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普段ルネッサンスなどの古い音楽はほとんど聞かない。レコード芸術の連載「旬の音盤ためすがめつ」で アカデミー賞を受賞したマショーのノートルダム・ミサが取り上げられていて、その内容がとても興味深かった。尋常でない演奏であることが、ホストの満津岡信育氏とゲストの矢澤孝樹氏両者の熱気のこもった会話からも窺える。それほどならとSpotifyで試聴した。両者の会話の中で出てきた過去の名盤もつまみ聞き。この録音の凄さが分かってきたので、CDをチェック。ハイレゾはないようで、安いCDを物色していたら偶然Presto Musicでロスレスが¥1300で売っていたことを発見。速攻で購入した。ブックレットもついていて、これはお買い得だった。この曲はルネッサンス以前のムジカ・ノヴァの音楽なので、昔の録音はいかにも修道院で修道士が歌っているというイメージだ。年代を経ていくにつれて、そのイメージの殻が破れていく様子がよく分かる。今回のアルバム以前ではアンサンブル・オルガヌム(Harmonia Mundi)が今回の演奏のイメージの片鱗を感じさせるが、グランドラヴォアの演奏では、それがさらに推し進められ、野卑で過激さを増していることがよく分かる。矢澤氏の言葉によると、『「微分音的な音程」と「メリスマティックな節回しの即興性」を超絶的な技術水準で行って、突如として別次元に行ってしまった。』と形容している。管理人はその凄さが理解できないが、上品さ?をかなぐり捨てた徹底度合いがアンサンブル・オルガヌムの演奏とは全く違うことはよく分かる。面白いのは同じ曲でも全く別な曲のように思えることで、似ていると思う演奏は一つもなかった。其れほど演奏者の自由度が高い記譜なのかもしれない。今回の演奏でも、作曲者不詳の曲がマショーの曲に違和感無く挟まれている。今回の演奏は、そういったこの曲の演奏史をひっくり返すような、大胆な演奏であることは、この曲に不案内な管理人でも理解できる。従来の透明なサウンドで静謐な音楽というイメージからは大きく外れている。両者の会話にも出ていたが、ヨーロッパ的な発生とアジアやアラブなどを思わせる地声が混在している。一聴猥雑でゴタゴタしている感じなのだが、演奏が乱れているわけではない。バリ島のケチャのイメージに近い。勿論激しいリズムがあるわけではない。言わば、「混沌の中に整然とした秩序がある」とでも言えるだろうか。各声部の主張がはっきりしていて、特に低音部の声と思えないようなサウンドは聞いたことのないサウンドだ。楽器で言えばコントラ・ファゴットのビリビリいう低音みたいな感じだろうか。曲によってはミサらしい静けさを感じることもあるが、従来の透明なサウンドとは大違いだ。力強いことは無類で、死者を祈祷する音楽とはとても思えない。古い音楽では、こう言う革新的な試みが突然ドカンとやってくることがある。中世の音楽に親しんでいる方ほど、この演奏の衝撃を強く感じることだろう。これも音楽の楽しみの一つだ。例によって24bit 192kHzflacにアップコンバートして聴いているが、とてもいい録音だ。無伴奏の合唱というと録音が難しい代物だが、混濁も少なく大変美しい。オン・マイクだが、うるさくはなく迫力が凄い。オフ・マイクだと演奏の内容が十分に伝わらなかっただろう。民族音楽的アプローチなので、この録音は演奏をさらに引き立てている。なお、ブックレットもついているが、指揮者のビョルン・シュメルツァーのライナーノートが哲学的・詩的であまりにも難解なので、内容を知りたい向きは相場ひろさんの優れた翻訳が載っている国内盤がおすすめ。Machaut: Messe de Nostre Dame(Glossa GCDP32110)16bit 44.1kHz Flac1. Machaut: Inviolata genitrix / Felix virgo / Ad te suspiramus gementes et flentes, M23傷の無い/幸いな処女は/わたしたちはあなたを慕い2.anon.: Salve sancta parens (Gregorian chant) [MS 5665 / Graduale Triplex / Koninklijke Bibliotheek 71 A 21 めでたし聖なる産みの母3.Machaut: Kyrie キリエ4.Machaut: Gloria グローリア5. anon.: Benedicta et venerabilis:祝福され、尊ばれし聖母マリア6.anon.: Alleluya: Post partum virgo 御身が生まれてより7.anon.: Verbum bonum et suave [Sequence: Codex Las Huelgas, 13th Century Spain] 善き甘き御言葉8.Machaut: Credo クレド9.Machaut: Plange, regni respublica / Tu qui gregem tuum ducis / Apprehende arma et scutum et exurge, M22 嘆け、王国の/あなたは支配者の群れを/大盾と盾を取って立ち上がってください10.Machaut: Sanctus サンクトゥス11.Machaut: Agnus Dei アニュス・デイ12.anon.: Communio: Beata viscera 幸いな御胎13.Machaut: Ite missa est イテ・ミサ・エスグランドラヴォアビョルン・シュメルツァー(指揮)録音:2015年3月25-31日 アントワープ、聖アウグスティヌス教会
2020年03月30日
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コロナウイルスの影響でイベントが続々中止になっている。管理人は映画にも行かず、出歩かないようにしている。2月に危惧していたが、4月に予定していた2つのオペラ公演が中止になってしまった。オペラの場合、主役級が海外の歌手になることが多いので、リスクはあるとは思っていた。ここに来て殆どの国が日本に入国できなくなってしまった。そうなると代役を立てるしかない。東京・春・音楽祭の公演は早々とほとんどの公演が中止に追い込まれてしまったので、当ブログが予定していた「トリスタン」も中止になってしまった。何とか開催してほしいと思っていた、新国立劇場の「ジュリオ・チェザーレ」も、しばらく前にクレオパトラがミア・パーションから日本人に変更になってガッカリしていた。3/24に東京がロックアウトの恐れがあると小池知事が発表したので、もしやと思って新国立劇場のホームページを見たら、あっさりと全公演中止になっていた。クラシックのコンサートは大声を出したり、聴衆が踊ったりするわけではないので、感染のリスクは低いと思う。ただお客様がお年寄りが多いのでリスクは高いと言える。国立であることも、中止を容易にしたとは思う。管理人が予定していた新国立劇場の公演がキャンセルになったのはこれで2回目だ。去年は台風、今年はコロナだ。