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2003.09.29
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カテゴリ: 書籍と雑誌


【追記】No.2

本文中の書籍『虹の民におくる歌』は完売したそうです。
リンクも外しておきます。


【追記】No.1

いただいた質問

> 「虹の民」Rainbow Raceというのはどういった意味あいなのでしょう?
> PeopleではなくてRaceなのでRainbowは肌の色でしょうか?


「虹の民」はピート・シーガーの曲にもあります。
中川五郎さんの訳詞の「虹の民」が、反核・反原発の集会やデモでよく歌われました。

「虹の民」の原題も"My Rainbow Race"で、「people」ではありません。
これは本人ピートさんの弁では「地球へのラブソング」なんだそうです。
「one blue sky, one ocean, one earth」という詞が出てくるので、地球上の人々は「one race」であると歌っているのだと思います。
質問されるまで気づきませんでしたが、確かに「rainbow」は様々な肌の色を指しているのでしょう。

ちなみに、「虹の民」は1967年にピートさんが雑誌で見たヤマハの「世界歌謡コンテスト」に応募するために作ったんだそうです。
優勝賞品は日本への無料旅行。
あっけなく落選したそうです。




12弦ギターの良い教本はないかしらと探していたら、ピート・シーガーさんが出してました。
翻訳は出ていません。
amazon.co.jpでは品切れ。
amazon.comなら買えるようだけど、ちょっと待ってみます。
ピートさんが出している、5弦バンジョーの教本は日本でも買えます。

大昔ですが、「セサミストリート」にピートさんが何度かゲストで登場してました。
この人のバンジョーはやけにサオが長いなあと思ったのですが、やはりあれは特注品でした。
バンジョー奏者、そして12弦ギターの奏者としても有名なんですね。

そんなことをしていて見つけたのが、ピート・シーガー著『虹の民におくる歌』(社会思想社 本体7500円+悪税)。
だいぶ前に見かけて、ちょっと欲しいけど高いなあと手が出ませんでした。
ところが、版元の社会思想社が倒産してしまいました。
あ、あの本どうなったんだろ?
と思ったら、高石ともや事務所でかなりの部数を買い取ってくれたようです。
5000円+送料400円で買えるようになっているのを見つけました。

虹の民におくる歌
こういうふうにして、『虹の民におくる歌』が届きました。
B5の天地を4cmほど切り落したような変形版で、本文は250ページ程度。
予想していたよりずっと薄い本で、定価が7500円では誰も買わないだろうという感じです。

いくらなんでもこの定価はないだろうと思ったら、「日本語版への序」を読んで謎が解けました。
初版のうち1000部を日本中の図書館に寄贈したのだそうです。
もちろん増刷・重版などなかったはず。
ああ、社会思想社よ、安らかに眠れ!

ぱっと見、読みにくそうな本。
ピートさんの回想が、必ず楽曲の楽譜と共に語られている。
ギター片手に、あるいはバンジョー片手に読む本なのだろう。
ただ、歌詞が微妙。
つまり、日本語訳部分は、歌うための詞ではなくなっているからだ。
意味を伝えるための翻訳で、これでは歌えない。
アメリカ語を母語としていないのだからしかたがない。

でも、本の内容はとても濃いです。
ピート・シーガーさんはさすがに筋金入りであります。
日本で脱色されて商売になった「フォーク・ソング」のうさん臭さがよくわかります。
本田路津子さんの訳詞でヒットした「ひとりの手」の原詞が載っているのだが、まあ驚きました。
(私がモノを知らなかっただけか。商業主義の代表みたいな言及の仕方で、本田さんには申し訳ない。)

原曲"One Man’s Hand"の作詞者はアレックス・コンフォート(Alex Comfort)というアナーキストです。
数学者なんだそうで、1950年代にバートランド・ラッセルが率いた核軍縮の運動に参加して、この歌を作ったそうです。

  ♪Just my hands can’t tear a prison down♪
  ♪Just your hands can’t tear a prison down♪

tearは「涙」じゃなくて、「引き裂く」のテアですね。
だから、

  ♪私の手だけじゃ牢屋は壊せない♪
  ♪君の手だけじゃ牢屋は壊せない♪

と歌ってるんです。
「何もできない」と歌うのではなくて、もっと具体的に何をしたいかはっきり主張している、戦闘的な歌です。

 2番以降は
 「私の声だけじゃ彼らに届かない」
 「私の力だけじゃ原爆は止められない」
 「私の力だけじゃ人種差別は破れない」
 「私の力だけじゃ組合は作れない」
 「私の足だけじゃこの国を横断できない」
 「私の目だけじゃ未来をはっきり見ることはできない」

朝鮮戦争、マッカーシーの赤狩りの時代に、ピートさんは公の場でこれを歌ったわけですよ。

ギターとバンジョーのチューニングや、メロディや歌詞の話、自分と関わった人々の話と、いろいろ楽しいです。
分冊・完訳にしてほしかったなあという気がします。

この本での大きな収穫の一つは、茨木のり子さんの「わたしが一番きれいだったとき」の英訳にピートさんが曲を付けた"When I Was Most Beautiful"の楽譜が載っていること。
やっと見つけたという感じです。

 > わたしが一番きれいだったとき
 > 街はがらがら崩れていって
 > とんでもないところから
 > 青空なんかが見えたりした

この詩が

 > When I was most beautiful,
 > Cities were falling
 > and from unexpected places
 > blue sky was seen.

こんなふうに訳されてます。
訳詞の場合、素直な散文ではあるけれど、詩にはなっていないような気がしますが、これは仕方ないか。
私なんぞが偉そうに言えることではありませんな。
ボブ・ディランの訳詞で有名な 片桐ユズルさん の翻訳です。
ピートさんが来日した時にユズルさんの訳詩に出会って曲を付けたという話です。

さて、どうして「most beautiful」に「the」が付いていないんでしょうか。
これは一人の人物の変化を比べているので、形容詞の最上級だけど「the」をつけちゃいけないんですね。

残念ながらピート・シーガーが歌った音源はまだ見つけていません。

わたしが一番きれいだったとき


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Last updated  2005.02.08 03:51:49
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