履歴と感想 : お

 読書履歴 と 読後感想 ( ※ 作品の記載順と出版順は必ずしも一致していません )

【 お 】

逢坂剛
・ 裏切りの日々
・ 百舌の叫ぶ夜 ・・・・・ ★★★★★
百舌の叫ぶ夜
能登半島の突端にある孤狼畔で発見された記憶喪失の男は、妹と名乗る女によって兄の新谷和彦であると確認された。
東京新宿では過激派集団による爆弾事件が発生、倉木尚武警部の妻が巻きぞえとなり死亡。
錯綜した人間関係の中で巻き起こる男たちの宿命の対決。
その背後に隠された恐るべき陰謀。迫真のサスペンス長編小説。
その後、『 幻の翼 』 『 砕かれた鍵 』 『 よみがえる百舌 』 『 のすりの巣 』 と続く 『 百舌シリーズ 』 の第一弾。
( 『 裏切りの日々 』 からの 『 公安シリーズ 』 でいうと、第二弾 )
─── 出版社の内容紹介等から引用 ───

サスペンスで、ミステリーで、ハードボイルドな作品です。
かなり複雑な構成になった作品で、各区切りごとで、時系列順に並んでいませんので、注意しながら読まないと、事の展開についていけなくなります。
沢山の謎が出てきて、最後に大きな真相が明かされるわけですが、複雑な内容にしては、そんなに難しいことはないです。
完成まで3年半もかかったらしく、この構成もプロットもよく練られていましす。
以後、シリーズとして続くのですが、本書はシリーズ最高作だと私は思います。
・ 幻の翼
・ さまよえる脳髄
・ 砕かれた鍵
・ よみがえる百舌
・ しにびよる月
・ 配達される女
・ 相棒に気をつけろ
・ ノスリの巣

大倉崇裕
・ TOOL & STOOL ・・・・・ ★★★★☆
TOOL & STOOL
さまざまな事件に巻き込まれる、日本一運の悪いお人好し、白戸修・23歳の5つの短編集。
ある朝、殺人容疑をかけられた友人が飛び込んできて目が覚めて ・・・ 『 ツール&ストール 』
怪我をした友人から突然頼まれた、怪しげな深夜のバイトに出掛けて ・・・ 『 サインペインター 』
銀行強盗が押し入った銀行に居合わせて ・・・ 『 セイフティゾーン 』
買ったばかりの携帯に、不穏な間違い電話が入って・・・ 『 トラブルシューター 』
万引き犯と間違えられて ・・・『 ショップリフター 』
小説推理新人賞受賞
─── 出版社の内容紹介等から引用 ───

短編5編共、『 巻き込まれ型ミステリー 』 の典型的な展開で、ワンパターンではありますが、明るく、軽快な作品で、かなり オススメです。
実際にはありえない様な話もありますが、それぞれ、ミステリー的な謎解きもあって、読者を納得させるだけの結末も用意されております。
結局のところ 「 お人好しにもほどがある 」 と言いたくなる主人公、白戸修のキャラクターが本作の 『 良さ 』 の全てだと言っても過言ではありません。
妻夫木聡を主人公に据えて、ドラマ化してほしいなぁ・・・なんて思うのですが、どうでしょう・・・。
・ 無法地帯 ・・・・・ ★★★★☆
無法地帯
空前の 『 食玩ブーム 』 により、400万円のプレミアがついたレアグッズをめぐり、殺人事件が起きる。
怪獣大好きヤクザ、食玩コレクターの私立探偵、モラルゼロのオタク青年・・・。
幻の ? を奪い合う、仁義なき戦い。 勝者は誰だ!
オタク道35年の著者がおくる、情熱の書き下ろしミステリー。
─── 出版社の内容紹介等から引用 ───

とにかく 本書は面白い。
全編にわたって “ オタク パワー 全開!” で、オタクの気質がある人には かなり楽しめ、笑えるかと思うのですが、それだけではなく、物語の本質は ハードボイルド小説(?)。
ストーリー展開はテンポよく、アクションシーンも多く、ミステリーの要素もありつつ、サスペンスでもある。
もちろん、オタクではない人が読んでも、楽しめるようになっているので、そういった心配は無用です。
おバカな オタク・ハードボイルドなこの作品。 いかがでしょうか?

