グリザベラの館

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H15.3.5  初診…S先生との出会い



 H大学病院の斜視専門のS助教授に診察して頂くためタクシーで向かう。随分と遠くに感じた。大学病院はやはり患者さんが多い。あまりにも多かったので待ちくたびれた頃、まずは眼科諸検査のため別の先生に呼ばれた。初めはその方がS先生なのかと思った。


 先天性という事もあり自分自身小さい時の事までわからないので母親にもついてきてもらう。というのは、斜視は先天性だと小さい頃の事も診察の重要なデータとなるためだ。


 まず初めにそういった小さい頃のことを母親に尋ね、次に今はどうであるか私に尋ねた。以前はスナップ写真の時、意識をすれば眼のズレを調整する事もできたが、今はできない事…証明写真は以前から苦手で眼がよくズレて写りが良いのは稀だという事…


 次にいろいろな検査をした。視力検査、眼圧検査、立体視検査、複視検査、目の動きの検査…まだ何かしたかもしれないがすごく時間がかかった。他の人はこんなに時間かかってないのだが。後でわかった事であるが特に、ライトの映り方や物の見え方などの複視検査そして特殊なメガネをかけてハエの絵を見せられ捕まえたようなしぐさができるか、少しレベルが上がるとお皿に豆がのっかってあるような絵がいくつもありどれが一番前面に浮き出ているかなど検査する立体視検査にすごくてこずった。この立体視検査は地元の眼科でもやったがいっしょの結果に終わった。一番レベルの易しいといえるハエは良かったのだが、レベルが上がった豆がのっかっているのはどれが一番前面に浮き出ているかなんてわからなかった。私にはどうも同じように見えるのだが斜視ではない健康な眼の方にはそのようには映らないらしい。


 ひと通りの検査が終わると一度待合に戻された。もう一度呼ばれた時、S先生の診察であると伝えられ、日頃慣れない検査のため疲れた目を休める事にした。


 どれ位時間が経っただろう。再び私の名を呼ぶアナウンスがあり、1担当医 Sと書かれたドアをノックし“どうぞ”との声が聞こえ中へ…若くて優しそうな先生だ。助教授という肩書きがあったのでとても緊張していたが、少し安堵した。少しというのは先ほどの検査の惨めな結果といい、今後オペへとことを運べられるのか心配だったからだ。


 まず初めにS先生が母親に先程の先生と同様のことを尋ね、さらに家族の病歴を尋ねた。その後私に以前や今の状態さらに私の病歴を尋ね、もう一度てこずった目の動きの検査や複視検査や立体視検査を行った。すごく目が疲れた。ここで手術の話になるのだが、初めての先生の診察を受ける事と手術ができるかどうかという期待と不安と今まで行った検査で疲れが出てきた。途中まで聴いていたのだがもう限界だと思いS先生にその旨を告げた。


 すると先生いわく“大丈夫?気分悪くなったら我慢しなくてもいいのよ。”と。この時、手術の仕方や麻酔についてお話を、まるで今自分が受けているかのように聴いていたのでさらに気分が悪くなった。診察台を借りて横になり念のため血圧を測ってもらった。


 看護師さんいわく“上が90代だけど低いわねぇ。”と。普段からそうである事を私は伝えた。そうして横になって10分程経ったのだろうか。先程より良くなったのでからだを起こすと無理に起きなくてもと先生が心配してくれた。この時点で私は点眼麻酔つまり局所麻酔ではとうてい手術は出来まいと思った。そう察した先生に麻酔の方法を選択させていただいたが全身麻酔も考えてみれば怖かったので決められなかった。


 そこで先生いわく“では、先にCT検査を行ってその結果の出る次の診察日までに決めておいて下さい。頑張ろうね!”と。CT検査を3月26日に次の診察日を4月4日に決めてこの日の診察は終わった。とても長い1日だった。




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