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恋愛セミナー6【末摘花】



夕顔を忘れられない源氏は、どこかに代わりになる女性がいないかと探し続けています。源氏の別の乳母の娘・大輔の命婦(たいふのみょうぶ)から故・常陸宮(ひたちのみや)の荒れ果てた屋敷に住む姫・末摘花(すえつむはな)のことを聞き、こころひかれた源氏は訪ねることにしました。

末摘花のかき鳴らす琴の音を聴き、近づこうとする源氏。そこへやってきたのが後をつけてきた頭の中将。二人はけん制しあいながら結局末摘花の屋敷を後にし、左大臣家へ向います。

二人が笛を吹いていると左大臣も一緒に合わせ、女房(おつきの女性)たちにも楽器を弾かせます。枇杷の上手な女房中務の君(なかつかさのきみ)は頭の中将にも言い寄られていましたが、源氏の方を選び、それが左大臣の北の方(妻)・大宮にも知られ居辛くなっています。それでも源氏に会えなくなることに思い切りがつきません。

源氏は大輔の命婦を通じて末摘花に何度も手紙を渡しますが、いっこうに返事がきません。再び荒れ果てた屋敷を訪れた源氏は今度は強引に関係を持ってしまいます。ところが、あまりにも手ごたえのない女性で源氏は失望。末摘花は身分が高いのでぞんざいに扱うこともできませんが、そのあとめったに通わなくなってしまいます。

ある雪の朝、源氏は末摘花の姿をまざまざと見てしまいます。胴長で、象のように長い鼻の先は垂れ下がって赤く、顔もひどく長い上に体は痩せすぎています。ただ、髪はとても長く美しい。古くなったみすぼらしい衣装の上に黒貂の皮衣(ふるきのかわぎぬ)を着ていました。源氏は驚愕しますが、かえって見捨てられなくなり、生活の細かい世話までみることにします。

二条の屋敷に行くとまだ幼い若紫がほんとうに美しい様子で絵を描いています。その頬の美しさを、同じ赤でもこんなに違うのかと源氏は思います。一緒に絵を描きわざと鼻を赤く染めた源氏を笑い、色が落ちなかったらと心配する若紫。こんな人がいるのになぜまた自分は・・・、と源氏はため息をつくのでした。


恋愛セミナー その6

深刻な舞台での幕間狂言のような帖です。
1、源氏と末摘花     夕顔の身代わりを求めて失望。
2、源氏と中務の君   葵上のもとに行ったときのみの関係。
3、源氏と若紫      手ごたえのある少女

ここでも源氏は身代わりをもとめています。
荒れ果てた屋敷に住まい、ひたすら頼りきる女性。
葵の上や六条の御息所のように、気位と教養が高い、くつろげない女性ではなく、夕顔のようになにも知らげぬげな、やすらげる存在を末摘花に期待します。

けれど夕顔はご紹介した歌をみてもわかるように、意外に手ごたえのある存在だったのです。ただそれを振りかざさない、本当に賢しい女性。見せない部分でも、男性を魅惑していたといえるでしょう。

源氏は末摘花に大失敗した、と感じていますが何度か関係を持ってからようやく気づくというのは、現代でもよくあること。
初めはよく見えていても後で失望したり、よくわからないままに付き合って知らなかった姿にある日気づいて驚いたり。
真実の愛はそこから始まるのかもしれません。

末摘花は古今、侮られがちなのですが、案外この物語の中でも幸せなキャストであると思います。
彼女は人からどうみられようと、自分のライフスタイルを貫く誇り高い女性。源氏に対しても末摘花なりのやり方で素直に思いを表すのです。後の帖で、末摘花の一途さが明らかになってゆきます。

***日記に同じ内容が掲載されています。必ずお返事いたしますので、
よろしかったら日記にコメントいただけるとうれしゅうございます。
よろしくお願いいたします。***


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