大沢在昌
・ 標的はひとり
・ 氷の森
・ 新宿鮫 ・・・・・ ★★★★☆
新宿鮫
歌舞伎町を中心に、警官が連続して射殺された。
ただ独りで音もなく犯罪者に喰らい付く、『 新宿鮫 』 と怖れられる新宿署刑事・鮫島。
犯人逮捕に躍起になる署員たちをよそに、鮫島は銃密造の天才・木津を執拗に追う。
待ち受ける巧妙な罠!絶体絶命の鮫島…。
登場人物の圧倒的な個性と最後まで息をつかせぬ緊迫感!超人気シリーズ第一作。
─── 出版社の内容紹介等から引用 ───

本書はリアルな警察小説であるのに、いい意味で、小説らしい虚構を織り交ぜて、うまくとまとめられています。
新宿鮫と呼ばれる、主人公鮫島は、ロックシンガーの彼女がいて、キャリアでありながら出世には興味はなく、現場に留まろうとします。
上層部から目を付けられるのですが、自殺した同期の警察官から、公安内部の暗部を記した、警察組織を根底から崩しかねない手紙を託された為、上層部は鮫島をどうすることもできず、新宿署に預けられる事となります。
主人公は無敵のヒーローではなく、人間としての弱い部分もあって、好感がもてました。
・ 毒猿
・ 烙印の森
・ 屍蘭
・ 無間人形
・ 走らなあかん、夜明けまで ・・・・・ ★★★★★
走らなあかん、夜明けまで
箱根から西へは行ったことがないという坂田勇吉は東京生まれ東京育ち、生粋の東京者。
食品会社に勤める若手サラリーマン、27歳の彼が、新製品のサンプルが入った大事な鞄を、間違って盗られてしまう。
土地勘もないこの街で、ヤクザ同士のメンツをかけた争いに巻きこまれ、次々襲ってくる過酷な状況 ・・・。
─── 出版社の内容紹介等から引用 ───

大沢在昌作品というと、『 その道のプロ 』 みたいな主人公が出てくる、硬派なものが多いですが、これは全然違います。
普通の人が、次から次からと、トラブルに巻き込まれていきます。
それも、制限時間ありです。
かなり、緊迫した状況ではあるのですが、地元の人に助けられながら頑張ります。
その地元の人たちが とてもいい。
大沢在昌作品とは思えないほど、軽快な作品。
・ 炎蛹 ・・・・・ ★★★★☆
・ 天使の牙
・ 雪蛍
・ 北の狩人
・ 涙はふくな、凍るまで
・ 眠たいやつら
・ らんぼう
・ 氷舞
・ 灰夜
・ 風化水脈
・ 闇先案内人

岡嶋二人
・ 焦茶色のパラソル
・ どんなに上手に隠れても
・ 三度目ならばABC
・ チョコレートゲーム
・ コンピュ-タの熱い罠
・ とってもカルディア
・ 七日間の身代金
・ 殺人者志願
・ ダブルダウン
・ そして扉が閉ざされた
・ 眠れぬ夜の殺人
・ 99%の誘拐
・ クラインの壷
・ 眠れぬ夜の報復

小川勝己
・ 葬列
・ 彼岸の奴隷
・ 眩暈を愛して夢を見よ

荻原浩
・ 噂
・ ハードボイルドエッグ ・・・・・ ★★★★★
ハードボイルドエッグ
中学の頃にフィリップ・マーロウに憧れ、マーロウのようにいつも他人より損をする道を選ぶことに決め、とうとう脱サラして事務所を開いた私と、ダイナマイト・ボディ(?)の秘書。
だが、来る依頼は動物の捜索ばかりなのだが、突然、殺人事件に巻き込まれ・・・。
たっぷり笑えて、1回泣ける、ワンダフルなミステリー。
─── 出版社の内容紹介等から引用 ───

とにかく、マーロウに憧れる主人公が笑えます。
秘書を一人雇うのですが、この秘書 『 片桐綾さん 』 も笑えます。
( どんな秘書が来るかは、読む時のお楽しみ・・・ )
この二人のコンビをコミカルタッチで描いています。
事件の結末は、終盤想像がついてしまうのは、ご愛嬌ですが、最後にほろりと・・・。
ハードボイルド風ですので、ハードボイルドが苦手な方でも大丈夫です。
また、ハードボイルドが好きな方は気に入るかと思うのですが、ハードボイルドにこだわりがある方は、ダメかもしれません。
・ 誘拐ラプソディ ・・・・・ ★★★★★
誘拐ラプソディー
38歳にもなって女房も子どももいない。
住む家も、金もない。
あるのは320万円の借金と前科だけの男が、死を覚悟した時に訪れた誘拐のチャンス。
主人公が、誘拐した6歳の子供は、広域暴力団の組長の息子で ・・・。
─── 出版社の内容紹介等から引用 ───

