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最近少しずつ寒くなってきた。それで問題になるのが猫の暖房。去年はエアコンを時間を区切って運転していた。所が一匹が風邪をひき、忽ち残りの二匹にも感染してしまった。最初の一匹はそれほど重くならないで治ったが、残りの二匹のうち一匹がだいぶ重症になってしまった。一時はどうなるかと思ったが、10日ほどで治った。今年はその轍を踏まなために、ホットカーペットかこたつを考えていた。結局こたつの方が良さそうなので、ちょっと高かったが「夢こたつ」を購入したい。ほんとうはヒーターのみ買いたかったのだが、こたつ布団とカーペットがついているものしかない。取り敢えず、一台買って寒いと文句を言っている猫に使わせてみた。布団に匂いがついていて、入ろうとしないので、一旦洗濯。その後入っているようだ。温度はほんのりと暖かくなる程度で、ヒータも薄っすらと赤くなる程度。電源スイッチがなかったり、こたつの足がプラスチックだったりと、コストダウンのしすぎが目立つが、しょうがない。子供の部屋に置いて様子を見ていたら、別の猫が来て、こたつの取り合いが始まったようだ。穏やかな争いではなく、一番おとなしい一匹が珍しく威嚇したりするので、急遽もう二台購入手続きをしたい。残りの一匹は争いを好まないし、あまり関心がないと思っていたら、いつの間にかちゃっかりこたつに入ってくつろいでいる。やはり体の大きい雄には勝てない、ということだろうか。これで風邪をひかなければ、万々歳なのだが、どうなることやら。それにしても、仲良くこたつに入ってくれればいいのだが、狭い空間なので、縄張り意識が強く働くのだろうか。
2018年10月30日
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今回は今年のグラミー賞最優秀大規模ジャズ・アンサンブル・アルバム賞にノミネートされたジョン・ビーズリー(1960-)というアレンジャーのビッグバンドのアルバム。モンクの生誕100周年を記念した企画で、vol.1もグラミー賞の2部門でノミネートされていた。まとめて2枚をimport_cdから購入。どちらも優れた出来で、甲乙はつけがたいが、vol.1のほうがポピュラーな作品が多い。ジョン・ビーズリーはセルジオ・メンデス(1980)を皮切りにマイルス・デイヴィス(1989)やフレディー・ハバードのグループでツアーしたこともある。本業はアレンジャーでチャカ・カーン、カーリー・サイモン等のポップ・アーティストや映画音楽を手掛けているという。モンクの特異な音楽に合わせたのだろうが、独特の感性のアレンジが、実に刺激的だ。モンクの音楽を知らなくても、このCDを聴くと、(洗練すぎているとはいえ)彼の特異な音楽が理解できる。トータルでこの前取り上げたクリスチャン・マクブライドのビッグバンドより数段上の出来だと思う。モンクの曲はそれ自体が難解なのだが、それに加えてアレンジがかなり難しいと思う。このグループは録音だけではなくコンサートも開いているので、一種のリハーサル・バンド的な組織だろう。そうでなければ、これほど難しい譜面をこなせるとは思えない。どの曲も刺激に満ちていて、わくわくする。その中でも、モンクの特異性が良く出ている「クレプスキュール・ウィズ・ネリー」が大変興味深い。クラリネット、バス・クラリネット、ヴァイオリンがフィーチャーされていて、この曲の特異性が際立った演奏だ。レジーナ・カーターの奔放なヴァイオリン・ソロとバックで聞こえるハンド・クラップのようなサウンドとの組み合わせも新鮮だ。最初のドンティー・ウィンズロウをフィーチャーした「Brake's Sake」も大変面白い。キレキレのトランペット・ソロはもちろんのこと、続くラップには驚いた。ビッグ・バンドでラップを導入した演奏は殆どないと思うが、意外にあっていて、従来のビッグバンドの可能性が広がったような気がする。テレオン・ガリーのドラムスが、最近のジャズ・ドラムのトレンドを感じさせる精密なプレイで圧倒的な存在感が感じられる。この方のタイトなドラミングは他の曲でも存在感が凄い。「クリス・クロス」はペドリート・マルティネスのコンガをフィーチャーしたラテン的なアレンジだが、これもぴったりとはまっている。出来ればマルティネスの強烈なヴォーカルも聴きたいところだ。最後の「Work」は知らな曲だが、分厚いハーモニーで一種凶暴性も感じさせる。ビッグバンドの醍醐味を感じさせる演奏だ。ダイアンリーブスをフィーチャーした「Dear Ruby」は貫禄十分の歌唱でさすがだ。個人的には彼女のアルバムを通して聴くとあまりいいとは思わないのだが、こういう形でフィーチャーすると、さすがにうまいと感じる。だらだら書いていると終わらなくなるので、ここら辺にしておくが、全編スカなしで、これほど興奮させられるビッグ・バンドの演奏も珍しい。アンサンブルもよく、特にトランペット・セクションの圧倒的な迫力は、なかなか聞けるものではない。昨今ビッグバンドの運営は非常に難しいと思うが、これからもこの企画を継続してほしい。昨年来日していたそうだが、、知るのが遅すぎた。再来日してくれないだろうか。John Beasley:MONK'estra, Vol. 2(MAC AVENUE MAC 1125)1 : Brake's Sake feat. Dontae Winslow2 : Played Twice3 : Crepuscule With Nellie (guest appearance by Regina Carter)4 : Evidence (guest appearance by Kamasi Washington and Conrad Herwig)5 : Ugly Beauty/Pannonica6 : I Mean You7 : Light Blue8 : Dear Ruby (guest appearance by Dianne Reeves)9 : Criss Cross (guest appearance by Pedrito Martinez)10 : WorkAll Composed by Thelonius Monk all arrenged by John Beasley except track 6 arranged by Brian SwartzRecorded Untied Recording Studio B,Los Angeles,CAThe Hive Los Angeles,CAKaleidscope Studios Jersey City,NJTeaneck Sound Studios Teaneck,NJ
2018年10月28日
