GOlaW(裏口)

2005/06/13
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 一か八か。
 その一瞬に、彼は全てを賭けた。
 賭けによるペナルティよりも、賭ける事そのもので守る”余りあるほどの家族との約束と信頼”が大きかったから―――。


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「つまんない嘘、つくなよ」
 少年が嘘をつくのは、自分に気を引きたいからです。それ以上もそれ以下もありません。
 だからこそ次郎の言葉に込められた『願望』と『絶望』、『悔しさ』を敏感に嗅ぎ取るのです。そんな嘘は最低だ、”つまらない”と言い切るんです。
 それが少年には許せませんでした。
 指を差し出し、第五話ラストの次郎と朋美の仕草を再現することで『約束』を思い出させます。
”聞いてたんだからな、なかったことなんかにするな”
 そして『約束』を『嘘』になんか昇華するな、と釘を刺すのです。

 次郎は”家族”と”レース”が切り離せないものになっていたことを、少年から教えられるのです。

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「レーサーって、本気で女の人を好きにならないから」

 その言葉にまず、『プライド』(フジテレビ系)を思い出し、次に『フードファイト』の十話を思い出しました。
 どちらも”レースに勝ちたいなら、家族・恋人を捨てろ”という内容。その言葉を聞くたびに「(中指おっ立てつつ)…脚本家、ちょっと来い」と呟きましたっけ(←喧嘩売るなっ)。
 私自身は、”勝負のために家族を捨てる孤高”というのが、かっこいいとは思わないんです。
 むしろ、一之瀬監督の考え方と良く似ています。(詳しくは、第五話感想記事あたりを参照)
 監督の言葉に、”そう、そうなんだよね!”と強く思い、”ドラマがこの路線を目指してる!”ということに喜びを感じました。


 次郎は『風の丘』に帰るまで”マシンの上ではいつも一人”という考えのもと、自分のことだけを考えていた気がします。
 けれども子供達と互いに土足で心に入り込むうちに、彼の中に自分だけの物でない”思い”が降り積もってきました。
 そして独り善がりのプライドがこそげ落とされたのです。

 今の彼にとって、”家族がいること”と”レーサーであること”は同義語になっています。
 そしてそれこそが、実はレーサーとしての次のステップへ向かう課題だったのです。

 …あるいは”人それぞれのレース”(第二話)でも、人は一人きりなのかもしれません。
 その中で必死に加速しようとすれば、視野もどんどん狭くなります。
 人間が一人きりでその視野を見つめようとすれば、神経を極限まですり減らした挙句に限界がくるのかもしれません。
 ですが、彼の中に蓄えた”思い”の数々が、彼の視界をこじ開け、自分の居場所をしっかりと示し、更なる加速に対応させるのでしょう。

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「全てを賭けられるのかね?」
 誇り、過去、職、信念…それら全てを失っても、今、この場で彼に残るものがありました。
 それは”家族”への思いであり、笑顔の下で弾ける寸前の”家族の涙”でした。
 だからこそ、賭けを受け入れることができたんだと思います。

 賭けの重大さを認識し、受け止めることができた次郎は、第一話からは考えられないほど大人になったと感じます。

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 大人達の人間模様がいきなり動き始めたのに驚いています。
 たまきが自分でさえ乗れなかった次郎の”心”に、朋美が乗ったことに寂しさを感じたり。
 元一郎とライバルが予告で、”殺気混じりの視線”を送っていたり(おひっ…。汗)。

 こちらも楽しみになってきています。

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 春クールドラマが始まる前、”なぜ養護施設とレース?”、”なぜ職を失う男の話を、同じ局が同じクールにやる?”などと疑問もかなりありました。
 でもラストスパートでその疑問を一気に晴らすように、数々のネタ明かしと着地を起こしています。

 そして『エンジン』と『恋おち』は”ゼロに振り戻された男”という設定を、実は全く違う状況として、全く違う筋立てで描いていたんですね。

 一方は、”振り出しからの再開”であるようでありながら”大きな飛躍”を、一方は”急激な上昇”であるようでありながら”幾重もの螺旋”を隠していました。
 この対称的な二つを見比べることで、より多くのことを互いから読み取ることができた気がします。
 そして出演者やスタッフにとっても、同じクールであったことは良い刺激になっていたんじゃないかな、と思っています。

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「アイツも、誰かを乗せて走ることを知ったから、かな」
 速くなればなるほど、狭くなる視界。
 その視界をこじ開け、無事にゴールへと導く大切なものを抱いた時。
「アイツは強くなる」





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Last updated  2005/06/15 08:21:33 PM
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