幸せな新婚生活。決して裕福ではないけれどダーリンも優しい。
ある夜、この日はワタシの誕生日。仕事が終わって帰宅するとダーリンはもう家にいた。
玄関のドアを開けると、むかえに出てきた彼がハグして「お誕生日、おめでとう」、朝からもう何度も聞いてるわ。
彼はちょっと興奮した様子で「今晩はサプライズが用意してあるんだよ」と言いながら、タオルを取り出した。「これで、目隠ししてごらん、いいって言うまで絶対取っちゃダメだからね」
彼は目隠ししたワタシの手を取ってリビングに連れて行った。
そこで、電話が鳴った。
彼は立ったままのワタシの片手をサイドボードの上に置いて、「戻ってくるまで、このまま待っててね。のぞいたりしちゃダメだぞ」と言って、行ってしまった。ちょうど良かった、だってワタシ、さっきからオナラがしたかったんだもの。
彼の足音が遠ざかるのを見計らって「プッ」ともらした。だめだめ、もうちょっと出そう。
もう一発「ブリッ」。あれ、しめっぽい感じ。もしやと思い、スカートをたくし上げ片手をパンティーに突っ込んでお尻の穴に当ててみる。大丈夫だった。でも、手の臭いをかいでみたらちょっとくさい。
安心して身体の力を抜いたら「ブリブリッ」。やだわ、彼に聞かれなかったかしら。それどころか今回は本当にちょっと実が出た感じ。お尻をさわってみたらぬれてる。手の臭いをかいだらすごくくさい。もう、ウンチって、どうしてちょっとでもこんなにくさいのかしら。
ダーリンの電話の声が遠くでする。仕事の話みたい。声に力が入っている。
あ、そうだ。手でサイドボードの上をまさぐる。あった、レースの敷物。彼が戻ってくる前に…、まずくさい手を拭く。まあ、完全には取れないけれど仕方ない。手の臭いをかぐとそこそこ取れた。
次に敷物を小さくたたむ、パンティーをひざまで下ろしてお尻の割れ目をレースで拭く。よかった、レースの目が思ったより細かくて。
次にレースの汚れた側を内側になるように折り返す、きれいな側を外側に。目隠ししててもなんとかやりとげた。臭いをかぐとやっぱりオエッって感じ。
それをお尻に当てる。パンティーを元通り引っ張りあげる。乾いた布が湿り気を吸って良い感じ。
後は、スカートをバタバタやって、よどんだ空気を分散させる。両手を振り回して部屋の空気をかき混ぜる。大丈夫、ダーリンの電話の声はまだ遠くから聞こえる、聞き耳を立てるとそろそろ終わりそうだ。
しばらくして、「ごめんごめん」と言いながら彼が戻ってきた「思ったより長電話になっちゃった」。
いいのよ、かえって助かったわ、と、心の中でつぶやく。
「さあ、目隠しをとるよ。あまりのご馳走にびっくりしないでね」とやさしく彼が目隠しをほどいてくれた。
ワタシは凍りついた。リビングは隅々まで、彼とワタシの友達、両親、ご近所の人たちなどでいっぱいだった。みんな、手に手にプレゼントやクラッカーを持っていた。
彼が「お誕生日、おめで…」と言ったが誰も声を合わせようとしなかった。みんなも凍りついていた。