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昨日カード会社から何回か電話があったが、不在だったので、連絡できずじまいだった。今日になってからやっと繋がった。要件は、こういう所から買い物をしませんでしたか、というものだった。『JPRLLC」という聞いたことのないショップだったので、その旨伝えた所、どうやらカード番号が流出したようだった。最初に少額の買い物をして、有効性が確認出来たら、金額の大きいものを買うという、よくある方法だった。カード会社ではこういうパターンの時は支払いを止める仕組みがあるそうだ。仕組みはわからないが、他にも同じ請求先で使われたカードがあったため、止めたようだった。件の請求先をネットで調べたがヒットしなかったので、あまり活動していないのかもしれない。以前もカード番号が流出して、80万円ほどの買い物をされたことがあった。その時もカード会社から連絡があり、数万円はかかったものの、何とか処理できたことがある。十年以上前のことだったが、現在ほどECが活発ではなかったので、当時のセキュリティは今よりは脆弱だったことは確かだ。そこらへんがどうなっているのか気になったので調べてみた。現在のクレジットカードは、殆どのカードに盗難保険が無料で付いているようだ。万が一被害にあっても、被害額は上限なく補償されるらしい。なので、今回の場合は無料になるのだろう。この盗難保険の歴史が比較的浅いので、当ブログが被害にあったときは、多分ついていなかったのだろう。注意しなければならないのは、不正に利用されてから60日以内でなければ、盗難保険が適用されないということだ。今回の場合は、カード会社が見つけたので勿論60日以内。セキュリティも進化していて、カード会社では24時間365日、不正利用を検知するシステムで、利用状況をモニタリングしているという。例えば、おかしな使い方があった場合とか、今迄使っていない地域で使われたとかのパターンをもとに異常をチェックし、異常があった場合にはカードを停止するというもの。また、AI で自動判断するシステムも、広がりつつあるという。こうなると、ユーザーが心配することは殆どないことになるが、敵も進化するわけで、これからもいたちごっこが続くのだろうか。最終的にはAIとAIの勝負になりそうな気がするが、突拍子もないことはAIは考えないので、天才的なハッカーが現れたらお手上げになりそうな可能性は依然としてあるだろう。こう考えていくと、クレジットカードの番号流出とその防止策について、興味は尽きない。誰か、これに関する本を書いてくれないだろうか。
2018年06月30日
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Presto Classicalで偶然見つけた一枚。チックコリアの作品をクラシック・ギターで演奏していることから、興味がわいた。演奏しているのはイタリア生まれのフラビオ・クッキ(1949-)というギタリスト。寡聞にして知らないギタリストだったが、ヨーロッパを中心にアメリカやアジアでも公演を行っているようだ。アルバムは15枚ほどリリースしていて、クラシックのほかにポピュラー系のアルバムも作っている。ディストリビューターのコメントによると、チックとクッキは1980年代後半に出会って以来、たびたび共演しているようだ。今回のCDではチック作曲のギターのためのオリジナル「Six Ruminations for guitar」が目玉だろう。チックによると、作曲に着手したのは彼らが出会う前で、その後クッキの校訂とフィンガリングの修正をへて完成されたという。クラシックの整然とした佇まいに、即興的なフレーズが飛び出すような組曲。メロディーが美しいが、これがジャズメンの書いた曲とは誰も思わないはずだ。第2曲の速いアグレッシブなパッセージがなかなか刺激的だ。第3曲はゆったりとしたシチリアーノ風の音楽。第4曲はスパニッシュ・フレーバーが入っている。第6曲は暗いムードで、シリアスな音楽。今回の演奏は、クッキが改定した版が使われている。今後多くのギタリストに取り上げられるであろう銘品。因みに現時点でのチックの唯一のギター作品だ。そのほか、チックのライフワークである「チルドレンズ・ソング」から12曲をクッキが2本ギターのために編曲した「12 Children's Songs for two guitars」が入っている。当ブログはこの曲集が暗いのであまり好きではない。ピアノ版だとピアノの透明なサウンドが深く沈潜していくような曲にマッチしてたが、ギターだと、だいぶ様子が違う。ピアノだと凝縮した音楽になっているが、ギター版だと少しうるさい感じがして、集中して聞けない気がする。まあ、楽器の特性が曲にマッチしていないのかもしれない。編曲か演奏かはわからないが、単調さも感じてしまう。その中では第6曲がギターにもあっていた。ラプソディックな第7曲や、ぎくしゃくとしたリズムに乗って進む第8曲もユーモラスだ。総じてリズミックな曲がギターにあっているように思う。2本や3本のための作品は、すべてクッキの多重録音による演奏。アルフォンソ・ボルゲーゼ(Alfonso Borghese 1945-)とジュリオ・クレメンティ(Giulio Clementi 1950-)の作品は初録音だ。ボルゲーゼはイタリアのフィレンツェ生まれのギタリスト、指揮者、作曲家などいろいろな顔をを持っている。舞台付帯音楽を数多く作曲し、ギタリストとしてはTrio Chitarristico Italianoのメンバーとして世界中で演奏しているという。作曲者自身は「ハバネラの秋」について『夜間のシーンや孤独な絵画の肖像画であるアメリカの画家エドワード・ホッパーの芸術を思い出す』と語っている。タイトルは意味不明だが、緩やかなハバネラのリズムに乗って、けだるいムードの旋律が流れていく時間は、めったに味わえるものではない。ジュリオ・クレメンティの「3つのバレラの踊り」は「タンゴ」「スローワルツ」「スローフォックストロット」の3曲からなり、昔のダンスホールの情景をノスタルジックに描いている。表情付けが濃厚で、それがツボにはまっている演奏だ。イギリスの作曲家ジョン・W・デュアートの「ギターのためのイギリス組曲」は1963年にセゴビアへ結婚祝いとして送った曲だ(1963)イギリスの民謡風の平易な曲想で、心温まる曲と演奏だ。ただ、3曲目の「Round Dance」ではリズムが少しぎこちないのが惜しい。ジスモンティの「水とワイン」は広く知られた名曲だが、クッキの演奏は幾多の名演奏と比較しても、優に上位にランクされる演奏だろう。こうしてみるとクッキは純然たるクラシック・ギターというよりも、クラシックとポピュラーの挟間で活躍しているギタリストのような感じだ。柔らかな表情や泣きが聴き手に訴えかける力は、普通のクラシックのギタリストには出せないだろう。