停電がくれた贈り物







日本で会う夫の友人達とはまた違って

夫の国で会った人々は大人も子供も様々です。



家族の中でもフレンドリーな人もいれば

無愛想というか警戒心露な人もいる。


(あ、まず私がフレンドリーなタイプじゃないっていう点も十分関係しています(^^; )



首都の中の人達と地方の人達、多少キャラの違いはありますが

街中でもあまりその頻度はかわりません。



それでも、無愛想は無愛想なりに

邪険な態度を取られたことはありませんでした。



まあ、一時の旅行者、それも日本人の旅行者ですから

当たり前と言えば当たり前なのですが(笑)



向こうの我が家を管理してくれている女性も、最初はそんな感じの人でした。


働き者だし、なんでも頼めばやってくれるけど、表情はとても固い(笑)



そんな彼女が笑顔を見せてくれるようになったのは、ある晩を境にしてのことです。




夫の国では水力発電で都市部の電源をまかなっています。

でも、ここ10数年ほど雨量が減ってしまっているために絶えず電力不足。

とくに都市部の停電頻度はジェネレーターなしではつらいものがあります。



そして、私たちが行った時

我が家にはまだジェネレーターはありませんでした。




ある晩のこと、夫が1人で出かけている間に停電が起こりました。



その時 家に残されていたのは

私と息子達、夫の姪とその彼女。



彼女はごく当たり前のように、ランプを用意し

家の中の窓が全部閉まっていることを確認し(そうしないと蚊が入ってきて危険なため)

家中に防虫スプレーを撒き終えます。



「マミーに部屋にスプレー撒いてもらった?」



子供達に話しかける彼女の声が聞こえます。



その一通りの作業が終わると、家の中に残された私たちは

全員、居間に集まりました。



いつもは、私たちの間を取り持ってくれる夫が今日はいない。



居間では、ほのかなランプの光だけが全員の顔を照らします。



そんな状況で出来ることと言えば、おしゃべりくらい。

他愛のない話がいつのまにか母国語講座に変わっています。



『ランプはなんていうの?』

『イエスとノーは?』

『猫は?水は?犬は?』



まだ18歳の姪と彼女は、面白そうに

次から次へと私に教えてくれます。



そして、そのやり取りが

お互いのそれまでの緊張を、いつの間にかほぐしてくれていました。



『あなたはいくつ?』

『息子たちはこの国では白人?黒人?』



この時初めて、ごつそうにみえた彼女がまだ24歳だったこと、

一緒に暮らしている旦那さんとは新婚さんだったことを知りました。



そして、とても可愛らしい笑顔を持っていることもね。



彼女も、私が彼女よりかなり年上だってことに驚いたでしょうね(笑)




しばらくして停電が終わり

ご近所のあちこちからそれを喜ぶ声が上がります。



私たちの楽しい一時も終わり。

寝る準備をしなくてはね。




次の日起きてみると、昨日までの無愛想はどこへやら

彼女は年相応の可愛らしい、とてもフレンドリーな人に変わっていました。





***** 1月23日の日記より抜粋 *****









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