GOlaW(裏口)

2008/02/17
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 自分の娘だけで、彼は精いっぱいになっていた。
 他人の血縁関係など――己の復讐の方程式に填めるべき記号でしかなかった。


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 今回、私が一番注目したのは、院長の心の揺れでした。

 伝聞でしか知らず、そこに感情を挟めなかったもの。つまり、彼にとって『記号と、それをつなぐ方程式の集まり』でしかなかった、『雫』と『美緒親子』の存在。
 それに対して心が揺れたとき、彼の中で記号に血肉が宿った――感情を抱いてしまったのです。

 この回は、院長の変化にぐっと引き寄せられました。

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 それと同時に個人的な注目シーンは、やはり『院長の問診シーン』でした。

 あの時、院長の中に去来した、複雑な思い。
――目の前の男の、娘の存在に対する羨望と嫉妬。
――父が娘に見せる、愛情への共感
――目の前の『父娘』に対する後ろめたさ。

 それらが入り混じりながらも、なおも『医師の仮面』をかぶり続ける院長の姿が印象的でした。

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 そんな、複雑な思いの中でも、彼が医師として言った言葉は間違っていません。

 医師は、患者のむき出しの死生観を受け止めなきゃいけません。それは、ともすれば飲まれてしまいそうなほどに、とてつもなく重く、強烈で、鮮烈で、悲しく、強いもの。
 そんな死生観を目の前にして、医師が頼るべきなのは、自身の死生観しかありません。

『自分を残して逝った娘への怒り。そして愛情』
 それもまた、死生観を築く感情です。
 院長は、それを基礎に、目の前の患者に向き合ったのです。


 どんなに復讐に狂おうとも、中身は医師失格でも。
 彼が被るメディコの仮面(イタリアで医師を意味する、道化めいた鳥の仮面)は、彼から離れることはなかったのですね。

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 『記号』と復讐の方程式。

 机上で復讐を考えている間は、彼にとって雫とは『孫という名の記号』でしかなかったのでしょうね。
 雫は、彼にとって『娘の命を奪った直接的な原因』、そして『憎い男の血を引く存在』。
 この二つと、『実際にかかわったことがない』という感情的な希薄さが合わさって、愛情を持つことができなかったのでしょう。

 同様に『美桜親子』の関係性も、彼にとっては『記号』でしかなく。

 だから、『雫』と『美桜親子』を、机上の復讐方程式に当てはめ、計算することができたのでしょう。


 しかし、『記号』であるはずの雫に出会い、その中に『娘』の面影を見てしまったとき。
 『孫という名の記号』に、彼の心は揺れ――感情を抱いてしまったのですね。

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 ひび割れた鏡。

 それは、英治の自戒の言葉でもあったのでしょうね。
 『好意が好意で返ってくるとは限らない』
 それは、『自分の行為が、相手に重荷になるかもしれない』という意味と同時に、『悪意に割られた心には、好意を返すことができない』というもう一つの意味が込められていたのだと思います。

 だからこそお金を渡すことに対して、『好意以上の、脅迫概念』があったかもしれません。…『善良になりたい』という強い願いが、最後に英治を突き動かした可能性もあります。

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 お金の行方と、直哉の背後。

>「手術を受けなさい」
 …それって、お金が返ってこないという意味ですかっ(汗)!?
 あるいは、『お金を直哉が持って逃げた』という意味じゃないですよね。

 直哉って、ヤクザからのまわし者のような気がしてしょうがありません。
 あのヤクザから、英治のことを聞いている気もします・・・。

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 『嘘を付くのも辛い』

 『嘘』は、『フードファイト』第9話のテーマでもあったこと。
 関連しそうな、加賀美(こと、プリンスメロン君)と、真奈美のセリフを抜粋します。

>「吐きたくて吐く人はいない。
 (中略)
 好きだからです。
 嘘を吐いてる方が辛いんです。今日ばれるんじゃないか、明日ばれるんじゃないかって、毎日びくびくしながら過ごしてるんですから。
 ほんとのことを言えたら、どんなに楽だろうって」

>「あなたは悪くない。
 (中略)
 とても苦しかったと思う。そんな悲しい嘘をついて。誰よりもあなたが」

 二人のセリフが、何度も繰り返し思い出されます。

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 マスターの不遇、小野先生の動き、そして…。

 マスターのギャグを聞いて、その寒さに逆に吹きました。…さすが山崎純也先生の師匠です(苦笑)。
 言葉遊びって、センスを問われますよね(自戒を含む)。

 これまで蚊帳の外だった小野先生も、事件の中に引き込まれていきそうです。
 英治の過去に近く、直哉の裏にも近づきました。

 美桜のことは、そろそろ英治にもばれちゃいそうだし。
 これからどうなるんだろう。

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 記号に血が通うとき――彼の中で、何かが終わり、始まる。





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Last updated  2008/02/17 09:13:26 AM
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