全201件 (201件中 1-50件目)
丼「井」と「丼」は、もともと同じ漢字でした。『ことばの選び方大全』(青春出版社)を読んでいて、また新たな知識を得ました。丼の字の形を、井戸にものが落ちるときの音「どぶん」の連想から「どんぶり」とあてるようになった。この説明で納得でした。山本藤光2018.08.17
2019年01月31日
コメント(0)
池澤夏樹『言葉の流星群』がいい池澤夏樹『言葉の流星群』(角川文庫)は、宮沢賢治の放った言葉を、ていねいに読み解いた好著です。私の蔵書で宮沢賢治に関する著書は、十数点あります。そのなかで、本書がいちばん読み応えがありました。池澤夏樹の澄んだ視点が、賢治の言葉に研磨をかけてくれています。宮沢賢治を愛する読者なら、読んでおくべきでしょう。私は黒井千次の勧めで、宮沢賢治の世界に足を踏み入れました。そして本書で、その奥深さを知りました。山本藤光2019.01.31
2019年01月31日
コメント(0)
四つ葉のクローバーのしたら、幸運をもたらすとされている四つ葉のクローバー。四つの葉に意味があったとは知りませんでした。――冨、名声、愛、健康ちなみに三つ葉は「希望」「信仰」「愛情」とされているようです。四つ葉の場合、ここにもう一つの意味を付け加えたのだろうと思っていました。全く別物だったのです。山本藤光2019.01.31
2019年01月31日
コメント(0)
橋本治さん亡くなる橋本治さんが亡くなりました。享年70歳とまだ若かったのですが。大好きな作家で「500+α」では、『これで古典がよくわかる』(ちくま文庫)を紹介させていただきました。しかし私が最も感動したのは、『窯変源氏物語』(全14巻、河出書房、初出1991)でした。本書をきっかけに、与謝野晶子や瀬戸内寂聴の『源氏物語』を読むことになりました。敷居が高かった『源氏物語』へと、やさしく手を差し伸べてくれたのが橋本治さんだったのです。ご冥福をお祈り申し上げます。山本藤光2019.01.31
2019年01月31日
コメント(0)
116:書き留める習慣――第10講義:実践する1冊の新しいノーとを買い求めましたか。何かをしているときに、やってみたいことが思い浮かんだら、すかさずノートに書き留めます。何か新しい発見をしたら、やっぱりノートに書き留めます。老齢期の人は、忘れっぽくなります。とにかく何でもいいから、書き留める習慣を身につけてください。書いておくべきことは、およそ次のような事柄です。・買いたいもの・新しい発見・読んでいる本・学んだこと・今日の天気・観たテレビ番組・気になるニュース書く習慣を身につけると、そこから新たな発見や気づきが生まれます。ぜひ試してみてください。「銀塾・知だらけの学習塾」は。本日でしばらく休載させていただきます。ここまえのご愛読ありがとうございました。山本藤光2019.01.31
2019年01月31日
コメント(0)
112cut:家族の笑顔と2人の若者――18scene:8月のチーム会議影野小枝 ビデオ製作会社打ち合わせです。監督 いいね、いいね。原作者もなかなかやってくれる。若い連中が自発的に企画を立案し、みんながそれに便乗する。チームが一丸となっていることを、バッチリと撮りたいな。助監督 トドワラ、羅臼岳も撮りたいですね。三角帆の打瀬船もほしいのですが、8月はシマエビ漁をやっていないようです。製作 仕事、日常、家族団らん。この作品は、結構幅広いので、撮りがいがあるな。監督 たくさんの教材ビデオを手掛けてきたけど、こんな風なカットを撮るのは初めてだ。中里にはよい勉強になりそうだな。助監督 家族の笑顔と、2人の若者の満足げな表情を、自然のなかでアップにします。監督 できれば花火をエンディングに使いたいな。原作者を説得できないですか? 製作 ムリだ。絶対に妥協してもらえない。監督 そうだろうな、原作者は偏屈な人らしいから。
2019年01月31日
コメント(0)
271:詩織の朝午前六時。いつものように、詩織は目を覚ます。詩織は二人の子どもと、布団で寝ている。恭二はベッドである。詩織はそっと起き上がり、リビングへと向かう。黄色いカーテンは朝日を受けて、オレンジ色に染まっている。 カーテンを開け、窓を全開にする。ひんやりとした風が入りこんできたが、刺すような冷たさはない。コーヒーを湧かし、渡り廊下を通ってホテルへ向かう。フロントには人影はない。ドアボーイが一人、ロビーにいた。「おはよう」とあいさつを交わし、北海道新聞と釧路新聞を持って自室へ戻る。 恭二は起きていた。まだ眠そうな目をしている。「おはよう」 詩織はいって、新聞を渡す。恭二も「おはよう」と返す。詩織はコーヒーを運んできて、恭二の向いに座る。お互いに忙しく、育児にも追われて、夫婦水入らずの時間は朝のこの瞬間しかない。「麗奈先生がいっていたけど、明里(あかり)は年中組では、一番みんなにやさしくしているんだって。きっと恭二に似たんだわ」「おれ、やさしいかな?」 広げた新聞越しに、恭二はいった。「やさしいわよ、とっても」「詩織、釧路市マスターズ軟式野球大会の参加募集が出ている。出場選手の平均年齢が、三十歳以上であることが条件だって」「やってみたいの?」「久しぶりで血が騒いできた。勇太と相談してみよう」「黄金のバッテリーも、おっさんになっちゃって、さびついているのと違う?」「まだ、やれるような気がする」 詩織は北大時代の、おれの勇姿は知らない。軟式野球サークルのエースとして、最下位チームを優勝に導いている。 可武威(かむい)の泣き声がした。詩織はあわてて、寝室へと向かう。可武威を抱き、明里の手を引いて、詩織は二人を子ども椅子に座らせる。「明里、可武威、おはよう」 恭二は、にこやかにいった。返事はない。まだ眠いのだろう。恭二は長女・明里の頭をなで、目尻にあった目やにを、やさしく取り除く。詩織とそっくりな、大きな目をしている。「今日は会議のあと、コウちゃんや勇太と飲む約束になっているから、夕食はいらない」 そう告げて、恭二は立ち上がる。朝の散歩の時間である。以前は詩織も一緒だったが、子どもができてからは、恭二だけが続けている。
2019年01月31日
コメント(0)
あげあしをとる人のあげあしをとるなよ。よく使われる「あげあしをとる」は、相撲や柔道の技に由来しているそうです。――相手の油断をみて逆につけこみ、これを攻める。これが「あげ足をとる」です。(『つい誰かに話したくなる雑学の本』講談社+α文庫)小兵力士のほとんどは、あげ足とりの名人です。山本藤光2019.01.30
2019年01月30日
コメント(0)
T・ウイリアムズ『欲望という名の電車』読むぞテネシ・ウイリアムズの『やけたトタン屋根の上の猫』(新潮文庫)は、若いころに読んでいます。昨日書店で『欲望という名の電車』(新潮文庫)を発見しました。思わず買ってしまいましたが、活字が小さくて拡大鏡の世話にならなければなりません。電子書籍にもなさそうなので、苦労して読むことになります。「500+α」ではシェイクスピア以外に戯曲をとりあげていません。何としてでもいれておきたい戯曲です。山本藤光2019.01.30
2019年01月30日
コメント(0)
115:夢を追いかける――第10講義:実践するテレビを観ていたら、いまの日本人に一番欠けているのは「夢」がないことだというセリフが出てきました。同感です。みんな充足され過ぎていて、「夢」など入りこむ余地がないのでしょう。または困窮していて、夢とは無縁の世界にいる人も多いと思います。夢は中間層に与えられた、特権なのかもしれません。ちなみに政治家などの社会的地位の高い人にあるのは、「欲望」です。ちっぽけな「いま」を謳歌することだけに夢中な学生期の若者。とうに「夢」なる存在すら忘れ去った老齢期の人。どこにも、「夢」のカケラすら認められません。夢って、45度の角度で遠くを見ると、おぼろげに存在しています。足元には、絶対に転がっていません。毎日コツコツと努力しなければ、到達できないのが夢なのです。昔は確かに、誰もが「夢」を持っていました。日常の先にある世界を、思い描くことをしていました。若者から夢を引き出してあげるのは、上司や両親、年配者の役割かもしれません。45度に目線を上げ未来を見つめる方法を、多くの人に教えてあげていただきたいと思います。それが老齢期の人の義務です。だから本人にも、夢がなければならないのです。あなたの夢は、何ですか?