優れたテクニックと清潔な佇まいで、聴いた後に爽やかさを感じることも彼の優れているところだ。Flavio Cucchi plays Chick Corea(Naxos 8.573917)1.Chick Korea(1941-)(arr. Flavio Cucchi)12 Children's Songs for two guitars (from 20 Children's Songs for piano) 13.Chick Korea:Six Ruminations for guitar 19.Alfonso Borghese(1945-):Habanera d'Autunno for guitar20 .Egberto Gismonti(1947-):Agua e Vinho (version for three guitars)21.Giulio Clementi(1950-):Tre danze da balera for two guitars 24.John W. Duarte (1919–2004) :English Suite for guitar (1963)Flavio Cucchi(g)Recorded: November 2015–September 2017 at Studio Prunatelli, Florence, Italy
2018年06月27日
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一か月ほど前から、夜中に家に来てギャーギャー鳴く猫が出現した。その鳴き声がにやーにゃーではないのでとても気色が悪い。無視していたら、日中も出現するようになった。餌をやり始めたら、シャーと威嚇する。餌をくれてやってるんだから威嚇するな、といったのが分かったのか、少しづつ威嚇する頻度が少なくなった。子供が言うには、怖い時の鳴き声だということだった。要するに虚勢を張って威嚇して、あっちに行けといっているのだそうだ。最近は近づいてもあまり威嚇しないようになった。ただ、まだ触ることはできない。一度ちょっと触ったら「シャー」と言われたので、まだ警戒しているようだ。餌を食べているときも、数秒おきにき周りを警戒している。人間を警戒しているのか、ほかの猫が餌を横取りするのを警戒しているか、ほかの理由かはわからない。最近は一日3回朝昼晩と同じ時刻にやっている。来ると鳴いて餌を催促する。家の猫を夜中に出したときに来るときもあり、毎日が寝不足気味だ。明るくなると、カラスがやってきて、猫が食べ終わるのを待っている。猫は食べ終わると鳴く。意外に礼儀正しいやつなのかもしれない。カラスは、それを知ってやってくるのかもしれない。猫がいなくなると、餌を入れた食器をずるずると移動して、ひっくり返して食べている。食器から直接食べられないとは思えばないので、何か理由があるのだろう。カラスと猫の関係が分かったので、最近は猫が食べ終わるのを待って食器をかたずけている。それを知ったカラスが、何度か庭に糞をしていたので、エスカレートしないように、餌を食べに来たときは、少しだけやえさをやるようにしている。これが逆効果になりそうなことはわかっているが、逆襲が怖いのだ。名前の由来は色が薄茶で背中や手足に黒い筋が入っているのを見て、子供が掃除道具の「モップ」を連想するので「モップ」と呼んでいるようだ。モップさんの行動を見ていると、食べ終わった後は家に帰っているようなので、飼い猫かもしれないが、そうだったら自分のうちで餌をもらえと言いたくなってしまう。今後どうなるか分からないが、これ以上猫を家に入れたくないので、付かず離れずの関係でいたい。因みに家猫3匹とは友好関係にあるようだ。
2018年06月24日
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山中千尋の新譜はクラシックを中心とした選曲。以前のアルバムでも結構クラシックは取り上げているが、これほど多く取り上げたのはモルト・カンタービレ(2013)以来だろうか。聴く前は、駄作になっていないかと思って心配していたが、その心配は無用だった。選曲が一ひねりも二ひねりもしているのは、さすがに彼女らしい。「初めて聞くクラシック」みたいな曲があるかと思えば、シューベルトの「アルペジオーネ・ソナタ」や武満徹の「死んだ男の残したものは」などは、ジャズ・ミュージシャンが、絶対といっていいほど取り上げない曲もある。スクリャービンの第4ソナタを取り上げているのもユニーク。以前山中の選曲したクラシック・ピアノのコンピレーション(クラシック・レミニセンス)があったが、そのなかでもスクリャービンが入っていたので、山中のお気に入りの作曲家なのだろう。演奏はかなり型破りで、ヨーロッパのミュージシャンのクラシックを演奏するときのいかにもクラシックという感じのお上品な展開とはまるで違っている。また、聴きなじんだ曲のほうが、その面白さがよくわかる。いわばありきたりの料理が、思いがけなくうまい時の驚きに似ている。タイトルチューンは山中のオリジナル。速いテンポで爆走するが、ソロでは私の嫌いな手癖が出てきて少し嫌な気分になる。後半ドラム・ソロになると、バッキングにピアノに加えてオルガンが入るが、オルガンがいつの間にかドラムと一緒にソロをやりだして、完全に主役が交代してしまう。毎回同じことを書いている気がするが、バッキングはもう少し大人しくしてほしいが、無理だろうな。「乙女の祈り」も速いテンポで、原曲の優雅さというかある種のエグミは全く感じられない。リズムは同じだが、音を変えているせいだろうか。原曲を知らなければ、ジャズの曲といってもおかしくないほどジャズらしい演奏。バーンスタインとガーシュインはポピュラー・チューンなので、特に驚きはない。サン=サーンスの「白鳥」も速いテンポの変拍子で、ドラムスの力強い8分音符がドラミングが、原曲の優雅さではなく逞しさを感じさせる。後半のオルガンのファンキーなソロものりがいい。クラシックをこういうアレンジで聴くと、ジャズでしか味わえない醍醐味が感じられ、かなり得点が高い。スクリャービンは第4ピアノソナタの第1楽章のようだが、原曲の透明な湖をのぞき込むような感じは全くない。テンポが倍以上速くなっていて、何が原曲かもわからない。スクリャービンが普通のジャズのように聞こえるのが、何とも不思議だ。アルペジョーネ・ソナタは第1楽章のメロディーが使われている。これは原曲が何かは比較的わかりやすい部類だが、4ビートの洒落たアレンジで、楽しめる。武満徹の「死んだ男の残したものは」は旋律が感動的なのだが、反戦歌らしいイデオロギーを感じるところが気に入らない。ここでは、原曲の暗い雰囲気はまるでなく、速いテンポでぐいぐいと進んでいくのが爽快だ。ハンガリー舞曲は、ラグタイム風のコミカルな味付けでとても面白い。