ママの色 僕の色

あれは息子Aが2歳半くらいになった頃のこと。

一緒に湯船に浸かっていた時、彼が言ったの。

本当に不思議そうにね。



『 ボクの色は茶色だね~。

  ママの色は白だね~。

  なんでかな~~。 』



彼が初めて肌の色の違いに気付いた瞬間。


そっか~。気付くようになったんだね。

成長したなあ。


ママは感慨深かったけど複雑だったよ。


これから肌の色のことで悩むのかなあ。



幼稚園の時、同じ幼稚園の子にからかわれたね。

でも、先生がその度に叱ってくれた。



『他の子は肌色が使えるけど、ボクは使えないんだ。

だってボクは肌色じゃないから』



クレヨンの肌色を使いたがる君たちに

ママはどうしていいかわからなかったよ。


肌の色を納得するまでには長い年月が必要だった。

でも、ホントの問題は『色』ではなかったんだよね。

底にあった君たちを悩ましていたもの

それは『孤独感』だった。



そんな君たちも

もう11歳と12歳。


今でも絵の具を買い足す時に

『肌色は使わない』

という君たち。


でも、その意味はかつてのそれとは全く違うね。

今はただ当たり前のことを言っているだけ。

『ボクの目は黒いから青い色は使わない』

そんな風にね。

そう、君たちに肌色は必要ない。

だって、とっても美しいチョコレート色だもの。


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