自然災害は仕方がないが、コロナが人災であることは公然の秘密だ。最近になって、やはり武漢の国立感染症研究所の職員が感染していたことが明らかになった。あとはお決まりの隠蔽と放置、ウイルスが広がるのは時間の問題だった。おまけに、件の研究所は爆破されて証拠が隠滅されたと囁かれている。コロナが収束した暁には、きっちりと落とし前をつけて欲しい。天安門の時のようなぐだぐだな事にならないことを切に祈る。閑話休題今シーズンは6月にマイスタージンガーの公演がある。それまでには何とか収まっていて欲しいと思っているが、事態は悪化する一方で、他国に比べて日本人の危機意識の薄さが気になる。これも決められない政府に原因があることは確かだ。その中で、多くの人たちが仕事ができなくて苦悩している。真先に中止になるのは歌舞音曲であることは仕方がない。コンサートの無料配信などが行われているが、それがミュージシャンの懐に入っているかは分からない。数日前に、メールがきてクラシックのミュージシャンが有料でコンサートを配信すると言う。eプラスの協力のもと、ピアニストの反田恭平がプロデュースする「オンデマンド・コンサート Hand in hand」 という企画が立ち上がった。個人的には正直言ってそれほど魅力あるプログラムとは思わないが、料金が¥1000であることもあり、少しでも協力したい。第1回は4/1(水)19:00開演予定
2020年03月28日
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最近コロナの蔓延のため,年寄りで病気持ちとしては、ほとんど出歩かなくなってしまった。行く先はプールとスーパーぐらいなもので、感染の危険があるのはスーパーぐらいなもの。最近体調が思わしくなく、畑もまだ始動していない。それでというわけではないが、最近カビ取りに凝っている。きっかけは茂木和哉という方のyoutubeのサイトを見始めたからだ。カビ取り専門のyoutubeで大変に参考になる。以前から風呂場のカビが懸案事項で、氏のyoutubeを参考にしてカビ取りを始めた。氏によると普通のカビキラーなどよりも、ハイターなどの漂白剤がいいのだそうだ。理由は塩素濃度がカビ取りより一桁多いのだそうだ。カビをとるためには塩素濃度と塩素に漬かっている時間のパラメーターがキーなのだそうだ。氏の教えに従って、ハイターをペーパータオルに浸して、貼った。その上にビニールの透明なテープを張って数時間放置した。そうすると取れているところがある。ペーパータオルだと、紙に液が浸ってしまうので、効果が不十分と思って、ハイターをスポイトで直接目地に塗布。その上にテープを貼った。効果はかなりあり、殆どのカビが取れた。難点は漂白剤の匂い。換気扇を回してもなかなか取れない。調子に乗って、風呂の蓋のカビも取ろうとしたが、こちらはまずまずといったところだった。さらに学習を続けていたら、氏の開発したジェル状のカビ取りがあることに気づいた。これはジェルなので、垂直の壁などに吹き付けても、なかなか流れ落ちない。これを風呂場のカビが付いているところに手当たり次第に噴射したら、だいぶカビが取れた。難点はコスパがあまりよくないくらいだが、大変優れた商品だ。問題はまだあって、クロス壁にはこのジェルは使えないことだ。ハイターを100倍に薄めたものがよいとの教えに従って、1mlを測れるメスシリンダーを買って、やってみた。今のところ効果があるかよく分からない。何回も塗布しているが、効果はじわじわとしか現れてこない。そのうち風呂のすりガラスの汚れが気になってきた。氏の教えに従って泡の出るハイターを使ってみたが効果はいまいち。結局激落ちくんがいいみたいだ。ただ、これも一生懸命こすらないと駄目で、こすったときのむらも気になる。今日、プールに行ってふと窓を見たらすりガラスが透明になっている。どうやってキレイにしているのか聞きたい誘惑にかられた。きれいになるのはいいことだが、おかげで気が付かないうちに服にもついていて、変色してしまった。いや~カビ取りも奥が深い!?
2020年03月26日
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グラミー賞にノミネートされていたサラ・ガザレク(1982-)名前から想像するに東欧系の名前だろうか。ノミネート作品である「Thirsy」が思ったほどではなかったので、過去のアルバムを聴いてみた。その中でジョシュ・ネルソンとのデュオ「Dream In The Blue」が気に入ったので、bandcampから入手。価格は$8.99から。ジャズ・ヴォーカルというよりもポピュラー系の歌手で、フォークっぽいところもある。スキャットも上手い。透き通った声で、高音も素晴らしく伸びている。ジョシュ・ネルソンは有名ジャズミュージシャンとの共演も多く、リーダーアルバムも6枚ほどリリースしている。サラ・ガザレクとの共演歴も長い。リリカルなピアノで、ヴォーカルと適度な距離感を保ちながら息のあった、細やかなサポートしているのが素晴らしい。彼の曲が2曲入っている。ピアノと同じようにリリカルでフォークソング風のメロディーが爽やかだ。2人の作り出す、インティメイトな空間が味わい深い。「Thirsty」の購入を保留していたら、グラミー賞の発表を機にprostudio mastersで$13ほどに安売りしていたので、購入した。今後じっくりと聞きたいが、個人的には今のところ「Dream In The Blue」のほうが気に入っている。Sara Gazarek+Josh Nelson: Dream In The Blue(Steel Bird Music)16bit 44.1kHz Flac1.The Beatles/Ray Henderson:Blackbird/Blye Bye Blackbird2.Jaime Silva/Neuza Teixeira:O Pato3.Jimmy McHugh:Sunny Side of the Street4.Josh Nelson:All Again5.Mike Reid and Allen Shamblin:I Can't Make You Love Me6.Duke Ellington:Mood Indigo7.David Mann/Redd Evans:No Moon at All8.Irwin Kostal/Joan Stein:Petit Papillon9.Bill Anderson:I Don't Love You Anymore10.Laura Mvula:Father, Father11.Josh Nelson:Behind Me12.Nick Drake/Vincent Youmans:Cello Song/Without A SongSara Gazarek(vo) Josh Nelson(p)Recorded January 5, 6, + 7 at Capitol Studios, Hollywood, CA
2020年03月24日
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カメラータ・デュ・レマンCamerata du Lémanという聞きなれない弦楽アンサンブルのアルバムがリリースされて、spotifyで試聴したら面白かったので、いつものeclassicalから$12.89で購入。この団体は2012年に結成されたスイスの弦楽アンサンブルで、今回がデビューアルバムになる。メンバーはスイスをはじめとしたヨーロッパ出身の15人。編成は曲により変わり、レパートリーはバロックから現代までという特徴があるらしい。精鋭が集まっているそうで、腕は確かだ。チャイコフスキーの「フィレンツェの思い出」(1890)は弦楽6重奏の曲だが、弦楽合奏に編曲されている。ビロードのような艶のあるサウンドで、ハーモニーが分厚い。強弱のメリハリがついていて、チャイコらしからぬ?力強さも感じられる。この曲は初めて聞いたのだが、いっぺんで好きになってしまった。聴いていると、チャイコフスキーの「弦楽セレナーデ」(1880)に似たところもある。原曲をspotifyで聴いたが、音が美しくない演奏が多く、それに比べるとはるかに美しい音だ。あまり録音されていなようだったが、その中では韓国の若手のノーブス・カルテットの演奏が素晴らしかった。目玉の「展覧会の絵」は弦楽アンサンブルだけに非力なのでは、という聴く前の予想とは全く違っていた。編曲に際してはラヴェル版を下敷きにしているが、ピアノ版も参照しているとのこと。実に力強く、コル・レーニョやバルトーク・ピチカートなどの特殊奏法も交えて、大変面白い演奏だった。また、「テュイルリーの庭」のように、音型を変えているところもあるが、なかなかユニークででニヤリとさせられる。編曲はコンサート・マスターのシモン・ブレブで、ラベルの管弦楽版を下敷きにしているが、管のパートも全く違和感がない。単に管弦楽を弦楽アンサンブルに編曲したのでは出来ない面白さがあり、実に巧妙な編曲だ。例えば「カタコンブ」の低弦の音などオルガンかローブラスの音のように感じられる。この演奏を聴いてから原曲を聴くと、ずいぶんと緊張感がないように感じる。それだけ、この演奏が引き締まったテンポで、激しくも緊張感を感じさせる演奏であることは確かだ。特に「バーバ・ヤーガの小屋」がダークなサウンドと共に迫ってくる迫力は並大抵ではない。ということで、これは大変優れたデビューアルバムだ。普通の「展覧会の絵」が耳タコな方には是非お聴きいただきたい。ところで、youtubeにいくつか演奏がアップされていて、「フィレンツェの思い出」からも2曲アップされている。これを見ると、チェロを除いて丸くなって立って演奏するスタイルだ。Camerata du Léman:Tchaikovsky - Souvenir de Florence - Mussorgsky - Pictures at an Exhibition(Pentatone PTC5186762)24bit 96kHz Flac1.Tchaikovsky:Souvenir de Florence, Op. 70, TH 118 (Performed by String Ensemble) 5.Mussorgsky:Pictures at an Exhibition (Arr. S. Bouveret for String Ensemble)Camerata du LémanRecorded 24 to 27 October 2017 at Studio Ernest Ansermet – Maison de la Radio – Genève
2020年03月22日
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ニコラス・ペイトンの久々の新作は昨年5月に行われたニューヨークのクラブ「Smoke」でのライブ録音。HIGHRESAUDIOから$15.2で購入。今回は殆どがストレート・アヘッドなジャズで、彼のインプロバイザーとしての実力をいかんなく発揮している。また、ペイトンのピアノ、フェンダーローズ、ヴォーカルがフィーチャーされている。そのキーボードがトランペット奏者の余技とは思えない程の実力で驚いた。サンプリングを含めキーボードの使い方が複雑かつ巧妙。ライブにもかかわらず、楽器の繋ぎもスムーズで、周到な準備があったとは思うが、並みの手腕ではない。アコースティック・ピアノはオーソドックスなプレイで、軽快なプレイ、リリカルなプレイと間口が広い。キーボードはフージョン系のプレイでこちらも面白い。本職のミュージシャンでいえば山中千尋の芸風に似ている気がする。スタンダードが3曲、ゴルソンのクラシックが1曲、あとはペイトンの自作が並んでいる。オリジナルは明るい曲が多く、いずれも、なかなか聴かせる。メインストリーム系の音楽が多いが、「El Guajiro 」のようなキューバ風の作品もあり、守備範囲が広い。この曲では最初キューバ人が話しているようなくだりがある。ペイトンだろうか。「Jazz is a Four-Letter Word 」ではペイトンのラップが入り、ジャズ・ジャイアンツの名前が聞こえる。ただ、声がこもっていてはっきり聞こえないのが惜しい。彼のハスキーなヴォーカルをフィーチャーしている曲もある。否定はしないが、これはさすがに本職はだしとはいかなかった。フェンダーローズのプレイが楽しめるのは「F」、続く「A」ではアコースティック・ピアノのリリカルでスインギーなプレイが楽しめる。「A」でのドラムスの切れのいいブラッシュ・ワークもご機嫌だ。「Five」は軽快なラテン系のノリノリの曲で、聴いているとうきうきしてくる。ここでのペイトンのトランペットも凄まじい。スタンダードは正攻法のアプローチで圧倒的なパフォーマンスを示している。「I Hear a Rhapsody」ではキーボードの出番が多い。フェンダーローズのイントロからムーディーだが、テンポが速くなると途端に驀進していくそのコントラストが心地よい。「When I Fall in Love」ではリバーブを効かせたヴォーカルとフェンダーローズの弾き語り。浮遊感があり、途中からガラッと雰囲気が変わりトランペットのハードなソロが入る。ペイトンのトランペット・プレイは、柔らかでメロディックなソロが、リー・モーガンを彷彿させるが、強靭さも併せ持ち、ときには圧倒的なパフォーマンスを見せる。ケニー・ワシントンのドラムスはちょっと表に出すぎることもあるが、軽快なリズムで、終始バンドをプッシュしていて気持ちがいい。ピーター・ワシントンのベースは重量感がある野太い音を出しているが、そのためか動きが鈍いような気がするのは気のせいだろうか。録音はとてもいい音で、ライブの雰囲気がビビッドに伝わってくる。会場ノイズも少なく聞きやすい。ということで、ペイトンの実力がいかんなく発揮されたアルバムで、彼自身も会心のアルバムだろう。是非多くの方に聴いていただきたい。