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グリモーの新作は「Memory」と題されている。最近の彼女のアルバムに共通するコンセプトアルバム。ブックレットにはグリモーがミーシャ・アスターという方との対話が掲載されている。いきなり、ハイデッガーが「メモリーとは忘れ去られたことについて黙想すること」と述べたことに彼女が言及している彼女はが、このCDにとりあげられている曲はプライベートな経験や標題的なものとは無関係といっている。テンポが遅い曲が集められているのは、過去の記憶を黙想する対象が遅いテンポの曲がふさわしいと考えているからだろうか。そう考えると、演奏自体思索的なものに聞こえてくる。一言で言って、非常にビューティフルなアルバムだ。これはベストセラー間違いないだろう。どの曲も適正なテンポでアーティキュレーションも理想的で、こうあってほしいと望みたくなるような演奏が繰り広げられている。彼女はフランス人ではあるが、いままでドビュッシーなどのフランス物は手掛けていなかった。なので、今回が初めてフランス物を録音したことになる。典型的なフランス人ピアニストは軽妙洒脱な演奏をするというイメージだが、グリモーのフランス物は思索的で重みのある演奏だ。ただ深刻な顔をして演奏しているというイメージではなく、しみじみと心に響くような演奏だ。「夢」などでは、わずかにエキセントリック気味のフレーズが出てくることがあるが、全体はごくごく穏やかな表現に終始している。プログラムは、シルベストロフ、サティー、ショパン、ドビュッシー、ショーニーとバラエティーに富んでいるが、トーンは統一されている。ヴァレンティン・シルヴェストロフ(Valentin Silvestrov 1937-)はロシアの作曲家。当初前衛音楽を書いていたが1970年代からはロマンティックな作風に変わっている。wikiここで取り上げられている13のバガテルからの2曲は、透明で優しく、とても親しみやすい。バガテル2は素朴で歌いたくなるような曲だ。ニティン・サウニー(Nitin Sawhney 1964 - )はイギリスの作曲家。アシッド・ジャズなどのポピュラー畑で活動し、ジェームス・テイラーのバンドに所属していたこともあるらしい。幅広い分野のミュージシャンに楽曲を提供している。wiki「Breathing Light」は他の曲よりは激しい曲想だが、違和感はない。ドビュッシーはどの曲もしっくりくるが、特に「アラベスク第1番」「レントより遅く」が秀逸。ショパンはマズルカとワルツが、テンポといい表情付けといい、実に素晴らしい。サティーは「冷たい小品」の「3つのゆがんだ踊り」からの2曲が楽しめた。響きが豊かで温かみがあり、サティー特有の皮肉の利いた乾いた感じがないのが好ましい。ジャケットはグリモーのアップだが、さすがに年を感じる。彼女も来年は50歳を迎えるので無理もないが。。。ドイツのミュンヘンにある教会での録音で、環境ノイズが聞こえず、ホールトーンも豊かで、快適に鑑賞できる。PV凍った大地の馬の足跡の極端なクローズアップと野生の馬たちの描写、グリモーの語りが音楽をバックに展開される。映画のような非常に凝ったPVだ。Hélène Grimaud:Memory(DGG B0029051-02)1.Valentin Silvestrov (1937 - ):Bagatelles I-XIII Bagatelle I2.Claude Debussy (1862 - 1918) Deux Arabesques, L. 66 1. Andantino con moto in E Major3.Valentin Silvestrov:Bagatelles I-XIII Bagatelle II4.Erik Satie (1866 - 1925):Gnossiennes 4. Lent5.Frédéric Chopin (1810 - 1849):Nocturne In E Minor, Op. 72, No. 1Erik Satie:6.Gnossiennes 1. Lent 7.3 Gymnopédies 1. Lent et douloureux8.Danses de travers No.1. En y regardant à deux fois from Pièces froides9.Claude Debussy:La plus que lente, L. 121Frédéric Chopin:10.4 Mazurkas, Op. 17/4 Lento, ma non troppo in A Minor11.3 Waltzes, Op. 34/2 Lento in A MinorClaude Debussy 12.Suite bergamasque, L. 75 3. Clair de lune13.Rêverie, L. 68Erik Satie14.Danses de travers No.2 from from Pièces froides 2. Passer15.Nitin Sawhney (1964 - )Breathing LightHélène Grimaud(p)Recorded 12/2017 at Muinch Himmerlfahrtskirssche Sendling
2018年10月26日
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今年のグラミー賞受賞作品から、ジャズ部門のめぼしいものを数点購入。今回は、Best Large Jazz Ensemble Albumを受賞したクリスチャン・マクブライドのビッグバンド6年振りの2作目を取り上げる。前作の『The Good Feeling』もグラミー賞を受賞していた。ごくごくオーソドックスなビッグ・バンドでサウンド的には全く不満がない。というか安心して聴けるのは精神衛生上とてもいい。ノーマン・シモンズによる「Upside Down」以外はマクブライドの編曲。この編曲が素晴らしく気持ちがいい。とにかく音圧が凄くて圧倒される。ただ、西海岸風の軽さが感じられ、とても気持ちがいい。アドリブソロはそれほど多くはなく、アンサンブルを主体に聞かせる意図が感じられる。なので、サックスソリは、とても気持ちがいい。マクブライドの曲は3曲取り上げられている。ソウルフルな「Gettin' To It」、とても軽快な「Youthful Bliss」はアメリカ西海岸の風を感じる。中間部のピッコロとフルートのコミカルなユニゾンも面白い。「Used' ta Could 」はメンバーのざわざわした会話とハンドクラップの中でアルトのソロが始まるのが面白い。ミンガスを思い出させるアーシーなサウンドがビッグバンドとしては異色。時折出てくる短いフレーズが、キャラメルコーンのCMのフレーズそっくりで笑える。ブランドン・リーのトランペットをフィーチャーした「I Thought About You」はダークなムードで、ありきたりのバラード演奏になっていない。マッコイタイナーの「サハラ」はビッグバンドに編曲されたことはあるだろうか。マレットを使ったパーカッション、バスクラ、フルートなどによるイントロはアフリカの雰囲気が良く出ている。力強いアフリカン・リズムにのって、エネルギッシュな演奏が繰り広げられる。ウエス・モンゴメリーの代表曲「Full House」はギターとバリトンがフィーチャーされて趣味のいい音楽になっている。マクブライドは編曲は経験が浅いらしいが、ここまで出来るとは大したものだ。技術的にも引き出しが多く、編曲のセンスがとても優れている。特に西海岸のテイストとコミカルなフレーズが出てくるところなど、なかなかできるものではない。メリッサ・ウォーカーのヴォーカルは2曲フィーチャーされている。聴いたことのない歌手だったが、エンヤなどでアルバムを多数リリースしているようだ。骨太の声で余裕たっぷりの歌を聞かせる。サミー・デイヴィス・ジュニアの「Mr. Bojangles」は速めのテンポで、単なる歌伴ではなく、立派なジャズナンバーになっている。スタンダードの「In The Wee Small Hours Of The Morning」はマクブライドのアルコ・ソロから始まる。このCDではマクブライドのソロはあまり多くないが、当ブログにとっては好ましい。表に出すぎると鼻白んでしまうからだ。フルートの合いの手もなかなかチャーミングだ。最後のスティーブ・デイビスの「Optimism」はノリノリの演奏。トッド・バーショアのアルトのキレキレのソロが素晴らしい。Christian McBride Big Band:Bringin' It(Mcavenue MAC1115)1 : Christian McBride:Gettin' To It2 : Freddie Hubbard:Thermo3 : Christian McBride:Youthful Bliss4 : Jonney Mercer:I Thought About You5 : McCoy Tyner:Sahara6 : Recina Werneck,Djavan Caetano:Upside Down7 : Wes Montgomery:Full House8 : Jerry Jeff Walker:Mr. Bojangles9 : Christian McBride:Used' ta Could10 : David Mann,Bob Hilliard:In The Wee Small Hours Of The Morning11 : Steve Davis:OptimismMelissa Walker(vo track 6 and 8)Christian McBride Big Band
