以上の着工がある。農家のおじいさんにしてみれば、高齢で農業をしなくなって、その農地が売れる。『3反売れば一生食っていける』というようなものだ。買うほうも安く買える。集落内にコミュニティーを維持するという目的だけど、みんな喜んでいる。放っておいたらどんどん引き算になっていく。この規制緩和で足し算にはならないけど、プラマイゼロくらいにはなる」 一貫してコンパクトシティーに否定的な見解を示しているが、不思議なことに、この市は立地適正化計画をつくっている。すでに2017年3月に都市機能誘導区域を公表し、今は居住誘導区域を含む計画を策定中だ。『限界都市あなたの街が蝕まれる』3:止まらぬ「スプロール現象」『限界都市あなたの街が蝕まれる』2:小学校の状況『限界都市あなたの街が蝕まれる』1:「住みたい街」武蔵小杉
2019.08.08
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図書館で『限界都市あなたの街が蝕まれる』という新書を、手にしたのです。少子高齢化の昨今、日本はいまだに「新築志向」から抜け出せずにいる・・・ほんま、バカの一つ覚えというか、アホやで!【限界都市あなたの街が蝕まれる】日本経済新聞社著、日本経済新聞出版社、2019年刊<「BOOK」データベース>より再開発で次々と建設されるタワマンやオフィスビル。一方で取り残される老朽団地や空き家・空き地の増加、進まぬコンパクトシティー化。誰も全体を把握できないまま日本列島で同時進行する「合成の誤謬」に、データ分析と現地取材でメスを入れる。<読む前の大使寸評>少子高齢化の昨今、日本はいまだに「新築志向」から抜け出せずにいる・・・ほんま、バカの一つ覚えというか、アホやで!rakuten限界都市あなたの街が蝕まれる「第3章 虚構のコンパクトシティー」でスプロール現象を見てみましょう。p140~143日経調査から見えてきた矛盾 ■止まらぬ「スプロール現象」 人口減少時代に向けたコンパクトな街づくりがなかなか進まない。住宅や商業施設、公共施設を街の中心部に誘導する計画をつくった自治体が、郊外の開発案件すべてを事実上黙認している…。こんなちぐはぐな実態が日本経済新聞の調べで明らかになった。 街を集約する計画を策定している自治体のうち、3割の市町は郊外開発の規制そのものを緩和していることも判明した。人口が減っているのに生活の拠点が拡散すると財政負担は膨らんでいく。都市の衰退を避けるためには、より効果的に街を集約する制度が必要になってきた。 国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、2045年の総人口が2015年より少なくなる市区町村数は1588で全体の94%にあたる。減り方を見ると33%の自治体で2~4割減少し、41%の自治体が4割以上減る。 かたや地方を中心に地価が安い郊外開発が進み、公共インフラが後追いする「スプロール現象」が止まらない。 東京都を除いて、市街地の目安である「人口集中地区(DID)」を46都道府県の県庁所在地でみると、2015年のDID面積は1970年と比べ約2倍となった。 一方でDID内の人口密度は政令市で16%、それ以外の都市で30%も低下している。このままでは人口減が進めば、「交通や医療・福祉といった公共サービスの提供が将来、困難になりかねない」(国土交通省)。自治体の税収が減るのに過剰ストックの維持費だけがかさむ負のスパイラルに陥りかねないのだ。 このリスクを抑えるために国が打ち出したのがコンパクトシティー戦略だ。都市の密度を高めれば一人あたりの行政費用を減らせる。国交省は2014年に都市再生特別措置法を改正して制度を整え、補助金などを通じ、具体策となる「立地適正化計画」を策定するよう市町村に促した。 立地適正化計画は住宅や店舗、公共施設などを街なかに集約するために「誘導区域」を設定し、補助金や税制優遇、規制緩和を通じて区域内に対象施設の立地を促す。 誘導区域は2種類ある。病院や福祉施設、学校、商業施設、役所といった地域住民に必要な施設を集める「都市機能誘導区域」と、住宅を集める「居住誘導区域」だ。都市機能誘導区域を先行して定める自治体も多い。 都市計画には開発を優先的に進める「市街化区域」と、開発を抑制する「市街化調整区域」の区分けもある。こうした既存の区分けに対し、居住誘導区域は市街化区域より絞った範囲内に設定しなければならない。『限界都市あなたの街が蝕まれる』2:小学校の状況『限界都市あなたの街が蝕まれる』1:「住みたい街」武蔵小杉
