souvenir

■souvenir



2005-10-12 17:34:42


僕の葬儀には五人の女が駆けつけては順に泣き、妻の親族は怒り狂った。
その様子を三人の友人が笑い、それにつられて僕の二人の子供がはしゃぎ出した。
なんて楽しいパーティーなんだ。混ざれないこの身が恨めしい。
五十年代のアメリカのテレビドラマのようなこの喜劇に、僕はどんな仮面をつけるべきなのか…それを考えるだけでもワクワクする。
いやいや、それには及ぶまい。
今ここにいる彼・彼女の手にした感情が、すなわちバラバラにされた僕の断片なのだ。その一欠片を全て集めれば、見事に僕は再構成されるだろう。それが僕の仮面である。
果たしてそれがどのような表情をしているのか、僕には判らない。
そして同様に、陶器のようなつるんとした表情で佇む妻のことも、僕は判らない。

つまらない人生だった。と言ってしまうべきなのか。
退屈な毎日は事実だった。
君と出逢うことがなければね。
どうやら僕は、今、この時になって、君に深く関わってしまったことに後悔しなければならない。

僕は思いがけないくらい君を愛している。






最愛の少女K・Aに捧げた小品「souvenir」より抜粋





□□□□□□□□□□□□□□□新着情報□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

渡邊八房主催「らせん堂」のHPがリニューアル
http://plaza.rakuten.co.jp/rasendoh/
渡邊八房・HASIRAのプロジェクトの全容公開中

□□□□□□□□□□□□□□□新着情報□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□


このHPでは作家・渡邊八房と、その左座のHASIRAの日常を掲載しています。



© Rakuten Group, Inc.
X
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: