白雪姫


snow



白雪姫(生きるしかばね、ネクロフィリアとエフェボフィリア)


白雪姫(しらゆきひめ)という、肌が雪のように白く、くちびるが血のように赤く、髪が黒檀(こくたん)のように黒く美しい王女がいた。
彼女の母である王妃も美しく、また自分が世界で一番美しいと信じており、彼女の持つうそをつかない魔法の鏡も王妃が世界で一番美しいと答えていた。

白雪姫が7歳に成長したある日、王妃が魔法の鏡に世界で一番美しい女性を聞くと、娘の白雪姫で、王妃より何千倍も美しいというこたえが返ってきた。
王妃はいかりのあまり、一人の狩人(かりうど)を呼び、白雪姫を森につれていき、殺すようにいう。
そして殺した後、死んだ証拠に白雪姫のおなかをさき、肺臓(はい)と肝臓(きも)をとってくるように命じた。
しかし森の中で狩人は美しい白雪姫に命乞いされ殺すことができず、森の中に置き去りにし、イノシシの肺臓と肝臓をかわりにを証拠として持ち帰った。
王妃はその内臓を塩漬けに料理させ食べてしまった。

捨てられた白雪姫は、森の中を徘徊(はいかい)するうち小さな家を見つけた。家の中には7つの寝床があった。
そこには7人の人殺しの盗賊たちの隠れ家だった。
盗賊たちは人殺しをして金品をうばい生計をたてていた。
彼らは、城から追い出された美しくおさない姫を「7人分の奥さんになること。毎日、全員分の炊事をし、洗濯をして、ベッドメイキングをし、縫い物をし、編み物をし、順番に添い寝をする。そして家から一歩も出ない」という条件付でこの家においた。かわいそうに白雪姫はこの時まだ7歳だった。

しばらくして、王妃が魔法の鏡に世界で一番美しい女性を聞いたところ、盗賊たちといっしょにいる白雪姫がいまだに世界で一番美しいという。
狩人が裏切ったのを知った王妃はみずから小物売りに変装して、盗賊たちの留守を狙って森の小屋に行く。
白雪姫は最初、あやしんで家に入れなかったが、売り物のきれいな絹の紐(ひも)を見せられるとその魅力に負けてつい買ってしまう。
王妃は、首に紐をつけてあげるふりをして後ろから真っ白な首筋を締め上げ、姫を絞殺する。

7人の盗賊が帰ってくると白雪姫は絶命していた。
しかし人殺しの彼らは死体のあつかいにもなれていた。
首を締め付けていた紐を切ってしばらくすると白雪姫は蘇生した。

城に帰った王妃は魔法の鏡により、姫が生きかえったことを知る。
今度は、毒つきの櫛(くし)を作り、別の小物売りに化け、再び盗賊たちの留守を狙って森の小屋に行く。
白雪姫は怪しむが、きれいな櫛の魅力に負けてつい買ってしまう。
王妃は、黒檀のように真っ黒な髪をとかしてあげるふりをして、後頭部に毒の櫛を突き刺して姫を殺害する。

7人の盗賊が帰ってくると白雪姫の死骸が床に転がっていた。
しかしまた彼らは白雪姫から毒の櫛を引き抜き、治療し、蘇生させた。

王妃はまた魔法の鏡により姫が生きかえったことを知る。
そして、今度こそ完璧に白雪姫を殺そうと強力な毒リンゴを作った。このころには白雪姫は10歳になっていた。
王妃は百姓(ひゃくしょう)に化け、盗賊たちの留守を狙って森の小屋に行く。
白雪姫は最初、あやしんでリンゴをもらわないが、ついに甘い果実の魅力に負けてリンゴをもらい、その血のように赤いくちびるで一口かじってしまう。
強力な毒で白雪姫は即死(そくし)した。

白雪姫の遺体は帰ってきた盗賊たちに発見されるが、盗賊たちは白雪姫が死んだ原因を見つける事ができない。遺体を素裸にして身体のすみずみまで調べたが死因がわからず治療できなかった。
盗賊たちは、死んでもまだ美しい白雪姫の遺体を土にうめず、よく洗い、死化粧をし、よく見えるように、ガラスの棺おけに入れて、ながめてくらした。

ある日、ある王子が森でまよい通りかかり、白雪姫の遺体を一目見るなり気に入り、宝物にするから自分にくれないかと盗賊たちに言った。実は王子は真っ白な肌が好きな死体の愛好家だった。
存分な褒美(ほうび)と交換に王子は白雪姫の遺体を買った。

王子は召使(めしつかい)にていねいに棺おけを運ばせるが、王子の趣味にへきへきしていた召使のひとりがどうせ死体だと乱暴にあつかい、棺おけがゆれたりぶつかったりするうちに白雪姫はのどに詰まっていた毒リンゴのかけらをはき出し、棺おけの中で再び息をふきかえした。

王子は生きかえってもなお雪のように白い肌の白雪姫に感激し、妻としてめとることにした。かわいそうに、白雪姫はまだ10歳だった。

その結婚披露宴(けっこんひろうえん)には白雪姫の母である王妃も招待された。
王妃は婚礼の女王が白雪姫とは知らなかったが、魔法の鏡がこのころ、世界で一番美しいのは新しい女王だというので、顔見たさに出かけた。
新しい女王が白雪姫なのは式に出てから知っておどろいた。
余興で王妃は、火にくべられ真っ赤に焼けた鉄の靴をはかされ、たおれて死ぬまで踊らされた。


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