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2018年02月03日
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1958年、米サウスカロライ(SouthCarolina)州にあるグレッグ家の庭に核爆弾が落ちたときのこと──地面には大きな穴が開き、数羽の鶏が死に、一家は軽傷を負って自家用車のシボレーは大破した。
 B47爆撃機に搭乗していた空軍大尉がうっかりレバーをつかんだことで、爆弾倉が開いてしまった(大尉もあわや落下するところだった)ことが原因だったが、爆弾に核分裂性核種が搭載されていなかったのは、不幸中の幸いだった。

 しかし当時、他の米軍機は完全な機能を備えた核兵器を運んで頻繁に飛行しており、先週オーストリアの首都ウィーン(Vienna)で開催された核兵器に関する国際会議で指摘されたように、こうした事故は決して単発的なものではなかった。

「核爆発を起こさずに冷戦(Cold War)を終えたことは幸運だった」と、58年やその他の核兵器にまつわる事故について書かれた『コマンド・アンド・コントロール(Command and Control)』の著者エリック・シュローサー(Eric Schlosser)氏は同会議で述べた。

「問題は、運はいつか尽きてしまうということだ」と語った同氏は、情報自由法(Freedom of Information Act)に基づく膨大な資料の請求や政府高官らのインタビューなど、新著のための調査に6年を費やした。

 1961年に起きた事故では、B52爆撃機が空中分解し、旋回しながら落下した。その遠心力によって、完全に運用可能な水素爆弾がノースカロライナ(North Caroline)上空に放り出された。「広島の数百倍もの威力を持つ水爆の爆発を防ぐことができたのは、水爆が備えていた、たった1つのスイッチだった」とシュローサー氏は言う。

 1968年には、水素爆弾4発を積んだB52爆撃機がグリーンランド(Greenland)のチューレ(Thule)空軍基地近くに墜落した。核物質を囲む爆薬は爆発したが、核爆発は避けられた。だが、一帯は放射性プルトニウムに汚染され、爆弾1発の一部はまだ発見されていない。

 1980年には、当時の国家安全保障担当大統領補佐官、ズビグニュー・ブレジンスキー(Zbigniew Brzezinski)氏が、夜中の2時半に起こされ、ロシアが核ミサイル220発を米国に向け発射したと知らされた。ミサイルの数はさらに、次の報告で2200発に訂正された。米軍機がエンジンをかけ、ブレジンスキー氏がジミー・カーター(Jimmy Carter)大統領に電話をかけようとしていたときに、ようやく誤報だったと判明した。原因は、価格が50セントにも満たないマイクロチップ1個の誤作動だった。

最も心配なのは、核兵器を配備するのに必要な時間が短縮されたために「一触即発の」危険があることだと、米国の核ミサイルの元監督官で現在はプリンストン大学(Princeton University)で教えるブルース・ブレア(Bruce Blair)氏は言う。「ロシアはプロセスの自動化によって発射までの時間を短縮した。モスクワ(Moscow)から、遠くはシベリア(Siberia)まで離れた発射装置からミサイルを直接発射するのに、ロシア軍の指揮官が必要な時間は数秒ほどだ」

サイバー攻撃の危険性
 ハーバード大学(Harvard University)法科大学院バークマン・インターネット社会研究センター(Berkman Center for Internet and Society)のカミール・M・フランソワ(Camille M. Francois)氏によれば、高度な自動化により、冷戦時代にはほぼ考えられなかったリスクが生じている。それは、サイバー攻撃のリスクだ。

「核兵器はサイバー攻撃に対し、極めて脆弱だ」とフランソワ氏はAFPの取材に語った。さらに、政策立案者らは1983年の映画『ウォー・ゲーム(WarGames)』のような一匹狼のハッカーによる攻撃のみ想定した「1980年代の考え方」に固執し、サイバー攻撃はインターネットを通じてのみ行われると信じ込んでいると、同氏は警鐘を鳴らしている。「もはや若者ではなく、国家がサイバー戦争に非常に多くを投資している。これは新たな戦場、第5の戦争領域だ」

元米国務省高官で現在は英シンクタンク「国際戦略研究所(International Institute for Strategic Studies、IISS)」に在籍するマーク・フィッツパトリック(Mark Fitzpatrick)氏はAFPの取材に対し、核爆発事故がこれまで一度も起きていないという事実は、「核兵器を扱う人々が、自分たちの任務に真剣に取り組んでいることを示している」と語った。「だが一方で、そのような事故がこれまで起きなかったのは、非常に幸運なことだ。この問題の緊急性は誇張されることもあるが、私はそのリスクや誤りが生む破滅的な結果を軽視したくない」

「核兵器は、これまで開発された兵器の中で最も危険なものだ」と、シュローサー氏はAFPに語った。「わたしたちは、この技術を開発した瞬間から今まで、これを制御できたことは一度もない」(c)AFP/Simon STURDEE





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最終更新日  2018年02月03日 08時51分03秒


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