Nicholas Payton:Relaxin' with Nick(Smoke Sessions Records SSR1907)24bit48kHz Flac1. Nicholas Payton:Relaxin’ with Nick2. Nicholas Payton:C3. Nicholas Payton:El Guajiro 4. Benny Golson:Stablemates5. Nicholas Payton:Eight 6. Nicholas Payton:Jazz is a Four-Letter Word 7. Nicholas Payton:Othello 8. Vincent Youmans / Irving Caesar:Tea for Two9. Nicholas Payton:198310. Nicholas Payton:F (for Axel Foley)11. Nicholas Payton:A 12. George Fragos, Jack Baker & Dick Gasparre:I Hear a Rhapsody13. Nicholas Payton:Five14. Victor Young / Edward Heyman:When I Fall in Love 15. Nicholas Payton:PraaludeNicholas Payton (tp, p, fender rhodes, vo, effects & samples)Peter Washington (b),Kenny Washington (ds)Recorded May 30, 31 & June 1, 2019 at SMOKE Jazz Club in New York City
2020年03月20日
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昨年の後半に入手していたギーレン・エディションvol.8。なにしろCD12枚組で時々ぽつぽつと聴いているので全部聴けていない。何しろdbPowerampのデータベースに載っていないので、手入力のため時間がかかったということもあり、聴ける状態になったのはやっと先月。このシリーズSWR南西ドイツ放送に保存されている音源を体系的にリリースしているものだ。第8集はギーレンが最も得意とした新ウイーン楽派の音楽を集めている。ボックスなのである程度は値段が張るが、importcdsで$29.46、送料含みでも\3500程で購入できた。録音は1954年から2008年と50年ほどの長い期間にわたっている。1954年のウエーベルン編曲のシェーンベルクの第一室内交響曲(ピアノ5重奏版)はさすがに古く骨董的価値しかないと思うが、ほかの録音はどれも鮮明で新ウイーン学派のシャープなサウンドが楽しめる。3枚分は完全に初出録音で、その他に初CD化された録音もある。演奏は生々しく鮮烈で、聴き手に訴えかける力が強い。昨今の新ウイーン楽派といえば鮮明ではあるが、あまり熱の感じられない演奏が多い中、これほど熱い演奏もまれだろう。聴いていると、すっかりはまり込んでしまった。ピアノ協奏曲など、こんなに熱い音楽だとは思わなかった。シェーンベルクの「ペレアスとメリザンド」は2つの録音が収録されている。どちらも悪くない。この曲はハーモニーが分厚く、ごちゃごちゃしている。上手く整理しないと、聴けたものではない。当ブログのデフォルトはカラヤンなのだが、このギーレン盤もカラヤンに匹敵するような演奏だ。上記の問題点がすっきりと整理されていて、よけいなストレスがないのがいい。初CD化されたものではドイツのソプラノ、メラニー・ディーナーが歌う「7つの初期の歌」が結構気に入っている。シェーンベルクの「映画の一場面への伴奏音楽」や「コルニドレ」など聞いたことのない音楽が含まれているのもありがたい。「コルニドレ」の感情むき出しの表情が聴き手の心を鷲掴みにする。語り手のラビ役のジェームズ・ジョンソンが素晴らしい。「グレの歌」は期待していなかったが、各楽器の動きがよく分かり、とてもいい演奏だ。ただ、最後の「夏風の荒々しい狩り」は極端に遅いテンポで、違和感がある。録音は2006年なので新録音とさほど変わらない。120ページほどの英語とドイツ語のブックレットが付いていて、とても有難い。聞き通すのに時間がかかりそうだが、気が向いた時に少しづつ聞ければと思う。本の積読ではないが、買ったままほとんど聴いていないCDも結構ある。最近はNASに入れるまでが大変なので、それで満足しまって、聞かないでいる音源も少なからずある。最近だと、ソニーの黒人作曲家のBOXとかジャズだがアート・アンサンブル・オブ・シカゴのECMのBOXなどが大物だ。ECMのボックスは21枚なのだが、一枚だけリッピングして、あとは放ったらかし。最近は主力がハイレゾになって、購入が楽になったので、購入のペースに聴くペースが全く追いつかなくなってしまった。また、一枚のアルバムに関わる時間も少なくなった。他にはストリーミングもあるので、時間に追われているような状態だ。現在の状態が決していい状態だとは思わない。昔は聞くものが限定されていたが、一つ一つに対しては濃密な関係だった。今は、働いていないとはいえ、それほど時間があるわけではない。現在の状態がいいか悪いか、考える時期になっているかもしれない。この間、偶然eclassicalから購入した音源が130本あることに気がついた。ハイレゾを始めてから3年ほどで、一社だけでそんなにダウンロードしていたとは思はなかった。ひとつひとつに対する関わり方が希薄になっているのも無理はない。Michael Gielen Edition vol.8 1954-2013(Swrmusic 19063)SWR Sinfonieorchester Baden-Baden und FreiburgRadio-Sinfonie-Orchester FrankfurtSWR VokalensembleMichael Gielen
2020年03月18日
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先日、キッチンのアクティブスピーカーからテレビの音声が出なくなった。居間のテレビの音声をblue toothで送信していたのが突然聞こえなくなったのだ。原因はトランスミッターと接続しているテレビのヘッドホン端子の接触が悪くなったからだ。以前から電源が切れる時などに大きなノイズが出ていたのは、そのためだったようだ。ダメもとで接点復活剤をつけたがダメだった。テレビをバラしてヘッドホンのコネクターを交換すれば良いのだが、めんどくさそうだった。思案しながらテレビの出力端子を見ていたら、音声のライン出力がある事に気がついた。手持ちで、ライン接続用のケーブルがあったので、早速トランスミッターをテレビの音声出力に接続。音は出るのだが、歪んで聞けたものではない。ソニーに問い合わせて、すったもんだした結果、トランスミッターの入力はヘッドホン用の出力でないとダメなことがわかった。仕方がないので、ライン入力の可能なトランスミッターを購入した。購入したのはWSKY BT-B19というもので、Amazonから、タイムセールで安価に買えた。ペアリングは簡単に出来たし、ちょっとしたトラブルはあったものの、無事通信可能になった。トランスミッターには光デジタル入力端子があり、テレビにも光出力があったので、ノイズのない音声を聞くことができる。bluetoothのコーデックも以前のSBCからaptXになったのも、音が良くなっている原因の一つで、以前に比べ引き締まっている。また低遅延なので、歌番組などで画像と口の動きのずれがほとんど気にならなくなった。前は2,3秒は確実に遅れていたので、違和感がバリバリだったことを思えば、夢?のようだ。多少の出費はあったが、結果的には以前よりも快適にテレビ音声を楽しめるようになった。めでたしめでたし。。。