ドラマや映画のバックに使われてもおかしくない演奏だ。今後、彼女のアンコールの定番曲として使われそうな予感がする。こうしてみると、山中の特異なアレンジの才能が目立ったアルバムだった。いっそのこと、クラシックだけに絞って、この路線の編曲で仕上げたほうが、もっと面白かったような気がする。山中千尋:ユートピア(ユニバーサル UCCJ-2157)1.山中千尋:ユートピア2バダジェフスカ:乙女の祈り3.バーンスタイン:マンボ4.ガーシュイン:ラプソディー・イン・ブルー~ストライク・アップ・ザ・バンド5.サン=サーンス:白鳥6.スクリャービン:ピアノ・ソナタ第4番7.バッハ:管弦楽組曲第2番からバディネリ~リコシェ8.シューベルト:アルペジオーネ・ソナタ9.ガーシュイン:愛するポーギー10.武満徹:死んだ男の残したものは~山中千尋:ホープ・フォー・トゥモロー11.ブラームス:ハンガリー舞曲 第5番12.ドヴォルザーク:わが母の教え給いし歌山中千尋(p,Fender Rohdes,Org)脇義典(b)ジョン・デイヴィス(Ds)録音:March,April,2018 New York
2018年06月22日
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1週間ほど前からトイレの床が濡れていることある。妻は私が粗相をしたからだと疑っていた。疑われるのも不思議はなく、何度か前科があったからだ。そういわれた後で、かなり気を使って用を足していた。ところが、その場で確認しても後で見ると床が濡れている。念のため便座に座って小をしたが、結果は同じだった。仕方がないので、昨日、業者に診てもらった。結果はウォシュレットから水漏れしている可能性が高いといわれた。確かに最初はウォシュレットが付いている部分の床が濡れていたので、そうかもしれないと思った。そうだとしても、便器の設置部の外周から均等に水がにじみ出ているようだし、時間がたつと、ある場所からだらだらと広がっている。業者は便器のつなぎ目からの漏れではないかという。修理としては、便器を外すだけで、ウォシュレットの交換よりも簡単だという。主犯はウォシュレットくさいので、取り合えずウォシュレットを使わないようにとお願いされた。今日様子を見たが、昨日と何も変わっていない。業者に伝えたら、メーカーに診てもらう必要があるということで、結局はメーカーに診てもらうことになった。最初は軽く考えていたが、大ごとになってしまった。水漏れの症状はひどくなる一方で、水を拭き取るのもなかなか大変だ。最悪全とっかえもありうるので、現在の便器がトラブルを抱えていることもあり、いざとなったら新しいモデルを考えてみたい。結構痛い出費になりそうだが仕方がない。ところで、昨日のコロンビア戦は素晴らしかった。いくつかの幸運もあるにはあったが、それも含めて日本の力だろう。何故かハラハラドキドキしないで冷静に見ることができた。個人的にはコロンビアのコーヒーが女性的な優しい味で愛飲しているので、コロンビアにも頑張ってほしいと思う。
2018年06月20日
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以前取り上げたヴィルデ・フラング(1986-)の昨年末にリリースされた新譜を聴く。昔の名ヴァイオリニストたちの作編曲の小品を集めている。普段はこういうCD は好んで聴くことはないが、注目していたヴァイオリニストなので、spotifyで視聴したあと、ハイレゾ音源で購入した。知らない音楽家の名前も多いが、とても楽しませてもらった。編曲物というと原曲より劣るというイメージだが、ここで演奏された曲は、どれもが原曲とは別な面白さが感じられた。フラングの演奏は、テクニックの鮮やかさが感じられる。自由自在な表現で、濃い表情や聴き手の心をくすぐる表現も多くみられるが、嫌みは全く感じられないのも、彼女の長所だ。シューマンの「献呈」は最近ピアノでよく聞くが、ヴァイオリン編曲版があるとは知らなかった。若き日のシューマンの情熱がこれでもかと聴き手に迫り、聴き手はたじたじとなるばかりだ。一方グルックの「精霊の踊り」のような爽やかな音楽でも、かなり力のこもった演奏で、この曲の演奏としては異色の存在だろう。6曲目の「Tango」はとても情熱的な曲で、高音が素晴らしく美しい。作曲者のポルドフスキーは高名なヴァイオリニストで作曲家のヴィエニャフスキーの一番下の娘イレーヌ・レジーヌ・ヴィエニアフスカ。ポドルスキーという男性名で活動した。ドビュッシーの「レントより遅く」冒頭の妖しさに満ちたサウンドには、思わず「おっ!」と声が出てしまった。シゲティが編曲したスクリャービンは原曲の面影はあまりなく、もともとヴァイオリンの曲のように響く。厳格なイメージが強いシゲティが、このようなエンターテインメント性の強い編曲をするとは思わなかった。フラングの優れた技巧は最後のバッツィーニの「カラブレーゼ」でいかんなく発揮されている。鮮やかというしかない演奏だ。クライスラーなどよく知られている曲も聴きどころ満載で、つまらないのはプロコフィエフくらいだろうか。アルゼンチン生まれのホセ・ガヤルド(José Gallardo 1970-)のピアノはヴァイオリンと適度な距離を保ちつつ、ヴァイオリンを引き立てている。amazonでは酷評されていたが、音楽的にとても充実していて、このような小品集としては最上位の部類だと思う。一般的には、こういう小品集は譜面をなぞればいいものではなく、長く経験を積まないといい味を出すことが難しいものだ。ところが、フラングの演奏は当ブログの思い込みを超えた、味わい深い演奏だった。以前ロシアのピアニスト、オルガ・シェプスのロシア物の小品集を聴いた時も感じたことだが、今時の若い世代の演奏家は、技巧だけでなく曲のアナリーゼや解釈も進化しているのかもしれない。