GOlaW(裏口)

2007/11/23
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カテゴリ: アニメ
 少年は視る。
 誇り高き魔術師の魂を模しただけの、醜い泥人形を。


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 『換骨奪胎』、というには少し厳し過ぎる改変が目立つ作品でした。


 しかしながら『原作の面白みである背景世界』や、『原作のオリジナリティである主人公の立ち位置』などを改変するのは、問題でしょう。

 『神は細部に宿る』といいます。
 主題に関わる部分は丁寧に拾い、再構築し、関わらない部分こそ一気に改変する。
 それこそが、アレンジの基礎でもあると思います。

 その意味では『歴史と文化に色濃く染まる魔法の演出』もまた、後の『妖精眼』の特異性を描くためにも必要だったのですが…(遠い目)。

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 『レンタルマギカ』

>「同業者に貸したらあかんなんて決まりはあらへん」
 原作一巻P225の台詞です。

 原作では影崎との会話の中、穂波がアディリシアに助け船を出すシーンがあるんです。
 穂波とアディリシアの友情を示すシーンであるのと同時に、『レンタルマギカ』という表題を象徴するシーンでもあります。

 『レンタルマギカ』、同業者にすら貸し出される異端の魔術集団。
 それは物語でも主軸となる部分の一つだと思うので、できればカットしないで欲しかったです(汗)。

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 謝罪。

 アニメだけを見ている人でも『これって謝る内容か?』と思われたであろうアニメオリジナルの謝罪シーン。
 このシーンの目的はただ一つ、アディリシアの過去を示すためです。

 原作では『妖精眼の視せる幻(詳しくは後述)』として描かれる内容なのですが、その設定がなくなった代わりに挿入されました。

 …演出は悪くないと思うのです。ですが“もう少しアレンジして、謝罪らしく見せることはできなかったかな”と思います。

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 過去を見抜く瞳。

 いつきの瞳は原作では、『魔法に関わる感情』だけでなく『魔法の辿った過去』まで視ることができます。
 原作ではアニメ第一話のように、『アディと父親の過去、魔法の核の形』まで幻で見ているのです。
 このことはいつきを後に苦しめ、妖精眼の負担の一端となります。

 いつきの苦しみを演出するため(そして、最後のイガイガの正体を示すためにも)に、ここはカットして欲しくなったかな。

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 核を踏みつぶすいつき。

 原作(および漫画版でも)、魔法の核は『アディリシアの突き立てたアセイミーナイフ』で突き刺されて消滅しています。

 …すみません。
『事件を解決させるのは、因縁を持つ人間に』
 これって物語作りの鉄則だと思うんですよ、個人的に。

 あれは『父親そのもの』ではありませんから、アディが消滅させても問題はありません。
 アディに『父親の魂を醜く摸した泥人形』を消滅させ、彼女の意志を全うさせてあげたかったです。

 無理に主人公にいいところを全部持って行かせると、物語の完成度が下がるのでやめてほしいです(汗)。
(フジテレビ版『西遊記』でも散々叩かれていたと思うのですが、見せ場はきちんと必要な人間に割り振るべきです。)



 アニメではどうやら『父親の変化したもの』として描きたかったらしいですね。いつきの説教や、『姿が元に戻るシーン』がその証拠でしょうか。
 だから、『父親殺し』と取られかねないシーンを省いたのかもしれません。


 ただ、原作での消滅では
『現代において魔法に殉じることの異端さと、それでもなお求めてしまう魔法使いたちの悲哀』
という、原作の主題のひとつを体現するシーンとして描かれていました。

 個人的には原作そのままの方が、救いがなくとも『レンタルマギカ』らしいと思うのです。

 アレンジするならするで、主題を生かしたアレンジをしてほしかったですね。

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「穂波ほどの実力」

 やはりアニメだけの人には不親切な台詞ですよね。
 原作では、“穂波は希代の才能を持つ、将来性ある魔法使い。故に、彼女はすでに多数の魔術軍団から誘われていた”だとアディからいつきに知らされています。
 その言葉を受けての、台詞だったんです。

 この回に挿入しなくてもいいのですが、また別の回でそのことをきちんとフォローして欲しいなと思います。

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 思うことは多々あれど、映像としては想像していた通りの光景などが映し出され、嬉しかったです。
 もう少しだけ原作の設定の裏にあるものに真摯になってもられば、もっといい作品になると思います。

 スタッフの皆さま、頑張ってくださいね。

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 かくて魔女は、愚かしくも哀しき魔法の世界を歩む。





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Last updated  2007/11/23 09:47:21 PM


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