2020年03月16日
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アンサンブル・レゾナンツのモーツァルトの後期交響曲集を聴く。リリースされた時からSpotifyで聴いていて、あまりにも過激なので、他の演奏と聴き比べていたが、買ってしまった。HDtracksで20%オフの$16.78で購入。この団体の演奏はベルクとシェーンベルクを集めたCD以来だ。最初の39番から大胆なアコーギクとホルンの強奏、チクチクと刺激するフレージングなど、良く言えばおもしろい、悪く言えばゲテモノ風の演奏だ。これに比べたら、同じ傾向のアーノンクールなんぞ大人しいものだ。評論家の故宇野功芳先生が喜びそうな演奏と言ったら、故人に失礼だろうか。当ブログはと言えば、全面的に賛同するわけではない。もってまわったフレージングやダイナミックスが鼻に付くところもある。やり過ぎなところも多々ある。ただ、例えば40番の終楽章のように、爆発的な推進力が聴かれるのは他の演奏では聞いたことがない。それにしても、これほど攻撃的なモーツァルト聴いたことがない。勿論テンポは速いが、他の仕掛けに気を取られて、テンポにまで注意が向かわない。新録音といっても、従来のイメージ通りの演奏を聞かされるよりは数段面白い。過激な演奏に注意が向きがちだが、演奏の精度は非常に高い。とくに弦の艶のある厚みのあるサウンドが魅力的だ。ここはシェーンベルクの録音と同様で、この楽団のセールスポイントだろう。参考までにHIP風の演奏を何枚か聞いてみた。その中では、マッケラスの全集盤(Terac)の古楽風のゴツゴツした肌触りの中に、流麗なフレーズが流れる演奏が、清々しい気持ちで聞けて良かった。録音は演奏同様生々しい。これで録音が冴えなかったら、魅力も半減だろう。ただ、音量を上げると、指揮者ミナーシの息遣いが感じられてウザい。一生懸命なのはわかるが、口を閉じてくれと言いたくなる。否定的なことも言ったが、怖いもの見たさでお聴きになるのも悪くないと思う。いろいろな意味で、期待を裏切らない?演奏だろう。爆裂音楽大賞みたいな賞があれば、間違いなく受賞するであろう、優れた?作品であることは間違いない。Ensemble Resonanz Mozart:Symphonies Nos. 39, 40 & 41 'Jupiter'(Harmonia MundiFrance)24bit 96kHz FlacWolfgang Amadeus Mozart: Symphony No. 39 in E flat major, K543Symphony No. 40 in G minor, K550 Symphony No. 41 in C major, K551 'Jupiter'Ensemble ResonanzRiccardo MinasiRecorded July, 2019、Friedrich-Ebert-Halle, Hambourg
2020年03月14日
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パット・メセニーの久々の新作。彼は当ブログと同年齢ということもあり、いつも注目していた。しばらく新録音がないので、健康面や音楽状態の不調などがあるのではないかと、他人事ながら心配していた。その後、雑誌などで演奏活動を行っていることを知り、不安は解消された。昨年の末に新作がリリースされることを知り、心待ちにしていた。何と6年ぶりのスタジオ録音だそうだ。なる程長かったわけだ。実際に耳にしたら、これがオーケストラと共演した大作だった。全体にロマンの香り高い名品に仕上がっている。還暦をとうに過ぎたパットの現在の心情を表した作品だろう。個人的にはより成熟した姿も見たいが、活力に満ちたプレイも失って欲しくない。聞き手とは随分と欲張りなものだが、パットだからこそ、そこを期待したい。パット自身この作品は彼の音楽の集大成だといっている。レコーディングの方法も変えた。ロン・カーターとの長いツアーで教えられたマイルス・バンドでのやり方、録音当日にメンバーに初めて楽譜を出すという方法だ。前半はいつものメセニー・グループの音楽がハードになった感じ。最初の最後の「America United」はグレーの肌合いを持つ力強い音楽。後半次第に盛り上がる。ずっと聞こえている蒸気機関車の走行するような音と、打ち鳴らされる鐘は映画のワンシーンを思い起こさせる。その後ギター・シンセが突如として下降するグリッサンドを鳴らす瞬間は、実に鳥肌ものだ。「Past In Usa」は映画音楽を思い出させる弦の調べから始まるバラード。感傷的ながらも明日への希望を感じさせる、感動的なナンバー。スイス出身のグレゴア・マレのハーモニカのソロ、パットのソロとも申し分ない。特にハーモニカのソロは心に染み渡る。続く「Everythig Explained」は速いテンポながら、哀愁を帯びた旋律が美しいスパニッシュ・ムードの作品。サンチェスのドラムスの活躍が目立った。タイトル・チューンの「FromThis Place」は深い祈りに満ちた清らかさの感じられる曲。賛美歌風だが、フォークソング的なテイストも感じられる。ヴォーカルが実に美しく、心が洗われようだ。女性ヴォーカルはミシェル・ンデゲオチェロ(1961-)で、男の声はメセニーだろうか。これも映画音楽のように、ゆったりとして、静けさと安らぎが感じられる。「Sixty-Six」も哀愁を感じさせる曲で、ベースのソロもしみじみとした味わいがある。後半のギター・ソロはバック共々次第に高揚していく様が、なかなか感動的だ。最後の「Love May Take Awhile」も痛切極まりない弦のフレーズから始まる。ゆったりとしたテンポの弦に乗って、ギターの思索的なソロが繰り広げられる。心に染み渡る演奏で、エピローグに相応しい。因みに、この曲のタイトルは作詞家のマリリン・バーグマン(1929-)につけてもらったという。リズムセクションが素晴らしくいい。特にサンチェスのドラムスの躍動的なプレイには目を見張る。また、普段は裏方に徹しているベースが存在感を示している。ベースはマレーシア生まれのオーストラリア人リンダ・メイ・ハン・オー(1984)。サウンドも美しい。wikiイギリス生まれのグウィリム・シムコック (1981-)は、このアルバムに似つかわしいリリカルなピアノを聴かせる。雄大なスケールで、ポピュラーではぞんざいに扱われることが多いオケも其れなりの存在感がある。経費の高いアメリカのオケを使ったのは、このアルバムがアメリカの楽団でなければならないというメセニーのこだわり。