2019年01月30日
コメント(0)
111cut:子どもたちがうれしそうだった――18scene:8月のチーム会議影野小枝 テントのなかです。寝袋に入って、太田さんと寺沢さんが語り合っています。太田 大成功だったな。子どもたちがうれしそうだった。寺沢 ぼくたちの企画が、受け入れられたということですね。太田 仕事バリバリ、家でゴロゴロ。これでは対(つい)がつながっていない。日常を充実させなければ、仕事も光り輝かない。寺沢 おまえはずっと内勤希望だったけど、最近楽しそうじゃないか?太田 やっとわかった。営業の世界って、自分自身で創り上げると、とてつもなく楽しいものだ。寺沢 ずっと孤独を感じていたけど、漆原さんがきてから、1人ではないと思えるようになった。太田もいるし、石川さんもいる。そして、いつも伴走してくれている漆原さんがいる。毎日が楽しいし、前へ前へと進んでいる感じがする。太田 おまえは成長したよ。寺沢 おまえにはいわれたくない。太田 真冬しか知らない寒暖計が、春を感じている。少しずつ数字が上がり、おれたちの気分も高揚してきた。寺沢 ポエムだな、太田は本を読みはじめてから、いうことが違ってきたぞ。太田 明日は早い。そろそろ寝ようか。寺沢 あの子たち、「ありがとう」っていってくれたよな。いい言葉だな、「ありがとう」って。
2019年01月30日
コメント(0)
270:仲間入り「みなさんの仲間入りをさせていただき、こんな楽しい塾にも参加できて光栄です」 みんなで簡単な朝食を摂っているとき、樋口正直は笑顔でお礼を述べた。「きみたち夫妻も、何かの講師になってもらわなければならない」 幸史郎はコーヒーで、口のなかのトーストを流しこんで告げた。「うちは数学の先生と幼稚園の先生ですから、やさしい数の研究あたりにさせていただきます」「樋口さんは、パソコンに知識はないの?」 勇太は唐突に質問した。「多少はありますが、自慢できるほどではありません」「おれ、おふくろの味の研究をしているんだけど、写真の整理をしたり、発信したりするのには、パソコンが必要だと気がついた」「パソコンの知識よりも、前回の講義にあったおいしいたくあんの漬け方、のてんまつを聞かせてくれない?」 幸史郎は笑いながら、勇太につめ寄る。「少し無理があったみたいだ。標茶は日照時間が少ないので、軒に吊したダイコンはちっとも水分が抜けなかった」「パソコンよりも、そっちの成功の方が先決だな」 恭二も笑いながら、混ぜっ返す。麗奈は愉快そうに笑っている。そしていった。「立派なお仕事をなさっている方たちばかりなのに、ここでは幼稚園の教室みたいになるんですね」 恭二は、そのとおりだと思った。そして質問した。「樋口さんみたいに、標茶町に移住したいという人を増やすには、どうしたらいいかな?」「全国の大学へ通っている人たちが、友だちに標茶の魅力を数多く語ることでしょうね」 正直はずっと考えていたことのように、即答してみせた。「うちの旦那のいうとおりで、まずは興味を持ってきてもらうこと。そのとき、暖かいおもてなしと、町の活気を見れば、住んでみたいという気持ちになるわ。ホテルに移住者求むなんて、パンフがあれば、なおいいかもしれません」「それグッドアイデアだね、さっそく、そんなパンフレットを作ってみよう」 恭二もすぐに応じた。 幸史郎は、人財資産として、ここにいる全員の名前を書いた。そして宮瀬哲伸と昭子の名前も書いている。おれが今日あるのは、これらの人たちのお陰だと心底思う。
2019年01月30日
コメント(0)
「教養」と「古典」に細分化しよう下記のリストは「山本藤光の文庫で読む500+α」の4つめのジャンルです。満杯になったので、「教養」と「古典」に細分化しようと作業を始めました。さらに停滞している「SF・ミステリー」という新ジャンルつくりも道半ばです。書評は600作品に向けて増殖中です。できるだけ早いうちに、すっきりとさせたいと思っています。【知・教養・古典125+α・山本藤光の文庫で読む】 ……01~10…………野中郁次郎・紺野登:知識経営のすすめ(ちくま新書) 花村太郎:知的トレーニングの技術(ちくま学芸文庫西堀栄三郎:石橋を叩けば渡れない(生産性出版) モーム:世界文学読書案内(岩波文庫)丸谷才一:思考のレッスン(文春文庫) 宮本常一:忘れられた日本人(岩波文庫 神坂次郎:縛られた巨人・南方熊楠の生涯(新潮文庫)ジャック・ウェルチ:わが経営(上下巻、日経ビジネス人文庫)イザベラ・バード:日本奥地紀行(平凡社ライブラリー)与謝野晶子:全訳・源氏物語(全5巻、角川文庫) ……11~20…………梅棹忠夫:知的生産の技術(岩波新書)渋沢栄一:論語と算盤(角川ソフィア文庫)瀬戸内寂聴:奇縁まんだら(日経文芸文庫)ドナルド・キーン:ドナルド・キーン自伝(中公文庫)黒岩比佐子:音のない記憶(角川ソフィア文庫)中西進:日本人の忘れもの(全3巻、ウェッジ文庫)宇野千代:私の文学的回想記(中公文庫)P.F.ドラッカー:プロフェッショナルの条件(ダイヤモンド社)洪自誠:菜根譚(岩波文庫)山崎光夫:ドンネルといわれた男・北里柴三郎(上下巻、中公文庫)……21~30…………橋本治:これで古典がよくわかる(ちくま文正岡子規:笑う子規(ちくま文庫)須賀敦子:ヴェネツィアの宿(文春文庫)小林秀雄:無常という事(新潮文庫)川喜田二郎:発想法・創造性開発のために(中公新書 早川良一郎:散歩が仕事(文春文庫 阿刀田高:楽しい古事記(角川文庫) 松下竜一:豆腐屋の四季(講談社文芸文庫)赤瀬川原平:新解さんの謎(文春文庫)郡司利男:国語笑字典(カッパブックス)……31~40…………菅野昭正:書物の達人・丸谷才一(集英社新書)小林秀雄・岡潔:人間の建設(新潮文庫)福沢諭吉:学問のすすめ(角川ソフィア文庫)九鬼周造:いきの構造(岩波文庫)岡潔:春宵十話(光文社文庫)山崎朋子:サンダカン八番娼館(文春文庫)養老孟司:バカの壁(新潮新書)斎藤孝:読書力(岩波新書)柳田国男:遠野物語(河出文庫。佐藤誠輔・口語訳)山村修:遅読のすすめ(ちくま文庫)……41~50…………江藤淳:成熟と喪失・〈母〉の崩壊(講談社文芸文庫)干刈あがた訳:堤中納言物語(講談社「21世紀少年少女古典文学館7)新渡戸稲造:武士道(PHP文庫)河合隼雄:こころの処方箋(新潮文庫)松尾芭蕉:おくのほそ道(角川ソフィア文庫)花田清輝:復興期の精神(講談社文芸文庫)串田孫一:ギリシア神話(ちくま文庫)丸山真男:日本の思想(岩波新書)S・R・コヴィー:七つの習慣(キングベアー出版)石川啄木:一握の砂(新潮文庫)……51~60…………秋山利輝:丁稚のすすめ(幻冬舎)佐野眞一:宮本常一が見た日本(ちくま文庫)谷崎潤一郎:陰翳礼讃 (中公文庫)外山滋比古:思考の整理学(ちくま文庫)稲田浩二・稲田和子:日本昔話100選(講談社+α文庫)小山鉄郎:白川静さんに学ぶ・漢字は楽しい(新潮文庫)高野登:サービスを超える瞬間(かんき出版)荻野文子:ヘタな人生論より徒然草(河出文庫)佐木隆三:復讐するは我にあり(文春文庫)五木寛之:私訳・歎異抄(PHP文庫)……61~70…………エリヤフ・ゴールドラット:ザ・ゴール(ダイヤモンド社)D.