投機家への道程

投機家への道程

買われる順番


弱気相場の末期、最も経済環境の暗い局面で展開される強気相場の第一段階である。
日経平均ベースでみると、底値を確認して反騰に転じているが、この局面でも下げ続ける
銘柄も多い。

株価水準の高い値がさの中小型は人気の圏外に置かれ、株価のトレンドは下降を続ける。
特に工作機械、ハイテクなどの設備投資関連は日経平均に逆行して
下値を切り下げている。

したがって日経平均が底値圏にあるからといって何を買ってもよいわけではない。

金融相場の主役を早めに買うのが最も効率が良い。
もし買い遅れてしまったら、次の業績相場に備えて、低位・大型の素材産業
例えば大手鉄鋼、総合化学、紙パルプ、セメント、非鉄を買うべき。




■業績相場
金融相場から業績相場への転換期には景気回復の確認をきっかけに
電力、ガス、銀行、証券、不動産、建設などのトップ銘柄が崩れる。

そして、鉄鋼、化学などの素材産業にバトンタッチされる。



■業績相場前半
繊維、紙パルプ、化学、ガラスセメント、鉄鋼、非鉄
 財務内容の良い優良株を選んでも、この局面では、あまり
 投資効果は見られない。

まず大型・低位株グループ
 まず景気サイクルをもろに受けるところが買われる。
 その他の業種でも財務内容があまりよくなく、技術力や販売力も劣る
 業界の3番手が、この局面では最も買われる

 景気拡大が長期化しはじめると、1番手は受注でいっぱいで
 2番手3番手以降に受注が積まれる。

 鉄鋼、化学、非鉄といった大型株
 株価の低位のもの
 この2つの条件を満たす銘柄群は大量の売買を可能にする。


■業績相場後半
業績相場の素材産業から加工産業、あるいは、大型の低位株から
中小型の中位、値がさ株へのバトンタッチは景気絶好調、物価上昇
インフレ懸念による日銀の予防的な引き締め政策の実施、具体的には
最初の公定歩合の引き上げをきっかけに展開される。

株式市場への資金流入の頭打ちと、業績の伸び率鈍化によって
大型資本の素材産業が下降に転ずるのは当然としても
他の業種であっても


素材産業が買われる業績相場の前半から、加工産業中心にその他グループが
買われる後半相場への推移は、テクニカルな指標でみても金融相場と
業績相場の切り替わりに比べると判断しにくい



予防的にとはいえ、インフレ懸念からの日銀の金融引き締め政策をきっかけに
市場の物色対象が、大型・低位から、中小型、中位・値がさ株へ切り替わる
ことはいち早く、テクニカルな指標でとらえられる


業績相場が終わるころ、、上場銘柄の70%近くが、循環的に買い上げられ
市場高値を更新中である。

したがって、値上がり幅の大きい値がさ株の下げもきつい




■逆業績相場
経済の運営は物価安定と完全雇用、インフレなき景気拡大を目指している。
だがこの理想的な状態を長期に渡って維持することはかなり難しい。

微調整で不況を回避しながらインフレを抑制しようという考えは
色々な方法をとりながら現実に実施されてはいるが、いずれにせよ
景気後退と企業の収益の落ち込みを避けて通ることは難しい。

しかし全ての国の政策担当者は今や経済運営に多くのウエートをおき
何とかしてインフレを抑えながら景気の拡大を図り、国民生活をより豊かに
持っていくことに腐心している。
つまり、景気循環の中での景気の後退期を、いかに落ち込みを小さく
その期間を短くするかを政策の目的としている。

したがって、景気の繁栄期に比べて後退期間は短くなり、景気の動向と
連動性の高い株式市場も、上昇期間に比べ下降期間が短いと考えるべきだろう。

この強気相場に比べて、スケールの小さな弱気相場は、通常景気の過熱期つまり
インフレが表面化し始めた時点における日銀の強烈な公定歩合の連続引き上げ
を中心にした金融の引き締め政策によってもたらされる。

文字通り逆金融相場である。

現に昭和20年以降で20%以上の下落で調整期間9カ月以上の弱気相場は
確かに公定歩合の大幅引き上げを中心にした金融の引き締め政策をきっかけにしている。


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