2018年10月24日
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秋田市のアトリオン音楽ホールの新しいスタインウェイのお披露目コンサートが、小川典子の演奏で行われることを知り聴きに行った。小川典子はBISでドビュッシーの録音を始めたころからのファンだが、実演を聴いたことがなかったのと、この音楽ホールを観たいということが秋田に行った動機だ。ついでに道の駅ランキング2018の第18位にランクした道の駅秋田港(セリオン)を見に行った。11/3からに「カキ小屋石巻 道の駅あきた港出張所」が開業するらしい。タイミングが合わず残念だったが、施設そのものはバスが来るほどなので、なかなかいい。売りは高さ100mのセリオンタワーからの秋田湾の眺望だろう。当日はあいにくの曇りだったが、眺めは悪くなかった。風力発電所がある港というのもなかなかないと思うが、市内の眺望もいいし、海上保安庁の船が二隻係留されていたのもよかった。面白いのは釣り人が大勢来ていたこと。こういうところで、そういう風景に出くわすなんてめったにないことだろう。なにが釣れますかとはさすがに聞けなかった。肝心のコンサートは時間に余裕があったのだが、道を間違えてしまって、危うく遅刻しそうになってしまった。危ない危ない。このホールは収容人員700人で満員だと残響が2秒と理想的な設計になっている。ホールはすべて木材で作られていて、木のぬくもりがとてもやさしい。ステージの高さも低くて、演奏者がとても身近に感じられるのはとてもいい。まあ、それだけミスも目立つということではあるが。。。。進行は小川のMCを挟みながら進められた。最初のモーツァルトのトルコ行進曲は一つの楽章だけではなく全曲だった。だいぶ前に録音してたが、既に忘れてしまっていた。小川の演奏の傾向として、テンポは速めで、ルバートも殆どない。なので、少しぶっきらぼうな感じを受けることがあるが、楽譜に書かれていることは過不足なく表現されていると思う。厚化粧をされたモーツァルトよりは、ある種の潔癖さを感じることが出来る。前半の最後は「熱情」。今年は何故か熱情を聴く機会が多かったが、その中では圧巻の演奏だった。この演奏を聴いていて、昔抱いていた小川に対する先入観が蘇ってきた。なまじテクニックがあるために、猪突猛進気味なことだ。たとえてみればアルゲリッチやユジャ・ワンみたいなピアニストの系列なのだ。とにかく男勝りの馬力とテクニックで、有無を言わせない演奏は、日本の女流ピアニストでは稀有のものだ。ミスは少ないが、そのミスが致命傷になることはない。実際はわからないが、小川の演奏を聴いていると、大きな手でバラバラ弾いているという印象を持ってしまった。今回のピアノは小川が品川のスタインウェイのショールームで用意された3台の中から選んだもので、木製の響きの良いホールとの相性を考えて、響き過ぎないピアノを選んだという。モーツァルトでは大人しかったのだが、熱情の演奏を聴くと響きすぎるピアノでなくて良かったと思ってしまった。基準が小川なので、あまり鳴らせないピアニストの場合は、苦労するかもしれない。バリバリ感は威風堂々でも感じられた。この曲を生で聴いたことはなかったが、オケだったらなあと思わなかったのは、小川のダイナミックで豊麗なサウンドの演奏だったからだろう。後半は、小川の説明だとサロンがらみに作曲家の作品を集めたということだった。サティーとドビュッシーはパリの「黒猫」というカフェの弾き手(サティー)とお客(ドビュッシー)の関係。ショパンは貴族のサロンということだそうだ。サティーとドビュッシーは前半とは打って変わって、繊細な表現が素晴らしかった。特に、「アラベスク第1番」や「月の光」の美しいこと。最近聴いていたグリモーの「Memory 」というアルバムの「アラベスク第1番」の美しさに納得していたのだが、それに近い感動を覚えた。「沈める寺」の映画でも見ているような情景の広がり、喜びの島の輝かしいサウンドなど実に素晴らしかった。最後のショパンはバリバリ弾くパターン。「華麗なる円舞曲」は別にして、バラード第1番がこれほど明るく弾かれたこともあまりないのではないだろうか。ここでもあまりルバートを使わないが、テクニックが優れているので、流れが切れることもなく、圧倒的な演奏だった。こういう演奏を聴くと、最近多い、妙に考える演奏にくらべスカッとすることは確かだ。アンコールは秋田美人に因んでということで、ドビュッシーの「亜麻色の髪の乙女」が演奏された。ということで、生小川を堪能できてとても嬉しかった。残念なのは入りが6,7部だったこと。大きいホールではないし、料金も\2000と廉価だったことを考えると、とても残念だ。世界的には著名なピアニストでも、地方での知名度はあまり高いとはいえないので、仕方がない。CDがBISというマイナーレーベルから発売されていることも原因一つだとは思う。小川典子 ピアノリ・サイタル前半1.モーツァルト:第11番 イ長調 K. 331「トルコ行進曲付き」2.シューマン:トロイメライエルガー :3.愛の挨拶、4.威風堂々第2番5.ラフマニノフ(小川典子編):ヴォカリーズ6.ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第23番「熱情」後半サティ :7.グノシェンヌ18.ジュ・トゥ・ヴドビュッシー:9.アラベスク 第1番10.月の光11.前奏曲集第1巻 10.沈める寺12.喜びの島ショパン :13.ワルツ第1番「華麗なる第円舞曲」14.バラード 第1番アンコールドビュッシー:前奏曲集第1巻 8.亜麻色の髪の乙女小川典子(p)2018年10月19日 秋田市アトリオン音楽ホール B11で鑑賞
2018年10月22日
