GOlaW(裏口)

2006/06/14
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 『迷い』『しがらみ』。
 年経るごとに積み重ねるそれを、天使の羽撃きが吹き払う──。


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 今回、「図星かい!」のやり取りが一番ツボに入りました。あの『おさむ』が醸し出す空気がなんともいえません(微笑)。


 もちろん最初に定義された『おさむの停滞感』は、完全に解消されたんですけどね。その変化だけで10話も引っ張られるのはちょっと辛かったかな。
 できればもっと大きく、業界人という殻を破って人間的に成長して欲しかったと思います。

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 今回、もっとも絶句したのが『MIYUを観て大笑いする美幸』でした。
 これは第一話の『美幸の容姿を笑いものにする業界人』との対になるシーンです。

 第一話では“笑いものにした『おさむ』を、美幸が最低と切り捨て”ました。
 それが第十話では、美幸自身があの時の『おさむ』と同じ穴の狢と化しているのです。

 第一話では、私は『おさむ』を切って捨てた美幸の『良識と頭の回転の良さ』に惚れました。そんな自分としてはかなり寂しいです。
 また第四話で『おさむ』が、『望まない人を笑いものにする同僚を殴る』という成長を見せていたのですが、これもこの演出でリセットされました。

 『最低』という言葉が象徴していた、『業界人としての歪み』がここで肯定されたこと。
 よりにもよって、この『最低な笑い』で価値観の共有を確認したこと。
 その点に関しては、さすがに『その演出こそ、最低じゃないか』と言わせていただきます。

 『メタ・フィクション』であるからこそ、自虐的に『業界人の歪み』を批判し、膿みを吐き出す。それが序盤におけるこのドラマの魅力だったと思うんです。その意味では残念です。

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 第一話の頃の美幸なら、MIYUを見ても“容姿では無い部分で、自分も輝けるんだ”と確信し、感動していたと思うんですよ。
 その意味では、少し演出を間違っていると思います。

 なんでここで、『ズバズバの初回決定稿』や『ズバズバ過去VTR』で、価値観の共有を自覚させなかったのでしょうか?
“『おさむ』本来の笑いが詰まっている過去の作品を観て、美幸が笑う。”
 その方が、『2人の価値観の共有』を強くアピールできますし、心情的にもリアルですし、より感情移入しやすく、よりロマンティックにもなります。
 無理に奇をてらうよりも、『ベタであっても主題とリアリティを殺さない』演出を取って欲しかったです。

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 もう一つ気になったのが、美幸のお笑いに対する心情ですね。
 簡単に『お笑い』に馴染むのではなく、まだ残っている先入観を少しずつB2と一緒に払拭していく方が良かったです。

 …別に『シーンを作って描け』、というわけではないですよ。
 美幸とおかみさんとの会話などに、その『反発していたお笑いの魅力を確認する過程』を匂わせる台詞を織り交ぜたり。そんな演出ができたのでは、と思うんです。

 序盤で美幸が見せた、『女優への夢』と『夢に向かう姿』の両方があまりに魅力的だったんですよね。
 だからこそ、“『お笑い』が『女優』に変わるだけの魅力を持つ”ことに説得力を持たせて欲しかったです。

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 さて、問題点の指摘はこれくらいにしましょう。

 『同業者結婚』の魅力って、“同じ感性と職業モラルから来る互いへの理解”だと思います。
 その点では放送作家とドラマ作家で、少し食い違いがあることが指摘されましたね。外から見ても同じでも、実は違いがある職業も多いんですね(例えば医者と看護士でも、『職種から来る職業モラルや感性の違い』は大きいそうです)。
 しかし、放送作家である『おさむ』とお笑い芸人としての『美幸』では同じと、このドラマでは結論付けています。

 今なら、確かに『おさむ』と美幸はいい関係になれる気がします。  

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 『ズバズバ』の末期演出は胸に突き刺さりました。
「突っ走れないのか…」
 “バラエティが晩年に失速し、消滅”。それは何度も繰り返された世代交代です。
 でも、ドラマの中だけでも、復活して欲しい。『本当に好きだったバラエティが消滅した』経験を持つ人間だからこそ、そう思います。

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 友美がどんどんいい女になっていったり。
 おさむの母親が友美に肩入れするという、とんでもない事態になったり。
 そんなトンデモな展開はラブコメらしくって面白いですよね。
 美幸の家族もすごくいい感じです。

 今回は苦言を呈した部分もあります。
 これから最終回に向けて、この失点をどう取り返すのか。それに期待したいと思います。

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 瞳に宿す輝きは、かつての希望。
 時間を越えて、彼は本当の力を取り戻す。





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Last updated  2006/06/14 09:29:56 PM
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