2019.08.08
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図書館で『限界都市あなたの街が蝕まれる』という新書を、手にしたのです。少子高齢化の昨今、日本はいまだに「新築志向」から抜け出せずにいる・・・ほんま、バカの一つ覚えというか、アホやで!【限界都市あなたの街が蝕まれる】日本経済新聞社著、日本経済新聞出版社、2019年刊<「BOOK」データベース>より再開発で次々と建設されるタワマンやオフィスビル。一方で取り残される老朽団地や空き家・空き地の増加、進まぬコンパクトシティー化。誰も全体を把握できないまま日本列島で同時進行する「合成の誤謬」に、データ分析と現地取材でメスを入れる。<読む前の大使寸評>少子高齢化の昨今、日本はいまだに「新築志向」から抜け出せずにいる・・・ほんま、バカの一つ覚えというか、アホやで!rakuten限界都市あなたの街が蝕まれる「第1章 タワマン乱立、不都合な未来像」で小学校の状況を見てみましょう。p31~37児童があふれる小学校 ■タワマンは東京湾岸地区に集中 武蔵小杉で乱立しているタワーマンションとは、いったいどのような高層住宅を指すのか。 実は国が定めた定義はないが、一般的に高さ60メートル以上で20階建て以上のマンションを指す。周辺に誰でも利用できる緑地や空間を設けるなどして容積率の緩和を受け、超高層を実現する。大浴場やパーティールームなど豪華な共用施設が売り物の物件も多く、都心の高層階は「億ション」も多い。 19階建てながら1971年完成の「三田綱町パークマンション」(東京・港)が第1号とされる。廊下など共用部を容積率の計算対象から外した1997年の建築基準法改正を機に建設ラッシュになった。 同じ床面積なら固定資産税額は同額だったため、富裕層が相続時の節税目的で高層階を買う「タワマン節税」も一時活発化。2017年度の税制改正で上層階になるほど税額を増やすことを決めたが、さほど影響はなく、現在は全国で約1400棟、38万戸が供給されている。■東京4区の学校整備費、10年で22倍に膨張 東京圏でタワーマンションが集中して立地しているのは東京都の中央、港、江東、品川の湾岸4区だ。こうした地域も武蔵小杉と似たような負の側面が浮き上がってきた。 そのひとつとして注目したのは教育現場だ。日本経済新聞が2008~17年度の湾岸4区の公立小学校の児童数と新築・増改築費用を調べたところ、累計856億円に達し、その前の10年の22倍に膨張したことが分かった。耐震補強など児童増以外の目的のみのために実施した整備費は含んでいない。 4区合計の児童数は1998~2002年度の5年間はほぼ横ばいだったが、その後は徐々に増加。タワーマンションの建設ラッシュが続く2008年度からの直近10年間でみると、公立小の児童数は中央区と港区が4割、江東区が3割、品川区が2割増加。4区の合計で1万3千人増えた。 この増え方は想定外だった。児童数の増加に伴い校舎の新築や増築にかかった整備費は、1998~2007年度は江東、品川の2区が計39億円を投じただけだったが、2008~12年度は4区で計391億円に跳ね上がり、2013~17年度は465億円とさらに上乗せされた。(中略) この10年に4区がかけた小学校の整備費は一般会計の歳出全体の約2%にあたる。人口増に加え景気の回復傾向もあり整備費の増加は税収増で賄えたたが、今後は少子高齢化が加速し、児童が再び減少に転じる可能性が高い。 タワーマンションの建設に応じて増改築した校舎が余剰になれば、維持管理や統廃合の費用がかさみ、人口減少も相まって自治体の財政を圧迫することになりかねない。同じ都内でも高度成長期に完成した集合団地では学校の統廃合がすでに始まっている。 『限界都市あなたの街が蝕まれる』1
2019.08.07