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日本のジャズ評論の第一人者である元スイングジャーナル編集長の児山紀芳氏の自伝的な著作が出た。題して「ジャズのことばかり考えてきた」英語で「This is all I feel about Jazz」となっている。英語のタイトルだと何か仰々しい感じがするが、中身は氏のジャズにまつわる半生と著名ジャズメンやジャズ・ジャーナリストのことが書かれている大変興味深いもの。問題は¥3000という価格で、購入をためらっていたら、図書館で買ってもらうことを思いつき、本を読むことが出来た。図書館様様だ。氏は1936年生まれで、今年84歳になる。現在もNHK・FAMの「ジャズ・トゥナイト」で毎週DJをされている。本書は、ジャズとのかかわりを、子供のころからたどっている。氏は名目上ジャズ評論家というカテゴリーに入っていると思うが、評論家というにはあまりにも守備範囲が広い。世界広しといえど、現在も歴史的にもこれほどの範囲をカバーした方はいないだろう。何しろジャズに関することは何でもやってきたのだから。ジャズの評論、コンサートのMC、内外のジャズメンのコンサートなどのイヴェントのプロデュース、レコードのプロデュース、未発表録音の発掘など実に広範囲の仕事を、それも深く突っ込んでされてきた。ジャズ評論でも編集長として、スイング・ジャーナル・ゴールドディスクやディスク大賞、幻の名盤ブームの仕掛けなど、斬新な企画を次々と立ち上げ、日本のジャズ界に大きな貢献されてきた。また、氏は普通の評論家のように音楽を聴いて評論するだけでなく、海外の情報を得る手段として、海外雑誌の情報や海外在住の日本人に記事を書いてもらうことしかなかったのを、編集長として自ら海外に赴き、コンサートの見分やジャズメンのインタビューなど、新鮮な情報をいち早く日本の読者に届けた功績も大きい。フォノグラム時代はレコード業界ではBOXMANと異名をとるほど未発表録音の発掘に尽力し、本国では出ていない録音を数多くリリースした。また、内外の実力はあるが録音に恵まれないミュージシャンの録音を数多くプロデュースしている。氏の幅広い交友関係について書かれた「ジャズ・ジャイアンツの肖像」が興味深いだろう。取り上げられたのは、マル・ウォルドロン、アート・ペッパー、ロリンズ、秋吉敏子、ジョンルイス、レイ・ブライアントの面々。じかに接しなければわからない彼らの内面がビビッドに書かれている。特に感動的なのは、アート・ペッパーがいる麻薬療養所のシナノンでの面会のシーン。別れ際に氏のたっての願いで、太平洋に面した海岸で、子供たちの歓声や波の音をバックにペッパーが演奏するシーンは映画の一場面のような感動を覚える。そのほか、秋吉敏子の活躍と男女差別(いわゆるガラスの天井)と人種差別、ロリンズの求道者のような完璧を求める姿、ヨーロッパで不遇を囲っていたマルへの支援など、仕事とはいえなかなかできることではない。氏のジャズを愛する気持ちがそうさせたのだろう。こうしてみると、氏のジャズ評論もミュージシャンに接する姿勢も常にフラットで、偏りがないことが分かる。ジャズ評論では癖のある人物がいろいろいるが、残っていくのは氏のような余計なものを排した、冷静な姿勢の評論だろう。FMでも自分の好みを優先するのではなく、新しいものを放送するときは、同時に古いものも放送するようなバランスを常に考えているという。現在の日本のジャズ評論界では、このような行動力のある方が見当たらないのは何とも残念だ。それにしても、今を時めくレゾナンス・レコードのプロデューサーであるゼヴ・フェルドマンが氏を尊敬している話など、さらっと書いているが、分かっている人はわかっているということだろう。AMAZONでの評価が低かったが、氏の仕事を知っている方、評論を好きな方などにはぜひ読んでほしい。氏の人柄がにじみ出ている、心温まる良書だ。児山紀芳著 ジャズのことばかり考えてきた 白水社 2018年7月20日発行
2018年10月20日
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セシル・マクローリン・サルバントの新作。例によって今回もライブ(ヴィレッジ・ヴァンガード)とスタジオ録音が混在している。個人的にはスタジオ録音のみにしてほしいのだが、仕方がない。ライブは聴衆の声を含め環境ノイズとしてはかなり整理されていて、演奏に集中できるのはいい。ジャケットのポップな絵は、曲名から連想されるものがデザインされている。これは彼女のイラストで、なかなか味がある。基本ピアノやオルガンとのデュオで、17のみテナーが加わる。チリ生まれのメリッサ・アルダナ(1988-)という方だ。彼女の歌は今回も絶好調。自由自在な表現と低域から高音域までむらのない澄み切った声、圧倒的なヴォリュームが、なんとも心地よい。曲も多彩で、いろいろなタイプの歌を存分に楽しめる。彼女の歌はチャーミングンなので、聴いていても圧迫感がないところがいい。ライブにいた人間が、歓声を上げたくなる気持ちもよくわかる。9はフランスのシャンソン歌手ダミア(1889-1978)の持ち歌。ハモンドオルガン?とのデュオで、とても洒落ている。こういっちゃなんだが、とても黒人の歌手とは思えないほど洗練されている。名前を知らないで聴いたら、フランスの歌手と思われても不思議はない。10はピアノのイントロにウエストサイド物語のいくつかのさわりが引用されていて洒落ている。歌自体はユーモアがあって、普通のアプローチとは違う彼女らしい歌になっている。ここでのピアノのバッキングは実に素晴らしい。この方の歌を聴いていると、美空ひばりのような名人級の歌手を聴いているような錯覚を覚える。殆どの曲でヴァースから歌っていて、それが付けたしではなく、とても味わい深いものがある。サリバン・フォートナー(1986-)のダイナミックで趣味のいいバッキングもいい。ピアノの音も厚みがある。まあ、昨今ジャズミュージシャンといっても正式な訓練を受けているだろうから、昔みたいにテクニック上で不満を感じることも少なくなったのはいい傾向だ。知らないピアニストだが、これは大変な実力の持ち主と見た。フレッド・ハーシュの教え子だという。最後のジミー・ロウルズの名曲「ピーコック」も期待通りの素晴らしさだった。作詞はノーマ・ウインストン(Well Kept Secret収録)。9分という長尺な演奏で、この曲がじっくりと味わえるが、後半は彼女らしい、エグイ世界全開で、好き嫌いが分かれるかもしれない。ピアノとオルガンのバックで歌う2は3拍子のリズムで、ウキウキしてくる。スタンダードの「By My Self」は速いテンポで、ノリノリの演奏。中間部のストライドピアノも軽快で文句なしの楽しさ。録音は会場の音以外、全くノイズが聞こえず、深みがあって素晴らしくいい。どうも、今回のアルバムもグラミー賞を受賞してもおかしくない傑作だ。今のところ国内盤は発売されないようで、これだけの名盤が輸入盤としてしか流通しないのは寂しい。Cecile Mclorin Salvant:The Window(MACK AVENUE MAC 1132)1. Visions2. One Step Ahead 3. By Myself4. The Sweetest Sounds5. Ever Since The One I Love's Been Gone (live)6. A' Clef7. Obsession8. Wild Is Love9. J'Ai L'Cafaro10. Somewhere(live)11. The Gentleman Is A Dope12. Trouble Is A Man13. Were Thine That Special Face14. I've Got Your Number15. Tell Me Why16. Everything I've Got Belongs To You17. The Peacocks(live)Cecile Mclorin Salvant(vo)Sullivan Fortner(p,org)p+org track 2 org track 17Melissa Aldana(ts)Recorded Sear Sound New York,NY (Studio Recording)The Village Vangurd New York,NY(live)
2018年10月18日
