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履歴と感想 : ふ
読書履歴 と 読後感想 ( ※ 作品の記載順と出版順は必ずしも一致していません )
【 ふ 】
福井晴敏
・ 川の深さは
・・・・・ ★★★★★
” 彼女を守る。 それが、おれの任務だ。 ”
傷だらけで、追手から逃げ延びてきた少年。
彼の中に忘れていた熱いたぎりを見た元警官は、少年を匿い、底なしの川に引き込まれてゆく。
やがて浮かび上がる敵の正体。
明日知れぬ逃亡、そして戦い … 熱く、切なく、深い … 。
─── 出版社の内容紹介等から引用 ───
上記の通り、とてもとても、『 熱く・切なく・深い 』 です。
この作者の、本当の意味での1作目ですが、元原稿から、加筆修正されているらしく、かなり読みやすいです。
これを読んで、熱くなって下さい。
中年のオジサンでも、やるときはやるぞ!って感じですか …。
私も、すっかりオジサンなんで、どっぷりとはまってしまいました。
・ Twelve Y.O
・・・・・ ★★★★★
沖縄から米海兵隊が撤退した。
それは米国防総省が、たった一人のテロリストに屈服した瞬間だった。
最強のコンピューター・ウイルス 『 アポトーシス2 』 と謎の兵器 『 ウルマ 』 を使って、米国防総省を相手に、たった1人で脅迫し続けるトゥエルブの正体は?真の目的は?
人生の意義を見失い、日々をただ過ごしていただけの自衛官募集員・平貫太郎は、かつての命の恩人・東馬修一に偶然出会ったことから、想像もつかない日本の地下組織の闇に呑み込まれてゆく。
絶望感と閉塞感が渦巻く現代を吹き抜ける一大スペクタクル・サスペンス!
第44回江戸川乱歩賞受賞作
─── 出版社の内容紹介等から引用 ───
福井晴敏さんのデビュー作ですが、シリーズ2作目(?)です。
(この辺のことは 『 亡国のイ-ジス 』 の読後感想を参照 ・・・ )
主人公である、さえない中年のオジサンが、熱くなってくると共に、ストーリーも熱くなり、クライマックスに突進していきます。
冒険小説なんですが、ストーリー展開も早く、クライマックスなんかは、かなり激しくて、作者自ら語っている様に、まるで、アクション映画です。
( 「湯水の如く金をかけたハリウッド製冒険アクション映画に憧れ、邦画では描けないその醍醐味を表現する手段として小説を選んだ」 : 作者談 )
アクションもさることながら、登場人物の関係についても、読みどころは多い様に思います。
少々複雑で、分かりにくい部分もありますし、消化不良、説明不足、ストーリー展開は急ぎ過ぎ・・・かとも思えました。
これは、江戸川乱歩賞の応募要項の枚数制限の為に、しょうがないのかもしれません。
シリーズ3作共読み終わってる今となっては、この作品が一番粗く思えますが、この作品から読み始めた私は、細かい事を考える事も無く、一気に読んでしまいました。
在日米軍の存在意義とか、日本国民の自立というような、政治的なテーマを持つ作品ではありますが、そういう部分が苦手な方でも、楽しめる作品かと思います。
・ 亡国のイ-ジス
・・・・・ ★★★★★ ( +★ )
男たちの底深い情念が、最新のシステム護衛艦 『 いそかぜ 』 を暴走させる。
国家間の策謀にまきこまれ、なす術もなく立ちつくす日本 ・・・。
「 ・・・ 現在、本艦の全ミサイルの照準は東京首都圏内に設定されている。 その弾頭は通常に非(あら)ず ・・・ 」
第2回大藪春彦賞,第19回日本冒険小説協会大賞,第52回日本推理作家協会賞,その他、多数受賞
─── 出版社の内容紹介等から引用 ───
かなりアツイ本です。
とある書評家の方が、ウソくさいと評していましたし、確かにそういう面がないとはいいませんが、エンターテイメント作品なんで、細かい事は気にしない!