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図書館で『限界都市あなたの街が蝕まれる』という新書を、手にしたのです。少子高齢化の昨今、日本はいまだに「新築志向」から抜け出せずにいる・・・ほんま、バカの一つ覚えというか、アホやで!【限界都市あなたの街が蝕まれる】日本経済新聞社著、日本経済新聞出版社、2019年刊<「BOOK」データベース>より再開発で次々と建設されるタワマンやオフィスビル。一方で取り残される老朽団地や空き家・空き地の増加、進まぬコンパクトシティー化。誰も全体を把握できないまま日本列島で同時進行する「合成の誤謬」に、データ分析と現地取材でメスを入れる。<読む前の大使寸評>少子高齢化の昨今、日本はいまだに「新築志向」から抜け出せずにいる・・・ほんま、バカの一つ覚えというか、アホやで!rakuten限界都市あなたの街が蝕まれる「第1章 タワマン乱立、不都合な未来像」の冒頭を見てみましょう。p16~19「住みたい街」武蔵小杉の憂鬱 ■早朝の駅に長蛇の列「住みたい街」ランキング…。多くの住宅購入希望者は不動産業者や専門メディアなどによって発信されている都市の順位づけを、一度は目にしたことがあるだろう。しかし、どれほで実態を反映しているのだろうか。ランキング上位の常連になっている、神奈川県川崎市の「新興都市」の実情を追ってみた。 2018年2月下旬の早朝。JR横須賀線の武蔵小杉駅新南改札から、駅舎を越えて数十メートルにわたり行列がのびていた。入場待ちの列は駅に隣接するマンションの敷地に及ぶ。 神奈川県の久里浜から東京駅までを結ぶ横須賀線と、川崎から立川までを結ぶJR南武線が乗り入れる武蔵小杉駅は、通勤や通学に利用する客で首都圏有数の混雑ぶりだ。にもかかわらずひとつのホームの両側に上り線と下り線がある「島式ホーム」で、通勤時間帯には人がすれ違うのもやっとになる。平日の毎朝の光景だ。「ホームドアもなく、ホームの端すれすれを歩く人もかなりいる。いつ大きな事故が起こってもおかしくない」。住民の度重なる改善要望もあり、JR東日本横浜支社は朝の通勤時間帯に臨時の改札を設ける工事を2018年4月に完了した。(中略) 通勤や通学だけでなく、子どもを育てる環境も激しさが増す。 保育所に入りたくても入れない「待機児童」の数は2017年時点では川崎市全体ではゼロだったものの、年度途中の10月は374人にのぼった。武蔵小杉のある中原区が211人で最も多い。 2018年春、第1子を保育所に預けて仕事に復帰する予定だと語っていた20代の母親は「『保活』が厳しいと聞いていたので、とにかくいろんな保育所に足を運び、20ヶ所上に申し込んだ」と話していた。 だが保育所をどんどん増設するためには当然、敷地が必用だ。武蔵小杉にはもはやそういった土地が残されていないのも現実だ。(中略) 武蔵小杉はかつて不二サッシや東京機械製作所などの工場や企業のグラウンドが立ち並ぶ工業地帯だった。1990年代のバブル崩壊などが要因でそれらが軒並みに撤退。跡地がある武蔵小杉駅の東側を中心に、不動産開発大手が主導し、約10年前から再開発が始まった。 駅前の土地の再開発は通常、そこに昔から住む数多くの地権者との交渉という壁が立ちはだかる。広大な土地の所有者が明確でしかも少ない工場跡地という特徴を持つ武蔵小杉は、デベロッパーにとって再開発に非常に適した土地だった。それが武蔵小杉の急激な開発を後押しした要因のひとつでもある。
2019.08.07
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<『これからを稼ごう』3>図書館に予約していた『これからを稼ごう』という本を待つことおよそ6ヶ月でゲットしたのです。このところ突出するGAFAに対して、疑問あるいは抗議が提示されるようになりましたね。一方で、仮想通貨市場などはまさしくフェイクであるが・・・フェイクの中で立ち回る堀江さんは、どう見ているのか?【これからを稼ごう】堀江貴文著、徳間書店、2018年刊<出版社>よりお金は変わる。そしていずれ「なくなる」--。2017年、バブルを迎えた仮想通貨市場。だが、その本質は投機対象でも決済手段でも、あるいはブロックチェーンという技術革新ですらない。お金という存在の正体に皆が気づき始めたことこそが、革命なのだ。ビットコインが目指した自由、イーサリアムがもたらす大変革、そして新しく訪れる個人と会社・国家との関係性とは。仮想通貨から学ぶ「これからの経済学」。