ユーモア・ミステリーやコメディでよくありそうな話ではあるのですが、それぞれのキャラクターがしっかり書けているおかげなのか、あまり馬鹿馬鹿しくなくて、結構しっかりまとまっている作品の様に思います。
主人公は明るいタイプではないのですが、作品としては、軽快で、明るいです。
後半、ほろっとくるところがあったりして、なかなか味のある作品かと思います。
・ コールドゲーム
・ 母恋旅烏 ・・・・・ ★★★★★ ( + ★ )
母恋旅烏
花菱清太郎が家族全員を巻き込んで始めたのは、レンタル家族派遣業。
元大衆演劇役者という経歴と経験を武器に意気揚々と張り切ったものの、浮草稼業に楽はなし。
失敗につぐ失敗に、借金がかさみ火の車。
やがて住む家すらも失い、かつての義理で旅まわりの大衆演劇の一座に加わることとなったが―。
はてさて、一家六人の運命やいかに。
─── 出版社の内容紹介等から引用 ───

ダメ親父、優しい母親、弱気な長男、と勝気な長女、その姉の娘と次男の6人家族のお話です。
この家族もそうですが、その他の登場人物もかなり個性的で笑わせてくれます。
前半、レンタル家族派遣業で、仲の悪い家族が仕事の最中は仲がよく、客に振り回されドタバタ劇 ・・・。
後半、大衆演劇一座に戻って、やはりドタバタ劇 ・・・。
笑わせてくれるだけでなく、泣かせどころもあって、さすがはこの作者、そつが無いです。
芝居小屋の話のせいか、読み終わってから心の中で拍手をしたくなりました。
自信をもってお薦めできる作品です。
騙されたと思って、ぜひとも、手にとって下さい。
ちなみに、題名は 『 ははこいたびがらす 』 と読みます。
・ メリーゴーランド ・・・・・ ★★★★☆
メリーゴーランド
超赤字テーマパークを立て直すことになったのは、新しい部署に移ったばかりの一公務員。
地方都市の村興しと権力闘争に翻弄され、優雅なアフター5はままならない。
おかしくて哀しき奮闘を描く宮仕え小説。
─── 出版社の内容紹介等から引用 ───

やる気が無い役所の上司や、融通もきかず、やる気も全く無い出向先の幹部連中に、無理難題を突き付けられ、途方に暮れながらも、仕事と家とのバランスをとりながら、主人公は一生懸命頑張ります。
頑張っても頑張っても、なかなか報われず、それでも なお頑張る姿には応援したくなるのですが、物語の中でも、最初は孤軍奮闘だったのが、徐々に応援してくれる仲間が集まってきます。
物語は、最後に意外な展開をするのですが、お役所体質を痛烈に皮肉った作品らしい締め括りだった様にも思います。
サラリーマンの悲哀も感じますが、頑張れば いつかきっと・・・そう思わせてくれる作品です。
作品の序盤に出てくるのですが、とても気に入った台詞があります。

『 さぁ 行きましょう。 椅子は立ち上がる為にあるのです。 』

果たして、赤字のテーマパークは立て直す事が出来るのでしょうか ・・・ それは、読んでのお楽しみです。
・ 僕たちの戦争 ・・・・・ ★★★★☆
僕たちの戦争
サーフィンをしていた19歳の健太は、なぜか 昭和19年・第二次世界大戦中の日本に飛ばされてしまい、同時に、昭和19年から、霞ヶ浦練習航空隊の戦闘機の訓練生であった吾一が入れ替わるようにして2001年へと飛ばされてしまう。
コミックノベルの第一人者が放つ、愛と青春のタイムスリップ・ウォー。
2003~04年 『 小説推理 』 連載に加筆訂正し単行本化。
─── 出版社の内容紹介等から引用 ───

タイムスリップを物語の主軸に置いている為、当然ながらSF的な要素があるのですが、そういったことよりも、登場人物の気持ちの “ 揺れ ” といった部分に面白さがありました。
健太と吾一がそれぞれ、全く違った環境下に置かれ、それぞれの時代感覚のズレに戸惑いながらも、なんとか順応していこうとする姿を、時に滑稽に、時にシリアスに書かれています。
ネタバレになるので、詳しくは書けませんが、恋愛小説的な要素もあって、そういった部分が蛇足にはならず、効果的です。
作品タイトルや、戦争が背景にある為、重く、堅苦しい作品かと思われがちですし、実際に そういった部分もありますが、それだけではありません。
作者の御都合とでもいう様な部分もあって、気にならなくもないですが、細かい部分は気にせず、素直に読まれると とても楽しく読めると思います。
読み終わってみると、せつない気持ちになりながらも、どこか前向きな印象のこの作品 ・・・ いいです。
・ 明日の記憶 ・・・・・ ★★★★★
明日の記憶
知っているはずの言葉がとっさに出てこない。
物忘れ、頭痛、不眠、目眩 ― 告げられた病名は若年性アルツハイマー。
どんなにメモでポケットを膨らませても確実に失われていく記憶。
そして悲しくもほのかな光が見える感動の結末。
上質のユーモア感覚を持つ著者が、シリアスなテーマに挑んだ最高傑作。
─── 出版社の内容紹介等から引用 ───