とういうことで、長らく待った甲斐があった大傑作で、このアルバムも年末の賞取りの有力な候補になることは間違いない。Pat Metheny:FromThis Place(Nonesuch WPCR-18309) 24bit 96kHz Flac01. America Undefined02. Wide and Far03. You Are04. Same River05. Pathmaker06. The Past in Us07. Everything Explained08. From This Place09. Sixty-Six10. Love May Take AwhileGwilym Simcock(P)Linda May Han Oh (b)Antonio Sanchez(ds)Special Guest(track8 only)Meshell Ndegeocello (vo )Gregoire Maret (harmonica)Luis Conte (perc.) the Hollywood Symphony Orchestra、Joel McNeely.Alan Broadbent and Gil Goldstein(arr.)All Music composed by Pat MethenyRecorded Avatar Studio, New York
2020年03月12日
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昨年亡くなったロジェストヴェンスキ-ーがスクロヴァチェフスキーの代わりに読響を振った2017年のライブ録音。曲目はブルックナーの第5交響曲。普段ならこの指揮者のブルックナーなぞ聴くこともないが、結構話題になっていたのが、聴いた理由。ロジェストヴェンスキのブルックナーはかなり変わっているが、全集も作っていて、ブルックナーについて一家言を持っている指揮者だ。全集は、ほぼすべての版を録音したマニアックなものだ。ただし、5番のシャルク版は録音していなかったので、ファンにはありがたいリリースだろう。管理人も確か8番だけ持っていたはずだ。確認してはいないが、かなり変わっていたという記憶がある。今回話題になったのはシャルク版を取り上げていたからだ。シャルク版の録音ではクナッパーツブシュがウイーン・フィルと録音したDECCA盤が有名で、当ブログも若いころアナログ盤に馴染んでいた。聴いたのが昔のことで、記憶は全くないが、今回のような奇怪な演奏ではなかったと思う。すこし確認したがむき出しの金管の強奏が目立つくらいで、それほど違和感はない。最後のバンダがなかったのもその理由の一つだ。色物として聞く分には問題ないが、何回も聴くような演奏ではない。ロジェストヴェンスキーの唸り声が時折聞こえる。それだけ気合が入っていたのだろう。ティンパニの野蛮な強打が思わぬところで聴かれるのには、かなり違和感がある。わざとやっているようにしか思えない。良し悪しは別にしてバンダが乗っていたのは正解だろう。視覚的にも効果的だし、お祭り的な気分とめったに聞かれない大音響が味わえることは確か。終わった後の盛大な拍手がそれを裏付けているが、拍手の収録時間が長すぎる。繰り返し聞くときは不要だ。テンポは遅くもたれるが、第2楽章のアダージョは何故か普通のテンポ。昔の洗練されていない、フットワークの鈍い田舎のブルックナーという感じだ。昔はこういう演奏が多かった。不要と思われるフレーズが、時々挿入されているのも、うざい。もともとブルックナーは寄り道の好きな作曲家だが、こう頻繁に寄り道されるのも困りものだ。突然正気に戻ったようにテンポが速くなるのも、違和感がバリバリにある。読響は素晴らしいサウンドで、後半に入っても余裕がある。ただ、新奇なスコアに気をとられて、当ブログを含めて、そちらに注意が向かないのは気の毒。録音はオンマイクで厚みのある素晴らしいサウンドだ。ということで、管理人にとっては色物でしかなかったのが残念だが、こういう録音があることは悪いことではない。Gennady Rogzhestvenski Bruckner:Symphony No .5(Schalk Edition) (Altus ALT411)Gannady Rogzhestvenski Yomiuri Nippon Symphony OrchestraRecorded 19 May 2017 at Tokyo Metropolitan Theatre
2020年03月10日
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巷では色々な場所の営業が自粛されている。そんな中、通っているプールが再開された。といっても、コロナウイルスとは関係がない。暦で決まっていた休み(おそらくプールの清掃のため)だろう。以前もちょっと触れたが、プールはコロナ・ウイルスには強い。消毒のための塩素が入っているので、プールに行くまでにウイルスが付着しても、水に入ればウイルスは死滅する。厳密にいえば、すでに体内に入っていればどうしようも無いが、水を飲めば、体内で死滅する確率が高まる。問題は帰るときの感染。以前から気になっていて、先々週にアルコールがないか確認したときはなかったが、さすがに今日は置いていた。ところで、少し前から腰がいたくて、体を曲げるときも痛かった。整形に行って注射を打ったり、湿布を貼っているが、良くならない。今回の一週間のプール休みで、何故かだいぶ良くなったのだが、今日プールに行ったらまた痛くなった。どうやら水泳が悪いようだ。今も右足が痛い。少し前から、プールに行く時間を30分早めている。終る時間は決まっているので、泳ぐ時間が30分増えたことになる。それが、どうも悪かったみたいだ。泳ぐ時間を短くするのは簡単だが、それは止めたくない。なので、取り敢えず泳いだ後のケアをしっかりやりたい。
2020年03月09日
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出典:consequenceofsound.net今日HDtracksからセールのメールが来て見ていたら、最後のところにマッコイ・ターナーが取り上げられていた。なんでと思いながらよく見たら1938-2020と書かれてある。まさかと思ってネットを検索したら、事実だった。3月6日に81歳でお亡くなりになったそうだ。これで、黄金のコルトレーン・カルテットのメンバーは全員鬼籍に入った。結局彼がメンバーの中で一番長生きしたことになる。ある種の感慨を覚えざるを得ない。このカルテットの演奏はたくさんあるが、気がつくと頭の中で鳴っているのは、いつも「Ballad」の「I Wish I New」のイントロのピアノ。当ブログはコルトレーンをリアルタイムで体験したわけではないが、マッコイ・タイナーのマイルストーン時代はリアルタイムに聴いていた。マッコイとの関わり合いは浅いとはいえ、インパルス、マイルストーン、ブルーノート、現在と時代ごとの代表作は聴いてきた。今思えば、大作を次々と発表してメディアの話題となり、勢いのある演奏をしていたマイルストーン時代が全盛期だったと思う。