仕込み水編


最初はお酒の基本的な性質を決める水について書きます。

まず、お水には純粋な水(いわゆる蒸留水)があります。これが硬度0の軟水と言うことになります。しかし、こういう純粋な水は天然には存在せず、何がしかの他の成分が混ざっています。主なものがミネラル分です。水の硬度を言う場合この中でも、カルシウムとマグネシウムの含有量を測定して、100mlの水の中に何mg含まれているかで決めています。(現在ではカルシウムイオン測定法に変わっているので、何ppmかですね)
一般的には硬度が0~10なら軟水、11~20を中硬水、21以上を硬水と言いますが、日本の水で硬度21以上の硬水は珍しく、当然日本酒造りに使われる水の場合にも、硬度21以上の硬水がほとんど無いため、国税庁方式の呼称では、0から3までを軟水、3を超えて6までを中軟水、6を超えて8までを軽硬水、8を超えて14までを中硬水、14を超えて20までを硬水、20を超えるものを高硬水と呼んでいるようです。
よく、灘の宮水は硬水云々と言われますが、実際には硬度9の軟水、国税庁風に言っても中硬水です。しかし日本の一般的な井戸水の硬度はせいぜい5程度なのでそれから比べるとかなりの程度硬水であるといえます。

さて、それではお水でどの程度お酒の味って変わってくるんでしょうか?
実はものすごく変わってきます。特に精米歩合の高いお酒になればなるほど影響します。また、純米酒に比べてアルコール添加のお酒のほうが影響度合いが高いです。これは、精米歩合が高くなるまたはアルコールを添加すると基本的に味がすっきりしてくる=ストレートに水の味を感じやすくなるからに他なりません。

また、ミネラル分であるカリウムやリン酸は酵母や麹にとっての栄養分になるためこれがある程度含まれているほうが味が乗ったお酒になりやすい傾向にあります。
灘の男酒と言われるのも宮水がお酒の醸造を程よく助けて味の乗ったお酒に仕上がるからです。
ただし、宮水の秘密は単にカリウムやリン酸だけでなくその他のミネラル分もほどよく溶け込んでいてそれらも微妙に味に影響しているからだと言われています。
何がどの程度味に影響しているのかは今もって十分に解き明かされているとは言えない状況です。


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