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Mar 13, 2006
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カテゴリ:  音楽雑記
先日、鈴木弘尚さんの演奏する「交響的練習曲」に浸ったことがきっかけで、気持ちだけはシューマン熱を取り戻した私であるが、なかなか日々の練習にはそれが反映されるにまでは至っていない。時々、復習として「アラベスク」と「ウィーンの謝肉祭の道化~インテルメッツォ」を練習の最後に弾くくらいにとどまっているのだが、シューベルト=リストの「水車屋と小川」が一段落したら、再びシューマンの曲から1,2曲は練習してみたい、という意欲がわいてきている。

ところで、シューマンの「交響的練習曲」といえば主題と12曲からなる変奏形式の練習曲、そして遺作である変奏曲が5曲から構成されている。私は、鈴木氏のデビューCD「Etudes symphoniques」のライナーノーツを読んで、その時初めて「遺作である変奏曲5曲は、曲の間に自由に入れることができる」ということを知った。つまり、この遺作たちが曲の何処に入るかによって、全体構成も大きく変わってくる、ということだ。これはとても興味深い。

交響的練習曲の演奏順序については、以前CD視聴レポートの時にもサラリと語っているはずなのだが、いかんせん既に膨大な数の日記量となってしまっているため、どこかに埋もれてしまったままだったりする。ということで、今回はきちんと日記の「タイトル」にわかりやすく明記して各演奏家による「演奏順序」について考えてみたい。

■鈴木弘尚氏の演奏
鈴木氏は、練習曲の合間に遺作変奏曲をふんだんに挿入しているパターンである。そして最後には華麗な練習曲XII(フィナーレ)で終わっている。

1 2 3 4 5 6
主題 練習曲I 練習曲II 練習曲III 変奏曲I(遺作) 練習曲IV
7 8 9 10 11 12
練習曲V 変奏曲IV(遺作) 変奏曲II(遺作) 変奏曲V(遺作) 練習曲VI 練習曲VII
13 14 15 16 17 18
練習曲VIII 練習曲IX 練習曲X 変奏曲III(遺作) 練習曲XI 練習曲XII(Fin)


■アンドラーシュ・シフ氏,イョルク・デムス氏の演奏
シフとデムスの演奏では、遺作とそうでないものを分けて考えている。というわけで、演奏順序も楽譜どおりといって良い。実は初めて交響的練習曲を聴いたのはシフの演奏だったため、この順序に耳が慣れてしまったせいか、鈴木氏の演奏順序を耳にした時、非常に驚いてしまった記憶がある。

1 2 3 4 5 6
主題 練習曲I 練習曲II 練習曲III 練習曲IV 練習曲V
7 8 9 10 11 12
練習曲VI 練習曲VII 練習曲VIII 練習曲IX 練習曲XI 練習曲XI
13 14 15 16 17 18
練習曲XII(Fin) 変奏曲I(遺作) 変奏曲II(遺作) 変奏曲III(遺作) 変奏曲IV(遺作) 変奏曲V(遺作)



■舘野泉氏の演奏

舘野氏の演奏では、練習曲I~Vのあとに、遺作である変奏曲を5曲挿入、そして残りの練習曲VI~XIIまで、といった構成になっている。やはり最後に練習曲XIIをもって華々しく終わる、というパターンを好むのか。

1 2 3 4 5 6
主題 練習曲I 練習曲II 練習曲III 練習曲IV 練習曲V
7 8 9 10 11 12
変奏曲I(遺作) 変奏曲II(遺作) 変奏曲III(遺作) 変奏曲IV(遺作) 変奏曲V(遺作) 練習曲VI
13 14 15 16 17 18
練習曲VII 練習曲VIII 練習曲IX 練習曲X 練習曲XI 練習曲XII(Fin)



ちなみに楽譜ではどう掲載されているのだろうか、とチェックしてみたら、春秋社版では主題→練習曲12曲→遺作5曲の順番で掲載されており、ブライトコップ社ライセンス版では、なんと遺作は掲載されていなかった。遺作含めた練習をしたい人は要注意である。

シューマン集 3〔春秋社〕
シューマン集3(春秋社)


いやはや、演奏者によって曲の順序が異なる曲というのもなんとも面白い。演奏者自らがシューマンの世界を利用して自分のドラマを形成できるのだから。

今回はサンプル数が4人分の演奏とかなり少なかったのだが、実際にはどのような順序で弾かれていることが多いのだろうか。(私自身、もう少し音源を多数持っているつもりになっていたのだが、シューマン熱にうなされていた時分はクライスレリアーナばかり集めていたもので・・・)




【本日のピアノ練習メモ】
●ブラームス51練習曲 #07~#10,#16abc
#07(3度を4-1,5-1指で)#08(アルペジオ)#09(指広げ)#10(5指押さえ指均一)
#16a(4指押さえ指均一),#16b(3指押さえ指均一),#16c(2指押さえ指均一)
●全24調4オクターブスケール

●クラーマー=ビューロー60練習曲 #26,#27
#26:手首の上下運動。進行に慣れてきたため、そろそろ強弱を意識して弾くこと。13~16小節についてはもう少し要練習を。
#27:両手レガート練習。6小節の左手進行1拍目4-2指遣いであるところを勘違いしていたため、修正。

●バッハ フランス組曲第1番 メヌエットI,II,ジーグ
メヌエットI:弾きこみ段階。
メヌエットII:弾きこみ段階。トリルが潰れ気味なので要注意。
ジーグ:3月中旬にしてようやく曲に慣れ始めた。あとはじっくり弾きこんでいこう。3月中にある程度形になるところまでもっていけるだろうか。

●ショパン 24の前奏曲 Op.28 #16,#17
#16:またしても左跳躍が聴くにたえない状況に。手の移動に問題ありか。
#17:弾きこみ段階。

●シューベルト=リスト「水車屋と小川」
今日も29~83小節までを重点的に練習。


本日のおさらい
●クラーマー=ビューロー60練習曲 #10(両手),#8,#22(左手),#16(3-4-5指強化),#19(右分散音型),#20(左分散音型)
●バッハ フランス組曲第1番 アルマンド,クーラント,サラバンド
●ショパン 24の前奏曲 Op.28-1,5



本日の不意な練習
●ダカン「かっこう」





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Last updated  Mar 18, 2006 09:45:31 AM
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