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gamzatti @ Re[1]:「ムー」「ムー一族」(05/28) ひよこさんへ 訂正ありがとうございました…
ひよこ@ Re:「ムー」「ムー一族」(05/28) ジュリーのポスターに向かってジュリーっ…

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gamzatti

gamzatti

2007.09.18
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カテゴリ: シェイクスピア
銀河劇場でやっている「ヴェニスの商人」は、
市村・藤原・寺島という顔ぶれでのシェイクスピアということで、
多くの演劇ファンが期待して劇場に足を運んでいるようだ。

私がしばしば立ち寄る演劇大好きブロガーたちも、
それぞれの視点からこの劇の感想を書いている。

よかった、悪かった、楽しめた、わからなかった、
それは人それぞれ。
そんな中、すべての人に共通したのは
どうやら「言うに言われぬ消化不良な感じ」だったようである。

ヴェニスの商人=シャイロックの物語と刷り込まれている私たちにとって、
シャイロックが裁判でコテンパンに打ちのめされた後も、
何で「結婚指輪を他人にあげてしまうとは!?」といった
集団痴話ゲンカみたいな話が延々と続くのか、
なかなか理解できない。
「人肉裁判」とまで訳されたむごたらしい劇なのに、
きらびやかなお屋敷で、
「なーんだ、よくもダマしたな、コイツ~、アハハ」みたいな大団円がフィナーレで、
その中には当のシャイロックの娘までいる。

この娘の心理も、イマイチわからない。
アル・パチーノ主演の映画では、この娘の気持ちをすくいとるような解釈がラストに出てきて、
見ている方も救われた感があったが、
今回の演出では戯曲の言葉のままの人物形成で、
「ケチくさい生活はこりごり!パパなんて大っ嫌い」みたいな娘としか受け取れない。
その辺も「消化不良」の一因かも。

でも、それは演出家のせいじゃない。
そう書いてあるんだもんね。
シェイクスピアにとっては、
ユダヤ人の憔悴よりキリスト教徒の幸せこそエンディングにふさわしかった。

そうかな?

多くの小説家が本当に書きたいことを物語の奥底に沈めて沈めて密かに浮かび上がらせるように、
シェイクスピアにも「本当に書きたかったこと」があるんじゃないかな。

今回、それが「アントーニオとバサーニオの恋」だった、とすると、
いろいろなナゾが解けてくる。
この前はアントーニオがどれほどバサーニオを愛していたか、ということだけしか書かなかったけど、
じゃあ、バサーニオはどうだったのよ?

若い愛人が金持ちパトロンに金の無心をするのはよくあるパターンだけど、
「結婚したい娘がいるんだよ。金持ちで、美人で、その上頭もいい」
と、パトロンに言う、そのココロは?

バサーニオはポーシャにぞっこん、ということで話は進む。
ポーシャと結婚するために、バサーニオはありったけの贈り物をし、
3つの箱のナゾも全力で解いてポーシャの夫となる。

それは、ポーシャを愛していたから?

違うのではないだろうか。
彼が愛しているのは、アントーニオ。
結ばれないけど、アントーニオ。

バサーニオは思った。
ずいぶんアントーニオに散財させてしまった。
僕がポーシャと結婚して彼女の財産を引き受ければ、
今までの借金は全部返せるし、これからだってアントーニオの金を使わせることはなくなる。

バサーニオ、完全に逆玉狙いです。
「ポーシャは金持ちで、美人で、その上頭もいい」つまり、「金持ちで」が最も重要。
「ただの金持ちじゃないんだ。美人だから観賞用にはうってつけ、
 その上頭もいいから、僕たちのことも大目に見てくれるかもね」

それを知ってか知らずか、ロレンツォが
「あなたは頭がいいからアントーニオのことでバッサーニオが必死になるのを、許してくれている。
あの男がどんなにいい男か知れば、行かせてよかったって思いますよ」
とバサーニオの代わりに弁解すると、ポーシャも
「あの人が選んだ人ですから、あの人に見合ったよいお方なんでしょうね」と受け流す。

もしかしたら、内心不穏な気持ちがあったかもしれないが、
それをぐっと押し隠して物分りのよい妻を演じたのかもしれない。
そういう「頭のよさ」があったのだろう。
でも
知っていたからこそ最後に夫をひっかけて、ギャフンと言わせたのかもしれない。

指輪を渡した法学者について、「あれは男だ」「女じゃない」と、バサーニオは何度も弁解する。
その時ポーシャは心の中で、
「あなたは女より、男がお好みでしょう」と泣いていたのかもしれない。
「いっそ私は女じゃなくて、男であればよかった」と思ったのかもしれない。
男に変装していったのは、
裁判を勝たせるためだけではなく、彼の男色を見破るためもあったのかもしれない。

藤原竜也と寺島しのぶのカップルが、どうにも兄弟のようだった、とか、
しのぶさんには悪いけど、ちょっとトウが立ってて・・・などという感想も聞く。
アントーニオとバサーニオの年齢関係がほぼ原作と同じということは、
バサーニオとポーシャもそうだったのではないか。
亡き父の遺言と遺産に縛られ、
いやな男と結婚するのだけはごめん、とウィットばかりたけてしまった女主人。
初めて「この人!」と思った美男子の手を放すまいと必死になるポーシャの
「これからはあなたが私とこの屋敷の主人です」という言葉は、
あまりにもいじましくて、哀しい。

金の面では上だけど、精神面では奴隷。それが、ポーシャなのだ。
この先、バサーニオがポーシャに頭が上がらないとすれば、
それはこの「指輪」の一件だったとすると、
ポーシャ一世一代の大勝負にも納得がいくというもの。

みんなお気楽にカーニバルに興じているように見えるけど、
アントーニオは愛するバサーニオを手放す苦しさで「気鬱」だし、
美しい花嫁ポーシャも花婿バサーニオの背中をさびしくみつめている。
シャイロックの娘は父を捨て民族を捨てて恋に走る。
バサーニオは、真実の愛に別れを告げ、偽りの生活に身を置く。

人生って、うまくいかない。

(思いっきり妄想を書きました。
 まったくこういう話じゃないかもしれない。
 でも、アントーニオを心から愛してアントーニオのために嫁ぐ(?)バサーニオの、揺れる想いを、
 私は竜也くんに期待しすぎちゃったかも)





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Last updated  2007.09.21 09:14:10
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はじめまして。  
exercise dependency さん
はじめまして。私も「ヴェニスの商人」を観劇して、ブログ巡りでこちらに辿り着きました。この素晴らしい切り口に感心して、トラックバックさせて頂きました。演劇は奥が深いですね。 (2007.09.21 07:56:47)

Re:はじめまして。(09/18)  
exercise dependencyさん
こんにちは。
トラバおよびご紹介ありがとうございました!

そちらのブログもとてもステキで、
いろいろ読み出したら止まらなくなってしまいました!
また寄せていただきます。 (2007.09.21 09:03:32)

はじめまして。  
exercise dependency さん
はじめまして。私も「ヴェニスの商人」を観劇して、ブログ巡りでこちらに辿り着きました。この素晴らしい切り口に感心して、トラックバックさせて頂きました。演劇は奥が深いですね。 (2007.09.21 13:53:13)

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