9回一死満塁。高木監督はたまらず鉄人・岩瀬を諦め、8人目の山井を投入した。しかし相手の流れを止めきれず、代打の石井に左前に適時打を許し万事休す。勝利の喜びに沸くG軍ベンチをちらりと見たあと、老将は「あれだけ三振が取れる投手なのに、なんでこんな展開になったんだ」と吐き捨てた。
序盤に2点を先制されたが5回にファーストステージ第2戦以来、4番に復帰したブランコが一振りでそれを吹き飛ばした。
先発内海の135キロ直球を逆らわずにインパクトすると、打球は右翼席へ突き刺さる同点2ラン。ブランコは「打ったのは高めの真っすぐ。とにかく強い打球を心がけたよ。『(狭い)東京ドームホームラン』だね。ここは強く打てば可能性があるから」と興奮気味に話した。ファーストステージ第3戦の逆転満塁弾以来、CSでは早くも2本目。これでCS通算本塁打は5本目だ。
とはいえ打線が輝いたのはこの一発だけ。初回二死満塁もでは森野が空振り三振でせっかくのチャンスをつぶした。その後、何度も得点機を作りながらあと1本が出ない。竜の持病・貧打病が大事な試合で再発だ。
先発した山内は4回途中を4安打2失点で降板。2回に先頭の阿部に死球、高橋由の安打、村田の死球などで一死満塁のピンチを招くと、古城に中前へ2点適時打を浴びて先制を許した。3回以降から立ち直ったかに見えたが、4回にアクシデントが発生。先頭の村田の打球がワンバウンドして左すねを直撃すると、そのまま立ち上がることができず、トレーナーらに抱えられてそのまま降板した。「早い回で投げられなくなってしまってブルペン陣に申し訳ないです。調子が良かったのでもっと投げたかったです」(山内)
貧打に山内の負傷。そして最後はサヨナラ負け。これで3連勝の勢いは完全に消えたといっていい。もはや流れは巨人にある。今後は竜が崖っ縁に追い込まれた。