グリザベラの館

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H15.5.16  退院1日延期



 朝になり皆さん起床し始めるが、私はこの時間になって眠れそうな気がするのだが、朝食前となるとさすがに起こされた。朝はパン食だった。初めのうちはガーゼで覆われたまま目の見えない状態で食べていたのだが、病棟主治医がみえてガーゼを取られてしまった。
“見えますか?”
と尋ねられ、うっすらと見えるけれど、痛くて目が開けられないことを伝えた。


 病棟の主治医は9時ごろに外来に来るようにと伝え出て行った。その後、ガーゼ無しの状態で食事をしていたのだがうっすらと見えるだけでも違うものだなぁと思った。本日の朝食後より痛み止め及び抗生物質のお薬を1日3回 3日間服用することとなった。


 8時50分頃看護師さんに付き添われて眼科外来へ行った。一日中寝ていて足を使っていないし、微熱気味なのでフラフラ状態で、いつもはなんとも思わないエレベータでさえも気分が悪くなる始末…こんな状態での退院はとても心配だったので付き添ってくれていた看護師さんに
“本当は今日が退院の予定なんだけど、一日延ばしてもらうってこと出来ないのかなぁ。すごくフラフラしてるし微熱気味だし”
と聞いてみた。看護師さんいわく
“直接、主治医に言ってみて。”
との事だった。看護師さんは私を外来に送り届けると
“病棟へ戻るとき辛いようだったら呼んでね。”
と言い残し戻っていった。


 今回は入院患者ということもありいつもより順番が早かった。はじめはN先生の診察だった。この時はまだ先生の名前すら知らなかった。先生は目の検査をしようとしていたのだが、目が痛いと私が拒んでしまって出来なかった。
“S先生がみえたら診てもらいましょう。”
ともう一度待合に戻された。痛みをこらえながら待っていると再び私の名前が呼ばれた。


 S先生による診察…
“左目が痛い”
と主張すると
“じゃあ、右目からね。ちょっとだけ左目もね。”
と先生。どうやら左目の時、『痛いからイヤ』という顔を大人気なくしてたらしい。またまた、先生を困らせているどうしょうもない私だ。
“ちょうどいい具合よ。鏡もう見た?今、ダブって見える?”
と尋ねられ
“いいえ、鏡はまだ…怖くて…先生はしっかりと一人だけど、まだ遠くが見づらくて、待合のところに掲示されている文字が読みづらい。”
と応えた。そして先生にもう一日退院を延ばす事が出来ないか相談して、病棟では私の退院手続きが進んでいたのであるが先生がストップをかけて下さった。


 診察が終わると一人で病室に戻れないのではないかと先生に心配された。
“ありがとうございます。何とか行けると思います。”
と先生に伝え、ふらつきながら病室に戻った。疲れ果ててすぐにベッドの中に入ってうとうとしていた。寝ているところに看護師さんが目薬を持ってやって来た。2種類の目薬の点眼が始まり、1回目は看護師さんが差して下さるが、次回からは自分で1日4回差すことになった。それから昼食の時間までベッドの中でうとうとしていた。昨晩寝付けなくて今頃眠たくなったようだ。それに目を開けているととても痛くて辛く、閉じている方が楽だったのである。そうこうしているうちに昼食の時間となり、本当に昨晩眠れないくらい痛みに苦しんでいた患者なのかと思われるくらいの快食ぶりだった。


 食後のお薬を服用してから目を水気から保護するメパッチでかばいながらシャワーを浴びた。1日入らないだけでも辛かった。この手術が真夏だったらと考えるとぞっとする。初めは看護師さんが清拭をしてくれる事になっていたのだが、私が入ってはダメなのか尋ねてみたのだ。
“今日はシャワーの日だけれどいい?私が介助する事になるけれどひとりがいいよね…”
と看護師さんが私に尋ね、出来ればひとりで入りたかったので私の意見を尊重してもらった。それに明日退院してからの練習をしておきたくもあったからだ。1日ぶりのシャワーは本当に気持ちが良かった。


 シャワーを浴びてから、明日の退院に備えて、歩行練習をしに屋外と下の売店へ出かけた。昨日手術で全身麻酔をかけ1日中ベッドの中にいたものだから足がふらついて歩くのが大変だった。屋外でメールをしてから売店へ寄って病室に戻ろうとしたのだが、気分が悪くなり1Fのtel前の椅子に座り少し休んだ。


 少し休んで落ち着いてから病室に戻ると、看護師さんが洗髪してくださるとの事。非常にありがたかった。とても気持ち良かった。看護師さんに
“美容院で働けるよ。”
と告げると学校で洗髪という授業があって先生に怒られたイメージしかなかったと教えてくれた。


 夕方になり、足を慣らすためでもあるが、退院してからメパッチが必要なので、また売店へ買いに行った。そこでレターセットも購入した。というのは、私は話すのが苦手だし何より朝方、動揺してお世話になった先生方にろくに感謝の気持ちをのべることも出来なかったからだ。


 売店から戻って少ししたら看護師さんがバイタルチェック(血圧・体温)をしに来た。血圧の上が117 体温が37℃である。思わず
“え~、何で~”
と叫んでしまい
“低血圧さんは夜になると元気になるのだから~しょうがないわねぇ。”
と看護師さんに言われてしまった。1日目は手術前でナーバスもいいとこであったし、2日目は手術に疲れて全然ダメだし、3日目の今日になって看護師さんとおしゃべりが出来るくらい元気になった。血圧は『え~』なのだが、体温はこの調子で下がって欲しい。


 夕食の時間になった。友人から病院食は美味しくないと聞いていたけれどそんなことはなかった。毎日違うメニューが出されるので目が痛い私にとって楽しみの一つとなっていた。今日の夕食は、明日の退院をまるでお祝いするかのようにお刺身があった。久々のお刺身とても美味しかった。


 夕食後、麻酔科の研修医の方がみえた。昨日の手術についてのアンケートを採りに来たそうである。私もちょうど麻酔かかってからのことを知りたかったので教えていただき記入していただいた。


―記入していただいた事―
点滴を入れる前に痛み止め…キシロカイン
点滴から…フェンタネスト,マスキュラックス,プロポナォール
口から吸入…空気,酸素,セボフルレン
術中、尿カテを入れた。


 それから今度は私の方が麻酔科の研修医の質問に答えた。最後に何か伝えておきたい事はありませんかと尋ねられたので、昨日の手術担当だった麻酔科の先生のお言葉には説得力があったと告げ、ありがとうございましたとあいさつをした。


 麻酔科の研修医が病室を出て行ってから、もう少しで入院日記も終わるのだなぁと思いながら日記を付けた。そして術前のように術後も結構?だらけになったので明日困らないようにまとめておこうと思った。


 消灯前に体温を計ると36.9℃でほんの少しだけだが下がっていて嬉しかった。この調子で熱が下がって欲しいものである。術前のナーバスな状態でもなく、術終当日の夜の痛みに比べたら痛くないのに寝付けなかった。3泊した中で一番寝苦しく暑い夜だった。あまりにも寝苦しいので看護師さんに氷まくらをつくってもらった。




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