<読む前の大使寸評>このところ突出するGAFAに対して、疑問あるいは抗議が提示されるようになりましたね。一方で、仮想通貨市場などはまさしくフェイクであるが・・・フェイクの中で立ち回る堀江さんは、どう見ているのか?<図書館予約:(1/12予約、7/17受取)>rakutenこれからを稼ごう「第4章 国家の通貨と仮想通貨」で、キャッスレス化とやらを見てみましょう。p156~162 <現金信仰が終わらない> 2018年3月20日に閉幕したG20で、各国の財務相・中央銀行総裁たちは、仮想通貨を「クリプトカレンシー(暗号通貨)」ではなく、「クリプトアセット(暗号資産)」と位置づけた。 ビットコインは価値の尺度・保存・交換の3要素を満たす「通貨」ではなく、貨幣を通じて価値が評価可能な「資産」だというのが、各国のコンセンサスになる。 日本は2017年4月に、改正資金決裁法で仮想通貨を“代価の弁済のために使用できる財産的価値”と規定し、決裁手段として認定。仮想通貨の取引所・販売所には登録制を導入して関連法を整備しつつある。前述のような金融庁の意向は透けて見えるが、主要国の中では、かなり寛大なスタンスを取っているといえるだろう。(中略) 仮想通貨やブロックチェーン関連のビジネスは、日本がフィンテックで世界に勝てる正真正銘のラストチャンスだ。テクノロジーと金融の融合においた、日本は致命的に後れを取っている。 その最たる例が、いまだに現金での決裁率が8割を占めているという異常な事実である。アメリカを旅行すれば、ほぼ現金を使わない。駅のキヨスクもクレジットカードだ。韓国は路地裏の飲食店だってキャッスレスでサインもタブレットに行なうのがほとんど。インドでは先日、高額紙幣を廃止したりしている。(中略) <個人情報を一元化した上で> さて、この話をする上で、避けて通れないのが中国政府の動静だ。 2016年時点では、通過の世界のビットコイン取引のほとんどは人民元建てだった。ビットコイン価格が高騰し始めたのも、自国通貨を信用しない中国人たちが、キャピタルフライトの手段として目をつけたことが、一番のきっかけだった。 現在の中国は、仮想通貨にもっとも厳しいスタンスを持つ国として知られている。2017年9月に中国政府はICOを禁止し、国内の仮想通貨取引所の全面停止を明らかにした。 ビットコインに対する規制を強める一方で、世界各国の中でも、中国ほどブロックチェーン技術と相性の良い国はない。 ご存知の通り、中国は世界最大規模のインターネット大国でありながら、最大のネット規制国でもある。フェイスブックやツイッターといった世界的なネットサ-ビスへのアクセスは徹底的に制限され、その代わりにアリババやWeibo,WeChatなど、半官半民のような国産巨大ネットサ-ビスを育て上げた。 さらに、世界でも最もキャッスレス化が進んでいる国のひとつでもある。 2017年11月に僕は中国のシリコンバレーと呼ばれる深センを訪れた。現地では現金どころかVISAカードも使えないところも多い。 決裁のほとんどがWeChat Payやアリペイといった電子マネー決裁になっていた。路上で物乞いをしている浮浪者がQRコードを出してきた時にはさすがに驚いた。旧来の金融システムが未整備だったことも手伝い、一気に社会にフィンテックが浸透していった。 アリペイの付帯サービスとして定着している「芝麻信用」もすごい。資産状況やクレジットスコア、交友関係や人脈に至るまで、個人の信用スコアをゲームのパラメーターのように数値化して顕在化させ、無人コンビニでの万引き抑止などに活用するなど、個人情報の一元化管理に成功している。 そして、共産党という一党独裁の政権だ。ビットコインを締め出し、個人情報を集中管理した上で、プライベートチェーンを用いた独自のデジタル通貨を発行することは、時間の問題のように思える。ウーム 中国共産党が推進しているキャッスレス化が問題のようですね。・・・と、タンス預金をモットーにしている大使でんがな。【注記】ICOというのはInitial Coin Offeringの頭文字を取ったものだ。新たに仮想通貨を発行する際、すでに市場に流通している仮想通貨で資金を集めるもので、「パブリックセール」とも呼ばれている。『これからを稼ごう』2:イーサリアム革命『これからを稼ごう』1:ビットコインが衰退するとしたら?