カーネギー:道は開ける(角川文庫)木村秋則:リンゴが教えてくれたこと(日経ビジネス人文庫)マキアヴエツリ:君主論(岩波文庫)出久根達郎:作家の値段(講談社文庫)斉須政雄:調理場という戦場(幻冬舎文庫)小関智弘:仕事が人をつくる(岩波新書)谷沢永一:紙つぶて・全(文春文庫)坪内祐三:一九七二(文春文庫)三木卓:私の方丈記(河出書房新社)……71~80…………斎藤美奈子:文章読本さん江(ちくま文庫)大泉康雄:あさま山荘銃撃戦の深層(上下巻、講談社文庫)竹田恒泰:日本はなぜ世界でいちばん人気があるのか(PHP新書)池内紀:すごいトシヨリBOOK(毎日新聞社)矢野健太郎:数学物語(角川ソフィア文庫)W・A・オールコット:知的人生案内(知的生きかた文庫)松下幸之助:夢を育てる・私の履歴書(日経文芸文庫)大塚ひかり:竹取物語・ひかりナビで読む(文春文庫)立花隆:サル学の現在(上下巻、文春文庫)池田晶子:14歳からの哲学(トランスビュー)……81~90…………常盤文克:知と経営(日経ビジネス人文庫)内海隆一郎・谷口ジロ画:欅の木(小学館文庫)鶴見俊輔:思い出袋(岩波新書)田辺聖子:今昔まんだら(角川文庫)ボブ・シャーウィン:ICHIRO(朝日文庫)田坂広志:知性を磨く(光文社新書)俵万智:サラダ記念日(河出文庫)ダニエル・ゴールマン:EQ・こころの知能指数(講談社α文庫)朝日新聞学芸部編:読みなおす一冊(朝日選書)畑村洋太郎:失敗学のすすめ(講談社文庫)……91~100…………後藤武士:読むだけですっきりわかる日本史(宝島文庫)アドラー:人生の意味の心理学(100分 de 名著)本多秋五:物語戦後文学史(上中下巻、岩波現代文庫)桐光学園+ちくまプリマー新書編集部・編『何のために「学ぶ」のか・中学生からの大学講義1』(ちくまプリマー新書)ピート・デイヴィス:四千万人を殺した戦慄のインフルエンザの正体を追う(文春文庫)立川談四楼:声に出して笑える日本語(知恵の森文庫)岩崎夏海:もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら(新潮文庫)今村聡・海堂尊:医療防衛(角川oneテーマ21新書)山岸淳子:ドラッカーとオーケストラ組織論(PHP新書)名指導で読むなつかしの高校国語(ちくま学芸文庫)……101~110…………小谷野敦:もてない男・恋愛論を超えて(ちくま新書)東海林さだお:ショージ君の青春記(文春文庫)ケント・ギルバート:日本人だけが知らない 世界から尊敬される日本人(SB新書)松浦弥太郎:松浦弥太郎の仕事術(朝日文庫)川北義則:いまはダメでも、きっとうまくいく(PHP文庫)三角寛:山窩奇談(河出文庫)小林信彦:現代〈死語〉ノート(岩波新書)北嶋廣敏:右と左の面白ネタ事典(PHP文庫)三田誠広:書く前に読もう超明解文学史(集英社文庫)服部真澄:骨董市で家を買う(中公文庫)
2019年01月30日
コメント(0)
あんちょこ教科書の内容を解説した本を「虎の巻」とか「あんちょこ」といいます。2つの言葉の語源をご存知ですか。「虎の巻」は、中国の兵法書「六韜(リクトウ)」(秘伝、秘事を記した書)のうちのひとつである「虎韜」から。(日本語語源辞典)「あんちょこ」は学生の俗語で、「手間をかけない意味の「安直」から転じたもの。(日本語語源辞典)「虎の巻」も中国伝来の言葉だったのですね。山本藤光2018.04.09
2019年01月29日
コメント(0)
269:四つの知的資産 再開された「知だらけの学習塾」会場には、樋口夫妻の顔もあった。一通り自己紹介をすませると、樋口正直は目を丸くしていった。「標茶町長、観光推進局長に酪農推進局長、それに町立病院の副院長と高校の教頭先生。とんでもないグループに入れていただいて、恐縮しています」樋口正直は声をつまらせながら、感嘆の声を上げた。「道外からの移住者第一号なんだから、おれたちにとっては大切なモニターなのさ」 恭二は笑いながら、告げた。再開した「知だらけの学習塾」は、ふたたび第三土曜日の朝に、開催されることが確認された。 「では、詩織先生に講義をしてもらいます。本日は私たち誰もが持っている、知的資産の話です」 恭二が告げ、詩織が立ち上がった。ホワイトボードに、知識資産、技能資産、経験資産、人財資産と書いた。そして詩織の講義がはじまった。「私たちには、分け隔てなく四つの知的資産があります。それがホワイトボードに書いた四つです。知識資産はこの知識があったから、今があると思えるもののすべてです。まずは思いつくまま書いてみてください。たとえば、コウちゃんならアイヌ語とか。勇太なら酪農などを書くことになります」 みんな悩んでいて、ペンは走っていない。恭二が立ち上がる。「兄貴だったら株とか、彩乃さんなら絵画の知識とか、長島先生と可穂の場合は、日本昔話の知識とか、何でも思いつくまま書いてみてください」 みんなのペンが走り出した。一呼吸おいて、詩織は続ける。「技能資産はこの特技があったから、今役に立っていると思われるもののすべてを、書いてください。折り紙や早寝早起きなども、ありです」「教員の免許も入れるのかい?」「もちろんです。長島先生の飯の種ですから」「経験資産は、あの経験をしたから今がある、と思うものを書いてください。恭二の場合は、愛する私と札幌羊ヶ丘に行ったことなどです。あのお陰で、現在の多和平があります」「愛するっていうのは、余計だよ」 恭二は照れながらいった。みんな笑っている。「最後の人財資産は、あの人のお陰で今がある、と思う人を書き出していただきます。私は人間力マネジメントの山本藤光先生にお会いしたことはありませんが、人財資産に入れています。本の著者でも構いませんし、亡くなっている方でも構いません」 そして詩織は結んだ。「私たちは四つの資産を磨き、増やしてゆかなければなりません。四つの知的資産は、何かをなしとげようとするときに、不可欠な財産なのです」
2019年01月29日
コメント(0)
110cut:綿密な計画をたてている ――18scene:8月のチーム会議影野小枝 野付半島のキャンプ場・尾岱沼(おだいとう)からのレポートです。漆原さん一家をはじめ全メンバーの家族が参加しています。乾さんとエッちゃんの姿もあります。すでにバーベキューの準備も整っています。漆原 まずはこのキャンプを企画してくれた、太田と寺沢にお礼をいいたい。きみたちのお陰で、家族サービスをあれこれ悩まずに済んだ。ありがとう。それからご主人を支えてくれている奥さんと子どもたちにも、心からありがとうと申し上げたい。そして何よりも本日の主役は、乾と奥さんの悦子さんだ。2人の結婚を祝し、あわせてご参加いただいているみなさんのご健康を祈念して、乾杯しよう。(乾杯の大合唱)太田 本日の食材はエッちゃんが手配してくれました。焼くのはぼくたちがやりますので、エッちゃんは食べることに専念してください。ではもう一度、乾さんとエッちゃんの結婚をお祝いして、乾杯したいと思います。おめでとうございます、乾杯。 影野小枝 悦子さん、うれしそうです。お子さんたち、とっても楽しそうです。ジンギスカンは漆原さんの差し入れ。寺沢さんの実家から届いた無農薬野菜もあります。魚介類は悦子さんが、手配してくれました。カマドを作り、マキを拾い集めてきたのは、子どもたちと山崎さん、熊谷さん、田中さんです。寺沢 食べながら聞いてください。食事のあとは、キャンプファイヤーと太田先生のギター伴奏で合唱会を計画しています。それが終わったら、花火大会が待っています。(子どもたちから歓声)石川 結構、綿密な計画を立てているな。仕事もこうあってほしいものだ。寺沢 石川さんには、いわれたくないですよ。(笑)田中 飯ゴウが吹き上がりました。(子どもたちに向かって)おいしいご飯だぞ。漆原 それにしても、そんなにたくさんの飯ゴウをどこから手に入れてきた? 田中 レンタルショップです。奥さんと子ども以外は、何でも揃っています。山之内 あれが北斗七星だよ。ほら、ヒシャクの形をしているだろう。子ども ママ、おいしいね。毎日キャンプをしようよ。(爆笑)太田 明日は地引網を体験します。残念ながらこの時期、北海シマエビの漁はしていませんが、漁港の直売所で買うことができます。それから焚き火を燃やして、海水浴もやります。(子どもたちから歓声)影野小枝 いいですね、アットホームな感じで。太田さんと寺沢さんがキャンプの企画を立てて、全員参加でそれが実現しました。2人とも張り切っています。
