MUSIC LAND -私の庭の花たち-

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「十三夜の面影」3



朝、目が覚めると下に寝てることに気づき、

昨夜のことを思い出す。

はっと起き上がってベットを見ると、

かぐや姫がすやすや寝ている。

夢ではなかったのだ。

起こそうかと思ったが、

しばらくこうして可愛い寝顔を見ていよう。

白い素肌に長い黒髪。

口紅をつけてないのに紅いのだ。

もの憂げに顔をしかめて、

伸びをしたかと思うと、

パッと目を見開き、目が合ってしまった。

「おはよう」

思わず照れ隠しに言う。

「おはようございます。」

まだ目が覚めやらないようだ。

「もう朝だよ。

お腹は空かないかい?」

「いいえ、

まだ空いてません。」

「でも、少しは食べなくっちゃね。

何なら口に合うかな。

パンしかないんだよ。」

「何でもいいです。

いろんなもの食べてみたいから。」

お姫様にしては気取りがないよな。

二人でパンをトーストして食べた。

牛乳とサラダも出したが、

「意外と美味しいですね。」と

ぺロッと平らげてしまった。

結構、食欲あるらしい。

痩せの大食いかも。

「僕は会社に行かなければいけないから、

君はここで留守番していてくれないか。」

少し心配だけど仕方がない。

「何をしていればいいのですか?」

「別に何もしなくていいよ。」

「ここを片付けてもいいでしょうか?」

見られて恥ずかしいものもあるから困るな、

と思いつつ、そうも言えない。

「片づけてもらうとありがたいけど、

どこにあるか分からなくなってしまうから、

端に寄せておいてもらえばいいよ。

それより、僕が帰ってくるまで、

決して外に出てはいけないよ。

危ないからね。

それに、誰かが来ても

ドアを開けないこと。

ここで話せばいいんだ。」

とインターホンを教える。

まるで白雪姫だな。

「はい、分かりました。」

素直にうなずくかぐや姫を見ていると、

可愛くて思わず抱きしめたくなってしまう。

「でも、もし外にでたくなったら

どうしたらいいのですか?」

おいおい、急にどうしたんだよ。

「それはちょっと待ってて欲しいな。

今日、服とか買ってくるから、

それまで我慢してなね。」

「じゃあ、服に着替えたら、

外に出てもいいの?」

目を輝かすかぐや姫。

これじゃあ駄目って言えないよな。

「明日ならいいよ。

僕も休みを取ってくるから。」

仕方なく、といっても、

デートかな、なんて思いつつ、

約束してしまった。

続き



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