履歴と感想 : こ

 読書履歴 と 読後感想 ( ※ 作品の記載順と出版順は必ずしも一致していません )

【 こ 】

古処誠二
・ UNKNOWN ・・・・・ ★★★☆☆
UNKNOWN
侵入不可能なはずの部屋の中に何故か盗聴器が仕掛けられた。
密室の謎に挑むのは防謀のエキスパート・防衛部調査班の朝香二尉。
犯人の残した微かな痕跡から、朝香は事件の全容を描き出す。
第14回メフィスト賞受賞作
─── 出版社の内容紹介等から引用 ───

『自衛隊』を扱ったものですが、重くなく、軽い感じがしてとても読みやすい作品です。
これは、主人公の野上三曹や、朝香二尉、そして、脇役の同僚、後輩、上官など、キャラクターいいからだと思います。
作者は元自衛官なんだそうですけど、それにしても、自衛隊の事をきっちりと、細かく書けている感じがします。
本書は自衛隊を美化しているわけではなく、市民側からの立場も理解した書かれ方だと思いますので、自衛隊に良い印象を持ってない方が読むと、ちょっと考えさせられるかもしれません。
なお、『 UNKNOWN 』とは、自衛隊用語では識別不明機のことだそうです。
・ 少年たちの密室 ・・・・・ ★★★★☆
少年たちの密室
東海地震で倒壊したマンションの地下駐車場に閉じ込められた6人の高校生と担任教師。
暗闇の中、少年の1人が瓦礫で頭を打たれ死亡する。
事故か、それとも殺人か?殺人なら、全く光のない状況で一撃で殺すことがなぜ可能だったのか?
周到にくみ上げられた本格推理ならではの熱き感動が読者を打つ傑作!
─── 出版社の内容紹介等から引用 ───

緻密なプロットと、よく練られたストーリー、そして 最後に待つ事件の真相と、面白く読む事ができたのですが、殺された極悪不良少年達の陰湿さが、あまりにも酷いのと、少年犯罪や教育問題等を内包する作品ですから、本書を 『 面白い 』 と表現するのをはばかられる程、読後は重いです。
ただ、いくつか不自然な部分や、作者の都合とも取れる部分もないこともなく、少し残念でした。
それと、主人公が物語りのケリをつけたというよりも、第三者が締め括った様な形になっているので、主観的ではなく、客観的な目線になっているのは、作者の意図するものなのでしょうけど、そうした事が効果的であったかどうかは疑問です。
登場人物が極限状況に陥る作品は、緊張感があって好きなのですが、本書は そういった部分はそれ程感じられません。
それは、その出来事を振り返っているという書かれ方である事と、主人公の冷静さや、真相を推理する事に重きを置かれているからの様に思われます。
批判的な事をいくつか書きましたが、本書はオススメです。
・ 未完成 ・・・・・ ★★★☆☆
未完成
世界の常識がひっくりかえっても美沙汰にすることができない大事件
・・・ 二重三重に閉ざされた孤島の射撃場で、何人もの隊員が見守るなか、小銃が消え失せた! ・・・
事態を完璧な秘密状態のまま解決するという難題に挑むのは防衛庁調査班の朝香二尉と相棒の野上三曹。
─── 出版社の内容紹介等から引用 ───

デビュー作 『 UNKNOWN 』 の朝香二尉と野上三曹の2度目の登場で、物語も前作同様、登場人物のいい意味での軽さや明るさと、作品の重いテーマが微妙なバランスを保っています。
自衛隊における銃等の取扱いの煩雑さがよくわかり、それゆえ銃の消失という事が、自衛隊の実状からして、いかにの重大かという事が感じられます。
また、国防の重要拠点なのに、あまりにも無防備な離島の基地という現状に対する自衛隊員の心情もよくわかります。
自衛隊と近隣住民等との関係は、前作とは随分違い、共存関係的なもので、登場人物達で人間臭くて、その事も物語の重要な要素になっていると共に、本作の面白さの要因でもあります。
ただ、ひとつひとつの出来事や要素に無駄がなさすぎて、終盤までにある程度、事件のあらましがわかってしまうのはしょうがないですが、それでも納得の真相でした。
前作同様、色々と考えさせる作品ですし、難しい部分もありますが、読後感は重くありません。

小林泰三
・ 玩具修理者
・ 人獣細工
・ AΩ




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