2019年01月29日
コメント(0)
114:ああなってはいけない――第10講義:実践するこのままではいけない。もっと充実した毎日にしよう。そう思ったら、それを実現させるための「儀式」または「きっかけ」が必要になります。塾長の場合は尊敬していた先輩が定年し、街角でばったりと逢ったことが「一念発起」したきっかけでした。その人はまるで空気の抜けた風船状態でした。「ああなってはいけない」と痛切に感じた塾長は、日常磨きに取りかかりました。 一番手っ取り早い日常磨きは、読書です。当時は営業企画部長として体を張っていました。あまり時間もなかったので、それしか思いつかなかったのです。ただ単に「読書をするぞ」では、真剣さが欠落しています。塾長は「1週間に1冊」という目標を設定したのです。 そして「ウイークリー・ダイヤリー」を購入しました。これが「儀式」です。ここに読書にまつわることを記入し始めたわけです。「買いたい本」「読みたい本」「読んだ本」「作者のこと」など、何でも書き留めました。そして新聞や雑誌の切り抜きは、ここに貼り付けました。この行為も前記した「儀式」にあたります。
2019年01月29日
コメント(0)
芦沢央『悪いものが、来ませんように』ゲット芦沢央『今だけのあの子』(創元推理文庫)を昨年読みました。文章のリズムが、私好みの作家でした。一週間前に『悪いものが、来ませんように』(角川文庫)の評判を聞き、ブックオフで探しました。どれも重版ばかりでした。本は極力初版を買うようにしています。誤植を見つける楽しみがあるからです。しかもアマゾンで高値出品できます。そんなわけで、近所の小さな書店を訪れました。何と初版第1刷があったのです。さっそく「もうすぐ読むぞ、待機本」の棚に収納しました。山本藤光2019.01.29
2019年01月29日
コメント(0)
へそくり「へそくり」の語源説はいろいろあります。私が採用したいのは、次の解釈です。漢字で表記すると、「臍繰り」ではなく「綜麻(へそ)繰り」と書きます。――「綜」は機糸をかける道具で、それにかけた麻糸を操って糸巻きにすることを「綜麻(へそ)繰り」といったのです。町人の女房たちが内職に「綜麻繰り」をして貯めたお金を「へそくり」といったのです。(『目からウロコ!日本語がとことんわかる本』講談社+α文庫)「臍」にこだわった例としては、臍の上に腹巻きをして、そこに金を隠したなどの説があります。山本藤光2019.01.29
2019年01月29日
コメント(0)
貴景勝大関見送り?相撲が終わりました。貴景勝の大関昇進は、見送りになりました。条件の3場所で33勝に達しているのに、協会はもう一場所見てからとしました。最近の横綱、大関のふがいなさは、目を覆いたくなります。さらに怪我人が続出しているのに、協会はなんの対策も講じていません。横綱、大関が精勤できるような仕掛も含めて、早急に手をつけるべきでしょう。ここらあたりも、きちんとした説明が必要です。あの理事長は相撲人気にあぐらをかいて、なにもせず、なんの責任もとらない人なのですね。上位がさんたんたる状況にもかかわらず、なぜ貴景勝の大関昇進を見送ったのか。怪我のない、強い関取が必要な時なのに、協会の石頭度が透けて見えます。山本藤光2019.01.29
2019年01月29日
コメント(0)
バラスト「バラスト」という言葉をご存知ですか? Ballastと書きます。私が大切にしている言葉であり、晩年の人生訓でもあります。大辞林(三省堂)から意味を引用してみます。① 船の安定をよくするために船底に積む鉄塊や砂利。また,二重底内のタンクに注入する水・油など。脚荷(あしに)。底荷。底積み。軽荷(かるに)。 ② 潜水艦の浮沈や気球の昇降のために積み込む水や砂袋などの錘(おもり)。 ③ 道路・鉄道線路にしく小石・砂礫(されき)。バラス。「バラスト」は使用する材料こそ違え、いたるところで活躍しています。私は「人間力」のなかで必要不可欠なのが、「心のバラスト」だと考えています。人間力を安定させるために、私は胆力(バラスト)を鍛えています。それが読書であり、優れた人との交わりです。つまり、心の安定・健全性を保つために、本や優れた人の知恵というバラストを蓄積しているわけです。すぐにカッとする人は、心のバラストが不足しています。マイナス思考する人は脳のバラストが不安定になっています。人の迷惑を考えらレ亡い人は、感性のバラストが不十分なのです。組織のなかにも、バラストが必要です。それがカルチャー(社風)という存在です。山本藤光2017.12.04
2019年01月28日
コメント(0)
268:樋口家の新天地樋口正直・麗奈夫妻が、標茶町に転居してから一ヶ月が過ぎた。正直は「知だらけの学習塾」を経営し、麗奈はおおぞら幼稚園の先生になっている。詩織は、二人を自宅に招いた。若い夫婦二人では、何かと心細いだろうと思ったからである。コーヒーを運んできて、詩織は「もう落ち着いたの?」と聞いた。「詩織さんのお陰で、仕事にもありつけましたし、楽しく暮らしています」麗奈はおいしそうに、コーヒーを口にしてから答えた。「何かあったら、遠慮しないで相談にきてね」「ありがとうございます」「来週の土曜日ね、私たちがやっている『知だらけの学習塾』の日なんだけど、顔を出してみない。五組の夫婦が、交互に講師になってレクチャーし合う集まりなんだ。来週は私たちが講師になる日なの。うちの研究テーマは、人間力マネジメント」「五組の夫婦が、それぞれ何か研究テーマを持っているんですか?」 驚いた顔をして、正直が質問した。「そう、町長夫妻は、日本語の研究をしているの」「町長も参加しているんですか?」「町長とは高校時代の、同級生なの。子育てで忙しくて、しばらく集っていなかったの。久しぶりで来週再開することになっているの」「ぜひ、参加させてください」 麗奈は身を乗り出して、頭を下げた。
2019年01月28日
コメント(0)