2019.07.21
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図書館に予約していた『これからを稼ごう』という本を待つことおよそ6ヶ月でゲットしたのです。このところ突出するGAFAに対して、疑問あるいは抗議が提示されるようになりましたね。一方で、仮想通貨市場などはまさしくフェイクであるが・・・フェイクの中で立ち回る堀江さんは、どう見ているのか?【これからを稼ごう】堀江貴文著、徳間書店、2018年刊<出版社>よりお金は変わる。そしていずれ「なくなる」--。2017年、バブルを迎えた仮想通貨市場。だが、その本質は投機対象でも決済手段でも、あるいはブロックチェーンという技術革新ですらない。お金という存在の正体に皆が気づき始めたことこそが、革命なのだ。ビットコインが目指した自由、イーサリアムがもたらす大変革、そして新しく訪れる個人と会社・国家との関係性とは。仮想通貨から学ぶ「これからの経済学」。<読む前の大使寸評>このところ突出するGAFAに対して、疑問あるいは抗議が提示されるようになりましたね。一方で、仮想通貨市場などはまさしくフェイクであるが・・・フェイクの中で立ち回る堀江さんは、どう見ているのか?<図書館予約:(1/12予約、7/17受取)>rakutenこれからを稼ごう「第3章 イーサリアム革命」で、イーサリアムとやらを見てみましょう。p101~ <ヴィタリック・ブテリンという異能> イーサリアムについては、その成り立ちから語っておきたい。 イーサリアムの共同創設者で、プロジェクトを発起したのは、ヴィタリック・ブテリンという現在24歳の若者だ。 ロシアで生れたブテリンは幼少期にカナダへと移住。小学生でプログラミングを学び、高校3年時には、国際情報オリンピックでブロンズメダルを取るなど、テクノロジーとともに育った少年だった。 17歳のある日、彼が出会ったのがビットコインだ。父親から「面白い仮想通貨がある」と言われたことがきっかけだった。最初は興味を持たなかったブテリンも、多方面からビットコインの話を聞くようになり、徐々にビットコインに傾倒するようになっていった。ブロックチェーンが作り出す、中央管理者の存在しない世界に魅了されたという。■「ブロックチェーンの魅力は、分散型であることだ」 ブテリンはそう語っている。フェイスブックやグーグルのような企業が管理権を握るのではなく、各自が参加することで作られるネットワークでは、より効率的で、より透明性が高く、より公平なマーケットが生まれる可能性があると彼は考えた。 2年後、19歳の大学生になっていたブテリンは、ペイパルマフィアのボス・大物投資家のピーター・ティールが始めた「ティール・フェローシップ」に参加する。大学を辞めるなどの条件を満たせば、起業を志す20歳未満の優秀な若者に、10万ドルの資金を与えるというプロジェクトだ。 これをきっかけにブテリンは大学を辞め、世界中のビットコインのプロジェクトを見聞する旅に出る。その旅で彼は、ブロックチェーンの技術を、個人認証やクラウドファウンディングなど、通貨以外の目的に使おうとしている人がいるということを知ったのだ。 だが、当時のビットコインでも散られていたブロックチェーンは、これらの目的を行なうのには不充分な機能しか持っていなかった。そこで、あらゆる目的のために使える新たなブロックチェーンのプラットフォームを作り出すことを考案。イーサリアムの核となるアイデアが誕生した。 2013年、ブテリンはイーサリアムを作り出した。 イーサリアムは、ブロックチェーンの相互合意システムを利用し、世界共通のアプリケーションの基盤を目的として作られたプラットフォームである。『これからを稼ごう』1
2019.07.20