マッコイ・タイナーといえばマイルストーン以降のパーカッシブで堅固な構造というイメージが強いが、何よりも音楽に対する誠実な向き合い方が、人柄を表していたと思う。晩年になるまで、コルトレーンの曲を演奏していたことも、コルトレーに対する敬慕の証だったのだろう。マッコイのCDを聴いたのが、いつなのか思い出せない。その時も、インパルスやブルーノートのリーダー・アルバムを聴くことが多かった。特に「バラードとブルースの夜」(Impuls)は気に入っていた。彼を偲び、「バラードとブルースの夜」を聞こうと思ったのだが、例によってどこにあるかわからない。仕方がないので目に留まった「Guitars」(2006)を聴いた。これは、CDをトレイに入れたら、演奏が始まらないので、見たらCDが真っ二つに割れていたという事件を思い出す。今聴いているのは買い替えたものだが、にぎやかな音楽なので、故人をしのぶにはふさわしくない。明日、何とか「バラードとブルースの夜」を探し出して、彼を偲びたい。合掌エイゾー・ローレンスを擁していた時代のジャズ・フェスでのライブがYouTubeにアップされている。1975年9月のノルウェーのMolde International Jazz Festivaでの映像。ローレンスのテナーはコルトレーンそっくりだ。
2020年03月08日
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レコード芸術2月号のリーダーズチョイスで評判が良かった、ユサ-ペッカ・サラステ指揮ケルンWDR交響楽団のベートーヴェンの交響曲全集を聴く。本当はネルソンス=ウイーン・フィルの全集も欲しいのだが、何しろ高い。セカンド・チョイスとして、この音源を買ったのだが、期待に反して?なかなかいい。何よりも価格が割安。Hiresaudioで$30.5と格安だった。ディストリビューターによると、『指示のない第9以外、第1楽章提示部の繰り返しをすべて守っている。ライヴでの繰り返しは珍しい。それでありながら決して長く感じさせず、むしろスピーディであっという間に聴かせてしまう』とのこと。このコメントは頷けるところで、テンポが速いためか、普通繰り返さない曲でも、違和感はない。フレージングもHIP(Historically informed performance 古楽器)の影響が所々に見受けられるが、フレーズの終わりがきちんと処理されていて、清新さえ感じさせる。テンポの揺れや弛緩もほとんど感じさせず、すっきりとした表現。時折やさしさを感じることがあるのも、ベートーヴェンでは珍しい。そのためか、普段日陰の身?である1、2番など随分と魅力的に感じる。2番の1楽章の躍動的で推進力のある演奏と最後の高揚感を聴くと、今まで何を聴いていたのかと思ってしまうほどだ。全曲ライブで、録音日時から一発録りではないだろうが、ライブ録音特有の傷も聞かれない。テンポは速いが、無理やり感はなく、あくまでも自然だ。ティンパニのロールの強打が目立っていて、第5で最初に現れた時には、「おお!」と声に出してしまった。最近この曲を聴くときには第4楽章に注目しているが、後半の熱気がすごい。第9の第2楽章でティンパニのソロの弱い部分を強く叩かせているのが面白い。第7の第3楽章の速い部分で静けさが感じられたのは意外。こんな演奏は聞いたことがない。田園を聴いていたら、ワルター=コロンビア響の演奏を思い出した。ワルターに通じる、穏やかな安らぎが感じられるからだろう。この調子で書いていくときりがないので、これぐらいでやめておく。ケルンWDR交響楽団はうまい。弦と管のバランスがよく、木管の涼やかなサウンドがとても気持ちがいい。ライブ録音だが会場ノイズがあまり聞こえず、音の透明度が高い。音量を上げてもライブとは気が付かない程だ。マイクが近く生々しい音が聴けるのも魅力。個人的には低弦がもう少し出てくれればと思う。ところで、最近ベートーヴェンの生誕250年ということで彼の交響曲を聴く機会が多い。聴いていない時でも、頭のなかで鳴ったりすることがある。新しい感覚の優れた演奏を聴いているからだろうか。今更ながらベートーヴェンの音楽の持つ力を、しみじみと感じている今日この頃だ。濃い演奏は数多くあるが、この演奏ほど曲の隠された魅力が出ている全集も多くないと思う。それほど作品の懐が広いということだろう。「汲めども尽きぬ」と言う言葉を思い出してしまった。Jukka-Pekka Saraste Beethoven:Complete Symphonies(Profile PH18066)24bit 48kHz FlacLaura Aikin (s)Ingeborg Danz (a)Maximilian Schmitt (tn)Tareq Nazmi (br)North German Radio ChorusCologne West German Radio Symphony OrchestraJukka-Pekka SarasteRecorded 20-25 November 2017, Köln, Philharmonie, Germany(Sym.No.1,2,3,4,5)26 February - 3 March 2018, Köln, Philharmonie, Germany(Sym.No. 6,7,8,9)
2020年03月07日
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Prostudiomasterのバーゲンでオリバー・ネルソンの「ブルースの真実」を購入した。このアルバムはジャズ・ファンなら誰でも知っている。ただ、名前は有名でも音楽そのものがよく知られているかは別。曲も「Stolen Moments 」が突出して有名だが、他はあまり知られていない。それなのに、何故か「Butch And Butch」を覚えていた。多分キース・ジャレットの「Up For It」での演奏を覚えていたからだろう。全曲ブルースだが、最もブルースらしいのは最後の「Teenie's Blues」だろう。メロディー・ラインがモンクの「ストレート・ノー・チェイサー」に似ている。当ブログはCDを持っていたような気がするが、はっきりしない。今回、ハイレゾ化されたためか、音楽の風通しが良く、ブルースの濃厚さがあまり感じられない。演奏では、何といってもエリック・ドルフィーのアルトが凄まじい。どの曲もいいが、「Yearnin」のようなハード・バップでのアバンギャルドなアドリブが鮮烈極まりない。オリバー・ネルソンはプレーヤーとしてはあまり評価されていないと思う。音は鳴っているが、ウディ・ハーマンのようなムーディーなアドリブで、場違いと言ったら言い過ぎだろうか。その中ではリズミックな「Butch And Butch」の力強いソロが、かなりいい。それでもドルフィーの特異なアドリブが出てくると、影が薄くなるのは仕方がない。世の中ではフレディ・ハバードのトランペットの評判が良いようだ。ワイルドで活力に溢れたアドリブだが、手癖も散見され、あまり新鮮味がない。ジョージ・バーローはアンサンブル要員で、ハーモニーに厚みと色彩を添えている。ロイ・ヘインズのドラムスがその安定感で意外に存在感を示している。