Vilde Frang:Homage(Warner 0190295805326) 24bit/96kHz Flac1.Franz Ries:La Capricciosa2.Robert Schumann(arr. Leopold Auer):Myrthen, Op. 25: I. Widmung3.Henryk Wieniawski:2 Mazurkas, Op. 19: No. 1 in G Major, 'Obertass'4.Christoph Willibald Gluck(trans. Fritz Kreisler):Orfeo ed Euricide, Wq. 30: Melodie5.Franz Schubert(trans. Fritz Kreisler):Rosamunde, Op. 26, D. 797: Ballet music6.Poldowski:Tango7.Claude Debussy(trans. Léon Roques):La plus que lente, L. 121: Valse8.Henryk Wieniawski(trans. Fritz Kreisler):10 Etudes-caprices, Op. 10 - Caprice No. 5 in E-Flat Major. Alla Saltarella9.Alexander Scriabin(trans. Joseph Szigeti):12 Etudes, Op. 8: No. 10 in D-Flat Major10.Fritz Kreisler:Rondino on a Theme by Beeethoven11.Fritz Kreisler:Gypsy Caprice12.Antonín Dvorˇák(trans. Fritz Kreisler):8 Slavonic Dances, Op. 46: No. 2 in E Minor13.Sergei Prokofiev(trans. Jascha Heifetz):Romeo and Juliet, Op. 64, Act 1: No. 12 Masks14.Felix Mendelssohn(trans. Fritz Kreisler):Song without words, Op. 62 No. 115.Isaac Albéniz(arr. Jascha Heifetz):Suite Espanola, Op. 47: No. 3 Seville16.Manuel Ponce(trans. Jascha Heifetz):Estrellita17.Antonio Bazzini:Calabrese, Op.34 No.6Vilde Frang(vn)José Gallardo(p)Recorded: 6–8., 10.III.2017, Sofienberg kirke, Oslo
2018年06月18日
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ジョシュアレッドマンの最新作は父デューイ・レッドマンというか「Old and New Demas」(1976 - 1987)というオーネット・コールマンをトリビュートするメンバ4人からなるグループへのオマージュ。いわばコールマン抜きのコールマンバンドみたいなものだ。当ブログはこのグループについて名前は知っているが、音は聞いたことがなかった。編成は今回のメンバーと全く同じだが、様子はだいぶ異なる。エド・ブラックウェルのドラムスが結構前に出てきている。チャーリー・ヘイデンのベースがクラシックのベースのようなマイルドな音で、他の3人とちょっと立ち位置が違うような感じで鳴っている。スタイルはフリー・ジャズだが、わかりやすい音楽で、現在聞いても古臭くない。最近フリー・ジャズと敢えて名乗っているアルバムは寡黙にして知らない。最近はフリー・ジャズとして聴くことはほとんどなくなくなったが、オーネットをよく聞いていた頃のことが思い出される。日本のフリー・ジャズは小難しく感じるが、オーネットの初期のフリー・ジャズはそういうことは全く感じられない。それどころか、全体的にコミカルな味わいさえするものだった。「Old and New Demas」や今回のバンドも傾向は同じだ。編成がピアノレス・カルテットため、サウンドがシンプル。腕利きたちで編成されているため、「Old and New Demas」よりもサウンドが充実している。フリー・ジャズとしては、特に目新しいことをしているわけではないが、明るく開放的で、当ブログがイメージするフリー・ジャズのように、暗くじめじめした感じがないのがいい。「Old and New Demas」のメンバーによる曲は、ヘイデンの「Playing」のみ。あとは、ジョシュアが4曲、ベースのコリーが2曲、オーネットが1曲というプログラム。曲は違えど、「Old and New Demas」のカラーに沿った演奏だ。ドラムスが「Old and New Demas」のブラックウェルみたいに目立っていないで、当ブログとしてはこのジョシュアのバンドのほうが聴きやすい。「Haze and Aspirations」はテンポの遅い曲で、フリー・ジャズではない。コールマンやミンガスを思い起こさせる、乾いた感触がいい。「Old and New Demas」が音がブレンドしていない分、フリー・ジャズ度?が高く、ざらざらとした感触で刺激的だ。ところで、先ごろセシル・テイラー(1929年-2018)が亡くなったことを知った。セシル・テイラーといえばフリー・ジャズという言葉が反射的に出てくる。手持ちの音源を久しぶりに聞いてみたら、やはり難解だ。当ブログが最高傑作と思っている菅野沖彦(1932-)録音の「ソロ」(トリオ)も聴いたが、アナログでプレーヤーの調整もしていないので、貧弱な音しか聞こえなかったのは残念。以前からCDを探していたのだが、廃盤になって久しい。この機会に?是非復刻してほしいものだ。しかし「フリー・ジャズ」という言葉も懐かしい言葉になってしまって久しい。Joshua Redman:Still Dreaming(Nonesuch 565047-2)1.New Year2.Unanimity3.Haze and Aspirations4.It's Not The Same5.Blues For Charlie6.Playing7.Comme Il Faut8.The Rest Joshua Redman(ts)Ron Miles(cornet)Scoto Colley(b)Brian Blade(ds)Recorded April 2-3,2017,at Sear Sound,New York,NY
2018年06月16日
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iEclassicalを覗いていて、興味が湧いたので、spotifyで確認後購入した音源。バロック・オペラの慣習である「プロローグ」を集めたアルバム。ディストリビューターによると、『「プロローグ」とはオペラ本編には登場しない神話の中の人物や、ありとあらゆるものが擬人化されたキャラクターが登場し、その後に続くオペラ本編の前置きとなる歌を披露することで観客を物語の世界に導く。このディスクは、モンテヴェルディからスカルラッティまで、17世紀バロック・オペラのプロローグだけを集めたものである。フランチェスカ・アスプロモンテは、20代にしてカーネギー・ホールをはじめとする世界的なホールに立ち、著名な指揮者と共演を重ねる新進気鋭のソプラノ。特にバロック、古典派を強みとし、世界中の聴衆を魅了している。』とのこと。アスプロモンテは1991年にイタリアに生まれ、ピアノとハープシコードを学んだあとで、声楽をマリア・ピア・ピシテリから学んだという変わり種。