GOlaW(裏口)

2012/03/22
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 少しずつ、少しずつ前に。
 時に戻りながらも、また歩み出す。

 それは大人になりきれない青年達の青春物語。


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 適度なドキドキ、王道の安心感と爽快さ。
 最高の後味は、まさに最高で未完(ロック)の一品でした!

 毎回が楽しみで、お腹も空いて、どんどん続きが見たくなる。すごく幸せな時間をありがとうございます!

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◆ 本当に美味しいお店は、潰れると寂しい

 私は『限られた人生、食べ物だけでも冒険という名の刺激が無いと』と言うタイプで、地雷を踏むことすら楽しんでいるような人間です。
 それでも『掛け値なしに、人に勧められるぐらいに美味しいお店』というのは沢山あります。

 人間の生きることに直結しているからこそ、本当に美味しいものは心を動かすし、無くなってしまえば喪失感を呼びます。
 そんな当たり前の事が、成長や友情、恋愛と言う物語という極上のスパイスになっているのを感じました。

 ……また外食、行こうかな。

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◆ 母からの遺産、そして独り立ち

 失ってからその重大さに気づくことは多すぎるけれど、肉親と言うものもその一つだと思います。
 英介は遺されたものの大きさに気付き、それを取り戻すために頑張ります。

 でも『取り戻す』事に必死になりすぎて、奪った相手への悔しさが大きくなりすぎて。
 その為だけに必死になって、自分が思っている以上に周りが見えなくなることも多かったのですね。

 お店を危機に陥らせるような賭けに乗ってみたり、真っ直ぐに喧嘩を売ってみたり。
 名前を失ったことを一人だけ苦しんでいたり。周りの気持ちを置き去りに店を変えようとしたり。

 だけど、そうして苦しんでいる間に、彼は友人たちが『自分の母が遺した物ではなく、自分についてきてくれたのだ』という単純な事実に気づくことになり。
 そして『母の為に、遺した物を守る』という想いから、『自分がやりたいからやる』という想いへと変わっている真実にも気付きます。

 それは与えられたいくつもの試練と、それを乗り越えた経験が気付かせたのですね。
 その意味では、試練を与えた麻生もまた、英介の恩人と言えるかもしれません。


 そして最後に、彼は『母のルプティシュ』を再現することではなく、『自分のハングリー』を守る事を選ぶのです。
 それこそが母からの独り立ちの証拠であり、やっと一人前になったという事なのでしょう。

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◆ 空虚を抱え、完全を求め

 英介と対になる存在、それが麻生です。
 満たされた幼少から今もなお飢えを抱える英介と、満たされなかった幼少から完全を自負する麻生。
 料理に求める方向性も、生き方も全く異なる彼らは、互いに交わる事で強く影響を受けていきます。

 食べることは生きることに直結しているが故に、麻生は英介の料理に心を揺るがされ、影響を受けざるを得ません。
 彼が信じる、自分と言う完全。麻生は己が抱えた空虚の裏返しだと自覚しています。
 ですが英介の料理は、自分の美意識に反していながら、自分の空虚を埋めに来るという恐怖の存在でした。それを認めてしまえば、空虚を埋められ、自分の完璧が壊れてしまうかもしれないほどに。

 客として食事をし、否定した時も。
 彼は自分の想像に精神力を振り絞らずにいられなかったのです。心のどこかで認めてしまいそうな恐怖を捻じ伏せ、存在意義を守る為に。
 だからこそ、店を出た途端に安堵し、脱力してしまったのでしょう。


 英介に強く影響を受けた麻生は、いっそ自分の価値観の中に英介を取り込んでしまおうとします。
 いっそ乱暴と言える手段に訴えずにいられないほどの取り乱し方。
 それは、自分の価値観を変えない為の防衛手段でもあります。
 取り込んでしまえなければ、いっそ破壊するしかない。それほどまでに英介の存在は、彼の存在意義(レゾンテール)を揺るがしてしまったのです。


 きっと、英介の母親の店に執着したのも、同じ理由だったのでしょう。
 空虚を埋めてしないそうな母の味と思いやりを感じてしまったからこそ、それを自分の中に取り込んでしまわずにいられず。
 店を徹底的に改装して、自分と合わない部分を変えて否定しなければいられない。
 それが麻生にとって自分を保つための手段でしかなかったのでしょう。


 最後の激しい怒りも、『怒って相手を否定しなければ、自分の生き方を否定されてしまう』という無意識下の恐怖のためかもしれません。
 その恐怖故に『もう関わりたくない』とまで言わせたのでしょう。

 ……それでも。そして最後まで訪れてしまうのです。
 それは彼の中の空虚――ハングリーを刺激されてしまったから。自覚してしまえば、人は空腹を殺せません。きっと彼は目の前から英介が消えるまで、意識せずにはいられないでしょう。

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 出演者の皆様、スタッフの皆様。素敵な物語をありがとうございました。
 できればこの未完の物語の、新しい一品を味わってみたいです。
 続編、期待していますね!

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 そして、呪縛を壊して、更に前に。
 不器用な成長が積み重ねられる、未完の物語。





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Last updated  2012/03/22 10:22:57 PM
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