ポール・チェンバースのベースも地味ではあるが、ソロになると味のあるプレイを行っている。個々のプレイとは別に、活きのいいホーン・アンサンブルが素晴らしい聴き物だ。ここではネルソンの手腕が大いに発揮されている。録音が素晴らしくいい。ホーンが普通の録音より一歩前に出ているような感じで、生々しいことこのうえない。ただ、バランスはホーン優先で、リズム隊とのバランスが悪い。左チャンネルにアルト、トランペット、ピアノ、右チャンネルにバリトンサックス、ベースとドラムスが配置されている。エヴァンスのピアノの影が薄い。アドリブもあまり良くない。彼は当時ラファロとモチアンのトリオで活躍していた頃なので、意外だ。なお、「Hoe Down 」がコープランドのロデオの中の曲だという誤った情報がAmazonのレビューに載っているが、ネルソンの作曲の間違いだ。この曲の冒頭で聞こえる声はネルソンだろうか。アニメに出てくるような面白い声だ。ということで、録音から60年になろうとしている今でも、それほど古く感じられないのは傑作だからなのだろう。Oliver Nelson:The Blues And The Abstruct Truth(Impulse)24bit 96kHz Flac1.Stolen Moments 2.Hoe Down 3.Cascades4.Yearnin'5.Butch And Butch6.Teenie's Blues Eric Dolphy(as,fl)Oliver Nelson(as,tn,arr) Baritone Saxophone – George Barrow Bass – Paul Chambers (3) Drums – Roy Haynes Engineer – Rudy Van Gelder Piano – Bill Evans Producer – Creed Taylor Trumpet – Freddie HubbardRecorded 23 February, 1961
2020年03月05日
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ポリーニのベートーヴェンの最後の3つのソナタを聞く。てっきり昔の録音のハイレゾ化と思っていたのだが、それが勘違いだったことに気が付いたのは、一週間ほど前のこと。最近のポリーニの演奏に失望させられていたのだが、ベートーヴェンということで何時ものHD tracksから20%offの$16.78で購入。旧録音は聞いていないので比較はできない。最初の録音から42年経ての録音で、ミュンヘンのヘルクラスザールでの一夜のコンサートのようだ。全体に、テンポが速い。それに激しいというか急かされているような感じがある。ポリーニの最近の演奏に見られる老人性の癇癪持ちの、せかせかした演奏のように感じる。全体に落ち着きがなく、聴いていてあまり面白くない。速い楽章が特にそう感じる。特に31番の第3変奏が顕著だ。他の演奏をいくつか聴いてみた。当ブログが聞いた中ではファジル・サイの演奏のみがほぼ同じ演奏時間で、第二楽章は15分台。レヴィット、シフ、ブレンデルなどは18分ほど。速いサイの演奏でも急かせかした感じではない。速い楽章の動揺?で、遅い楽章も落ち着いて聴くことが出来ない。他の演奏だとベートーヴェン晩年の作品の安らぎが感じられるのだが、ポリーニの演奏では逆に心が乱れるようだ。最近衰えの著しいテクニックは、この録音では問題がなかった。録音が、なんかおかしい。エコーが多くて聞き苦しい。どうしてこんなことになったのだろうか。ライブのようなので、ホールの影響もあるのかもしれない。念のためDSDに変換したら、少し落ち着いた。ということで、今のところ最初に聞いたときの影響が収まっていなくて、こういう感想になってしまった。何回か聴くうちに、変わるかもしれない。Beethoven: The Last Three Sonatas, Opp. 109-111(Deutsche Grammophon)24bit 96kHzflacBeethoven: Piano Sonata No. 30 in E major, Op. 109Beethoven: Piano Sonata No. 31 in A flat major, Op. 110Beethoven: Piano Sonata No. 32 in C minor, Op. 111Maurizio Pollini (p)Recorded: 2019-09-27、Herkulessaal, Munich
2020年03月03日
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今日からNHKの地上波とネットの同時配信が始まった。今日の午後それを知り、登録をおこなった。一時回線が混んで、登録できなかったようだが、管理人が登録したのは夕方で、すでに復旧した後だったので、特に問題なくすんなりと登録できた。丁度7時のニュースをやっていたので、飯を食べながら観た。家でiPadでの視聴だったので、家の古いテレビよりも画質が美しく快適だ。家では、当ブログがニュースを見ていると、いきなり家人が来て他チャンネルに替えてもいいかと聞くことがある。言い方は婉曲だが、無言の圧力で、仕方なくいいよと言うしかない。自室での観ればいいのだが、それも面倒くさいし、どうしてもチャンネルを変えたくないときは、自分の部屋で観ろと言うこともある。なので、これで、この無益なチャンネル争いから解放されるのがありがたい。テレビはニュースと報道バラエティ、それに朝の連ドラくらいしか見ない。ここ数年、朝の連ドラはよく見るようになったが、朝が遅くなったりして、見逃してしまうことがある。昼の再放送の時間はプールに行く時間なので、見ることができない。一時録画していたが、それほど見るわけではなかった。こういうスタイルだと、好きな時間に手軽に見られて、とても助かる。ということで、明日からの快適生活?に期待が膨らむのだが、残念なこともある。アプリが用意されていて、それもインストールしたので、ニュースを見た。ニュースが終わったので、他の番組を見ようとしたのだが、操作するボタンがない。アプリを再起動しても状態は変わらない。どうやら少なくともiPadでは、ここまでしかできていないようだ。まあ、試験期間なのでしょうがないが、一言その旨表示して欲しかった。取り敢えずブラウザでは観られるので、本放送までには改善して欲しいものだ。それから、契約の関係だろうか、配信できない番組やシーンがあるので、そこら辺の整備を早急にして欲しい。連ドラが配信されないと、魅力は半減なので、連ドラは何とか配信して欲しい。ところで、期間限定とはいえ、自分の好きな時に見られるのは大きい。これを知ったら、民放の同時配信の圧力が高まることは必至だろうが、地方局の存亡に関わることなので、キー局も追随するのは容易ではない。というか、既に地上波の存在意義は無くなっているのかもしれない。
2020年03月01日
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