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アコーディオン奏者のアンドレーアス・ボーアゴー(Andreas Borregarard)という方のゴルトベルク変奏曲を聴く。いつものeclassicalで24bit 96kHzFlacを$13.48で購入。このサイトはリリース時に安くなっている傾向があり、この音源もその対象だった。残念ながら、現在はレギュラープライスの$21.56になってしまった。彼は1981年デンマークのエラルド生まれ。彼のサイトを見ると、自分はクラシックの音楽家ではなく、ただの音楽家といっている。ある種のこだわりがあるようだ。アコーディオンはピアノやチェンバロとは発音方法が全く違い、オルガンと同じような蛇腹を収縮させてた空気を開かれた弁のリードを振動させる方式なので、音の輪郭が甘く、運動性もかなり悪い。吹奏楽器ともいえるので、鍵盤楽器に比べると、機械的ではなく人間的というか柔らかみがある。気分的には能天気というか楽天的な気分が支配的だ。速いパッセージにも限界がある。テンポはかなり遅く、ハイブリッド仕様なのでCD層のために2枚組になってしまったが、ゴルトベルク伯爵の子守唄がわりだったこの曲には、かえって相応しいのかもしれない。このブログを書くにあたって、グールドをはじめいろいろな演奏家の演奏を聴いてみた。ピアノニストの演奏ではグールドの影響が強く、テンポが速めの演奏が多い。また、装飾音符を入れなければならない、お約束になっているようだ。チェンバロの演奏もピアノに準じた感じだった。パイプ・オルガンの演奏は聞いたことがないが、今回のアコーディオンと発音原理は同じなので、同じような傾向なのかもしれない。アコーディオンの演奏を聴くと、ピアノやチェンバロはどうしても細身で神経質に聞こえてしまう。テンポが遅いせいかアコーディオンではそういう感じは全くなく、心安らかに聞ける。ただ、ダイナミックスの幅が狭く音色もそれほど変化がないためか、ずっと聞いているとやかましい感じがしてくる。なので、あまり音量は上げないほうがいいように思う。演奏そのものは、遅いテンポでも、だれた感じはなく一切なく、技術的にも危なげはない。また、第20変奏のように比較的速い曲では、小気味のいい演奏が楽しめる。ピアノの演奏に飽きたときの口直しに最適?な演奏だ。Bach:Goldberg Variations(BIS SA2399)24bit 96kHzFlacAndreas Borregaard(accordion)Recorded July 2016 at the Dorfkirche Rahnsdorf (Berlin), Germany
2018年10月16日
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少し前から注目していた大坂昌彦のプロデュースによる、森岡(マレーネ)典子のメジャー・デビュー盤を聴く。Spotifyで試聴して、それほどとも思わなかったので、とりあえずTSUTAYAでレンタル。なかなか借りられなかったが、やっと借りられた。小顔で長身なので、モデルといっても、おかしくないスタイルで好感度抜群だろう。ジャケ写はストレートヘアだが、現在はパーマをかけて少し柔らかな感じになっている。当ブログにとって一番の問題は声の質。どうも老け声で、シャープさに欠け、それだけで違和感がある。英語の発音はネイティヴ並みとは言わないが、かなりいいが、巻き舌なのが気になる。出来れば日本語の歌も聴いてみたい。低いほうは少し怪しいが、音程はしっかりしている。バックは昔のハードバップを思わせるノスタルジックなもの。最近の大阪昌の趣味だろう。個人的には、もっと最先端のジャズをバリバリやってほしいところだ。バックは万全で安心して聴ける。ただ、バップを意識しすぎているのか、わざとなのか、あまりスマートではない。ベースとのデュオから始まるルグランの9がは、なかなか思い切った始まりかただが、音程が甘くなるところが惜しい。ビブラートが少ないのがちょっと気になる。大スタンダードの11も意外といい。ビリー・ジョエルの12も快適なテンポで、悪くない。自作の7はワルツ・テンポの美しいバラードで、ピアノ・ソロも心に沁み入る。スティービー.ワンダーの12がノりのいいボサノヴァに編曲されていて、これは大成功。彼女は”Bop&Pop"というキャッチコピーで売っているらしい。バップナンバーが多いが、新鮮さは感じられないし、ミディアムテンポの曲ばかりで、すこし単調だ。サックスとのユニゾンでスキャットを披露しているが、アドリブではない。次回はハイスピードのバップを、スキャットで聞きたいものだ。ところで、国際特許事務所に勤めていたバリバリのキャリアウーマンという触れ込みだが、音楽とは無関係なので、徒らに煽り立てるようなコメントはどうかと思う。難しい歌がないのではっきりわからないが、ヴォーカルの技巧はそれほどあるとは思えない。ムードだけで歌っているとも言えないが、今のところ微妙な状態だろう。ネットで仕事を募集しているので、まだまだ大変な時期なのだろうが、地道に続けてほしい。yutubeにいくつかライブの様子がアップされている。例えばこちら礼儀正しいステージマナーで、CDの印象よりも好感度アップ。伝統的な日本美人で、やはり美人は得だ。因みに当ブログは美人であることも才能の一つと考える人間だ。(*^ _^*)森岡典子:In The Still Of The Night(Paddle Wheel KICJ-780) 1.イン・ザ・スティル・オブ・ザ・ナイト 2.パート・タイム・ラヴァー 3.フォア 4.ミッドナイト・サン 5.ザ・ウィンドミルズ・オブ・ユア・マインド 6.ストレイト、ノー・チェイサー 7.ニューヨーク・ラプソディー 8.レイトリー 9.ホワット・アー・ユー・ドゥーイング・ザ・レスト・オブ・ユア・ライフ 10.オーニソロジー(森岡典子)/ハウ・ハイ・ザ・ムーン(森岡典子)/チカディー(森岡典子) 11.アルフィー 12.ジャスト・ザ・ウェイ・ユー・アー森岡典子(vo)大坂昌彦(Ds)熊谷ヤスマサ(p)矢藤亜沙巳(p)Simon Cosgrove(p)山田拓児(as,ss)西口明宏(ts)岡崎好朗(Tp)録音:2017.9
2018年10月14日
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アメリカのメゾ・ソプラノ歌手ジョイス・ディドナートがイギリスのウィグモア・ホールで行ったコンサートのライブ録音。Presto Classicalからの配信で24bit96kHzFlacを\1640で購入。歌曲のほか、ギヨーム・ルクーという方の弦楽四重奏が1曲入っている。メインはアルバムタイトルにもなっているアメリカの作曲家ジェイク・ヘジーの連作歌曲「カミーユ・クローデル ~日の中へ~」(2012)の音楽。カミーユ・クローデル(1864 - 1943)は彫刻家でロダンの弟子であり愛人。ロダンと別れた後は精神に支障をきたし、生涯を精神病院でおくることになる。当ブログも彼女の作品を観たことがあるが、作者の気持ちがダイレクトに表現された、わかりやすい作風だったと記憶している。この曲はディドナーとアレキサンダー弦楽四重奏団(1981-)のために書かれた。弦楽四重奏のみの前奏曲に7つの歌が続いている。テキストはアメリカのソング・ライターであるジーン・シアーの「the life and work of the French sculptor」によっている。ディドナートはペンタトーンの「Here/after」で録音していた。ディドナートはこの作曲家の歌劇「Great Scott」を少し前にエラートにライブ録音していた。演奏履歴を見ると、2017現在10回演奏が行われ、その半分ほどで共演している。この曲はペンタトーンのヘギー作品集(2013)に含まれていたので、新しい作品にしては珍しくライブとは言え再録となる。