まだ27歳という若さで、声楽を学んだのが遅かったにもかかわらず、世界の有名な場所で歌っているということは、相当才能があるということだろう。当ブログが知っている作曲家はモンテヴェルディとスカルラッティくらいしかいない。知っている曲もオルフェオのトッカータくらいだ。ところが、当ブログのようにバロック・オペラに不案内な聞き手でも、全く退屈しない。彼女の歌唱が素晴らしかったからだが、購入するきっかけも、曲はさておき、彼女の歌唱が気に入ったからだ。こういうことは当ブログではあまりない。透明な声と生き生きとした歌唱、特にバックが薄いところでの、歌唱は大層魅力的だ。技巧的には速いパッセージの切れがあまり良くないのと、個人的には巻き舌の「R」の発音が少し強いところが気になった。バックはオノフリ率いるイル・ポモ・ドーロ。このアンサンブルは2012年に設立されたバロックと古楽専門の団体。ホームページ上のメンバーは約20人だが、今回のレコーディングはハープ、リュート、ハープシコードを含む9人編成で、指揮のオノフリはヴァイオリンも兼ねている。1曲目のオルフェオのみ3本のトランペットとオルガンが加わる。弦の速いパッセージの掛け合いの面白さが目立つが、単独で出てくるハープシコードやリュートも達者で、バロックオペラの世界が堪能できる。オノフリはバロック業界では有名な方らしく、日本にも2006年以来たびたび来ているそうだ。ところで、ペンタトーンのホームページを見るとダウンロード音源は€13.49なので、¥1753円、eClassicalだと$13.39(¥1474 6/14現在)で300円あまり安い。新譜なので少し安くしているのかもしれないが、それにしてもペンタトーンからクレームは来ないのだろうか。それとも、利便性から考えて、レコード会社から購入するよりも、配信サイトから購入してもらったほうが、売れると考えているのだろうか。日本だと配信サイトもレコード会社も同じ値段なので、配信サイトが少し便利なだけだ。商売っ気がないというか、ユーザーの気持ちが分かっていないというか、ブックレットの添付すら国内はいまだにできていないことを考えると、海外の配信サイトと国内の配信サイトの意識の違いを感じざるを得ない。Francesca Aspromonte:Prologue(Pentatone PTC 5186646) 24bit 96kHz flac1.Claudio Monteverdi:Orfeo - Toccata & Prologo2. Giulio Caccini:Euridice - Prologo3. Francesco Cavalli:Didone - Sinfonia & Prologo4. Francesco Cavalli:Eritrea - Prologo5. Stefano Landi:Il Sant Alessio- Sinfonia & Prologo6. Luigi Rossi:Il Palagio d'Atlante - Prologo7. Francesco Cavalli:Ormindo - Sinfonia & Prologo8. Pietro Antonio Cesti:Il pomo d oro - Sinfonia & Prologo9. Alessandro Stradella:Sinfonia a due violini e basso10. Pietro Antonio Cesti:Argia - Sinfonia & Prologo11. Alessandro Stradella:La pace incatenata - Prologo per musica12. Alessandro Scarlatti:Rosaura - Sinfonia & PrologoFrancesca Aspromonte(s)il pomo d’oroEnrico Onofri(cond)Recorded at the Teatro delle Voci, Treviso, 19-22 December 2016.
2018年06月14日
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日本では法律に抵触するタイトルだが、違反と知りつつ長年渇望していたSACDのリッピングがやっとできるようになった。昔はPS3でSACDのリッピングができるということを知っていて、対応するバージョンのPS3を探していたが、なかなか見つからずそのうち忘れてしまっていた。ところが最近パイオニアとOPPOのBDプレーヤーを使うとリッピングができることが分かった。OPPOは高いので、手ごろなパイオニアのBDP-160か170を狙っていたが、既に生産中止であり、BDP-160の中古もプレミアがついてなかなか手に入れにくくなっていた。いつぞやamazonで割と安い価格で中古が売られていたが、少し色気を出してヤフーオークションで落とそうと思った。実際やってみると、そうは問屋が卸さず、値段が釣り合わなくなり、結局途中で降りてしまった。件のamazonの中古はすでになくなっていて、仕方がないので4000円ほど高い中古を購入した。ところが、これがとんだ食わせ物だった。何しろトレイが動かない。この機種では有名な故障らしいが、結局トレイ開閉用のゴムが劣化で変形していたことが分かった。本当は業者に送り返して直してもらってから再度送ってもらえばよかったのだが、生来気が弱いので、相手の言うままにメーカーとの相談から見積もり、修理までやらされてしまった。欲しかったので仕方がないが、我ながら情けない。修理から戻ってきたのでチェックをしたら正常に動作している。ところが、USBを使おうとしたらうまくいかない。説明書をよく読んだらUSBのフォーマット形式に制限があることを知り、フォーマットしなおしたらうまくいった。原理としては、概略下記のようになる。①USBにスクリプトを組む。②USBをBDプレーヤーに接続する。③PCにDSD抽出用ソフトをインストールする。④BDプレーヤーにSACDを入れて、トレイを閉める。⑤PCのDSD抽出用ソフトを起動する。⑥SACDのDSDファイルがPCにコピーされる。※導入方法はこちらのサイトに詳しい。抽出ソフトはSACD_EXTRACTというソフトで、DSDの二つのファイル形式とISOファイルに対応している。最初コマンドを間違えてISOファイルを抽出してしまい、ISOをDSDに変換するソフトも入れなければならなかったが、オプションのつけ方を変えて本来欲しかったDSFファイルをゲットできた。抽出時間は1時間はかかっていないと思うが、これも速いPCを使っている御利益だろう。TAGはMP3TAGで付けられるので、全く問題がない。一番の問題は、どのデバイスでも再生できるというわけではないので、とりあえず今はネットワークプレーヤーで再生している。