この本自体分厚いので、読むのには時間かかりますが、私は一気に読んでしまいました。
みなさんも、よろしかったら一読あれ・・・。
その前に、ひとつ ・・・
『 亡国のイ-ジス 』 は シリーズ作品です。
全くの続編ではありませんので、この本だけ読んでも問題ありませんが ・・・
『 川の深さは 』 ⇒ 『 Twelve Y.O 』 ⇒ 『 亡国のイ-ジス 』
・・・の順に読む事をオススメします。
作者自身が三部作とよんでおられる、この3作品はそれそれは独立したストーリーで、主人公も、起こる事件も違いますが、実は続き物になっております。
ですが、発刊順と、本の中で起きる事件の時系列が違います。
福井晴敏さんは 『 川の深さは ( の元になった作品 ) 』 を 第43回江戸川乱歩賞に応募したのですが、最終選考で残念ながら落選しています。
( 当時、選考委員であった大沢在昌さんが高く評価していた事は有名な話です )
翌年に 『 Twelve Y.O 』 で再度、第44回江戸川乱歩賞に応募して、みごと受賞しています。
その翌年、受賞後長編第一作として 『 亡国のイ-ジス 』 の発刊しています。
そのまた翌年に、落選した作品に加筆・修正して 『 川の深さは 』 の発刊となっています。
私は、発刊順でしか読めなかったので、しょうがないですが、どうせなら順番に読みたかったです。
でもこれからでしたら、時系列順に読めます。
それに、この三部作は、とても男くさい本ですので、男 ( 特にオジサン ) には、ばっちりハマるんですが、女の方は受け付けない方もいるかもしれません。
なんせ、オジサンが主人公ですし、話の小道具に、兵器・武器・各種機械装置が沢山でてきます。
ですが、三部作の中でも 『 川の深さは 』 はまだ、そういったところがましですので、福井晴敏さんの本を読むのには、コレから読んでみて、合う・合わないをチェックするのもいいかと思います。
この三作共に共通しているんですが、日本という国について、そしてそこに住む個人について書かれていますので、重い部分もあります。
ですが、基本的には冒険小説です。
冒険というと誤解されそうですが、映画でいうとアクション映画です。
それもかなり派手です。
そのくせ、目頭が熱くなる場面があり、これぞエンターテイメントって感じです。
( 特に、『 川の深さは 』 のクライマックスと、『 亡国のイ-ジス 』 のとあるシーンは本を読みながら、涙が止まりませんでした )
3作とも、冴えないオジサンが出てきて、事件に巻き込まれながら、熱を帯びてくるんですが、どれもいい味出してまして、素直にカッコいいと思いました。
ただ、発刊の経緯がああいう事の為、似通ったキャラクターが出てきたりしますし、作家としてまだ浅い為、読みにくい部分も確かにあります。
( 特に 『 Twelve Y.O 』 は読みにくかったですし、『 亡国のイ-ジス 』 は読み始めてから1/3過ぎる位までは長いです )
でも、作品の持つパワーは本当に凄かったです。
あまりほめると、過剰な期待で、期待はずれのなる事がありますが・・・。
( 私は、その後発刊の 『 終戦のローレライ 』 は過剰な期待をしすぎまして、期待はずれになってしまいました )
以上です。
参考にして下さい。
・ 終戦のローレライ
・ 6ステイン
・・・・・ ★★★★★
存在を秘匿された組織、市ヶ谷 防衛庁情報局で過酷な任務に身を投じる工作員の男たち、女たち。
20世紀にいくつかの「染み」を残した彼らへの、6編の鎮魂歌。
【 いまできる最善のこと / 畳算 / サクラ / 媽媽 / 断ち切る / 920を待ちながら 】
─── 出版社の内容紹介等から引用 ───
物語は、市ヶ谷・防衛庁情報局ではありますが、局のお偉い方や、国同士の暗部は控え目に、末端の工作員に焦点を合わせて書かれています。
短編集ということで、福井さんの長編を読みなれている方には、物足りない感じを受けるかもしれません。
ですが、物語の枝葉が削ぎ落とされ、ディテールを軽くしてる感じで、書き様によっては、中編や長編になりうるプロットとなっているので、短い分キレがあった様に思います。
福井作品らしく、アクションシーンもあり、熱いおじさんが頑張ってますので、私にはとても面白く読むことができました。
ファンサービスだと思うのですが、『 亡国のイージス 』 に登場する ある人物が出てきますので、そういった部分も 良かったです。
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・ テロリストのパラソル
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・ 新宿・夏の死
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