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<『これからを稼ごう』1>図書館に予約していた『これからを稼ごう』という本を待つことおよそ6ヶ月でゲットしたのです。このところ突出するGAFAに対して、疑問あるいは抗議が提示されるようになりましたね。一方で、仮想通貨市場などはまさしくフェイクであるが・・・フェイクの中で立ち回る堀江さんは、どう見ているのか?【これからを稼ごう】堀江貴文著、徳間書店、2018年刊<出版社>よりお金は変わる。そしていずれ「なくなる」--。2017年、バブルを迎えた仮想通貨市場。だが、その本質は投機対象でも決済手段でも、あるいはブロックチェーンという技術革新ですらない。お金という存在の正体に皆が気づき始めたことこそが、革命なのだ。ビットコインが目指した自由、イーサリアムがもたらす大変革、そして新しく訪れる個人と会社・国家との関係性とは。仮想通貨から学ぶ「これからの経済学」。<読む前の大使寸評>このところ突出するGAFAに対して、疑問あるいは抗議が提示されるようになりましたね。一方で、仮想通貨市場などはまさしくフェイクであるが・・・フェイクの中で立ち回る堀江さんは、どう見ているのか?<図書館予約:(1/12予約、7/17受取)>rakutenこれからを稼ごう太子はビットコインをやっていないのだが・・・フェイクの中で立ち回る堀江さんは、ビットコインをどう見ているのか?p96~98 <ビットコインが衰退するとしたら?> この本の打ち合わせをしている時に、編集者にこう問われた。 ビットコインなどの仮想通貨が急速に衰退していくことがあるとすれば、どんな理由が考えられるか? 答えはこうだ。「地球が滅ぶ、とか(笑)」 インターネットそのものがなくなれば仮想通貨は潰れるが、現代において、それは社会が機能しないということだ。となれば、僕が考えられる答えは、「地球が滅ぶぐらいしかない」ということだ。 だが、そんなことを考えることに何か意味があるのか? なんでそんな議論をするのか? とすら思ってしまう。 たぶん、みんな仮想通貨が本当に安全かどうか心配だからなのかもしれない。しかし、世の中には100%の安全は存在しないので、それを気にしても仕方がない。 不安ならば、その時点でアセットアロケーション(資産配分)すればいい。なにも仮想通貨のまま持ち続けなければならないということもない。「ビットコインが嫌だな」と思ったら、ドルに換えてもいいし、モナコインに換えてもいい。 しかしフィアットマネーだって盗まれる可能性もあれば、銀行が潰れてしまう可能性もあるし、国がデフォルトする可能性だっていくらでもある。 誰しもが正解を求めたいと思っている。未来永劫続く正解がほしいのだろう。ただ、残念なことに、そんなものは存在しないのだ。 現時点で仮想通貨を扱う上での懸念点を挙げるとしたら、それは秘密鍵を自分で忘れてしまうことくらいだろう。 セルフGOXには気をつけろ! これについては、僕もちょっと痛い思いをしていたりもする。セルフGOXについて、ネットで調べてみました。「セルフGOX」とは自分のミスで仮想通貨を失ってしまうこと。原因は送金先アドレスを間違えるなど。なお、語源はビットコインの盗難事件が起きた取引所「マウントゴックス」から。
2019.07.18
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図書館で『パナマ文書』という本を、手にしたのです。オフショアといえば、悪人の隠し口座であり、タックスヘイブン(租税回避地)でもある。2016年4月、「パナマ文書」がタックスヘイブン利用者を公表し、世界は大きな衝撃を受けた。【パナマ文書】渡邉哲也著、徳間書店、2016年刊<「BOOK」データベース>より世界中に衝撃を与えている「パナマ文書」。その膨大な取引データの暴露は、個人や企業のみならず、社会や国際情勢を一変させるほどの破壊力がある。パナマ文書の正体から、今後の世界と日本に与える影響までを完全分析!<読む前の大使寸評>オフショアといえば、悪人の隠し口座であり、タックスヘイブン(租税回避地)でもある。2016年4月、「パナマ文書」がタックスヘイブン利用者を公表し、世界は大きな衝撃を受けた。rakutenパナマ文書日本経済の闇を、見てみましょう。p155~159■地下経済から得られる15兆円の納税 前述したように、現在は暴力団に対する「銀行口座の不正取得」の集中捜査が進行中であるが、捜査対象は暴力団だけに限らず、テロ集団やそれに準ずる組織から一般人にまで及ぶことが予想される。これは「納税」を平等にすることも目的とされているからだ。 