109cut:良書を読む、優れた人と交わる――18scene:8月のチーム会議影野小枝 漆原さんにインタビューしてみます。いよいよ、部下の日常生活を磨く段階ですね。漆原さんは、対(つい)をつなぐことの大切さを強調していましたよね。漆原 多くのサラリーマンは、日常の設計をしないままでいます。充実した日常を持っている人は、ほとんどの場合仕事も生き生きとしています。定年後も、空気の抜けた風船みたいにはなりません。影野小枝 日常を磨く。具体的には、どうすることなのですか?漆原 私はよい本をたくさん読む。優れた人と交わることだと思っています。優れた人とは、社内の人のことではありません。社外の人が対象です。影野小枝 なぜ社内ではダメなのですか? 漆原 社内の場合は、どうしても甘えが入ります。社外の場合は、ギブ・アンド・テイクのバランスが欠落したら、その時点で門戸を閉ざされてしまいます。お互いに有用な関係でなければ、相手にしてもらえないでしょう。影野小枝 それで漆原さんは、どこから手をつけるのですか? 漆原 何かを成し遂げようとするなら、まず自らの「人生設計」を作成しなければなりません。人生設計とは、志を明確にすることです。社内価値を高めるために、何かの資格をとるでもよし。定年後に自立できるよう、いまから周到な準備をするでもよい。とにかく、これからの人生をどう過ごすのかを、明確にしておくことが大切です。影野小枝 志を明確にする、ですか? 漆原 受験時代に「○○大学合格」などと、張り紙をした記憶があるでしょう。あれをやる必要があります。人間の意志は、信じられないほど弱い。恥ずかしくても、自身と周囲に向けて高らかに宣言をすることです。今日の夏休みの宿題で、みんなはそれを発表したわけです。
2019年01月28日
コメント(0)
113:読書すすめ「小さな研究」か「ライフワーク」は、決まりましたか? これが決まっていなければ、再び平凡な日常へ戻らざるを得ません。 老齢期のみなさんは、毎日を愉快にたくましく過ごさなければなりません。ボケ防止のためにも、「考える」ことを継続してください。本文では「知のステップアップ」について、執拗に語らせていただきました。誰もが「集める」「整理する」までは、日常的に実践しています。本を買って(集める)、それを本棚に収納する(整理する)という行為のことです。しかしここまでなら、知的な活動とはいえません。買い求めた本を読む、は立派な知的な活動です。でもその段階までなら、社会的な貢献にはなっていません。読んだ本について、発信するレベルになって、初めて誰かの役に立つ活動の域に達するのです。当面は自分の読んだ本の、ランキング作りなどから始めてみてください。それらの本の書評が新聞や雑誌に掲載されていたら、コピーを取ります。あなたの書いた書評(感想文でもよし)と第三者の書評があれば、立派な1冊の本の案内になります。
2019年01月28日
コメント(0)
蔵書リストの見本書棚とパソコンの蔵書リストをどう連動させているのか。角田光代のページで紹介してみます。角田光代(かくた・みつよ)■八日目の蝉(中公文庫61-3解説:池澤夏樹、初出2007)→BR1-2――山本藤光の文庫で読む500+α掲載――NHK:私の1冊・感動がとまらない1冊(学研)――鴻巣友季子:本の寄り道(河出書房新社)――豊崎由美:正直書評(Gakken)――王様のブランチが恋した本(KKベストセラーズ)――松田哲夫:王様のブランチのブックガイド200(小学館新書)■幸福な遊戯(角川文庫39-1解説:永江朗、海燕新人文学賞)→W4-3作品名の下の傍線部分は、その作品が紹介されている著作名です。私自身も書評を発信していますが、他の書評を読んでおく必要があるからです。著作名の末尾の矢印は、どの書棚に在庫しているかを示しています。「BR」は書棚の名前。その列の1番の書棚の2段目にあるのがわかります。『幸福な遊戯』の書棚は「W」になっています。私の場合は、あいうえお順には並べてありません。読んだら空いている書棚にそのままおきます。署名の頭にある■は文庫、単行本は〇、新書は◎としています。山本藤光2019.01.28
2019年01月28日
コメント(0)
なだれ豪雪やホワイトアウトがニュースになっています。これらの雪は春になると、「なだれ」となって再び危害を及ぼす可能性があります。ところで「なだれ」は「雪崩」と書きますが、語源の意味は雪崩とは無縁です。正式には「長垂れ」から出た言葉とされています。ほかには、「な」は国、土地、土壌を表し、「たれ」は垂れの意で、土地が崩れるという意味がある。斜めに傾く意から、「傾(なだれ)」とも書く。(『語源』青春出版社文庫)つまり「土砂崩れ」が、本来の意味だったのですね。山本藤光2019.01.28
2019年01月28日
コメント(0)
大坂なおみ世界一大坂なおみ選手の全豪テニス優勝は、日本中を感動の渦に巻き込みました。持ち前のパワーに加えて、今回はメンタル面の強さが際立っていたと思います。これで世界一の女子テニスプレーヤーの称号も獲得します。精神って、劇的に変えられるものなんだ、と驚いてています。彼女がメンタル強化読本を出してくれたら、ぜひ読んでみたいと思います。誇らしい気持ちにしてもらえた一日でした。山本藤光2019.01.28
2019年01月28日
コメント(0)
ガラケー友人から「まだガラケーを使ってる」とばかにされました。以前はスマホでしたが、使いこなせなくて戻した携帯です。「ガラケー」と蔑まれた私の携帯。ところで「ガラ」は、ガラクタの意味なのだろうか。調べてみました。――日本独自の進化を遂げた日本製の携帯電話を、他の島との接触が無かったために独自の進化を遂げたガラパゴス諸島の生物となぞらえた用語。ガラケーの意味を知らなかったのは、私だけなのでしょうか。山本藤光2018.02.15
2019年01月27日
コメント(0)
267:道外移住者第一号桑原課長はすぐに、役場の車で駆けつけてきた。フロントにいた詩織を認めて、桑原は低い物腰であいさつをした。詩織は歩み寄って、樋口夫妻を紹介する。「これから町営住宅へ、ご案内させていただきます」 桑原は二人を、町営住宅に案内した。玄関フードの鍵を開け、玄関の鍵も開ける。「玄関が二重になっているんだ」麗奈は、独り言のようにつぶやいた。「家のなかに、外気を入れないための工夫です」 桑原が説明する。部屋へ入ると、二LDKの間取りであった。桑原はリビングの窓を開けた。「あなた、すごく広い庭があるわ」「これならばっちり、家庭菜園ができるし、念願のワンちゃんも飼える」「移住者には、ここを無償でお貸しすることになっています」「家賃はいらないんですか?」桑原の説明に、麗奈は上ずった声を発した。「こっちが町営住宅の入居契約書で、こちらは『知だらけの学習塾』の貸与契約書になります。引っ越しはいつごろをお考えですか?」「来月からお願いできますか? それと、家内は幼稚園の先生の資格を持っています。空きかあったら、ぜひご紹介いただきたいのですが」「かしこまりました。調べておきます。申し遅れましたが。何か相談があったら、いつでもご連絡ください」 桑原は、樋口正直に名刺を渡した。道外からの移住者第一号。桑原は胸のなかで、そうつぶやいている。
2019年01月27日
コメント(0)