通常はiPadのFlacでの再生なので、本当はiPadで再生できればいいのだが贅沢は言ってられない。ここまでは、順調に来たのだが、一つまずいことに気が付いた。上記の問題があるので、どこでも同じ音源を聴くには、CDのファイルとSACDのファイルの二つをリッピングしなければならないことだ。DSDはファイルサイズが大きいこともあり、対策を考える必要があるかもしれない。もう一つ、DSDを抽出しているときエラーが出たらどうするかも、考えなければならない。「めでたしめでたし」と思って次の日に別なSACDのリッピングをしようとしたらBDプレーヤーの電源が入らない。ACコードを何度か抜き差ししたら、電源が入った。最初に動かしたときも、同じ現象が出て、その現象が再現したわけだが、この機種特有の病気のようだ。電源をOFF/ONすると発病するので、今後辛抱強く付き合っていくしかないようだ。昨日せっかく気分が高揚したのに、がっくりしてしまった。今日何枚かやってみたが、抽出はなかなか快適にできる。DSDだとS/Nがいいのはわかっているが、Flacよりも遥かにいいというわけではないので、この方式は、お金と時間を使った割には、あまり活躍する機会はなさそうだ。
2018年06月12日
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ラーシュ・ヤンソンの近作を探していて見つけたCD。テナーのシグルズール・フロサソン(1964-)(Sigurdur Flosason)とピアノのラーシュ・ヤンソン(Lars Jansson)が組んだアルバムで昨年のリリース。シグルズール・フロサソンという方は別名「アイスランドのポール・デスモンド」と言われていて、リリカルなプレイが特徴といわれている。ジャズの他にスカンジナビアのミュージシャンと広範囲に活動し、リーダーアルバムも30枚ほどある。ピアノもリリカルなので、相性はいいようだ。題名のモスとは苔のことで、ブラック・サンドは、アイスランド南部にあるヴィークという街の近くにある黒砂のビーチのことだろう。ブラック・サンド・ビーチの緑の苔という意味だろうか。ジャケ写に映っているのがブラック・サンド・ビーチでそこに生えているのがグリーンモスなのだろう。曲はすべてフロサソンのオリジナルで、アイスランドの中央部にひろがる広大な高原地帯ハイランドにインスパイアされたという。フロサソンのサックスはアルトにしてはかなり渋くて、テナーかと思ったほどだ。音のエッジがぼやけていて、音色も濁っているので、聴いていてきもちのいい音のとは言えない。当ブログが聴いたところでは、リリカル=静かということにはならないようだ。結構アグレッシブに吹いているところが多い。ファンキーなフレーズが頻発するが、細かい音符はあまり使われず、ある意味安定、別な言い方をすれば、面白味が少ない。メロディーは確かにリリカルではあるが、バックが騒々しく、もう少し曲の良さを感じたいと思ってしまうこともある。ヤンソンはアルトに触発されたのか、トリオでの演奏よりもかなり熱を帯びた演奏。曲にもよるが「Lava」は両者とも熱くなって迫ってくる。「Serenading the moon」はspotifyで人気の高い曲だったそうで、テンポの速いリズミカルな曲調で、アイスランドの民族音楽?の影響も感じられる。「ラスト・タンゴ・イン・パリ」に似たフレーズも飛び出す。「Black Sand」は抒情的なメロディーだが、ここでもざわざわした感じで、曲の良さが出ていないように思う。もう少し静かな演奏にできなかったのだろうか。「Green Sky」は変拍子のメロディックな作品。バックがそれほどうるさくないので、気持ちよく聴ける。最後の「Wasteland」は遅いテンポで、心静かに聴き終わることができる。ということで、つまらない演奏ではないが、もう少し響きを整理してくれれば、だいぶ違った結果になったと思う。Sigurdur Flosason/Lars Jansson Trio:Green Moss Black Sand(storyville-records 1014308 )1.Fragile Growth2.Serenading the Moon3.Black Sand4.Stilness in the Storm5.Green Sky6.Lava7.Spring Water8.Slanting Rain9.Moss10.To the End of the World11.Wastelandall music composed by Sigurdur FlosasonLarsSigurdur Flosason(as) Lars Jansson(p)Thomas Fonnesbæk(b)Paul Svanberg(Ds)Recorded April 24-25,2017,Nilento Studio,Göteborg
2018年06月10日
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河村尚子の2014年以来の新録音はオール・ショパンプログラム。彼女の「演奏会で何度も取り上げ、これらの作品の解釈が熟してきている今、どうしても録音として残しておきたい」という言葉を裏付ける傑作。私見では現時点での彼女の最高傑作と考えている。テンポはかなり遅い部類だが、遅いことにより、微妙なニュアンスが加わり、味わい深い演奏になっている。隅々まで神経が行き届き、感情の赴くままに演奏する場面は全くない。最初の「幻想ポロネーズ」からして、尋常な出来ではない。大方の演奏では最後は尻すぼみになるものだが、彼女の演奏では最後まで感興が損なわれない。次の「幻想即興曲」は少し遅めのテンポで、指に任せた安直なアプローチではない。ところどころ、おっと思わせるアゴーギグが聴ける。これも、常識では考えられない、次の遺作の前奏曲と3つのマズルカはあまり馴染んでいないので、評価は避ける。メインの24の前奏曲集は、どの曲もとても意味深く、短いためか、なんとなく過ぎてしまう曲が皆無。当ブログが好きな第4曲も、普通ならサラッと過ぎていくところが、とてもニュアンスのある演奏で、当ブログがいつもイメージするジェリー・マリガン(night lights 収録)のイメージに最も近かった。細部を注意深く聴いてみたが、処理の曖昧なところはなく、実に潔癖な演奏だった。テンポが遅めなので、16番のようなテンポの速い曲でも危なっかしいところがなく、安心して聴くことができる。参考までに聴いたアルゲリッチ(DGG)の情熱に任せた奔放な演奏は、ツボにはまると凄いが、そうでないときはちょっとと思うことがあり、あまり参考にならなかった。上述の16番も凄いスピードで、あれよあれよと思っているうちに終わってしまう。こうなると、車ですっ飛ばしている時の快感に似てくる。