この物語は、決して他人事ではない。
それゆえに、読んでいて 怖くなります。
主人公が病名を聞かされてからの混乱した様子には、“ 自分だったらどうだろう ” と 何度も考えてしまいました。
認めたくないと思いながらも、病気は進行していき、自分に対する自身は徐々に失われていく・・・。
娘がわからなくなる、妻がわからなくなる、そして自分が自分でなくなる。
社会の中の自分、友人や家族、そして夫婦・・・と、色々と考えさせる部分も多い作品ではありますが、難しい本ではありません。
ともすれば、暗さ一辺倒の作品になってしまいそうなテーマなのですが、そのようになってないのは、作者である 荻原さんらしくもあり、また、そうであるからこそ、物語の締め括り方が美しく思えるのかもしれません。
本当の怖さは、この物語のあとにあって、この作品で描かれているのは 奇麗事だと思う方もおられるかと思いますが、その部分につきましては、私は あえて言及いたしません。
なぜなのかは、読み終わり、最後に涙した方なら わかっていただけるのではないでしょうか・・・。
私は、この本に出逢えてよかった ─ そんなふうに思います。
・ ママの狙撃銃

奥田哲也
・ 三重殺

奥田英朗
・ 最悪 ・・・・・ ★★★★★
最悪
不況にあえぐ鉄工所社長の川谷は、近隣との軋轢や、取引先の無理な頼みに頭を抱えていた。
銀行員のみどりは、家庭の問題やセクハラに悩んでいた。
和也は、トルエンを巡ってヤクザに弱みを握られた。
無縁だった3人の人生が交差した時、運命は加速度をつけて転がり始める。
─── 出版社の内容紹介等から引用 ───

泥沼にはまっていく、という表現がぴったしの物語です。
良くない事が続くってよくある話ではありますが、これだけ続くとは・・・。
それぞれ、三者の視点で物語が進むんですが、途中集約され、とんでもない事になってしまいます。
これだけ、ハチャメチャにしたにしては、最後は、収まるところに収まったような締め方・・・。
全然、難しい本ではありませんし、素直に 『 面白い本 』 だと言えますので、何も考えず、頭からっぽになって、読んで下さい。
・ 邪魔
・ イン・ザ・プール ・・・・・ ★★★★☆
・ マドンナ ・・・・・ ★★★★★
マドンナ
各話共通として、40歳位のサラリーマン男性が主人公で、職場と家でのやりとりが書かれています。
『 マドンナ 』
直属の部下にタイプの女性総合職がやってきて、ドキドキするが・・・。
奥さんの心中はいかに・・・
『 ダンス 』
上司から、同期の者を自分の部下にするか、後輩の部下にするかの選択をせまられ・・・。
ダンス教室に行きたがる息子に、父親として・・・。
『 総務は女房 』
営業から期間限定で総務に異動したところ、そこでは、出入り業者との持ちつ持たれつな関係が・・・。
リサイクルのサークル活動に参加の奥さんから・・・。
『 ボス 』
女性上司がやってきて、今までの慣例を改革していくことに反発して・・・。
奥さんの意外な一面を見て・・・。
『 パティオ 』
集客力不足の、埋立地再開発エリア『パティオ』で、いつも見かける高齢男性が・・・。
ひとりになった父親との接し方が・・・。
─── 出版社の内容紹介等から引用 ───

短編なんで、あんまり詳しく説明すると、未読の方の楽しみがなくなりますので、書け無いのが残念です。
私はまだ40にはなってませんが、サラリーマンということもあって、とてもよくわかる話ばかりでした。
30・40・50のサラリーマンやってるお父さんには、かなり面白いと思います。
ただ、5つの話のすべてにおいて、主人公と奥さんのキャラクターが似ているのは、どうかなぁって思いました。
作品の統一感を出す為に、あえて、そうしてるのだろうとは思ったんですが、もう少し変えた方が、いいようにも思いました。

