タノシクイキタイ

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国際恋愛中の人へ

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現在、国際恋愛中の人から、国際結婚について相談を受けたので、私の個人的な体験ですが、ここに書いてみようかと思います。

もう国際結婚してしまった私の立場から言えば、これから国際結婚する人たちが増えるのはとてもうれしいことです。なぜなら、人数が増えれば増えるほど、国民年金の振り替えや2重国籍を認めるかどうかなどの国際結婚家庭が抱える問題の解決に、有利に働くからです。

でもだからといって、手放しで勧めることができないのが国際結婚です。

自分でも国際結婚に対する迷いが大きいと思うなら、むしろやめておいたほうがいいと言わざるを得ません。好きな人と暮らす代わりに支払うべき代償があまりにも大きいからです。日本以外の国で暮らすならなおさらです。

私の場合をお話しましょう。

うちもこの結婚には両親ともに猛反対でした。
当時はまだ韓国ブームでもなく、今よりもっと差別的な雰囲気が漂っていましたから、両親もそれはそれは心配していたようです。北朝鮮と戦争になったらどうするんだとか、そんな話まで出ていました。

でも、両親とは4年かけて話し合いと説得を繰り返し、しぶしぶ結婚を承諾してもらいました。
その間に、私も両親もどれだけの涙を流したか分かりません。自分は本当に親不孝者だと思いました。
結婚に踏み切って一年後には、父が脳出血で倒れ、生死の境をさまよいました。半分は私のせいではないかと思っています。

やっとのことで願いかなって結婚して韓国に来たからには、その後は熱々の新婚生活かというと、全く違いました。初めて親元を離れて、結婚して慣れない専業主婦で、知り合いもいない、言葉も分からない異国で暮らす、というのが私にとってはものすごいストレスで、精神的に不安定だったのだと思います。

ずっと一緒にいられると思っていた彼は、当然ながら毎日土曜まで仕事で、一緒にいられるのは夜と日曜だけ。残りの時間を家で一人で過ごす孤独。当時うちにはパソコンもなかったのでインターネットもできませでした。もちろんテレビをつけてもさっぱり分かりません。
子どもみたいにしょっちゅう駄々をこねて彼を困らせて泣いて暮らしていました。自分で選んだ道なのに、恥ずかしい話ですね。当初の予定では、結婚したら韓国語を習いに行くことにしていたのに、当時のテジョンでは、学期途中から受け入れてくれるところがどこもなくて、習いにいけなかったことも大きいと思います。

習慣や風土の違いも、避けて通れない大きな問題です。

特に習慣は、どんな環境で何が起こっても気にしないおおらかさと逆境を楽しめるような適応性がないと無理だと思います。たとえば、ひとつの器の水キムチを複数の人がスプーンですくって飲むのは嫌とか、トイレで使った紙を流さずにくずかごに入れるのは嫌とか、そういう細かい習慣の違いでも許せないようなら、国際結婚はあきらめたほうがいいです。(私は今でも嫌なんですけどね・・・。)

でも、もっと根本的に問題になりそうなのは、家族との付き合い方でしょう。
特に韓国の場合は、家族や親戚の結びつきが非常に強いので、「彼と結婚する」というよりは、「彼の家に嫁ぐ」といったほうがいいぐらい、家族の存在は大きいのです。

彼と二人の生活なら、少なくとも家の中では「小さな日本」をある程度作り出すことはできます。でも、ソル(正月)やチュソク(お盆)、チェサ(法事)、義父母の誕生日、などなど、家族の行事は目白押し。1年に何度も親戚一同と顔を合わせる機会はやってきます。顔を合わせるだけならまだいいのですが、そのたびに韓国のばかげた男尊女卑の伝統に付きあわなければなりません。
正月やお盆の前日は、女は早朝から深夜まで大量の料理作りに明け暮れます。男どもがごろごろテレビを見ながら「おーい、果物もってこい!」といえば、その合間を縫って果物をむいて運びます。食事時はといえば、男と女のテーブルは別、男のテーブルには料理のいいところが並びます。場合によっては、女のテーブルは台所の床に置かれ、男の食べた残り物が並ぶこともあります。運が悪いとハエもいたりします・・・。
初めてのチュソクの時には、親戚の女の人たちが楽しそうに世間話をするのを聞きながら、涙があふれてとまらなくなってしまいました。