この作品がディドナートにささげられた作品で、彼女がプッシュしていることが大きいと覆う。親しみやすい旋律が多いが、全体の雰囲気は少し陰気くさい。徒らに絶叫調になることが多く、それが劇的な表現になるのではなく、エキセントリックに響く。ディドナートの細かいビブラートがそれを助長させる。まあ、クローデルの手記をもとに、彼女の生涯、作品の印象を表しているので、必然的にそういう表現になるのだろうが、すこしやり過ぎ感がある。ただ、 長年の友人であるイギリス人彫刻家のジェシー・リップスコーンが1929年にクローデルの療養先であるフランスのアヴィニョンの精神病院(現存する)で彼女と出会った時のクローデルの会話(独白)を描いているエピローグでは、それまでの狂気のような情景から一転、穏やかな時間が流れ、聴き手も救われる気がする。スコットランド風の旋律がいい。前半はR.シュトラウス、ルクーの弦楽四重奏の作品を挟んでドビュッシーのビリティスの歌。R.シュトラウスはあまり録音したことがない筈。悪くはないが、声にノイズ成分が多く、透明度が損なわれている。他の曲にも言えることだが、強くなると声が割れ気味になるのは録音のせいかもしれない。バックが弦だけというのは珍しいが、ピアノ伴奏に比べると輪郭がぼやけていて、少しうるさい。ビリティスの歌は以前クレバッサのCDに含まれていた。クレバッサの澄んだ声に比べると、重く少し濁っていて、聴きおとりがする。Jake Heggieの編曲はドビュッシーらしいサウンドが聞かれ、悪くない。ただ、ここでも、バックが出すぎで、静けさがあまり感じられないのが惜しい。最後の2曲はアンコールだろう。フランツ・クサーヴァー・グルーバー(Franz Xaver Gruber 1787-1863)の「清しこの夜」は、演奏会の行われたのが12/21だったことから選ばれた曲だろう。歌う前に「赤鼻のトナカイ」の一節を口ずさんで笑わせている。この曲は、作曲ではなく編曲といってもいいと思うが、後半観客にメロディーを歌わせて、自分はオブリガートをつけているところはなかなかしゃれt趣向だ。共演しているブレンターノ弦楽四重奏団(BRENTANO STRING QUARTET)は92年に結成されたアメリカの団体。内田光子との共演などでも知られているらしい。ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンなどのほか現代曲も録音しているそうだ。因みに楽団名は「永遠の恋人」の最も有力視されている二人のうちの一人アントニー・ブレンターノの名前だそうだ。wikiどの曲でも、聴衆は沸いている。彼女のイギリスでの人気ぶりが伺えてほほえましいが、当ブログはあまり感心しなかった。感性の違いだろうか。なお、「カミーユ・クローデル ~日の中へ~」はyoutubeにThe Alexander String Quartetとの演奏で全曲アップされている。Joyce DiDnato:Into The Fire(Erato 9029564219) 24bit 96kHz Flacリヒャルト・シュトラウス(arr. Misha Amory and Mark Steinberg): 1. 君は僕の心の王冠 Op.21-2、 2. ぼくの想いのすべて Op.21-1、 3. 夜 Op.10-3、 4. ああ恋人よ、別れねばならない Op.21-3、 5. 黄昏の夢 Op.29-1、 ギヨーム・ルクー(1870–1894): 6. 弦楽四重奏のためのモルト・アダージョ・センプレ・カンターテ・ドロローゾ、 クロード・ドビュッシー(arr. Jake Heggie): 7. ビリティスの3つの歌、 ジェイク・ヘギー(b.1961): 10. 歌曲集「カミーユ・クローデル ~ 火の中」(2012)、 リヒャルト・シュトラウス(arr. Mark Steinberg):18.明日 Op.27-4、 フランツ・クサーヴァー・グルーバー(1787–1863 arr. Brentano String Quartet): 19. 清しこの夜Joyce DiDonato mezzo-sopranoBrentano String QuartetRecorded December 21,2017 at The Wigmore Hall,London,UK
2018年10月12日
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「Speaking In Tongues」から3年振りとなるルシアーナ・ソウザの新譜「The Book Of Loging」を聴く。タイトルはカナダのシンガーソングライター、詩人、小説家であるレナード・コーエン(1934-2016)の詩集「Book of Longing」(2006)による。彼女のアルバムはフォローしているが、最近は音楽自体がそれほど人当たりが良くないこともあり、あまり取り上げてこなかった。今回のアルバムも、そういう傾向はあり、思索的なアルバムだ。全曲彼女の作曲で、コーエン、エドナ・ミレイ、エミリー・ディッキンソン、クリスティーナ・ロセッティにインスパイアされたという。彼らの詩のほか彼女が3曲作詞している。メンバーは彼女のヴォーカル、パーカッションのほかギターとベースという至ってシンプルなものだが、物足りなさはまるでない。一番いいのは彼女の歌が存分に楽しめることだろう。スローテンポの曲が多いが、全体にさっぱりとした仕上がり。アメリカあたりの荒野の風景が思い起こされるような音楽が多く、映画音楽にでも使われそうな感じがある。ソウザの作るメロディーは決してやさしくはないが、時折美しいフレーズが顔を覗かせるところがいい。ソウサのびやかな歌声はいつもと変わらないが、以前より自由度が増しているような気がする。速いのは「These Things」と「Night Song」くらいだろうか。「These Things」は少しミステリアスな雰囲気が変わっている。「Night Song」は快適なテンポで、ギターのリズムが小気味よい。最初と最後に少しだけスキャットが出てくる。コーエン作詞による「The Book」はゆったりとしたテンポの思索的なナンバーで、このCDの代表的なナンバーだろう。優しいメロディーが出てくるわけではないが、心の底に沈殿していくような瞬間が味わえる。ボサノヴァ風の曲は「Daybreak」のみだが、かなりスローテンポで、単語が羅列されている(それも僅か24個)としか言えないような歌詞で、異色の作品。「Paris」でのギターソロはエフェクターを使って、スチール・ドラムのような音を出しているのが面白い。バックのギターとベースは控えめだが堅実なバッキングを展開している。特に、ギターが出てくると夜のしじまの風景を思い起こさせる。トータル45分余りだが、短いとは感じない。今の季節に聴くのに相応しい、傑作アルバム。Luciana Souza:The Book of Loging(Sunnyside SSC 1518)1.These Things2.Daybreak3.Alms4.Night Song5.Paris6.The Book7.Tonight8.We Grow Accustomed to the Dark9.A Life10.RememberAll music written by Luciana SouzaLuciana Souza(vo, perc)Chico Pinheiro(g)Scott Colley(b)Recorded March 19-21,2018 at Village Recording Studios in Los Angeles.CA.