108cut:夏休みの宿題を考えてもらう――18scene:8月のチーム会議影野小枝 8月会議の続きです。漆原 これから、夏休みの宿題を考えてもらう。本を読むのでもいい。模型飛行機を作るのでも構わない。それをきっかけに、山崎の英会話のように、それぞれのライフワークを見出してもらいたい。これからの時代、営業の経験だけでは心もとないからな。山崎 自分自身を磨くわけですね。漆原 私から宣言したい。私は『人間系ナレッジマネジメント』の勉強をする。そして、『営業ナレッジを結集せよ』という本を出版したい。太田 出版までしちゃうわけですか? ゴルフでシングル・プレイヤーを目指すのはダメですか?漆原 悪くはないけど、それは社会性がないのでライフワークとはいえない。ライフワークは社会に貢献できる可能性が、あるものでなければならない。ゴルフのレッスンプロを目指すのなら、それでいいのだけど。田中 ムリムリ。別のライフワークを考えなさいって。山之内 私は、コンピュータのシステム・ソフトを勉強します。これからはITの時代ですから。寺沢 私は乾さんみたいに、自分のホームページを作ります。そこでネット・ショップを経営したい。断っておきますが、エッチなものじゃないです。売るのは、実家の無農薬野菜ですので。石川 それはいいな。私は『霧の事典』です。せっかく釧路に住んでいますし、霧にまつわる話を徹底的に集めてみようと考えていました。熊谷 霧の摩周湖、夜霧よ今夜もありがとう……うん、おもしろそうですね。私は絵本を書きます。いまでも子供たちのために、手製の絵本を作っています。幸いにして評判がいいので……。漆原 結構出てくるものだな。田中は何だ? 田中 ぼくですか、リトルリーグの監督かな。プロ野球選手のタマゴを育ててみたい。これなら仕事と両立できるし、少ないながら社会貢献しています。太田 ギターの腕を磨き、将来はギター教室を開きます。漆原 それはいいね。ところで、乾は?乾 実は梶山悦子、エッちゃんのことですが……入籍しまして、彼女は例の屋台村に店を出すことになりました。私の夏休みはその準備で……。全員 おめでとう。 影野小枝 乾さん、おめでとうございます。夏休みの宿題から、ライフワークを考えさせる。いい試みです。仕事以外に夢中になれる何か。一生涯楽しみながら続けられる、テーマを見つけることは大切ですよね。乾さんの場合は、悦子さんとの伴走がライフワークになりそうですね。
2019年01月27日
コメント(0)
112:実践する――第10講義:実践する「銀塾・知だらけの学習塾」は、いよいよ最終講義になります。本日から何回かに分けて、知的日常をいかに実践するかに言及したいと思います。知的な日常を創出するために、最初に用意しなければならないのは1冊の大学ノートです。これは知的な日常のベースキャンプとなるものです。まず最初のページの左には「知的な日常」、右には「それ以外のもの」と見出しをつけてください。ここからは「実践するぞ篇s」ですので、ハードルを少し下げて解説します。「知的な日常」は、次の項目から選んで、所要時間を記入してください。◎知的な日常リスト読書教育番組鑑賞散歩ショッピング執筆パソコン・スマホ作業趣味小さな研究ライフワーク部屋の模様替え語らい(家族も含む)◎それ以外のもの睡眠食事バラエティ番組鑑賞家事入浴体のケア昼寝このリスト以外にも、いろいろあると思います。大切なのは、2つを12時間ずつに区分けすることなのです。
2019年01月27日
コメント(0)
『渋澤龍彦書評集成』がいい『渋澤龍彦書評集成』(河出文庫)が書店の新刊書棚にまだあるのを見て、紹介したくなりました。実に多岐にわたった書評が満載です。私の読書ナビ本として重宝しています。澁澤龍彦は『高丘親王航海記』(文春文庫)を推薦作にしています。本当は『渋澤龍彦書評集成』の方がインパクトは強かったのですが、一般ウケしないと判断しました。書店へ行ったら、ぜひ書棚をのぞいてください。山本藤光2019.01.27
2019年01月27日
コメント(0)
スミレスミレに関する素敵な文章があります。岡潔が書いたものです。岡潔は「山本藤光の文庫で読む500+α」では、『春宵十話』(光文社文庫)と小林秀雄との共著『人間の建設』(新潮文庫)を紹介しています。岡潔のスミレについての文章は、次のとおりです。――春の野のスミレは、ただスミレのように咲けばよい。(『日本のこころ』講談社)この言葉は、山崎光夫『名人伝・長く強く生きる』(講談社+α文庫)で知りました。しみじみとした投げやりではない、心にしみる文章です。山崎光夫のこの著作は、目の前の書棚においてあります。時々、思い出したようにくくる一冊です。山本藤光2019.01.27
2019年01月27日
コメント(0)
『銀塾・知だらけの学習塾』は最終講義に『銀塾・知だらけの学習塾』は、シルバー世代に向けた連載です。昨日111回の連載を終え、いよいよ最終講義を書き始めました。企業人向けには『仕事と日常を磨く人間力マネジメント』(医薬経済社)という著作を書いています。この連載は仕事をしなくなった、いわゆる毎日が日曜日の人に向けたものです。1日24時間を、「知的な時間」と「それ以外」に区分けすることから出発しました。最終講義は「実践するぞ」というテーマで、語りかけてみたいと思います。こんなにワクワクする連載は久しぶりです。山本藤光2019.01.27
2019年01月27日
コメント(0)
毬「毬」を何と読みますか。2つの読み方があります。一つは誰もがわかると思います。「まり」ですよね。もう一つは、答えられる人が少ないと思います。栗の外皮のいがいがを何と書きますか。「いが」で辞書を引いてみてください。「毬」と出てきます。触ればいたいのですが、きれいな文字があてがわれています。山本藤光2018.06.27
2019年01月26日
コメント(0)
266:樋口夫妻の再訪 樋口正直・麗奈夫妻は、約束どおりに標茶を再訪した。駅前通りの「知だらけの学習塾」の一つに、ちょうど空きができていた。正直は、ここで数学塾を経営したいと思った。麗奈にその思いを伝えると、「いいわよ」と快活に答えた。二人は塾経営の希望を、詩織に告げた。詩織はすぐに恭二に電話を入れ、空き教室賃貸の許可を得た。「この町に、根を下ろすことを決めました」 返事を聞いた正直は、きっぱりとした口調で、目を丸くして宣言した。それを受けて詩織は、もう一度恭二に電話をした。人財開発課の桑原課長を、寄越すとのことだった。樋口夫妻は、藤野温泉ホテル・アネックスのロビーで迎えを待っている。「住まいを見て納得できたら、すぐに引っ越すことにしよう」「冬は毎晩、氷点下二十度以下ですって。それだけが心配」「北海道の人は、冬はランニングシャツだけで過ごすって聞いている」「ストーブをがんがん燃やすんのよね」「ぼくは多和平の絶景を、自分のものにしたいと思った。地平線を三百六十度に渡って見られるなんて、想像を絶する景色だった。それが実現すると思うと、胸が高鳴る」「わたしはホテルの思いやりに、この町の暖かさを感じたわ。田舎暮らしには、ずっとあこがれていたの」 二人はロビーで、迎えの到着を待った。フロントからは、詩織がやさしい眼差しで若い二人を見ていた。忘れ物を届ける。当たり前の行為に、こんなに感激してくれるなんて。詩織は商売の原点を、改めて感じている。
2019年01月26日
コメント(0)