乙一
・ 夏と花火と私の死体
・ 失踪HOLIDAY
・ さみしさの周波数
・ GOTH ・・・・・ ★★★★☆
GOTH
ぼくは、死体が見てみたい ・・・
森野が拾ってきたのは、連続殺人鬼の日記だった。
学校の図書館で僕らは、次の土曜日の午後、まだ発見されていない被害者の死体を見物に行くことを決めた ・・・。
触れれば切れるようなセンシティヴ・ミステリー。
※ 本書は以下の6つの短編からなる小説です。
( 1 ) 暗黒系 ( 2 ) リストカット事件 ( 3 ) 犬 ( 4 ) 記憶 ( 5 ) 土 ( 6 ) 声
─── 出版社の内容紹介等から引用 ───

常軌を逸した事件が多く出てきて、グロテスクな描写も多く、ホラー色の強い作品です。
主人公まで普通ではなく、人が死んだところを見て回るのが好きだという、キャラクター設定になってます。
残酷な猟奇事件が起きているというのに、最後にはそういったことを緩和する部分があったりして、不思議な読後感があります。
短編ということもあって、内容については触れずにおきます。
それぞれで完結してはいますが、最後の最後に、ある仕掛けがあって、私は見事にやられてしまいました。
読者を選ぶ作品かとも思いますが、私は面白く読む事ができました。
・ ZOO

折原一
・ 五つの棺
・ 倒錯のロンド
・ 倒錯の死角
・ 鬼面村の殺人
・ 螺旋館の殺人
・ 猿島館の殺人
・ 灰色の仮面
・ 丹波家殺人事件
・ 蜃気楼の殺人
・ 異人たちの館
・ 沈黙の教室 ・・・・・ ★★★★★
沈黙の教室
1973年、青葉ケ丘中学の3年A組では悪質ないじめが横行していた。
何者かが不気味な恐怖新聞を発行し、つぎつぎと粛清の対象を指名しては行なわれる、残酷ないじめ。
悪魔の化身のようなクラスを担任教師が呼んで 『 沈黙の教室 』 …。
そしてやがて20年がたち、クラスの同窓会の告知が新聞に載った時、新たな恐怖と粛清がひそやかに進行しはじめる。
多重構造の謎と、じわじわと忍びよる恐怖。
日本推理作家協会賞長篇賞受賞。
─── 出版社の内容紹介等から引用 ───

この作者らしく、叙述トリック物ですが、『 ホラー風味のダーク・サスペンス 』 という感じでしょうか・・・。
ホラーは雰囲気だけで、和製ホラーにありがちな、『 いやな感じ 』 がありますが、実際はホラー作品ではありません。
ただ、途中途中で出てくる 『 恐怖新聞 』 なるものが、よくできていて、怖さを演出しています。
叙述トリック物なので、あまり詳しく書くと、面白さが薄れますので,書けませんが、とにかく面白かったです。
折原さんの作品らしく、多重構造・叙述トリック・小道具・・・と、凝った作品ですが、他の作品と比べると、難しすぎず、簡単すぎずで、とてもバランスがいいのではないかと思います。
折原作品を読み慣れている方でしたら、犯人(首謀者)を当てる事は、そう難しくありません。
とてもよくできた小説です。
たまには、こういったダークなもの・・・いかがでしょうか・・・。
・ 望湖荘の殺人
・ 黒衣の女
・ 冤罪者
・ 黄色館の秘密
・ 暗闇の教室
・ 倒錯の帰結

恩田陸
・ 六番目の小夜子 ・・・・・ ★☆☆☆☆
六番目の小夜子
とある高校に十数年間にわたり、続いている奇妙な慣わし ・・・。
三年に一度、サヨコと呼ばれる生徒が選ばれ、今年は、『 六番目のサヨコ 』 が誕生する年だった。
そこに、津村沙世子という、美しく謎めいた転校生が現れ ・・・ 。
学校生活、友情、恋愛等、青春群像的な作品。
─── 出版社の内容紹介等から引用 ───

この本は、書評家や本好きの方々には、結構高評価な作品なんですが、私はかなりイマイチでした。
この本は、上にも書きましたが、 『 青春群像 』 として読む分にはいいかもしれませんが、ミステリーとしては、あまりにも中途半端です。
いくつかの謎については、解答が提示されますが、伏線は伏線のまま、置き去りにされて終わってしまいます。
作者の意図なのかもしれませんが、こういうのっていかがなものか・・・。
3/4位までは、かなり面白かったのですが・・・。
・ ドミノ ・・・・・ ★★★★☆




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