こうした金融捜査の最前線で活用されるのが、2015年10月5日から通知が開始された「マイナンバー」である。 非合法であったり、税金を払っていなかったりする経済のことを「SHADOW ECONOMY」(影の経済)と呼ぶ。日本においては「地下経済」という言葉のほうが知名度が高い。「地下」であるがゆえに、その規模は推計の域を出ない。OECDの調査によれば、海外への脱法的な租税回避なども含めた日本の地下経済の規模は名目GDPの12~15%と推計されている。 現在、日本の名目GDPは約500兆円であるから、日本の地下経済規模は約60兆~75兆円となる。日本の租税負担率は平均すると約20%となるから、地下経済から得られる税収は、じつに年約12兆~15兆円となる計算だ。(中略) もちろんこの試算は、地下経済すべてに暴力団が関与していることを意味しない。しかし、試算が乱暴であることを前提としても、暴力団の摘発によって国庫に入る金額は、莫大なものといえよう。何より日本国憲法により「納税」は「国民の義務」なのだ。パナマ文書により暴力団の資金の流れが明らかになれば、国庫へ没収される資金はさらに増えることになる。 マイナンバーは個人だけではなく、企業・団体にも割り振られる。税金を申告するときに、支払先や雇用者ナンバーにより取引を確定する仕組みである。現段階では、あくまでも努力規定であり、申告書類にナンバーの記載がなくても直接的な取り締まり対象とはならない。しかし、ナンバー未記載の申告があれば、税務署が不正を疑い調査を行なうことが予想されている。■マイナンバーが炙り出すモノ 正確な脱税の解明には、正確な所得の把握が必要となる。マイナンバーの目的のひとつには、個人所得の正確な把握があるとされている。把握のための有力な手段のひとつとなるのが銀行口座の出入金記録である。 ところが、現在でもクレジットカードを所有、使用している暴力団関係者は少なからずいるとされている。クレジットカードを所有するためには、銀行口座がなければならない。現在、暴力団の構成員は銀行口座をもつことができないのだから、クレジットカードを所有していること自体おかしなことだ。 クレジットカードの所轄官庁は金融庁ではなく、経済産業省である。こうした官庁の壁から、もっとも対応が遅れてきたのがクレジットカードやローンだ。しかし、これも2013年の「みずほ銀行暴力団融資事件」をきっかけに、一気にチェックと規制が始まっている。 加えて、これまで銀行、クレジットや信販会社、消費者金融で、個別に運用されていた信用情報機関の統合や連携も進んでいる。全銀協が運営する全国銀行個人信用情報センター(KSC)、全国信販協会の信用情報機関であるシー・アイ・シー(CIC)、消費者金融の信用情報機関である日本信用情報機構(JICC)は、事故や申告すべき情報が発生した際には、CRIN(Credit Information Network)情報として、一定期間、サーバ上で共有する仕組みが取られている。こうした仕組みを活用しながら、反社会的勢力とされる人のローンやクレジット利用もどんどん厳しくなることが予想される。 ここで問題となっていたのが、「通名架空口座」である。2006年10月に、菅沼光弘元公安調査官が外国特派員協会で講演した際、「指定暴力団の構成員の約3割が外国人」という発言を行なった。警察も外国人と暴力団の経済的関係を疑っているという。 前述したが、マイナンバーに先駆けるかたちで、2012年7月から外国人住民票の発行が開始され、2015年7月に変更猶予期間が終了した。この外国人住民票には本名とひとつの通名を記載することができることになっている。また、これで通名だけの記載で済んださまざまな書類も本名が基本になり、あくまでも通名は併記が可能という仕組みに変更された。これにより複数の通名を使用することによる不正なローン契約や口座開設が不可能になった。『パナマ文書』3:中国経済の闇、グローバリズムの闇『パナマ文書』2:パナマ文書の衝撃『パナマ文書』1:オフショアの正体
2019.05.20
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