107cut:ラ行の言い訳小僧が消えた――18scene:8月のチーム会議影野小枝 帯広市民会館の一室です。8月のチーム会議で、メンバーが勢ぞろいしています。漆原 7月もよくがんばってくれた。9200万円と、1億にはあと一歩だった。(大歓声)特に帯広地区の貢献が大きかった。きょうは敬意をこめて、チーム会議を帯広開催とさせてもらった。山之内 いよいよ、頂上が見えてきましたね。帯広地区は、全員が1000万円プレイヤーの仲間入りをしました。太田が最終日まで飛び回って、滑りこみでしたが……。(拍手)石川 釧路地区は、熊谷と寺沢があと一歩のところです。8月は夏休みもあり、難しいのですが、9月には帯広のように1000万円超のそろい踏みの予定です。乾 札医大関連の、情報をお知らせします。今月のローテーションは……。影野小枝 大学病院の情報交換です。乾さんや田中さんが、直接、大学病院担当者から情報を入手したようです。新たにチーム内の病院へ赴任する医師と、ローテーションでいなくなる医師の発表がなされました。漆原 乾たちの発表を聞いて、思い出したことがある。4月のチーム会議のときに、気になったことがあった。「ラ行の言い訳小僧」って知っているか? 「なぜ攻略がままならないのか」と私が質問すると、みんなは「ラ行」で言い訳をしていた。・ライバルメーカーは、10年も同じ担当者です。ひっくり返すのはムリです。・リスクが高過ぎます。そんなことをしたら、出入り禁止にされてしまいます。・ルールですから、それはできません。・レジメ(約束処方)で、がんじがらめです。新規採用はムリです。・ローテーションで、処方してくれていた先生がいなくなりました。漆原 どうだ? 言い訳の頭が、見事にラ行になっているだろう。この言い訳に心当たりはないか?熊谷 ラ行の言い訳小僧ですか。心当たりがあります。漆原 そうだろう。ところが、こいつを逆手に取ると、いまの乾たちの世界になる。ライバルを知り、リスクやルールを検証し、レジメに入れてもらう努力をする。そして医師のローテーションを熟知する。これは病院攻略の基本だ。少なくともこのチームは、「ラ行の言い訳小僧」を撲滅したようだな。
2019年01月26日
コメント(0)
111:智恵――第9講義:人間力人間力のある人には意欲がある意欲のある人には夢がある夢のある人には目標がある目標のある人には努力がある努力のある人には失敗がある失敗のある人には反省がある反省のある人には経験がある経験のある人には智恵がある智恵のある人には人間力がある「智恵」とは知識や経験に、搭載するターボエンジンのことです。智恵は知識や経験の、裏付けがなければ機能しません。智恵は知識知でもあり、経験知でもあります。私は「人間力」の総合力を、「智恵」としています。前向きに人生を送る「意欲」があり、一段高いところにいる自分を「夢」見る。そのために、高い「目標」を掲げ、ひたむきな「努力」を継続する。生じた成果に対する謙虚な「反省」を忘れず、それを次なる挑戦への「経験」知とする。やがてその循環が「智恵」となって、より高いレベルになったあなたは、目指すところに到達できるのです。田坂広志は著書『知性を磨く』(ちくま新書)の中で、知識と智恵の相違について次のように述べています。(引用はじめ)「知識」とは、「言葉で表せるもの」であり、「書物」から学べるものである。「智恵」とは、「言葉で表せないもの」であり、「経験」からしか学べないものである。(引用おわりP54)これって「ナレッジマネジメント」でいう、「形式知」と「暗黙知」のことです。もうひとつだけ、先達の言葉を引用させていただきます。――切迫感と知識が一緒になったとき、初めて知恵が出てきます。切迫感を感じなきゃ、知恵も生まれません。私がいつも「あきらめたらいかん」とか「できると思ってやったらできる」とかいっているのはこのことです。(西堀栄三郎『新版 石橋を叩けば渡れない』生産性出版) 西堀栄三郎がいうように、智恵は単純な思いつきや閃きとは異質なものです。たくさんの知識や経験の裏づけがあり、緊迫した場面で引き出せるのが智恵なのです。智恵の「智」の字は、知に日を重ねてあります。知の積み重ねが「智」なのです。そこに「恵み」がやってきます。
2019年01月26日
コメント(0)
今村夏子『あひる』出た今村夏子は『こちらあみ子』(ちくま文庫)でデビューしています。第3作目になる『あひる』(角川文庫)が出ました。期待の純文学若手作家ですので、成長の度合いを楽しみにしています。芥川賞に最も近い作家です。本書は短い作品です。ぜひ読んでいただきたいと思います。以下はウイキペディアからの抜粋です。――29歳の時、職場で「あした休んでください」といわれ、帰宅途中に突然、小説を書こうと思いついたという。そうして書き上げた「あたらしい娘」が2010年、太宰治賞を受賞した[3]。同作を改題した「こちらあみ子」と新作中篇「ピクニック」を収めた『こちらあみ子』(筑摩書房)で、2011年に第24回三島由紀夫賞受賞。山本藤光2019.01.26
2019年01月26日
コメント(0)
さすが「さすがにすごい人だ」の「さすが」は、「流石」という漢字をあてます。これは中国人をほめたたえたことに由来しているようです。現在の中国人マナーは、ほめられたものではありませんが。ある中国人が「石を枕にして、流れに口をすすぐのはいいものだ」といいました。それを聴いた負けず嫌いの中国人が否定します。「いや、流れに枕して、石にて口をすすぐ、の方が風流だ」と。この問答から、「流石」という言葉が生まれました。昔日本人は、中国人を尊敬していたのです。(柴田武『知らない日本語』PHP文庫をまとめました)山本藤光2019.01.26
2019年01月26日
コメント(0)
世界一安全な中国笑ってしまった記事がありました。中国メディア・東方網が発したもので、「世界で安全な国ベスト5」が発表されています。日本は第3位になっています。何と栄えある第1位は中国とされているのです。「至る所に警官がいて、治安を守っている」と説明されていました。手前味噌とはいえ、よくもぬけぬけと。中国へ行くと、スパイ容疑で逮捕されないかと心配な人が多いはずなのですが。偽物をつかまされるかもしれないのですが。中国人の「安全」って、何なのでしょうか。山本藤光2019.01.26
2019年01月26日
コメント(0)
豚児立川談四楼『声に出して笑える日本語』(光文社知恵の森文庫)を読んでいると、ひんぱんに「豚児」という単語がでてきます。これは自分のこどもをへりくだっている言葉で、「愚息」や「愚女」ともいいます。では「豚児」の対義語はわかりますか。男児同様に何かの動物があてがわれているか、と推測しました。しかし答えは「小女」でした。「豚女」とはいわないようです。山本藤光2018.06.24
2019年01月25日
コメント(0)
265:忘れもの 樋口正直と麗奈夫妻は、ともに二十八歳。釧路空港で車を借りて、道東を旅行中である。たまたま立ち寄った標茶町で、日本四大がっかり名所とめぐり合った。そのあと多和平へと車を走らせ、五つ目のクラーク像に遭遇した。正直は東京の進学塾で、数学の先生をしている。「この町、おもしろいね」「ばかばかしいものだらけで、笑ってしまう」「駅前に並んでいた水色のシャッターには、どれも『知だらけの学習塾』と書いてあったわ」「運転していて、ぼくも気になっていた。麗奈、今夜はここに泊まろう。どうしてもあの塾を見てみたい」「いいわよ」 二人は、藤野温泉ホテル・アネックスの前に車を停めた。夕方のシフトの狭間だったので、フロントには詩織が出ていた。「まあ、東京からですの?」 宿泊カードを見て、詩織は声をかけた。「阿寒から釧路へ向かう途中だったんですが。はりまや橋や札幌時計台やクラーク像を見て、笑い転げているうちに、遅くなっちゃって」 詩織は車のキーを預かり、ドアボーイに車を駐車場へ移動するように命じた。 翌朝二人は、早朝にチェックアウトした。そのときも、詩織はフロントにいた。ドアボーイは、車を玄関まで移動させてきた。詩織は玄関先で、二人を見送った。赤いレンタカーから、麗奈は手を振っている。 それから十五分後に、客室担当が「お客さまの忘れものです」といって、フロントに飛び込んできた。手にしているのは、カメラ用のSDカードだった。詩織は、ドアボーイに叫んだ。「野間くん、さっきの赤いレンターカーを追いかけて。スピード違反で捕まったら、うちが支払うから急いで」 後日二人から、丁重なお礼の手紙が届いた。――忘れものをお届けいただいた誠意は、私たちの今度の旅行で一番印象的で感動させられたものです。来月、休みを取ってまた遊びに行きます。どうしても、「知だらけの学習塾」を見てみたいのです。今回はあわてて戻ってきましたが、来月は三日ほど、標茶町で過ごします。本当に心温まるおもてなしを、ありがとうございます。樋口正直・麗奈
