ハハゴコロ

手のひらサイズのキューピー


2005-10-05 20:48:28

眠れたのか、眠れなかったのか?

一晩中ひとの気配を感じながらうとうととしていたような・・・


朝目覚めると顔を合わせるひとたちとまずは挨拶

隣のベッドにいた人は私と同じく前日に入院したらしい

みんな小さな声でひとこと二言言葉を交わして笑っては

シンと静まり返る部屋

聞こえるのは出産した人たちの元気な声や赤ちゃんの泣き声

そんな雰囲気でテレビを小さい音でつけながら

素っ気無い病院の朝食を食べる

寂しい・・・というか慣れない


私が入院したのはトラブルのある人の部屋だったようだ。

そこには突然の早産で20数週で赤ちゃんを産んだという人が2人いて

時間がくるとそれぞれ赤ちゃんへ届けるために

搾乳をしに行ったりしていて部屋にはあまりいなかったので

私はお隣のベッドの人とポツポツ世間話をしたりして過ごす

それ以外の時間は点滴とモニターで赤ちゃんの様子を診て

ベッド上安静、部屋から出ることも出来ず

テレビを見たり、本を読んだり

眠る・・・ひたすら体を休める

それ以外にすることも出来ることもない

お腹の張りはいくらか落ち着いてきて

自分の自覚としてはなんの不都合も無いとこがなんというかヒマ

実感がないよというにしても緊張感無いな、私(苦笑)


そんな私に担当についてくれた助産師さんが

お腹の赤ん坊の大きさとNICUについてのことを話しに来てくれました。

「いつお産になるかわからないけど
もし今この週数で産まれてくると赤ちゃんの大きさはこのくらい」

見せられたのはキューピーの人形

ちょっと前に受けた母親学級でも登場した人形

でも大きさは違う、まるで小さい

「もう少しお腹の中でがんばれればこの位」

「出来たらこのくらいの大きさまではお腹にいれたらいいんだけど」

目の前には3つの人形

今はこれくらいと言われた人形を手にとって

私はなんとも言えない気持ち

それは両手のひらから手足が出るくらいの小さな人形で

お腹の中の子はまだこんなに小さいのか・・・

とやっぱり少しショックに思ったのも事実

「実際に未熟児で生まれた赤ちゃんを見ることも必要なら機会をつくる」

そんなことを付け加えて助産師さんは部屋を出て行きました。


そっかー・・・

この時の私は多少の衝撃は感じていました。

でも逆に大変な状況である事は間違いないのだけど

なんというか腹をくくったというのも事実です。

この状況になって出来ることは少ないけれど

お腹の子の為に出来る努力はする

ひたすら安静に、安静に

そしてそれでも産まれてきて、何か障害なりがあったりしても

それも受け入れる

それは覚悟とかいうのとちょっと違って

なんだか当然のこととして思えてパニックにもならず

わりと淡々とそれからの毎日を過ごすことが出来たと思う。

多分 同室の早産をした2人が大変なことは色々あっても

毎日赤ちゃんの可愛さを語ってくれたりしてくれたおかげでもあるかな



入院してから4日目、状態が落ち着いて点滴の量が減る

きわどい早産の危機からはどうやら脱した模様


うれしいけど点滴が洩れて流れなくなってるため差し替え(涙)

これ、すっごく痛くって本当に涙が出ました・・・

その時の針の痕は3年経つ今も両腕にくっきり残っています

でもちょっと思い出というか今は勲章?

そんなことが言えるのも今 息子が元気でいてくれるおかげだけどね(笑)


この頃になるとなんとなくスタッフも患者さん?も顔馴染みになってきて

部屋も何かと風通しが良くなって、それなりに入院生活を送れるようになっていて

気がつくと1週間ほど経っていたのでした。








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