MUSIC LAND -私の庭の花たち-

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「心の声」5

yamatomo
で、「思いだすこと」の歌が聴けます。
作曲と歌をやってます。良かったら聞いてみてくださいね。



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研究所から逃げる時乗ってきたトラックが走り去った方向に歩くことにした。

戻ったら、研究所に近くなってしまうものね。

彼はまだ気分悪そうだけど、なんとか歩けるみたい。

顔は笑ってるけど、やはりきつそうだ。

私はつわりこそ少ないけど、無理は禁物。

追っ手が来ないうちに逃げないと、とも思うが、

二人とも走る体力はない。

しばらく歩いていくと、人気のない家があった。

別荘なのか、廃屋なのか、雨戸は閉まり、

庭木や雑草が生い茂っている。

チャイムを鳴らしても応答がない。

玄関の鍵はかかっていたが、

彼が体当たりしたら、壊れて開いた。

中は埃だらけで、人が居る様子はない。

もう何年も放っておかれているようだ。

日も暮れてきたから、今日はここで休ませてもらおうか。

「不法侵入だな」彼と顔を見合わせて、笑ってしまった。

ここまできたら仕方ないよね。

ソファやベットもあって、なんとか寝られそう。

ともかく横になって休まないと。

眠ろうとしたら、どこからか心の声が聞こえてくる。

近くに誰か居るの?

彼の声ではないし、外からというほど遠くない。

まさかこの家に他の人が居るなんて。

耳を澄ませて聞いていると、かすかな心の声が段々響いてくる。

「私たちの家へ入ってきたのは誰だろう。」

複数居るらしい。

「ここに居るのに無視するなんて、図々しいわ。」

「どこにいるの?」

思わず声に出して言ってしまった。

「目の前に居るじゃない。」

何も見えないのだ。

まさか・・・。

彼も聞こえるらしく、青ざめている。

「幽霊か?」

「幽霊の心の声なんて聞いたことないわ。」

「研究や訓練で、能力がアップしたのかもしれない。」

「そんなものまで、聞こえたくない。」

「そんなものですって?」

怒りの声が響き渡る。

「私たちは死んでなんかいないわ。」

「じゃあどこにいるの?」

「目に前に居るって言ってるでしょ。」ヒステリックな女性の声。

そういえば、ぼんやりと煙のようなものが見える。

「なんとなく見えたけど、人間には見えないわ。」

「私たちが見えないのに、声は聞こえるのね。」

諦めたのか、声のトーンが落ちている。

彼女達は何者なのだろう?

この家に住んでいた人たちか。

でも、どうして死んでしまったのだろう。

それも、死んだ自覚がないみたいだ。

続き


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