ただ、スピードが速すぎて、ブレーキの利かない車のように制御しきれていないところもある。おそらく河村の演奏の対極にある演奏。第13番の中間部では少しテンポを落としてじっくりとうたっていて、何とも言えない至福の時間を感じてしまう。力強い打鍵もアルゲリッチに負けていない。もう一枚メジューエワの演奏は、河村の演奏に近いが、河村に比べて訴求力が弱い。以前聴いたときは、何曲かで違和感があったのだが、どの曲だったか忘れてて、その曲に辿りつくことが出来なかった。ということで、最初に結論を言ってしまったが、前奏曲集や幻想ポロネーズなどの出色な演奏として、ぜひ聴いていただきたい。今後当ブログの中では基準となる演奏の一つになるだろう。ただ音量を絞ると箱庭的になってしまうので、大きな音量で聞いて頂ければと思う。河村尚子:ショパン:24の前奏曲&幻想ポロネーズ(RCA SICC-19009)1.幻想ポロネーズ2.幻想即興曲3.前奏曲4.3つのマズルカ7.24の前奏曲河村尚子(p)2017年9月25-27日 ベルリン,イエス・キリスト教会
2018年06月08日
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最近出版された寺島靖国のムック「テラシマ円盤堂」を入手した。kindleがあればと思ったが 、内容からしてある筈もなかった。寺島靖国といえば、ジャズ・オーディオ界では知らぬもののいない有名人。ジャズ喫茶megの店主であり、エッセイストであり、レコードプロデューサという多彩な才能の持ち主。氏のエッセイは毒舌なのだが、後味は悪くないというユニークなもので、昔勇名を馳せたジャズ評論家の粟村政昭の語り口に似ている。もっとも寺島氏はオーディオ専門で、音楽についてはあまり語らない。オーディオ専門といっても、専門家ではないので、自分の経験を語っているだけなのだが、これがめっぽう面白く、嫌っているのに本は何故か持っているという不思議な魅力がある。この「テラシマ音盤堂」は、音楽之友社の「ステレオ」と「レコード芸術」に連載されているコラムを集めたもので、それにCDベスト10、ジャズ喫茶いーぐる店主の後藤雅洋氏との対談、それに「オーディオでジャズを楽しむ悦楽」という巻頭言、店と自宅のオーディオシステム訪問記などが付いている。管理人はレコード芸術の読者なので、氏の連載は知っていたが、熱心に読むようになったのは、氏の紹介したCDが良かったことがきっかけだった。年代を問わず、管理人の知らないCDの音に蘊蓄をかたむける。読んでいると思わず買いたくなることもある。管理人にとっての成功例は、キアラ・パンカルディ、だめだったのはアレッサンドロ・ガラティ。キアラ・パンカルディは気に入って、その後フォローしている。アレッサンドロ・ガラティは何枚か聞いてみたが、何回聴いても、あまり面白くない。寺島氏は音楽ではなく、音楽の中のいい音に関心があるのだ。特に、もりもりと迫ってく低音とシンバルのシャキーンという音が気に入っているようだ。この本を読んでいると、純粋のオーディオマニアという人たちが何に注意を向けているのかがよくわかる。管理人は音楽が良くて、それに加えて音が良ければいいという考えなので、音はいいが音楽がつまらないのは耐えられないのだ。また、最近のジャズ界の潮流として、エンジニアで聴くという聴き方があることも触れられている。代表的なのはステファノ・アメリオとヴァンサン・ブルレというイタリアとフランスのエンジニア。普段は意識しないが、いい音だと思ってエンジニアを確認するとアメリオだったりすることがある。寺島氏は昔からECM嫌いを公言していて、特にキース・ジャレットを嫌っていたことは有名だ。ところが、このムックに入っている「この音を聴け!CDベスト10」というコラムでは、何とECMのボボ・ステンソンの「Contra La Indecision」が入っている。アメリオ録音のためかスタジオが違うためかは不明のようだが、ドラムスとベースがピアノと同列に前に出ているのがいいのだそうだ。氏は最近三分の一くらいECMが好きになってきたと書かれている。年を取ってからこういう発言をすることはかなり勇気のいることだが、これからも過激な発言を続けてほしい。とうことで、ニッチな世界の蘊蓄をたれまくっている本だが、こういう本があってもいいような気がするが、売れないだろ~な。寺島靖国 テラシマ円盤堂 ~曰く因縁、音のよいJAZZ CDご紹介 (ONTOMO MOOK)2018年3月1日発行 音楽の友社
2018年06月06日
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「After Bach」に続きメルドーの新作が早くもリリースされた。今回はいつものトリオでの演奏。メルドーが3曲、ビーチ・ボーイズとポール・マッカートニー、スタンダードが1曲づつ、他2曲はジャズメンのオリジナルという構成。メルドーのサイトをみると、この作品についての彼のコメントが載っている。これによると、「シーモア」とは先年薬物中毒で亡くなった、映画俳優のフィリップ・シーモア・ホフマンのことだった。タイトル・チューンについて、メルドーがスピリチュアルな経験をしたことを書いている。「メルドーはある日どこかの大邸宅の図書室でホフマンが合衆国憲法をメルドーに読んでいる夢を見た。夢から覚めた後で、ホフマンが憲法を読んでいるバックで流れていたメロディーで、「Seymore Reads the Constitution!」を作曲した。2週間後ホフマンが死んだことを知った」悲し気で、ちょっと変わったメルドーのメロディーが聞こえてくる。ピアノとベースの掛け合いを、ドラムスのまるで葬送行進曲のような3拍子のリズムが支える。「Spiral」も物憂げでダークなメルドーの世界が広がる。最も長い「Ten Tune」も「Spiral」とメロディーラインが似ている。「Spiral」よりもリズミックではあるが、ムードは変わらない。スタンダードの「Almost Like Being in Love」(恋したみたい)は普通の解釈だが、メルドーの怒涛のアドリブ・ソロが胸のすく快演。マッカートニーの「Great Day」はリズミカルでタイトル(素敵な一日)通り爽やかな曲。ロック・テイストを残しつつ、立派なジャズになっている。最初と最後、原曲のメロディーを崩さないでそのまま演奏しているが、後半がノリノリでいい。サム・リヴァースの「Beatrice」のタイトルは彼の奥さんの名前だそうだ。原曲(Blue Note)を聴いてみたが、抒情的なバラード。メルドーはテンポを上げて、リズミカルに仕上げている。こういうスタンダード化した曲での斬新な解釈は、キース・ジャレットに通じる感性を強く感じる。ここでもメルドーの目覚ましいアドリ・ソロが聴かれる。ベースとドラムスの過不足のないバッキングは、練達の技の冴えを感じさせる。