2018年10月09日
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oehms classicsからリリースされていたベルクの「ヴォッエック」がPresto Classicalから24bit 96Hzで出ていたので、入手した。価格は\1660とかなり安い。(因みにe-onkyoでは\2500 bookletは多分なし)「ヴォッエック」は当ブログが最も好きなオペラなのでCDやDVD取り混ぜて何種類か持っている。なので、新譜が出ると買ってしまうことがある。フォローしている演奏家の場合はリリースされると即買ってしまうことがよくあるが、クラシックで曲で買うのはこの曲ぐらいだ。ヴァイグレは何種類かオペラのDVDが出ているが、名前は全く知らなかった。ヴォツェックもリセウ大歌劇場での公演がDVDで出ているが(2006)、ビエイトの演出がどぎついため話題になっていたくらいで、肝心の演奏の評価は知らない。当初そのDVDの音源と思って聴いていたが、演出から、キャストまで、まるで違うことが分かった。肝心の演奏だが、素晴らしく彫りの深い演奏だ。マリーが殺される場面など、今迄の録音でははっきりわからないのだが、この録音ではかなりリアルにわかる。音だけの場合、これくらい強調されている方が分かりやすい。第3幕の第3場の場面転換のHのクレッシェンドがとてつもなく長く、いつ終わるか気が気でなかった。第5場の前の場面転換の壮絶な表現は、今まで聞いたことがないほど鮮烈だった。第5場の子供が木馬に乗っているところで、声が大人の声だったはどうしたことだろう。声だけが別だったのかもしれないが興ざめだ。歌手陣は知らない方ばかりだが、メリハリの利いた歌唱でとても素晴らしい。タイトルロールのヴォツェックはノルウェイ生まれのAudun Iversen(1977-)世界各地の有名歌劇場で歌っているようだ。歌はうまいのだが、ちょっと絶叫調でおつむの弱いヴォツェックにしてはちょっと賢すぎる?かもしれない。マリーはフランクフルト歌劇場所属のクラウディア・マーンケで、馬力のある歌唱だ。マリーはよく考えると娼婦的な行動をとるわけで、いかがわしさがあってもおかしくない。クラウディア・マーンケの歌唱がそれを教えてくれた。他のキャストもレベルが高い。医者役のアルフレット・ライターの内に潜む狂気、第二幕第2場での大尉、医者、ヴォツェックの何やら喧嘩をしているような会話など、とにかく濃い。聴いていると、じわじわと恐怖に襲われてしまうような感じがする。ヴォツェックがこんなに恐ろしいオペラだとは思わなかった。結局聴き終わったら、ぐったりしてしまった。この劇場にそなられたシステムによる録音は、素晴らしく音がいい。控えめにみても、今まで出た演奏で最高の音質(個人的には演奏も)であることは間違いない。音圧はかなり高いが、うるさくなく、細部もすごくクリアに聞こえる。メリハリの付いた演奏も寄与していることは間違いない。ということで、これは演奏価格ともに文句なしの出来で、この曲を好きな方にはぜひ聞いて頂きたい。また、この演奏の鮮烈さをより感じるために、出来るだけ大音量で聴くことをお勧めする。Berg:Wozzeck(OehmsClassics 4260034869745) 24bit96kHzFlacWozzeck – Audun IversenTambourmajor – Vincent WolfsteinerAndres – Martin MitterrutznerHauptmann – Peter BrondeDoktor - Alfred ReiterrMarie – Claudia MahnkeFrankfurter Opern- und Museumsorchester und Chor der Oper Frankfurt Sebastian WeigleLive-Aufnahme der Premieren-Serie,Juni/Juli 2016
2018年10月07日
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ニーノ・ロータが作曲したフェリーニの映画音楽を、著名なジャズ・ミュージシャンが集まって録音したオムニバス・アルバム。1981にLPでリリースされ、発売当時欲しかったが、買えないできてしまった。この前import_CDをチェックしていたら、水着姿で大きいサングラスをかけた美女が、指をくわえているという超個性的なジャケットを見つけ、速攻で注文してしまった。デザインはDavidkhan Giordanoというイタリア系のデザイナー。LPやCDでは、「ジャケ買い」という言葉があるくらいで、印象的なデザインのものは、中身が分からなくても、欲しくなるものだ。カーラ・ブレイ、ジョージ・アダムス、ジャッキー・バイヤード、AACMのリチャード・エイブラムズなど、そうそうたるメンバーが名を連ねている。こういう政治でいえば右から左までを集めることはなかなか難しいことだが、プロデューサーのハル・ウィルナー(1957-)の功績だろう。wikiによれば「ジャンルを超えた顔ぶれのミュージシャンを集めたトリビュート・アルバムの製作で知られる」そうで、今回のアルバムがそういったコンセプトの最初のアルバムだそうだ。「魂のジュリエッタ」でアレンジとギターを担当しているビル・フリーゼル(1951-)はこの録音が初レコーディングだったそうだ。因みに、9曲目の「メドレー」には、マルサリス兄弟が参加している。ウイントンは当時19歳か20歳という若さで、ハービー・ハンコックのバンド・メンバーになったころだ。短いながらも両者ともファンキーなソロを取っている。音は聞いたことがなかったが、基本は映画から1曲づつで、そのほかメドレーも1曲ある。最も出来のいいのは、カーラ・ブレイのアレンジした8 1/2の音楽。4ホーンにカーラのキーボードという特異な編成だが、カーラ独特のサウンドが、ロータの音楽にマッチしていて、フェリーニの猥雑な世界が思い浮かぶ。トロンボーンのゲイリー・ヴァレンテのパワフルなサウンドが目立った。6曲目の「La Dolce Vita Suite 」3つの部分に分かれていて、最初の2つではホルンが参加していて、なかなか効果的な使い方がされている。「intoro」はスチール・ドラムが不思議な効果を発揮していて面白い。エイブラムズのアレンジである「Notturno」はノネットの演奏。ホーンが5人で、ストーリー性があり楽しめる。最後の「Interlude」のまったり感も悪くない。7曲目の「サテリコン」ではアイルランドの民族楽器ティン・ホイッスルが使われ、砂漠を思い出させるようなサウンドで一気にローマ時代の砂漠の世界に飛んでいくような気分になる。