グリザベラの館

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ピアノコンサートと市民公開講座 その2



座長はK先生、講演者はS先生とあいぱっちくらぶのKさんでした。

まずは座長であるK先生が小児眼科の歴史と

小児の目の病気と今日講演される方について話されました。

今回の学会に全国から1400名が参加されたそうです。

午前中までは日本弱視斜視学会と日本小児眼科学会が開催されていて

このような小規模な学会で市民公開講座を設けたのは

初めての試みだったようです。

日本眼科学会のような大きな学会では以前からあったようですが。

また、患者さん(患者さんの親)の立場での講演というのも

初めての試みだったようです。このアイディアはS先生なんだとか。




 S先生は医師の立場から目の病気について話されました。

プレゼン工夫されてましたね。初めから

【治療のためだから絶対メガネを掛けなくちゃいけません】

ってこと言わないんですね。



こんなに小さい子にメガネだなんてかわいそう

と親御さんが思いメガネ治療を断念されたケースや

どうしてメガネを掛けなくちゃいけないのかわからなくて

治療を断念されるお子さんのケースをきっと臨床の場で

沢山見てきたのでしょうね。



 という私も、小さい時にかかっていた病院で

斜視と診断されメガネを作ったのだけど

どうしてメガネを掛けなくちゃいけないのかわからなくて

断念したんですよね。しかも通院してた病院が遠かった...




始まりはこんなカンジでした。


 S先生【皆さん、メガネにはどんな種類があると思いますか?

     サングラス・ゴーグル・おしゃれ用・・・

     いろいろありますね。】

スクリーンを変えて


 S先生【これは私達眼科スタッフの写真です。○が付いてる人の

     共通点は...そうメガネを掛けてますね。

     眼科医になったら目が悪くなるって事じゃないですよ。

     ほらこちらは、院内のメガネ屋さんです。

     この方もメガネを掛けてますね。】


 S先生【ではメガネをどういう理由で掛けると思いますか?

     日よけ・スポーツ・怪我から守るため・ドライアイ

     授業中・仕事...そして治療のためですね。】



 メガネは、いろんな人がいろんな理由で掛けている

というお話から乳幼児の視力の発達についてのお話になりました。

S先生【生後1ヶ月くらいは0.01~0.05くらいしか

    視力がありません。半年~1才で0.1に

    1~2才で0.3~0.5、そして3~5才で1.0の視力が

    育ってきます。】



 S先生【次の写真は赤ちゃんの視力をみているものです。(PL法)

     赤ちゃんの前に何か白黒シマシマのものがありますね。

     このシマシマの裏っ側には実は検者がいるんですね。

     赤ちゃんがどうして見えてるかというと

     シマシマのほうに向かわせて見えると視運動性眼振

     つまり眼に揺れが生じるわけです。

     わかりやすい例でいうと、電車で景色を見てる人をみてみると

     眼の揺れが確認できます。】



 S先生【次に近視・遠視・乱視について説明したいと思います。

     近視は正視に比べ近すぎるところ(網膜の手前)で

     遠視は正視に比べ遠いところ(網膜よりも後ろ)で

     焦点を結びます。ですから視力が同じ0.7でも

     遠視と近視とでは意味合いが異なってきます。

     近視の場合、物を近づけると見えますが

     遠視の場合、物を近づけるとぼやけて見えます。】



 S先生【乱視は焦点がないため常にピントの合わない状態に

     なっています。普通、黒目のカーブが

     ボールの様な形をしていますが

     乱視の場合、ラグビーボールの様な形をしています。

     つまり縦軸と横軸が異なるわけです。

     また、老眼は水晶体のピントあわせの力(調節力)が

     低下して起こるもので、屈折異常ではありません。】



 S先生【皆さん、メガネの処方箋をみたことはありますでしょうか。

     驚くかもしれませんが、その用紙に視力記入欄はありません。

     メガネの度数は視力ではなくて屈折検査値で決まるからです。

     屈折検査とは、近視や遠視や乱視の度数を表すもので

     検査をする前に目薬(調節麻痺薬)をします。

     目薬の種類は硫酸アトロピンやサイブレジンを使います。】


 S先生【次に弱視について話したいと思います。弱視は2種類に

     分けられます。医学的弱視と機能的弱視です。

     医学的弱視は、治療や視能訓練をしても

     物が見えなくて視機能が発達しませんが

     機能的弱視は、治療や視能訓練を感受性期間内にすれば治ります。

     感受性期間とは、1才ごろをピークに半年毎に

     6才ごろまでのことをいいます。】



 S先生【注意しなければいけないのは、視力と視機能が発達中の乳幼児に

     長期間眼帯をしてはいけないということです。

     物を見ることで脳は育つのですが、その機会を失うと

     発達の妨げとなり弱視になります。

     弱視の治療法としては健眼遮蔽(アイパッチ)があります。

     視力のある方の眼にアイパッチをつけて弱視眼で物を見る訓練法です。

     アイパッチを嫌がるお子様には目薬(硫アト)とメガネでの

     治療法もあります。】



 S先生【受診時に医師に必ず尋ねて欲しいのは

     ・視力はいいのか    ・眼の中に病気はあるのかないのか

     ・両眼で見る事が出来るか・メガネが必要か



     また弱視の場合は

     原因・メガネや視能訓練の必要性・年齢的にどうか



     メガネの必要性としましては

     治療としてのメガネ(=斜視・弱視)なのか

     かけても見えないメガネ(=治療が優先)なのかなどです。】



 S先生【Vision2020の連絡によると世界中で

     5分にひとりが失明していて

     1分にひとりの子供が失明しています。

     眼を守るためにも医師・コメディカル・家族・学校・行政等の

     お互いの連携が大切です!】

と話されてS先生のお話は終わりました。早期発見して治療を始めること

そして何よりもご両親の理解と協力の必要性を強調されていました。

そうですね、周りの理解と協力って必要ですよね。

斜視サイトのBBSを見ていたら


中高生の方のケースでは

《受診してみたいのだけど

親にどう話したらこの気持ちを理解してもらえるか》



家庭を持ってる方のケースでは

《配偶者やその周りの人に理解してもらえない》

なんていうメッセージもありました。



 実は私、S先生の講演を数年前にベツの会場で

聞いたことがあるんですね。

しかもそれは一般を対象にしたものではなく

眼科医以外の医療従事者を対象としたものでした。

その頃の私は今よりか知らない事も多かったけれど

聞いたことのある眼科用語はいくつか出てきましたね。

今回のが一般を対象にしてるって事もあるけれど

数年前参加したおかげでさらに理解出来たんじゃないかなと

自分では思ってます。


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