Brad Mehldau Trio:Seymour Reads the Constitution(Nonesuch 563508-2)1. Brad Mehldau:Spiral2. Brad Mehldau:Seymore Reads the Constitution!3. Alan Jay Lerner/Frederick Loewe:Almost Like Being in Love4. Elmo Hope:De-Dah5. Brian Wilson/Dennis Wilson/Carl Wilson/Al Jardine:Friends6. Brad Mehldau:Ten Tune7. Paul McCartney:Great Day8. Sam Rivers:BeatriceBrad Mehldau(p)Larry Grenadier(b)Jeff Ballard(Ds)Recorded at Avatar Studios, New York, NY
2018年06月03日
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ベルリン・フィルの首席フルート奏者のエマニュエル・パユの独奏フルートのための作品集2枚組を聴く。テレマンの無伴奏フルートのための幻想曲全曲を中心として、これらの曲の間に近現代の作曲家の作品を挟むというプログラミング。テレマンと同時代のフランスの作曲家、マラン・マレーの作品が最後に収められている。テレマンと同じような雰囲気の曲だ。この間のフルート作品を俯瞰できるということもあり、企画的に優れ、大変意義のあるアルバムだと思う。フルート特有の冷たい響きから、激しい感情の表出まで、なかなかにバラエティに富んでいて飽きさせない。テレマン以外の作曲家は十数人に上り、邦人では武満徹が2曲取り上げられている。その中の「声(voice)」はフルート奏者が声を出すところがあり、今回のプログラムでは最も前衛的な作品だろう。当ブログの知らない作曲家が多いが、フルート奏者の間では有名な作品なのだろう。マティアス・ピンチャーとイェルク・ヴィトマンの作品はパユが初演したとのこと。ピンチャーの「beyond」はキー・パーカッションなどの特殊奏法が満載でなかなか面白い。例によって、入手したのはPresto Classicalでリリースされたハイレゾ音源。CDだと2枚組なので、送料抜きで¥2070、送料を入れて¥2400ほど。ハイレゾは48kHz24bitFlacなので、断然お得だ。視聴は96KHzにアップコンバートしたファイル。無音からいきなり音が聞こえてくるのは、ハイレゾを聴く醍醐味だが、このようなソロの演奏の場合にはハイレゾが特に有効だ。テレマンはアナログ盤のランパルの演奏で親しんでいたが、聴かなくなってからだいぶたってしまった。ところどころに聞き覚えのある旋律が出てきて、心が休まる。おそらく、テレマン以外の作品を並べたCDなら、なかなか手に入れようという気にならなかったと思う。テレマンは番号順に並べられている。プログラミングがいいために、現代曲も抵抗なく聴けるのはありがたい。中には、フェルーの「3つの小品」(1920-1921)のように親しみやすい曲もあり、ほっと一息つける。フェルーはフローラン・シュミットに師事したフランスの作曲家。交通事故で36歳の若さで亡くなっている。この曲はフランスの作曲家らしい洒落て柔らかな曲想がいい。特に2曲目の「翡翠」は村の踊りのような、楽し気な気分が聴き手に伝わってくる。ぺルトの「Estlandler」5人の作曲家によるソロ・フルートのための「フルート・プロジェクト」の一曲。子供が歌うような素朴な旋律に心が温まるようだ。ニールセンの「子供たちは遊んでいる」はもう少し楽しげだ。アルバム全体の出来がとてもいいが、テレマンだけを抜き出して聴いてもいい。この曲はあまり録音がないようなので、このような優れた演奏が最新録音で出たことは喜ばしい。Emmanuel Pahud:Solo(Warner Classics 9029570175) CD1:1. 武満徹(1930-1996):エア(1995)2. ゲオルク・フィリップ・テレマン(1681-1767):無伴奏フルートのための幻想曲 第1番 イ長調3. ジークフリート・カルク=エーレルト(1877-1933):ソナタ・アパッショナータ 嬰ヘ短調 作品140(1917)4. テレマン:無伴奏フルートのための幻想曲 第2番 イ短調5. イェルク・ヴィトマン(b.1973):小組曲(2016) I.アルマンド/II.ラメント/III.サラバンド6. テレマン:無伴奏フルートのための幻想曲 第3番 ロ短調7. 武満徹:声(ヴォイス)(1971)8. テレマン:無伴奏フルートのための幻想曲 第4番 変ロ長調9. ロバート・ヘルプス(1928-2001):セカンド・ソーツ(1977)10. テレマン:無伴奏フルートのための幻想曲 第5番 ハ長調11. アルテュール・オネゲル(1892-1955):牡山羊の踊り H39 (1921)12. テレマン:無伴奏フルートのための幻想曲 第6番 ニ短調13. マティアス・ピンチャー(b.1971):beyond (a system of passing)(2013)CD2:1. ピエール・オクターヴ・フェル―(1900-36):3つの小品(1921–22) ~I.恋にとらわれた羊飼い2. テレマン:無伴奏フルートのための幻想曲 第7番 ニ長調3. フェル―:3つの小品(1921–22) ~II.翡翠4. テレマン:無伴奏フルートのための幻想曲 第8番 ホ短調5. カール・ニールセン(1865-1931):子供たちは遊んでいる(1920–21) (劇音楽「母」より)6. テレマン:無伴奏フルートのための幻想曲 第9番 ホ長調7. フェル―:3つの小品(1921–22) ~III.端陽(端午の節句)8. テレマン:無伴奏フルートのための幻想曲 第10番 嬰ヘ短調9. ルチアーノ・ベリオ(1925-2003):セクエンツァI(1958)10. テレマン:無伴奏フルートのための幻想曲 第11番 ト長調11. アルヴォ・ペルト(b.1935):エストレントラー(2006)12. テレマン:無伴奏フルートのための幻想曲 第12番 ト短調13. エドガー・ヴァレーズ(1883-1965):デンシティ21.5(1936/rev.1946)14. マラン・マレ(1656-1728):スペインのフォリアエマニュエル・パユ(フルート)録音2017年4月5-7,11-14日、バーデン=バーデン、南西ドイツ放送、ハンス・ロスバウト・スタジオ
2018年06月01日
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