「Roma」はスティーブ・レイシーのソロ。ソプラノとゴングを使って、面白いパフォーマンスを聞かせてくれる。「メドレー」はブランフォードのアルトが目立っている。ジョージ・アダムズのフリーキーなソロも超強力。ケニー・バロン、ロン・カーターなどのバッキングも存在感がある。ジャッキー・バイヤードのソロピアノによる「Amarcord」は彼一流のストライドピアノが楽しめるが、ノイズが目立つこともあり、あまり面白くない。CDはリマスタリングが行われているが、原テープの音が悪いためか、中音域が引っ込み気味で、歪みがかなり感じられる。これがもっといい音だったら感動も倍加すると思うと、とても惜しい。以前は中古で1万円、新品でなんと7万円というプレミアムがついていたが、適正な価格で手に入れることが出来るようになったのは何よりだ。なお、具体的なデータはこちらをご覧頂きたい。Amarcord Nino Rota(Corbett Vs Dempsey C0051)1. Amarcord2. Interlude From Juliet Of The Spirits3. 8½4. Theme From "La Dolce Vita" And "Juliet Of The Spirits"5. Juliet Of The Spirits6.La Dolce Vita Suite 7:17 Introduction Notturno Interlude Valzer (Parlami Di Me)7. Satyricon8. Roma9. Medley: The White Sheik, I Vitelloni, Il Bidone, The Night Of Cabiria10. La Strada
2018年10月05日
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トニー・ベネットとダイアナ・クラールのデュエットを聴く。ガーシュイン作品集で、バックはビル・チャーラップ・トリオ。ベネットの前作は2017年9月の90歳誕生記念のコンサートのライブ録音だった。ここでは、多彩なゲストが繰り広げる歌の共演が楽しかったが、今回はダイアナ・クラールとのデュオ。以前レディー・ガガとのグラミー賞を受賞したアルバムを作っていたが、これが素晴らしかったので、今回も大いに期待していたのだが、期待外れとまでは言えないが、満足度は程々だろう。レディー・ガガの場合には彼女の圧倒的な歌唱力がアルバムの魅力の大半だったように思うが、クラールはそこまで歌唱力があるわけではない。ベネットに寄り添う姿勢もガガに比べてあまり感じられなかった。バックがピアノ・トリだけというのも合わなかったようだ。大編成のストリングス入りであれば、かなり違っていたはずだ。もちろん、チャーラップ・トリオの演奏が悪いという意味ではない。スインギーでソロもノリがいいが、あまりにもさっぱりしすぎている感じがするのだ。ベネットは徐々にではあるが衰えが目立つようになってきたので、これからは、さらにベネットを活かせるような企画が求められる。全体的には、夜のムードがたっぷりで、澄んだ空気感も魅力的ではある。その中では「Somebody Loves Me」や「Do It Again」のようなミディアムテンポの曲の出来がなかなかいい。特に「Do It Again」のリラクゼーションは堪らない。粋なバックにも助けられている。ベネットのソロは最後の「Who Cares?」のみで、ヴァースから歌っているのが珍しいが、ワンコーラスで、ちょっと物足りなかった。この手のアルバムでいつも思うのは、ユニゾンがあっていないこと。お年よりは運動神経が鈍くなっているので、仕方がないかもしれないが、いつも気になる。プロデュースはベネットとチャーラップで、アレンジもチャーラップ(1曲のみクラールとの共同アレンジ)。アルバムは高品位ではあるが、仕上がりがいかにも地味な感じで、ベネットとクラールの持ち味からすると、ちょっと違う感じがする。バックは「But Not For Me」以外はビル・チャーラップ・トリオ。その「But Not For Me」はクラールとチャーラップのデュオで、しっとりとして実に素晴らしい出来。例えば「Fascinating Rhythm」などの速いテンポの曲はベネットが歌うのに四苦八苦している様子がうかがえ、クラールが何げなく歌っているだけに、ちょっと気の毒だ。以前トニー・ベネットとのデュオが素晴らしかったことを思い出すが、ピアノとデュエットはあまり合わないのかもしれない。wikiによると、「Guinness World Records title for "longest time between the release of an original recording and a re-recording of the same single by the same artist." 」だそうだ。「Fascinating Rhythm」の初レコーディングが1949で今回が多分今年になるわけで、何と69年も間隔がある。単に長生きしたら得られる記録ではなく、この年まで演奏活動をして、なおかつビジネスとして成り立つ実力がなければならないわけで、ショービジネスに生きてきたベネットにとってもとても名誉な記録だろう。ギネスに認定されるためには、調べなければならないわけで、この記録を思いついたレコード会社もなかなか慧眼だと思う。Tony Bennett & Diana Krall:Love Is Here To Stay(Verb B0028703-02)Ira & George Gershwin:1.'S Wonderful2.My One And Only3.But Not For Me4.Nice Work If You Can Get It5.Love Is Here To Stay6.I Got Rhythm7.Somebody Loves Me8.Do It Again9.I’ve Got A Crush On You10.Fascinating Rhythm11.They Can’t Take That Away From Me12.Who Cares?Tony Bennett(vo except track 3)Diana Krall(vo except track 12)Bill Charlap TrioRecorded at Avatar Studios,New York,NY and Electric Lady Studios New York,NY
2018年10月02日
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