☆Loui’s             Kingdom☆

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NICUへ入院



出産したその夜、身体が落ち着いてきたので、新生児室のカーテンが閉まってしまう前にもう一度おばあちゃんとパパと3人で見に行った。

Loui’は目を開けていた。

みんなで「かわいいねぇ、かわいいねぇ」と言っていたが、私は時折右手が上がりブルブルっと震えているのが気になった。
(両手があがるならわかるけど、なんで右手だけ震えてるんだろう・・・)
看護士がデジタル体温計をもって赤ちゃん達の体温を順次測っていた。
Loui’の体温を測っているときに、偶然計測された数字が見えた。

38.9℃。

(あかちゃんの平熱は36.5℃から37.5℃のはず。ちょっと高くないか??????)

母にそれを言ってみると、「そんなん大丈夫よ。心配しすぎだ」と言う。そうそう、私ってちょっと心配性だから・・・。でも、わからないだけに心配になっちゃうのだ。

近くにいた助産師さんに「うちの子なんか右手だけプルプル震わせているんです。熱も38.9℃あるみたいなんだけど」と聞いてみた。助産師さんは「そんなに心配することはないですよ」とは言うものの、一応小児科の先生を呼んできてくれていたようで、Loui’のコット(ベッド)のまわりは小児科の先生が3~4人取り巻いていた。

私たちはその様子をガラス越しに見ていた。先生達は聴診器をあてたり、なにやら真剣な顔で話し合っている。

「なんなの?なんなの?なにかおかしいの???」私はドキドキ動揺していた。

小児科の先生に呼ばれ、母とパパと3人でナースステーションの中へはいると、先生は「少々呼吸が荒いので、いまからちょっと検査等させてもらおうと思います」と言った。

新生児室から、コットごとLoui’は運ばれ、コットの脇には酸素ボンベがかかっていて、チューブで鼻に通されていた。小児科の先生は「今から写真撮りますんで」と仏頂面で、エレベータを使い1階へと降りていった。

■余談■---------------------

私は先生がとても仏頂面で愛想もなかったので、きっと↓のように思っていると思っていた。

(忙しいのに、疲れているのに、こんなことのために仕事が増えた。)

そして、先生の言う「写真を撮りに行く」とは、「レントゲンを撮りに行く」という意味な訳で、母もパパもそのことはわかっていた。私一人だけ、赤ちゃんだから他の赤ちゃんと区別がつかなかったらいけないから、入院のための顔写真を撮るのだと、本気で思っていた。よく考えたら、そんなこと普通にわかるはずなのに、とにかく動揺していて落ち着いて物事を考えることが出来なかった。大分後で、このことが大間違いだということに気付かされる・・・。




産婦人科の病棟の廊下で、3人落ち着かず過ごしていた。看護士が来て「検査結果が出たので小児科へ行って下さい」と言われた。23時くらいだった。
3人で小児科へ上がり、パパと私だけ小児科集中治療室(NICU)へ行った。母は廊下で待つことになった。入ると、先ほどの仏頂面の小児科の先生が私たちに背中を向けてパソコンの画面を見ていた。チラリと覗くと、Loui’の血液検査の数値が表示されていた。

先生とパパと私はNICU内の別室に入った。
仏頂面の先生は「S」と名乗った。先生は壁にレントゲンとCTの画像を貼り付け、仏頂面で「お父さんとお母さんとお二人で説明を聞いてもらうということでよろしいんですね」と言った。
「はい」と答えると、先生はなにやら書類を出してきて、その書類の頭には「ヒト」とか「輸血」とかなんかそんな文字が書かれていたような気がする。
私はぶしつけに「何ですか?この書類は?」と先生の説明が始まる前に聞いてしまった。
先生は、「これは後で話をしましょうか」と書類を裏返した。
私は、なにか悪いことの書類なんだと思い「何なの?何か悪いんですか?!」と半泣きになってしまった。
すると先生は「産後は精神状態が安定しないから、退室してもらって、お父さんだけに話を聞いてもらったらどうですか」と言った。
ますます私はパニクった。

看護士に促され、私は外へ出された。廊下には母がいた。
「お母さん、どうしよう。私だけ、外に出された。何か悪い病気なんだ、きっと・・・」
母は、黙っていた。

30分くらい経つと、先ほどの看護士が来て「先生の説明が終わりましたので、どうぞ中へ赤ちゃん見に来てください」と言い、私は再びNICUの中へ入った。

入り口近くの保育器に入っていたのがLoui'だった。パパがガラス越しにLoui'になにやら声をかけていた。私が来たのを確認すると、パパはニコッと笑かけた。

「Loui’は?悪いの?」と聞くと
「CTも胸部レントゲンでも異常はなかったって。血液の検査したところ、手首がぷるぷる震えていたのは、血糖値が低くて低血糖になっていたからなんだって。新生児はもともと血糖が低いんだけど、ちょっと正常範囲よりも低くて、だからブドウ糖を点滴してるんだけど、今はもう血糖がもとにもどって、ふるえもなくなってるって。だから大丈夫だよ」
と言われ、なんだそうだったのか、と一気に安心した。

そして保育器で眠っているLoui'を見た。Loui'は紙おむつひとつまとっているだけで裸だった。鼻にはチューブを通され、腕は点滴をされ、心電図をとるためのパッドが胸に2つ当てられていた。小さい体にそれらはとてもごつく見えた。

ひとつ思い出したことがあった。たしかLoui'は熱が高かったのだ。
パパに聞いてみると、「んー・・・。ちょっとばい菌がはいっただけみたいだよ」と最初言葉を濁したが、「念のために、髄液を抜いて検査をしたら、ちょっとだけ数値が高かったんだって。羊水混濁による髄膜炎らしいけど、ひどいと数値が1000くらい正常値より高い。でもLoui'は8くらい高いだけ。大丈夫だとは思うけど、新生児だから大事を取って入院をするだけなんだよ」と説明してくれた。

髄膜炎?!すごく怖い病気だけど、パパは心配ないっていったし、S先生も見通しはかなり明るい、と言ったらしいから、大丈夫なんだろう。とりあえず、元気で安心した。良かった・・・・。

■余談■---------------------

先ほどの書類、「ヒト」やら「輸血」やら書かれていた書類は、もしも急激に赤ちゃんに異変があったときにそなえて、輸血をするための「同意書」だそうだ。NICU入院に関しては皆に予めもらっているとのこと。
S先生はパパに、「髄膜炎」と今の状態の私が聞いたら、卒倒するだろうから伏せた方がよいと言っていたそうだ。。。。




こうしてLoui'は出産したその日から、NICUへ入院することになった。




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