風土や気候については、当初は全く考慮に入れていませんでした。でも、気づくと、日本では超健康体で病院なんてほとんどいったことがなかったのに、韓国ではすっかり病院とお友達になった自分がいます。まず、ひどい手あれを起こすようになりました。主婦湿疹です。主婦になったからかと思っていたのですが、日本に行くとすぐ治ります。次に、まぶたががさがさになって痒くなり、皮がむけてきました。アイ・クリームを買ってみましたが、ひりひりするばかりです。これまた、日本に行ったら治りました。そして、全身が痒くなってきました。韓国で育っていないから、韓国の乾燥した気候が肌に合っていないからだろうとお医者さんに言われました。

オンドルも、今でこそなれましたが、最初は曲者でした。夜、暑くて眠れないだけでなく、汗びっしょりになって風邪を引くこともありました。そしてオンドルによるさらなる乾燥。今でも朝方になるとのどがからからになってひりひりします。(ダンナはすやすや寝ています。)
風邪も、引きやすく、治りにくくなりました。乾燥のせいなのか、はたまた免疫のない風邪ウイルスが多いのか、単に私の体力が落ちたのか、原因は分かりませんが。

日本人だということで差別を受けるかときかれましたが、差別に関しては、付き合う相手を選べば、ほとんど感じずに済みます(mesaさんも言っていましたが)。
遠距離恋愛をしていたころ、ある田舎町で一人でタクシーに乗ったら、その運転手が日本にひどく偏見を持った人で、竹島問題について論議を吹っかけられ、困ったことはありましたが、そういうことはその後一度もありません。ちゃんとした教養のある人なら、国籍は関係なくきちんと一人の人間として丁寧に対応してくれます。まあ、たまに万国旗が並んでいる中で日の丸だけが落書きされてたりするのを見ることはありますが、その程度です。

私が心配なのは、子どものことです。私は好きで結婚したのだからいいのですが、子どもは親を選べない。(選んでるという説もありますが。)だから、そのせいで、これから学校に入っていじめられたり、偏見をもたれたりすることがあったらどうしたらいいのかと思うのです。
そして、将来的には子どもは日本か韓国の国籍のどちらかを捨てなければならない。そんな重大な選択を18(日本では22だけど、多分韓国では18だったような?)やそこらでしなければならないのもむごい話です。二重の背景を持った子が二重国籍のままでいて何が悪いのでしょう。

これから年老いていく一方の両親のことも心配です。
うちは男兄弟がおらず、しかも私は長女です。一方彼も長男です。
今はまだ両親が元気だからいいのですが、この先もし病気になったら看病はどうしたらいいのか、もし父か母のうち一人が先立ってしまったら先立たれたほうの親の面倒はどうしたらいいのか、また、うちのお墓の管理はどうするのか、いまだ答えの出ない問題です。

そして、私自身の問題もあります。
ロマンチストで夢見がちな韓国人男性といえば素敵ですが、裏を返せばそれは大嘘つきにもなります。
うちのダンディは恋人時代、将来のことを心配するうちの両親の前で堂々と、こういいました。「伯母のいるオーストラリアに住んでもいいし、日本に住んでもいいです。両親?私の弟がいるから大丈夫です!」
これを信じてのこのこついてきた私があほでした。今の彼は海外に行く気はほぼゼロに等しいようです。
でも、私は死ぬまで韓国で暮らしたくはないのです。この先この気持ちが変わるのか、ダンディが約束を守ってくれるのか、まだわかりません。

ここまで、国際結婚のマイナス面ばかり書いてきてしまいました。もちろんいい面もありました。新しい言語を多少なりとも習得できたし、異文化で生活することで、日本や日本人についての見方も変わりました。自分も変わったし、視野も広がったと思います。

でも、やっぱりプラスよりもマイナスのほうがうんと多いと思います。

細かいことを言えば、日本までの旅費だって、子どもができて人数が増えれば馬鹿になりませんし、子供づれの旅はものすごいエネルギーも必要です。
病気のときやつわりのときに、日本の食べ物が食べたくたって、簡単には食べられません。
日本の本が読みたくなっても、ソウルまで行って割り増しの値段で買うか、日本から高い送料をかけて送ってもらうしかありません。
もし日本で親しい方が亡くなっても、すぐに駆けつけることもできません。(私は祖母を亡くしたときそのせいで悲しい思いをしました。)
言い出したら切りがありませんね。

だからこそ、国際結婚には慎重になってください。
頭を冷やして、将来のことまでよくシミュレートしてみてください。
そして、それでも彼と一緒なら、どんな苦難も乗り越えられると思った方なら、きっとうまくいくと思います。そんなあなたは、ぜひ、彼と一緒に新しい道を切り開いてください!

(注)これは私の個人的体験に基づく個人的な意見です。


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