2019年01月25日
コメント(0)
106cut:シンプルなものからはじめる――17scene:チームのナレッジ影野小枝 ビデオ製作会社の打ち合わせです。監督 アイデア・ツールと知的な場。多くの人の参考になるな。たわいないちょっとしたアイデアで、営業マンが使えるツールが生まれる。そんなメッセージを伝えたい。製作 原作者の許可を得て、削った場面がある。助監督 何ですか? 製作「人脈のキャッチボール・シート」というもの。A4ペーパーを4つ折りにしただけのものなのだが、こんなものまでアイデア・ツールになるのかと驚いた。顧客Aを攻略したい。こんなときには、Aに関する情報収集をするのが出発点だ。Aとコンタクトを続けているうちに、ひょんなことから友人のBの話になることがある。そんなときには、すかさずBのところを訪問する。もちろん、Bも攻略目標の1人となる。Bとの面談を通じて、顧客Aの情報を引き出す。逆にAとの面談時には、Bの情報を得るよう努力をする。情報は本人自身から引き出すよりも、友人や家族から得る方が集まりやすい。これが「人脈のキャッチボール・シート」の世界だ。助監督 笑っちゃいますね。アイデアをツールに落としこむのは、難しいことではない。完璧に作ろうとするとなかなかできあがらないけど、シンプルなものからはじめる。これがポイントですね。製作 やってみて、実践で工夫すればよい。真っ白な紙に罫線が引いてあり、タイトルさえあれば、それは立派なツールといえるらしい。
2019年01月25日
コメント(0)
110:経験――第9講義:人間力人間力のある人には意欲がある意欲のある人には夢がある夢のある人には目標がある目標のある人には努力がある努力のある人には失敗がある失敗のある人には反省がある反省のある人には経験がある経験のある人には智恵があるある営業チームの会議を、覗いてみます。営業リーダーは先月、月間販売目標を達成したAさんとBさんを賞賛しています。Aさんはほぼ計画通りの、100%達成でした。Bさんは半分以上がラッキーパンチが当たっての、100%でした。私はこの評価に、疑問を抱きました。もちろん営業ですから、月間目標の100%クリアは重要なことです。しかし営業リーダーは、AさんとBさんを同列で評価してはならないのです。計画通りに仕事をしたAさんは、そのプロセスが「経験知」となります。しかしラッキーパンチのBさんには、経験知はほとんどありません。「経験」は、思惑通りに成し遂げたところからしか生まれません。高い志を持ち、ちょっと工夫を加えて、挑戦したものが初めて「経験」となるのです。「営業活動のブラックボックス」については、「知だらけ107:努力」の項で説明済みです。「経験知」を高めるのは、成果の量ではありません。むしろ悪戦苦闘している「プロセス」への取り組み姿勢によるものなのです。「知だらけ104:反省」に記した通り、活動の質の検証なくして、経験知は高まらないのです。「経験」には、「修行」というニュアンスが含まれています。修行は修業とは違います。前者は基本から学び、永遠に磨き続ける行ないのことです。後者は一定の業を収めることで、卒業があります。私が「経験」に加味したかったのは、あくまでも「修行」の方です。
2019年01月25日
コメント(0)
垣谷美雨『夫の墓には入りません』出た垣谷美雨『夫の墓には入りません』(中公文庫)が出ました。垣谷美雨は『老後の資金がありません』(中公文庫)を紹介済みです。この路線は止まることをしりません。紹介するのは1冊だけで十分ですので、新刊文庫を楽しむために読むことにします。山本藤光2019.01.25
2019年01月25日
コメント(0)
ぼかしことば清水義範『日本語必笑講座』(講談社文庫)を読んでいて、なるほどという一説に出逢いました。――女子高校生及びもう少し上の世代までの若い女性に特徴的なことばづかいというものはある。「てゆうか……」「……だし」「……みたいな」「……とか」などの、意味ぼかしことば、もその一例だ。「ケーキが食べたい」と言わないで、「ケーキとか食べたいし」とやる語法である。(同書P51)電車のなかでよく耳にする言い回しです。なるほど、あれが「ぼかしことば」だったのですね。山本藤光2019.01.25
2019年01月25日
コメント(0)
ホワイトアウト若いころ部下の運転する車で、北海道の雪道を走っていました。高速道路ですが、冬は80キロ制限になっています。と、突然の地吹雪。完全なホワイトアウト状態で、ワイパーも凍り付いて機能しなくなりました。部下は運転席で前のめりになり前方を凝視し、私は助手席の窓を開けて、腕を水平に突き出します。高速道路の側壁を確認するためです。車は絶対に停めてはなりません。追突される危険があるので、徐行するのが常識です。地獄の30分でした。前の車のテールライトが見えたとき、同時に天国を見ました。雪国の方、くれぐれもご注意ください。山本藤光2019.01.25
2019年01月25日
コメント(0)
BBQ「BBQ」を最初に書いた人のセンスが好ましい。この表現は、阪本啓一さんのブログで見ました。何のことなのか、わかりませんでした。いいよね、この感覚。私も営業リーダー研修では、英語の3文字を使っています。昔の営業の世界は、「KDD」や「GNP」でした。受講者の多くは、何のことやらわかりません。そしてつづけます。いまは「HKM」の時代です。さて謎解きですが、KDDは勘と度胸と出たとこ勝負。GNPは義理と人情とプレゼントの略です。HKMはHumanity Based Knowledge Managementの略です。このように、ちょっとした単語の頭文字を、英語3文字にすると味わい深くなります。蛇足ながらBBQは、バーベキューのことです。知らなかったのは、私だけなのでしょうか。山本藤光2017.11.27
2019年01月24日
コメント(0)
264:町長の発令 幸史郎町長の依頼で、恭二は全職員向けの指示書を発行した。――家族や親戚ではない異なる地区の町民三人に、インタビューしてください。できるだけ年齢の違った人を選んで、「困っていること」「あったらいいな」と思っていることなどの聞き取りをしてください。あくまでも町民のニーズに応える、町政の意識を持って。期限は三ヶ月後の九月末まで。 恭二は高校時代に、同様のアンケートを町民に向けて発信している。標高新聞が回収騒ぎになり、やけくそでマガジン「未来の標茶」を発刊した。そのときに実施したのが、町民向けの「困っていること」アンケート調査だったのである。それによって、会社の博物館は「おあしす」として、町民に開放された。 幸史郎はまたそれを、やろうというのである。 土木課長の権藤は、ケッと舌打ちして発令を机の上に放った。町民におべっかを使って、人気取りをしている。こんなもの、みんな鉛筆をなめて、さらさらと書いてしまうに決まっている。権藤は放った紙をつまみあげ、さらさらとペンを走らせて引き出しに入れた。
2019年01月24日
コメント(0)
全201件 (201件中 1-50件目)